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2014年2月19日 (水)

自然保護を都合いいときにだけ使うな

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沖縄市(旧コザ市)は嘉手納基地の門前町として栄えましたが、ベトナム戦争が終わり、米兵の暴行事件で外出規制が厳しくなると、地元経済も火が消えたようになりました。 

しかし、本土からは使い切れないような巨額の振興予算が毎年3000億円も流れ込み、ありとあらゆる道路や学校を整備しても使い切れません

通常の公共事業は単年度契約なので、一回予算を余らすと次年度に査定されてしまう、という状況が続きました。 

そこで登場したのが大型建設事業である干拓事業です。干拓事業は、計画から工事終了まで10年間を越えるものがザラな複数年予算です。 

建設業はすそ野が広い業種です。建設機械、土木、セメント、砂利、建設資材、運送など広く公共事業に関わる人々が多く、その社員や家族も大勢います。これらの人々の飲食店も沢山あります。 

これらの雇用を維持せねば、その会社だけではなく地域全体が衰退します。 

しかし、一方で工事による海の汚濁に反対する漁業者や、自然保護団体もいます。 

泡瀬干潟の場合、社民党出身で太田昌秀知事の時の副知事だった東門美津子市長は、市選挙公約に干拓反対を唱えて当選した後に、公約を翻して賛成に変身しました。

東門市長は、判決に対しても控訴で望み、「市民が夢を託してきた事業」という美辞麗句を掲げて事業推進の姿勢を改めて明確にしています。

別な例も上げましょう。

石垣市白保地区の海岸 に沿って、南北約10km、最大幅約1kmにわたって白保珊瑚礁が拡がっています。

グレートバリアリーフと比せられる世界有数の規模を誇り、北半球最大とも言われるアオサンゴの大群落をはじめとして世界遺産級のものです。

1979年、こともあろうにここを埋め立てて空港を作るという案を市が言い出し、地元民は反対運動をしました。

結局、あまりに非常識な案であることに加えて、当時の運輸大臣だった石原慎太郎氏も反対を表明し、1989年に白紙撤回されました。

白保珊瑚礁の埋め立て事業に対して、沖縄革新勢力は多少反対のそぶりはみせたものの辺野古とは比較するのも愚かなほど見て見ぬふりをしました。

泡瀬干潟に至っては、東門市長のように埋め立てに加担さえしています。

辺野古で「美ら海を守れ」埋め立て反対と言っていた革新陣営の人達が、一方では「市民の夢の推進」埋め立て推進というというわけです。

さて、誤解していただきたくないのは、このように書いたからといって私は必ずしも埋め立てる側=悪、反対派=善と決めつける気はありません。

どちらにも理があります。埋め立てをする側にも守らねばならない社員や家族かいて、反対する側にも失われていく自然環境への強い思いがあります。

別に沖縄革新勢力だから埋め立てをしたいわけではなく、自民党ならいっそうそうしたことでしょう。どちからが正しいと誰が決めつけられるのでしょうか。

ましてそこに住むわけでもない私たち本土人に、とやかくえらそうにお説教を垂れる資格はないはずです。

それをやるとシーシェパードか、従兄弟がその弁護士をやっているキャロライン・ケネディになります(どうでもいいですが、反対派がこれに便乗するのはアホです)

私はただ、都合がいい時だけ自然保護や「オール沖縄」を持ち出すなと言っているだけです。

沖縄社会の構図は複雑だなと改めて感じます。とてもじゃないが、単純に「オール沖縄」なんていえるほど沖縄社会は一枚岩ではないのです。

ですから私は、よく流布されているような、悪辣な米軍と本土政府は自然破壊と軍拡を企んでいて、それに抗して沖縄県民は団結して平和な「美ら島」を守るために戦っている、なんて単純な二項対立的図式は信じられません。

残念ですが、沖縄の自然保護意識自体は本土よりそうとうに遅れています。

埋め立てに象徴される自然破壊が当たり前だと思ってしまい、その現状に馴れてしまっているのが、残念ながら沖縄の実情なのです。

辺野古の埋め立て方法が議論になった時も、メガフロート構想に頑として抵抗したのは地元の建築業者でした。

なぜなら、メガフロートは本土大手の造船や建設業が技術を持っていて、沖縄の建設業が出る幕がなくなるからです。

代案として沖縄側が出したのが、なんと泡瀬埋め立てなど小さく見えるような巨大人工アイランドでした。正直、その発想の貧困さにゲソっとしましたね。

問題は、これだけの潤沢な予算を提供されながら、それが建設業に並ぶ強い県内産業の育成と県内需の拡大につながらないこと、あるいは環境と調和した経済発展の姿がみえないことにあるのではないでしょうか。

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コメント

いつも具体的な話を教えていただき、ありがとうございます。やはり抽象論ではなく、具体的な話をもとに考えることが重要ですね。
無知は無知な方が悪いという側面もあるので、本土の沖縄に対する無知と贖罪意識を利用して予算をとるというのは一つの立派な戦術だと思います。
同様にクジラやイルカを騒ぐ米国にジュゴンをぶつけるのもいい戦術になると思います。
ただ究極的に知りたいことは、「では沖縄はどうしたいのか?」です。「米軍の即時撤退」というのがいかにも最大公約数に見えますが、名護市が土地の返還を拒否しているという話が以前にあったことを考えれば、残念ながら本気とは思えません。実際、今日もコザの話がありますが、公共事業と基地が基幹産業なのですから、本当に米軍が撤退されたら困る人が続出でしょう。戦術的に様々な策を弄するのは結構だと思いますが、究極的に何を目指すのでしょう。
一番の皮肉は、様々な策を弄することが、結局は現状維持を目指していることになってはしまわないかということなのです。(と同時に基地以外の海岸を全て埋め立てることにも)
その意味で管理人様が提起されているような論点は、沖縄の方々にとって非常に重要だと思うのですが。

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