• 059_20211204161101
  • 067_20211204161201
  • 2112-019
  • 2112-029
  • 2112-032
  • 2112-017
  • 2112-037
  • 2112-018
  • 2112-014
  • 2112-023

« 鮨と晩餐会の裏での攻防事情 | トップページ | 安保条約第5条を読む その2 憲法解釈を官僚に任せるな »

2014年4月30日 (水)

安保条約第5条を読むその1 米国は単に条約を適用しているにすぎない

004_2

オバマの最大の手土産だと言われている「尖閣は安保条約5条の範囲内である」という発言についてもう少し考えてみましょう。

この原文はこうです。

Our treaty commitment to Japan's security is absolute, and Article 5 covers all territories under Japan's administration, including the Senkaku Islands.
日本の安全保障に対する米国のコミットメントは絶対的であり、(日米安保条約)第5条は尖閣諸島を含む日本の施政権下にあるすべての領域を対象としている。

さて、このommitmentですがどう訳しますか。確約する、約束する、といったところでしょうか。

マスコミの報道ぶりを見ると、「これで尖閣防衛の大統領の言質が取れた。よかった、よかった」というものばかりです。

あの朝日新聞ですら、「安全保障分野に限れば、首相は大統領から、ほぼ望み通りの「お墨付き」をもらったということなのだろう」(朝日新聞4月25日)と書いています。

「お墨付き」という言い方に、悔しさがにじんでいますね(笑)。

せっかく喜びや悔しさに水を差すようですが、オバマ自身記者会見でCNNの質問に答えて、「これは別に新しい合衆国政府の決定ではない」と言っています。

原文はこうです。
This is not a new position, this is a consistent one. There's no shift in position. There's no "red line" that's been drawn. We're simply applying the treaty.
これは新たな立場ではない。米国の立場は一貫している。米国の立場には変更はなく、これでレッドライン(武力行使への一線)が引かれることはない米国は単に条約を適用しているにすぎない

Data

                           (写真ブルームバーク)

そのとおりで、オバマの言うとおりオバマ政権の閣僚は今まで同様な発言をしてきました。

ケリー国務長官は、岸田外相が訪米した2013年3月22日に同様の発言をしていますし、ヘーゲル国防長官も4月29日にこれも訪米した小野寺防衛大臣にそう発言しています。

また既に2012年11月29日に、米国上院も同様の議決で確認しています。(欄外参照)

かといって、合衆国大統領が記者会見の席上で公式に発言したことは、中国に対しての政治的意味は大きく、日本の得点であることは確かです。

ただし、そう手放しで喜べることなのかが問題です。このオバマの発言が、「尖閣に上陸した中国に対して米国が有効な軍事的支援をしてくれる」と善意で解釈していいのでしょうか。

残念ながら、おそらくそうはならないのではないか、というのが私の考えです。

では改めて、オバマが「米国は単に条約(第5条)を適用しているにすぎない」と述べた日米安保条約第5条を読んでみましょう。

実は、第5条は外務省の「主要規定の解釈」の中でも「中核的な規定」とされている部分です。(条項とその私の解釈は色で照応させました。)
※外務省「規定の解釈」については欄外参照
※安全保障条約全文
http://www5b.biglobe.ne.jp/~USPinfom/anpo1.htm

日米安全保障条約 第五条 
「各締約国は、日本国の施政の下にある領域におけるいずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。 」

ARTICLE V
Each Party recognizes that an armed attack against either Party in the territories under the administration of Japan would be dangerous to its own peace and safety and declares that it would act to meet the common danger in accordance with its constitutional provisions and processes. Any such armed attack and all measures taken as a result thereof shall be immediately reported to the Security Council of the United Nations in accordance with the provisions of Article 51 of the Charter. Such measures shall be terminated when the Security Council has taken the measures necessary to restore and maintain international peace and security.

まずひとつ目のポイントは、この第5条の適用範囲が日本の施政権下にある領域としていることです。

これはこの条約が、日本施政権下に対する攻撃を想定して作られているという大前提を指します。

あたりまえですが、これは米国領土に対するものでも、米軍一般に対する攻撃ではないことに注意し下さい。

その上で、これに日米が「共同対処」できるのはいずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め」るとしています。

「共同対処」とは、この条約が軍事同盟な以上、とうぜん軍事的反撃のことてす。

この部分で「いずれか一方」としていることに注意してください。「いずれか一方」という文言は、日本だけに限らず米国に対する攻撃も含むということです。

つまり、そもそもこの条文は今議論となっている集団的自衛権が前提となっているわけで、集団的自衛権が認められなていないとするならば、この条約の核心であるこの第5条自体まったく意味がないことになります。

したがって、第5条は日本の「平和及び安全」に対して日米が共同で行動している条件下で、「どちから一方」すなわち米軍が攻撃されているにもかかわらず、自衛隊がそれを傍観するような事態をそもそも想定していていないと考えるべきです。

なぜなら、日本防衛のために戦っている友軍が攻撃されているのに傍観するような非道義的状況を条約で認めてしまえば、条約そのものが成り立たないからです。

これは常識的問題です。日本を助けに来ているのに攻撃を受けても自衛隊が無視したなら、誰がこんな奴を助けるか、普通に考えれば分かることです。

そして、第5条条文冒頭にあるように、これはあくまで日本の施政権下に対する条約の限定下におけるものです。

したがって、個別的自衛権の範疇であって、集団的自衛権反対論者が言うように、何も米本土や、米国の戦争に世界の果てまで米軍に従って戦争しろという義務が出来るというような極端なことを第5条は言っているわけではないのです。

あくまでこの条約が、「(日本の)平和と安全を危うくする」事態に対する条約であって、世界の安全保障一般に対しての条約でない以上それは当然です。

特定秘密保護法案の時もそう思いましたが、反対派の人たちはあの時は、「戦前の特高警察が復活する」とか、「自由な演劇も禁止される」「空を飛ぶ軍用機を写したら逮捕される」という妄想に近いことを言っていましたが、どうしてそんな極端な想定をするのでしょうか。

今回の集団的自衛権論議は、あくまでも尖閣という「日本の施政権の下」にある領土に対しての攻撃に対してという第5条の範疇内の、権利と義務を明示するための議論をしているにすぎません。

権利とは、米国のコミットメントであり、義務とは共同対処している友軍をも防衛するということです。

集団的自衛権に賛成でも反対でもかまいませんが、まずは第5条を読み込んでから議論すべきです。

オバマは、このことをはっきりさせるために来日したのであって、今後集団的自衛権論議が、空中戦ではなくこの第5条をめぐってなされることを国民として希望します。

これについてもう少し続けます。

■写真 わが愛犬タロー。まだ幼かった頃。わがワンコながらなんという可愛らしさ。性格もいい。ただ惜しむらくはややノータリン。

                  ~~~~~~~~~~~

■2012年11月30日NHKニュース

中国が領有権を主張している沖縄県の尖閣諸島について、アメリカの防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用範囲内であることを明記した条項を、現在、審議中の国防権限法案に盛り込むことを決めました。
これは、アメリカ議会上院の本会議で29日に全会一致で可決されたものです。
追加されることになった条項では、東シナ海はアジア太平洋地域の各国共通の利益に関わる海域で、アメリカは領有権に関して特定の立場をとらないが、尖閣諸島は日本の施政下にあり、第三国の一方的な行為によって、この認識が変わることはないとしています。
そのうえで、日本の施政権が及ぶ地域に対して、アメリカは日米安全保障条約の第5条に基づいて、防衛義務を有することを確認すると明記しています。
これはオバマ政権の立場を基本的に追認したもので、国防予算の大枠を定める国防権限法案に追加条項として盛り込まれたことで、厳しい対立を続けるオバマ政権と議会が、この問題では足並みをそろえることになります。

■日米安全保障条約(主要規定の解釈) 外務省HP

第5条は、米国の対日防衛義務を定めており、安保条約の中核的な規定である。
 この条文は、日米両国が、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に対し、「共通の危険に対処するよう行動する」としており、我が国の施政の下にある領域内にある米軍に対する攻撃を含め、我が国の施政の下にある領域に対する武力攻撃が発生した場合には、両国が共同して日本防衛に当たる旨規定している。
 第5条後段の国連安全保障理事会との関係を定めた規定は、国連憲章上、加盟国による自衛権の行使は、同理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの暫定的な性格のものであり、自衛権の行使に当たって加盟国がとった措置は、直ちに同理事会に報告しなければならないこと(憲章第51条)を念頭に置いたものである。

« 鮨と晩餐会の裏での攻防事情 | トップページ | 安保条約第5条を読む その2 憲法解釈を官僚に任せるな »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 鮨と晩餐会の裏での攻防事情 | トップページ | 安保条約第5条を読む その2 憲法解釈を官僚に任せるな »