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2014年3月28日 (金)

ウクライナ紛争その5 EUは過激なTPP

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では前回に続いて、このような状況のウクライナがEUに加盟することを考えてみましょう。

ひととでいえば、EUとは自国の主権を捨てて経済・社会・軍事的共同体を形成することです。

軍事はNATO(北大西洋条約機構)ですが、EUとNATOはほぼ重なっています。

プーチンは既に2008年のNATO-ロシアサミットで、クライナがNATOに加盟した場合ウクライナ東部とクリミアは、ロシア人保護のために併合すると宣言していました。

今回それが現実になったわけです。

それはさておき、TPPは経済分野だけで、財政、金融、軍事は枠外です。その意味でEUは、過激なTPPのような性格だと思えばいいでしょう。

EUは前身であったEEC(欧州経済共同体)の名どおり、「共同体」である以上、主権のかなりの部分を捨てねばなりません。それはどういうことでしょうか。

たしかに今までロシアに借金だらけだったり、油代金が積もりに積もっても、あるいはロシアに宗主国のような顔をされていたとしても、ウクライナは立派な主権国家でした。

しかし、EUというグローバリズム経済の「社会実験装置」に加盟すると同時に(それ自体かなりハードルが高いですが)、半主権国家に転落します。

あたりまえですが、EUは仲良し連合でもなければ、互助会でもありません。ドイツが盟主のグローバル経済の修羅場です。

ヤヌコビッチ前政権がEUとの「連合協定」を破棄したことで今回の紛争になったわけですが、ヤヌコビッチが拒否したのは単なる親露派だったからではなかったと思います。

欧州連合への加盟希望を表明している国に対しては、その地ならしとして加盟希望国の政治、経済、財政、金融、貿易、人権改善などを求められます。

服役中の反露派のティモシコの釈放などもこのEUの要求だったはずです。しかし、そんなものはほんの一角にすぎません。 ....

EUから見れば、ウクライナなど単なる巨額な負債を負ったデフォールト寸前の最貧国でしかありません。

本心でいえば、ウクライナなど加盟させたくはないはずですし、「連合協定」と引き換えに出さねばならない支援金も本心はビタ一文も出したくはない、それが財政危機に悩むEUの本音なのです。

元々はロシア主導の「関税同盟」(※)からウクライナを引き剥がすために、しかたなくウクライナと「連合協定」を進めているというのがほんとうのところだったはずです。

その時は10~20億ドルの短期支援でお茶を濁すつもりだったのでしょうが、しかし、今後、クリミアのロシア領編入という緊急事態を受けてウ~もス~もありません。

例によって国際社会のキャッシュ・ディスペッサーの日本は、米国より多い12億ドル(円借款)出すはめになりました。(やれやれ)

もちろんEUも、「ロシアがヤヌコビッチ政権崩壊前に確約した支援規模に匹敵する150億ドルを拠出」(ロイター3月6日)するそうですが、まちがいなく支援の見返りは安くないはずです。

たとえば、EUでは財政の権限はヨーロッパ中央銀行((ECB)しか持っていませんから、財政赤字削減のための政府支出の大幅緊縮が命じるはずです。

これはウクライナが独立国でありながら、自分の国の予算執行を自由にできないことを意味します。

ギリシアやポルトガルなどではECBの命令で、、一挙に公務員給与や社会保障費、公共事業費などに大鉈が振るわれ、政府資産の売却が進みました。

それと同時に、ECBは、グローバル化のための規制緩和を緊急支援の条件にするでしょう。

これにより、関税自主権は奪われ、外国産の高品質の工業製品や食糧が津波のようにウクライナに侵入します。

EU域内の外国企業は内国法人と同様の権利をもちますから、関税以外でも国内産業保護ができなくなります。

特許権などの知的財産権や環境基準ついても、EUと同じ基準が課せられるはずです。

このようなグローバル化の嵐が吹き荒れた場合、国内の中小零細企業は軒並み倒産の憂き目に合うでしょう。

唯一ウクライナを支えていた軍需産業と穀物、鉄鉱輸出も、ユーロの為替水準に合わせるために通貨切り上げになり、軒並み不振に陥ります。

特に今の時期はユーロは他の通貨に対して高値ですから、最悪の時期に加盟となることになります。

国債もギリシア10年もののように17.5%ていどくらいに跳ね上がるでしょう。

現時点のスペインの失業率は20%、ギリシアに至っては28%(!)です。ウクライナもこれに近い水準になるでしょう。

その時セーフティネットになるはずの社会保障費や福祉・医療関係予算は、緊縮財政で既にボロボロになっているはずです。

主権国家ならば、このように経済がボロボロになった場合の救命丸として為替の切り下げという特効薬があります。

国家には金融主権がありますから、貨幣を多く刷ることで為替安に導き、輸出競争力をつけたり、観光客に安さでアッピールすることも可能です。

古都キエフも暴動で焼け焦げましたが、復旧すれば観光客を呼べます。優しく親切なウクライナ人の気性は外国人旅行者を慰めてくれるでしょう。

しかし先ほど述べたように、ユーロという共通通貨になることでその不況の特効薬が使えません。

ユーロという共通通貨になっていい思いしたのはヨーロッパでは、今までそれなりに高い為替相場で苦しんできたドイツなどの先進国だけなのです。

EUはよくドイツの一人勝ちといわれますが、それはドイツ製品が無関税で域内に輸出できることと、それまでのマルクよりはるかに安いユーロの為替相場が使えて、急にドイツ製品大ディスカウント大会になったからです。

東欧一の工業地帯を持つウクライナは軍需産業に傾斜しすぎていますから、無関税で入ってくる高品質の輸入品に太刀打ちできるはずもありません。

おそらくドイツ製品が津波のように国内に入ってきます。その逆に、ウクライナ製品はユーロ相場に合わせたために値上がりして、売れなくります。

貿易はゼロサムゲームですから、ドイツ製品が勝てば、それだけウクライナの貿易赤字は増えるのです。

そして最後に、サービスや人の移動も自由化されますから、ネオナチの皆さんが大嫌いな「ユダヤ資本」や、外国人移民が流入するでしょう。

ちなみに外国人移民が増えた諸国は、軒並みに極右政党が伸びています。

また高賃金を求めて、医師、看護婦、技術者、教師、技術者などの技能職は外国に流出します。

というわけで、たしかにデフォールトが回避された代わりに、こんな未来が予測できます。

①関税自主権がないから国内産業はバタバタ倒れ、失業者が激増
②金融自主権がないので為替レート切り下げが自由にできず、輸出がピンチ
③財政自主権がないので緊縮財政を命令され、社会保障がボロボロ

④ヒトとサービスが自由化されるので外国人がワラワラ入ってくる
⑤共通通貨ユーロの縛りで為替高。来てほしい観光客は来ない

と、まるでいいところなしです。だからお止めなさい、と言っているのです。

こう整理してみると、たしかにTPPとEUはグローバリズムだけによく似ています。違うのは②③⑤です。

ただEUのほうがはるかに劇薬だということです。とてもじゃないが、今のウクライナが服用していいものではありません。

EUではなく、米国主導のIMFがやったらもっと冷厳にしめつけてくるだけで、内容的には似たようなものです。

EUに行くことはグローバル経済の餌食になるだけで、まったく救いにならないのです。ウクライナはいままでまともな市場経済を持っていませんでした。

ソ連型中央指令型計画経済から、国有財産の盗っ人による寡占経済、そして今の革命と混沌。

西欧を頼りたい気分はわからないでもありませんが、今のような未成熟な資本主義からいきなりグローバル経済の草刈り場に突入するのは、とてもお勧めできません。

関税同盟 2011年にプーチンが提唱したユーラシア大陸全域の「ユーラシア同盟」構想の中軸。プーチンは「リスボンからウチジオストックまで」という大経済共同体を構想した。EUとの協調をうたうが、実体は反EU圏であると見られていた。
その中軸が関税同盟。参加表明しているのは、ロシア、カザフスタン、ベラルーシなど。ウクライナにも呼びかけていた。

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