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2014年3月12日 (水)

脱原発派の主張をやんわりと受け止めてしまった安倍首相

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お嫌いの方は名前を聞くだけでげーっのようですが、私は安倍晋三という政治家を面白い人だと思っています。

やはり「昭和の妖怪」とまで言われた岸信介の血なんでしょうかね。一筋縄では行かないのです。

彼の政治のおかしみはその「あいまいさ」にあります。別な言い方をすれば、遠回しに攻めることもできる人物なのです。

その本領が発揮されているのが外交分野で、今彼はロシア制裁について言を左右しています。米国に対しては総論賛成、各論、つまり制裁にはう~んなのです。

オバマみたいなぶざまな外交しかできない人には、安倍は狡猾な奴と写るでしょうね、きっと(苦笑)。

それはさておき、昨日も触れましたが、安倍首相は再エネのFIT(全量固定価格買い上げ制度)について「3年ていど導入を最大限加速する」という形で後3年間程度の期限を示唆しました。

ニュースなど見ても、脱原発派の皆さんの反応がないので、やや拍子抜けしています。

これは婉曲な表現ながらも、あと3年、つまり2017年頃までにあの悪名高きFITを止めるかもしれないということですよ。意味分かってます?

政治的表現で「3年ていど導入を加速する」ということは、3年たったらその先は分からないということですよ。

ハッキリ言えば、どう見ても腐敗の温床になっている太陽光の部分は切除して、次の段階を目指すということです。

経済産業省は、太陽光の実態にやっと重い腰を上げてメスを入れましたが、これは官邸のFITへの不信の反映です。

安倍首相が、菅直人の置き土産のようなこの制度を快く思っているはずがありません。ただ、彼は前政権のように子供じみたちゃぶ台返しをしないだけです。

この伏魔殿になりかかったFIT制度を何かしらの再編、有体にいえば段階的値下げから消滅に向かうのは避けられないでしょう。

今まで経産省官僚は、FITによる電気料金値上がり分は消費者や企業に電気料金として転化しています。

これがドイツのような賦課金という名の税金徴収を伴うものなら財務省がらみになるために経済産業省の独断では出来ませんが、今の形ならば整理していくことも容易です。

このあたりは、経産省はしっかりと「ドイツの悲劇」を学んでいます。

ドイツは電気料金のうち、36%ていどが再エネ関係の賦課金(税金と一緒)という重税構造ですが、わが国は総括原価方式で消費者に転化可能です。

おそらくは原発停止による輸入燃料コストの上昇と再エネFITによる電気料金の高騰を、一回国民や企業にしっかり味合わせてから、こう言うのではないでしょうか。

これ以上の電気料金の値上がりは、デフレから完全に脱却したとはいえない今の経済状況では、国民と企業の忍耐の限界を越えている

FITが消滅したら再エネのような不安定で、高価なエネルギー源は市場淘汰されるしかありません。

現にドイツは、太陽光のFITを大幅縮小し、洋上風力発電にスイッチしました。

日本もおそらく同じ道を歩むはずです。つまり太陽光のFIT大幅縮小と、かろうじて残ったとしても風力へのシフトです。

しかし日本はドイツと違って海岸線が急に深くなっているために洋上風力発電適地は限られています。また洋上風力発電所は巨大なコストがかかります。

したがって、FITの廃止、ないしは段階的縮小と共に再エネの伸びは事実上停滞せざるを得なくなります

その時、脱原発派が唱えていた[脱原発=再生可能エネルギー]という基本図式が崩壊します。

安倍首相は(意図したかどうかわかりませんが)、結果として脱原発派の論理支柱を、議論ではなく現実の結果において崩したことになります。

すなわち、脱原発=再エネ=発送電分離(電力会社解体)というシナリオを、あえてFITを続けることによって国民に原発即時ゼロ派の政策の実現不可能性を実証して見せた、ということになります。

私は今のような原油高の時期に、電力自由化とセットで原発即時ゼロを叫ぶことは正気の沙汰ではないと思っています。

たとえば電気料金は、小売りの自由化程度で下がるものではなく、もっと大枠の天然ガス国際市場でわが国が売り手市場になっていることに原因があります。

わが国のエネルギー供給が、原発停止により不安定になっている時に、売り手がディスカウントしてくれると思っているほうがマヌケです。

好むと好まざるとに関わらず、原発が運転停止し、20~30%のエネルギー源が失われている現状ではエネルギー価格は高止まりのままです。

というように、安倍首相は真正面から脱原発を否定しませんでした、と書くと、猛烈なブーイングが飛んで来ます。こんな感じでしょうか。

安倍は再稼働すると言ったろ。
いえ、再稼働を決めたのは野田政権です。

原発輸出を推進しているだろう。
いえ、それは管政権です。

再エネはどうなってるんだ。
FITはそのまま管内閣から受け継いで推進していますし、止めるとはひとことも言っていません。

東電解体はどうなったんだ。
東電は事故の後始末の問題があるので別問題ですが、旧来の幕藩体制といわれた電力業界については、電力自由化もすると言っていますし、小売りはもう始まるようです。

ね、たぶん気がついてないでしょうが、脱原発派の主張は既に巧みに安倍氏の政策に折り込まれているのですよ。

脱原発派は総選挙、参院選、都知事選と三連敗です。小泉、違った細川だった(笑)、宇都宮両氏の即時ゼロなんて誰が考えても不可能なスローガンでした。

もう口酸っぱく言っていますが、脱原発派は「放射能の危険」ばかりの勉強に偏っていて、エネルギー論がないのです。

唯一の具体論があの飯田哲也さんのドイツの劣化コピーで、右へ倣えなんですから、勝てる道理がありません。

ドイツ自体の方法論も問題山積みだった上に、それの直輸入劣化バージョンですから、やるまでもなかったと、私は思います。

飯田哲也さんが考えた、脱原発=再性可能エネルギー=電力自由化とい3段仕掛けは、他ならぬ安倍さんによって形をやや変えて実行に移されました

結果は、いかがだったでしょうか。再エネの非力さはさらけだされ、そのブースターと期待されたFITにはケーキにたかるアリが群がるといった有り様です。

あと残る、電力自由化も明るい未来は期待できません。小売り自由化でも、電気料金もいっかな下がらないどころか、かえって混乱しか残らなかったのがやがて分るでょしう。

なぜ分るのかって。ドイツのように発送電分離してこその小売り自由化だからです。小売りだけ先行しても意味がありません。

しかもドイツの場合、結局発送電分離しても、既存の電力会社間の合併再編が進んだだけでした。このように、ドイツ型脱原発論はわが国で定着することはないと思います。

しかし賢明というか、狡猾というか、安倍首相は脱原発派の論理を頭から否定するのではなく、実際やってみせて結論を国民に見せたのでした。

脱原発派の中で唯一具体論を持っていたのが飯田哲也さんですから、あと数年後のFIT終了時には、あの山本太郎議員的ゴリゴリの政治主義者だけしか残らないのかもしれません。

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コメント

太陽光のFIT制は、個人的には、できるだけ早く、辞めてほしいと思ってます。

もし、太陽光発電を推進するなら、各戸で、電気を自給自足するために使うべきで、原発1基、100万キロワットの時代に、メガソーラーでさえ、1万キロワットを、不安定にしか、供給できないのですから、全国のいろんな大学、研究室、ベンチャー企業が、やっているような、海水揚水発電、海中温度差発電、地熱発電、ごみ焼却炉のダイオキシン防止冷却水プラントの余熱発電とか、新しい充電可能な高圧高電流蓄電池開発、植物(藻類)利用発電とか、日本近海でのシェールガス井戸開発など基礎科学技術研究に、力と予算を回してほしいと、思ってます。

太陽光は、所詮、下水道の代わりである浄化槽のようなものですので、どちらかと言えば、畜産舎や、温室栽培など、電柱が無くて、売電が使えないところでの、有効利用に限定すべきだと思います。

メガソーラで作った、1万キロワットを、送電線で、東京に持ってきても、ほとんど、送電中の熱損失で、使い物にならなくなるとしたら、意味ないですしね。

はじめまして
個人的に脱原発=現時点の原発は廃止で超小型原発(高さ4m直径1m以下)に行こうした方がよいと考えてる。
原子力もまだ技術的にまだ発展する分野だと思う。
超小型原子炉だと自然制御・設置はどこでもOK(2次冷却不要)・燃料補給なしに20年運転可能など現時点の原子炉の欠点が克服してる。
無論今の原子炉に比べて出力等は落ちるがそこは数で補えば良いと思う。
まだ、実用検証してないからいろんなところで難点があると思うがいくつかの問題をクリアーできればエネルギーとしては大いに期待できると思う。

横関さん。
私も原子力エネルギーにはまだまだ進歩の余地があるとは思っていますが、
それは、かつての米海軍SL-1事故の検証をしたううでのことでしょうか?

緊急時の救急体制や、核セキュリティのコストや体制を考えた上でのことですか。

それでも有効性が高いなら、東京23区や大阪等の大都市に大量装備すべきとなると思いますが。守り切れるんですか?
また、その体制とコストはどこが負担するのでしょう。

私は、現状では明確に反対します。

米海軍SL-1事故の検証ではないでしょう。
理論として小さい容器だと中性子が飛び出て臨海に達しないという現象を利用したものです。
コスト面でも実用までいたってないから推測でしか答えられないが、部品点数が50個少ないようです。
製造も工場で作って運べば良いので、大量生産にも向いてるから製造コストは下がると思う。
福島原発のような水蒸気爆発による核の拡散がなく、実際に設置となると地面の下に設置となるでしょう。

都会でもある程度守れるのではないでしょうか。
自然エネルギーは供給事体が不安定だから、安定されたものをある程度使っていけば電力そものも安定すると思う。

米海軍SL-1事故についてWEBでいろいろと見てみましたが、制御棒を引き抜いたのが原因(なんで抜いたのかは生存者がいなので不明)
超小型原子炉は、制御棒などありません。
人為的に引き抜いて暴走されることも不可能。
原子炉じたいをカプセルですっぽり囲んでる状況で、人為的ミスによって危険な状況にする可能せいは低い。
あるとしたら、行為による容器の破壊ぐらいでしょうか。

横関さん。原発事故の問題は、単に事故の蓋然性だけではなくて、国民心理も絡んできますよ。

私は設置県の人間として、東京都民がチャラとして反原発などと言われると腹が立ちます。しかし、かといって地下であろうとも、いかに安全が担保されていたとしても、人口密集地帯に設置すれば、激烈な反対運動を受けるでしょうね。
そのストレスのほうが、設置のメリットを凌ぎます。

また、核セキュリティがめちゃくちゃに大変になりますよ。福島第1ではなんと民間のガードマンが警備していた国ですよ。
今のわが国の原発の警備がSAT常駐ていどにアップグレードしても、どうなのかなぁ。

ちなみに本テーマは記事から離れていますので、ほどほどでお願いします。 

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