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どうにか押し返した日米首脳会談

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最悪の場合は腹を括らねばという思いで正午の日米首脳会談の会見中継をにらんでいた農業者は多かったのではないでしょうか。私もそのひとりでした。

NHK6時のニュースによれば、フロマンUSTR代表は閣僚級会議で、「そんな程度の妥協しかできないのなら、共同声明は出せないな」とまで言ったそうです。

やれやれ、毎度のことながらこの人ときたら・・・。

私は最悪の場合、日本側は「大きな視点に立って」という政治的な妥協が図られる可能性が高いと見ていました。その意味で安倍首相と甘利大臣は、よく踏ん張ったと評価します。

甘利さんも体調不良のところをフラフラになりながら、このマラソン交渉を乗り切ったのだと思います。夕方の顔色など黒ずんでいました。少しお休みください。

一方、オバマ大統領にとっては、日本で天皇から首相までの蕩けるような「おもてなし」をしてもらい、リニアのライセンス料無料のお土産までもらって、日本に実を取られたという気分でしょう。

Imp14042422490003p1     (写真 宮中晩餐会で日本の最強外交兵器の「攻撃」を受けるオバマ大統領 産経より)

今回、首脳会談の裏で戦われていた甘利-フロマン交渉において、最終的には日米交渉の焦点は日本側が死守したい農業5品目関税と、米国の自動車安全基準の2点に絞り込まれていたと思われます。

日本が出したオファーはたぶんこのようなものだったと思われます。

牛肉  ・・・関税は現行38.5%を豪並か、ギリギリ譲っても10%以上。
・豚肉  ・・・現行4.3%をやや下げるが、安い豚肉にかけられている差額関税は維持。
・乳製品・・・現行脱脂粉乳218%、バター360%は維持。ただし低関税輸入枠を増やす。
・コメ  ・・・死守。せいぜいが低関税枠の増加。
・麦  ・・・現行小麦252%、大麦256%は死守。ただし米国からの無関税枠は増やす。
・砂糖 ・・・現行砂糖328%、サトウキビ583%を死守。

おそらく、日本側はフロマンの「すべてノー」に屈したら、4月増税も加わって政権が潰れるという危機感を持っていたはずです。

たとえば焦点になったはずの牛肉では、20年ていどの最大幅の猶予期間を設けた上で、輸入量が増加した場合の安全装置であるセーフガードをつけて、少しでもオージー水準前後で妥結したかったと思われます。

ちなみにオージーとのEPA妥結内容は
・牛肉関税・・冷凍品35%から18年かけて19.5%に引き下げ
・      ・・冷蔵品15年かけて23.5%に引き下げ
・過去5年間の輸入量水準を超えた時に38.5%に戻すセーフガード

一方、米国側は、これ以上交渉が停滞するなら日本市場でオージービーフに先行されてしまうという危機感と、秋の中間選挙を前に安易な妥協もできないというアンビバレンツな立場を、日本側に読まれたという焦りがあったのは確かでしょう。

またもうひとつの焦点になっている自動車ですが、菅官房長官の会見では日本側は安全基準を楯に取っているようです。

自動車問題は、つまるところ米車が右ハンドル仕様を改めないために起きています。

欧州も含めて今や右ハンドル一色になっている国際環境を無視して、一部の郵便車を除いて左ハンドルしか作らないという米国の唯我独尊ぶりが祟っています。

失礼ながら、今や左ハンドルが好きな日本人は、所ジョージくらいなもんです(笑)。

一部のアメ車マニアしか喜ばない車しか作れなくて、非関税障壁もないもんです。

あとは左側通行用になっているヘッドライトの変更や、バックミラーの曲率(アメリカは望遠レンズ)、キーレスエントリーの周波数の変更を行なえばいいだけです。

もし日本側が譲るとすれば、登録時の排ガス再テストでしょうか。現行だと高い料金が必要なので、これの簡素化はあり得るかもしれません。譲ってもそのていどです。

日本車が米国市場でどれだけの血と汗の苦労をしたかに較べれば、バカみたい簡単なことばかりです。もうそれだけの力がデトロイトに残っていないということなのでしょうか。

そんなに日本に売りたければ、日本国内に工場作りなさいと言いたいですね。

というかお願い、世界でも最も目の肥えた日本の消費者に買いたい車作って。

というわけで、オバマは宮中晩餐会に見送られて複雑な心境で、パククネが待つ韓国に今日発ちます。

というわけで、わが国は、辛勝しました。

         ~~~~~~~~~~~~~~

日米、大筋合意至らず=TPP2国間協議
時事通信 4月25日(金)7時57分配信

 甘利明TPP担当相は25日朝、東京都内で記者会見し、環太平洋連携協定(TPP)をめぐる日米2国間協議の現状について「進捗(しんちょく)はあるが、大筋合意というわけでない」と述べた。

日米、声明保留し神経戦=TPP大筋合意へ難航 
時事通信 4月24日(木)21時36分配信 

 環太平洋連携協定(TPP)をめぐる日米の2国間協議は難航し、安倍晋三首相とオバマ米大統領による首脳会談後も共同声明を発表できない異例の展開となった。日本の政府・与党内には、TPPで米国が納得する成果がなければ声明の発表凍結もあり得るとの警戒感さえ浮上。双方は大筋合意に向けて神経戦を続け、日本側関係者からは「共同声明を人質に取られた」との声も上がった。

 両首脳は会談後の共同記者会見で、中国へのけん制を念頭に、TPP交渉の妥結がアジア太平洋地域に占める「戦略的な重要性」を強調した。安倍首相はそれを踏まえて「大きな観点から判断していきたい」と述べ、米国との2国間協議を重視する考えを示した。

 ただ、同時に「国会決議をしっかりと受け止め、国益にかなう最善の道を求めていく」とも指摘。コメや牛肉・豚肉など農産物重要5項目の関税維持は容易に譲らない姿勢もにじませた。これに対しオバマ大統領は「日本は農産品、自動車分野で市場の開放度が制限されている。今こそ解決すべきだ」と、日本の歩み寄りを強く促した。

 交渉の早期妥結を目指す点で、日米は一致する。ただ、個別の内容に踏み込むと、安易な妥協が許されない国内事情を共に抱え、柔軟な構えで交渉に臨むのは難しい。首脳会談や閣僚による再協議でも着地点に達することができず、交渉の出口を探る折衝が行われた。 

【TPP】米国仕様車の認証要求 ブレーキなどの安全・環境基準 日本慎重、障害に

産経4月18日

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の日米協議で、米国産自動車の日本輸出に関し米国内で使っているメーターや制御性能などの仕様を日本でも認めるよう米側が要求していることが17日、分かった。24日の日米首脳会談で目指す日米協議の大筋合意に向けた障害となりつつあり、豚肉や牛肉の関税とともに閣僚交渉で対立している。

 米側は、日本の自動車に関する安全基準や環境基準を「参入障壁」とし、規制緩和を要求。米国内で生産した自動車で使っている安全基準に関わる数値や名称を、日本でも認めるよう主張している。ブレーキなど自動車の制御に関する基準も認証するよう求めていて、基準変更に慎重な日本と対立している。

 米側は、国内仕様の安全基準を日本に認めさせることで、輸出に際して日本の安全基準に合わせる手間や改造コストを圧縮できるため、より安い価格での販売が可能になる。

 一方、政府は交通事故防止のために設けた国内の安全基準を緩和した結果、事故が増える事態を懸念し、反対姿勢をとっている。

 政府関係者は「農産品関税よりも妥協点を見いだすことが難しく、最後まで協議は難航する」と指摘。自民党の石破茂幹事長は17日のBS朝日の番組収録で、日米協議について「まとまらなければいけないが、国益を損ねて重要産業を壊滅させてまでまとめる意味はない」と強調した。

オバマ大統領、「尖閣の安保適用を明言」 
CNN4月24日

東京(CNN) 日本と中国が領有権を主張している尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡り、読売新聞は23日、オバマ米大統領が同紙の書面インタビューで、尖閣諸島は「日米安全保障条約第5条の適用範囲内にある」と明言したと伝えた。

オバマ大統領は読売新聞が提出した中国が領有権を主張する尖閣諸島についての質問に答え、「我々は、これらの島々の日本の施政を阻害するいかなる一方的な試みにも反対する」と述べた。

尖閣諸島を巡っては、クリントン前国務長官から2010年と13年の日米外相会談で同様の発言があったものの、現職の米大統領が日米安全保障条約の適用を明言したのは初めて。同領土を巡る衝突が起きれば米国が軍事介入する姿勢を示唆した発言といえる。

オバマ大統領はまた、中国と「直接かつ率直に取り組んでいく」との方針を示した。さらに「紛争は脅しや威圧ではなく、対話と外交で解決する必要がある」と強調した。
これに対して中国外務省の秦剛報道局長は、「米国は真実を尊重し、一方の側に立つことなく、言動に注意を払い、平和と安定を保たなければならない」と強調した。

日本政府が12年に尖閣諸島を国有化したことをきっかけに中国では激しい反日運動が起き、両国間の緊張は一気に高まった。中国の船舶や航空機が尖閣諸島への接近を繰り返し、日本が戦闘機を緊急発進させる事態も起きている。米国は同諸島の領有権に関して中立の立場を維持する。
一方、米マサチューセッツ工科大学の国際関係学者、テイラー・フラベル博士は、尖閣諸島に対する米国の政策に変化はなく、それを伝える人物が新しくなったにすぎないと指摘している。

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コメント

貴兄の洞察力の深さ等、解析力の鋭さ等、大変勉強させていただきました。これに比べれば尖閣・安保適用について記した我が意見などは、まだまだ幼稚だなあと恥じ入るばかりです。でも、何か書かずにいられない心境でもあります。

投稿: なりひら | 2014年4月26日 (土) 01時11分

こんにちわ。初めまして。

無事、TPP交渉が流れてくれてほっとしています。
米国では捻じれ国会なうえ、大統領にTPA(貿易促進権限)が無い以上、フロマンが譲歩する事は有りえないですから、話が一切進むことは無いとは思っていました。が、日本の譲歩っぷりは凄まじいですから心配でした。

関税の撤廃なんて、EUと言う見事な失敗例が目の前にあるのに、なぜこんな無益な事をしなければならないのか。
無関税と言う名の、経済戦争は引き起こしてはいけません。他交渉参加国の為にも、日本にTPPを潰してもらいたい所です。

投稿: ちの | 2014年4月28日 (月) 15時28分

{

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