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瀬戸際戦術を突き進む沖縄政界と、そこから降りた仲井真知事

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浅田さんよくやった。1日でよくここまでリカバリーした。きみの悔しさは私たちの悔しさだ。胸を張って帰ってこい。ありがとう!

さて気を取り直して、昨日からの続きです。 

案外昨日のようなテンプレ記事を一番喜んでいるのは、那覇地方合同庁舎に棲む内閣府沖縄担当部局の官僚たちかもしれません。 

こんな記事で本土人が年間3000億円もの巨額の振興予算を気前よく沖縄に注ぐことを納得してくれたのなら、ありがたい話じゃありませんか。 

へんな話ですが、沖縄で反日感情が強くなればなるほど、本土政府からの振興予算は比例して増えるのですから、担当部局官僚たちは内心、どんどんやって欲しいくらいのはずです。 

予算が増えれば、官僚の権限も増える、革新陣営の中核である官公労も潤う、自民党の基盤の建築業界も島内みんな万々歳です。

馬鹿馬鹿しいのは、私たち県外の納税者だけです。 

他県では想像できないことですが、沖縄は基地カードという最強のカードを持っているために、政府と闘う姿勢を見せれば見せるほど掛け金、つまり振興予算が増えるという仕組みがあります。

基地公害といっても、それをまともに受けているのは本島中部だけで、南部や離島は空高く飛ぶ米軍機を見かけるていど、北部も大部分が原生林の中なので住民にはほぼ無関係です。

弱者が、他をもって替えがたい「基地」という最強のカードを握った場合、それは交渉のカード足り得ます。ういうことを嫌な言葉ですが、弱者の恫喝と呼びます。

かくして復帰後10兆円もの巨額な振興予算が注ぎ込まれてことは何度か書きました。 

もし、沖縄が「基地」という切り札がなければ、政府は復帰後累積10兆円までの予算投入はしなかったはずです。 

これとはまた別枠で、基地に対する防衛施設庁がらみの軍用地代や地元交付金があります。

軍用地主に支払われる地代だけで年間900億超に達し、その他に基地から上がる固定資産税、交付金などが占める自治体の財政依存度は、キャンプハンセンのある宜野座村では4割に達します。

もっとも基地が集中する中部では、基地なかりせば自治体財政は即破綻するでしょう。それほどまでに骨がらみなのです。

一方、基地が存在しない南部では 開発が進み那覇広域圏となっているために、むしろ基地などないほうかいいに決まっています。

自治体が基地をどう思っているのかに対しては南北差があり、オスプレイ反対運動で「オール沖縄」の音頭をとったのが翁長那覇市長と伊波前宜野湾市長だったのは象徴的です。

いわば基地の「資産価値」が違うとでも言ったらいいのでしょうか。

さて沖縄関係予算は、最大だった08年度で年間4393億、平均2000億後半から3000億円です。これは県の自主財源の3倍に達します。

これだけでも充分にすごいのですが、実はこの他にも「陰の振興予算」が隠されています。 

政府補助金率は他県と違った算定基準に基づいています。この補助金比率は、振興予算額には現れない「陰の振興予算」とも言われています。

公共事業に対する政府補助金率は、他の県では平均して5割前後ですが、沖縄県のみは9割以上の補助金率です。

では具体的に、本土と沖縄県の補助金率を比較してみます。 

・公立学校の整備                ・・・本土33~50%  沖縄県75~85%、
・国道、空港、港湾などのインフラ整備   ・・・本土55~70%  沖縄県95% 

・河川改修整備                  ・・・本土50%     沖縄県90%
・農業関連基盤整備               ・・・本土50~70%  沖縄県95%
 

さらにこの「陰の振興予算」は、公共インフラだけではなく市民生活の隅々にまで行き渡っています。それが沖縄だけに適用されている軽減税率です。

復帰特別措置として継続されてきた主な税の軽減措置は以下です。 

・泡盛やビールに対する酒税
・ガソリンなどに対する揮発油税
・地方道路税
・本土-沖縄間の航空燃料税
・観光業、情報通信業、電力会社に対する法人税

このうち酒税は、復帰から5年間の期限つき減免措置でしたが、7回延長して未だ続いています。 

このような手厚い国からの支援を一番潤沢に享受しているのが公務員です。県職員の平均賃金は722万円(04年度)で、県内平均賃金の340万円の2倍以上です。

2006年に行われた県の外部監査報告ではこのような指摘を受けています。

国家公務員の給与を100とした県のラスパイレス指標(※国家公務員の地方公務員との所得格差指標)は99.3と47都道府県で31位で、県民所得が最下位なのに、疑問の余地が大きい」

これは公務員だけがいち早く国家公務員並の賃金水準になったのに対して、民間の賃金が全国一低いからです。

ですから、沖縄の若者の憧れの職業は公務員で、その理由はいうまでもなく公務員が島の富裕階級だからです。

この公務員が作る政治装置が官公労です。沖縄官公労には自治労や沖教組、全駐労などが所属して、沖縄革新勢力の中核部隊を作っています。

もう一方の建築業については先日の記事で書きました。

つまり、国の沖縄県への支援の最大受益層は、振興予算の大部分の配分を預かる建築業界と、国家公務員並待遇を得ている公務員ということになります。

そして、前者は自民党の基盤、後者が社民、共産の基盤なのです。

ここに基地の見返りとして出される国からの手厚い支援に、保革が相乗りしている構図が見えてきます。

この人たちが本気で金のなる木である「基地」を切り倒すでしょうか?ありえません。

沖縄社会大衆党というローカル左翼政党の書記長をしていた比嘉良彦氏は、この沖縄の「不都合な真実」を、このように述べた事があります。 

「本来、沖縄の保守と革新の間でイデオロギー対立はありません。なにが違うかというと、革新は理想論を主張し、保守は現実論を言う。そして沖縄全体で政府から振興資金を人出す役割分担か続いてきました。
1972年の本土復帰も、運動を主導したのは教員と官公労です。本土並を目指して公務員はほぼ本土並になりました。復帰で一番恵まれたのは公務員だったのです。公務員は県内の勝ち組となり、同時に革新勢力の担い手でもありました」
 

沖縄革新は「安保粉砕・基地撤去」を叫ぶことで政府を左から追及し、保守もまた「沖縄の心」を叫ぶことでそれに相乗りして出来たのが「オール沖縄」体制だったわけです。

本土における自民-社会の野合的55年体制の沖縄版とでも言ったらいいでしょうか。

一見、振興予算を否定しかねない反基地闘争をしながら、より本土政府のハードルを高くして、より多くの見返りを取ろうとする瀬戸際戦術でした。

仲井真知事はこの愚かしい御輿を見切って、現実的解決に踏み込んだわけです。

現実的解決をせねば、普天間の固定化が確実になり、他の返還計画も凍結され、日米地位協定交渉も始まらないと見たからです。

そして担いだ御輿から降りられた担ぎ手の保革は、怒り狂って百条委員会(※)まで作って知事をバッシングし続けているというわけです。

降りた仲井真氏と、緊迫する極東情勢も省みず、あいも変わらぬ瀬戸際戦術のデキレースを続けている人々とどちらがまともな政治家でしょうか

この瀬戸際戦術を美化しているのがテンプレ記事であり、陰で笑っているのが合同庁舎の官僚集団なのです。

沖縄における政治表現には必ず裏があり、言っていることと本音は大きく離れている場合が往々にして見られます。その典型がこの間の普天間問題なのです。

※百条委員会   地方自治法第100条に基づくところからの通称》地方議会が必要に応じて設置する特別委員会。自治体の事務について調査する。関係者の出頭と証言、記録の提出を請求できる。正当な理由なく関係者が出頭、証言、記録の提出を拒否したときは禁錮または罰金に処することができる。(goo辞書) 

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