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2014年5月12日 (月)

「美味しんぼ」 すねた野良犬が今や太った飼い犬に

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こんなことを書くと、ナニ言ってんだかと笑われそうですが、恥ずかしながら私は「美味しんぼ」のけっこういい読者でした。

ちょうど私が農民志願したと同時期に書き出された極初期の「美味しんぼ」は、当時のバブル文化が生み出した飽食批判を基調としていたためもあって、私と共鳴するところが多かったのでしょう。

山岡のいつでもこんな会社辞めてやらぁという野良犬のようなハグレっぷりも、脱サラして、親から勘当されるようにして誰ひとり知り合いのいない村に飛び込んだ当時の私にとって同類のように見えたのかもしれません。

しかし、「美味しんぼ」が空前の大ヒットとなり、スピリッツの押しも押されもせぬ金看板になるにしたがって、山岡は朝日新聞社の、いや違った東西新聞社の社運を背負う男にまで成り上がっていきます。

言ってみれば、野良犬がよき飼い犬となり、やがて自ら権力そのものになっていったのです。まさに今の雁屋哲氏の如くです。

大物となってしまった雁屋氏は、毎回判で押したような話を牛の涎のように垂れ流していきます。

[第1パターン]トラブル勃発⇒人間関係崩壊の危機⇒「真の食べ物」で和解
[第2パターン]お題頂戴⇒究極・至高対決⇒山岡負け(たまには勝つ)

こんな毎回同じ趣向で、100巻を超えさせて累計1億冊売ったのですから、小学館もいい根性しています。

おまけに、あの凍るような寒いギャグ。泣けない人情噺。回転焼きのような同じ筋立て。

ここで彼が状況や心理を書き込めるタイプだったら違ったのでしょうが、話は後になると思い出せないほど陳腐な繰り返しになっていきます。

なにより、致命的なのは取材力の弱さです。思い込みの強い雁屋氏は、行く先々でカモになります。

たとえば、私の業界で「初卵伝説」を作ったのは彼です。彼は取材先の親父のいうことを丸飲みして「ニワトリが生涯最初に生んだ卵(初卵)がいちばん美味い」と書きました。

なにせ雄山がエラソーにのたまうのですから迫力が違う。

以後、これはわが業界では定説にまでなってしまい、大いに迷惑しています。もちろん誤りです。

そんなギャル鶏が生んだものより、風雪を知った熟女が生んだもののほうがはるかに濃厚でこってりとした旨みが乗っています。

万事がこの調子で、食品業界での彼の悪評は知る人ぞ知るです。

特に、反対運動関係者を登場させることが多く、彼らのプロパガンダがそのまま裏を取らずに掲載されています。ちなみに雁屋氏は裏取りをまったくしないようです。

今回の「福島の真実」では、あの井戸川氏と、某過激セクトの脱原発運動部門の責任者が登場しています。

この人たちを出せばなにを言うか、もちろんわかった上でのことです。これを見ると、「美味しんぼ」では、もはや出版社や編集者の歯止めがまったく存在しないことが分かります。

あたりまえですが、反対運動は「勝つ」ためにあります。ですから反対運動を取材すれば、通常のメディアが報じない情報もえられる代わりに、彼らにとって有利な情報しか来ません。

だから、言論たるにはひとつひとつ裏を取っていかねばなりません。

私は飽きました。たぶん作者の雁屋氏がいちばん飽きていたことでしょう。

そして飽きれば飽きるほど、漫画はいっそう「道理に疎く、知識に暗い者ども」への啓蒙色を強めていきます。当人はそれが反骨精神と勘違いしているのですから困ったもんです。

間違ってはいけない。雁屋さん、あなたはもはや独善的な権力者にすぎないのですよ。

今回もまた雁屋氏が断罪したいのは、「福島は安全」「福島は大丈夫」「福島は復興は前進している」という「心地の良い嘘」(氏のブログ)のようです。

そして四方八方から批判を食うと、攻撃することは得意でも、守備は苦手とみえる雁屋氏は完全に逆上してしまいました。

1億冊売った作家として出版業界では帝王のようにふるまっていた彼にとって、おそらくは初めての経験だったはずです。

彼はこともあろうに「鼻血くらいで騒ぐな、次回は発狂させてやる」とわめきました。このような言葉使いをしてしまう雁屋氏がもはや哀れです。(全文欄外参照)

「私は真実しか書けない。自己欺瞞は私の一番嫌う物である。きれい事、耳にあたりの良い言葉を読み、聞きたければ、他のメディアでいくらでも流されている」と、なにが福島の人々を傷つけたのか思いを致さず、まるで受難者気取りです。

今回のような地元双葉町、環境省、そして多くの福島県民から批判を浴びれば、帝王・雁屋氏でなかりせば、とっくに打ち切りになっている特権に気がつかないほど、ぬるま湯が長かったようです。

初めは権力に歯をむくことを美学としていた「野良犬」も、老いて肥えた駄犬になり果てました、しかも凶暴な。

あるいは、彼は言葉を繊細に使う作家ではなく、あくまで作画家と編集者との共同作業を前提とした「原作者」だったのかもしれません。

そうでなくては、あんな抑制のきかない自己陶酔と差別意識に満ちた駄文を書けるものではありません。

私も相手を「発狂」呼ばわりするような逆上しきった文章を読むまで、かつての良き読者としてひょっとしたらという淡い期待があったのは事実です。

それは彼の意図は、3.11直後の私たち「被曝」地住民の脅えと揺らぐ心を描くのではないか、というわずかな期待です。

というのは事実、津波に襲われた東北各県の海岸地帯では、大量の震災粉塵が日常化して、被災者、特に子供たちの鼻血が多く発生していたのです。

長くなりましたので、それについては次回に続けます。

おっと、その前にやっぱりやりたいお約束。
「女将を呼べ、なんだこのバカな漫画は!だから私は雁屋の漫画を読むのは嫌なんだ!」(雄山調でお願いします)

                     ~~~~~~

雁屋哲氏コメント(5月4日)
http://kariyatetsu.com/blog/1685.php

「美味しんぼ 福島の真実篇」、その22で、鼻血について書いたところ、色々なところで取り上げられてスピリッツ編集部に寄れば、「大騒ぎになっている」そうである。
私は鼻血について書く時に、当然ある程度の反発は折り込み済みだったが、ここまで騒ぎになるとは思わなかった。
で、ここで、私は批判している人たちに反論するべきなのだが、「美味しんぼ」福島篇は、まだ、その23,その24と続く。
その23、特にその24ではもっとはっきりとしたことを言っているので、鼻血ごときで騒いでいる人たちは、発狂するかも知れない。
今まで私に好意的だった人も、背を向けるかも知れない。
私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない。
真実には目をつぶり、誰かさんたちに都合の良い嘘を書けというのだろうか。
「福島は安全」「福島は大丈夫」「福島の復興は前進している」
などと書けばみんな喜んだのかも知れない。
今度の「美味しんぼ」の副題は「福島の真実」である。

私は真実しか書けない。
自己欺瞞は私の一番嫌う物である。
きれい事、耳にあたりの良い言葉を読み、聞きたければ、他のメディアでいくらでも流されている。

今の日本の社会は「自分たちに不都合な真実を嫌い」「心地の良い嘘を求める」空気に包まれている。
「美味しんぼ」が気にいらなければ、そのような「心地の良い」話を読むことをおすすめする。
本格的な反論は、その24が、発行されてからにする。

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コメント

『美味しんぼ』の変貌、残念ですね…。何か『はだしのゲン』の変質を思い出します。

もう一度言いますが、「原発をなくすことと、風評被害を拡めることとは一切関係ありません!!」

それから管理主様、自分ごときのコメントを考慮していただき有り難うございますm(__)m

山形さんのコメントをいま見さしていただき、どうも自分の案はよろしくなさそうです(・・;)

しかし、この風評被害ビジネスを絶対に潰さなければならないのですが、一体どのようなやり方があるのか、これがまだ分かりません…。

私は美味しんぼ10巻ぐらいまでに啓発され、世界的に人口が爆発する中で、ロハス的なモノづくりと消費のありかたについて考えながら生きてきました。
そして同じく、20巻過ぎたあたりから、離れていった読者ですが、雁屋氏を批判しても埒はあかないのですから、1回きりの批判を投げかけ、後は相手にしないという形で、今後雁屋氏を持ち上げ利用する人と同じ土俵にのらないことを願ってやみません。
論評コメントせずという形で、完全に無視することは出来ないと思いますが、話題にすればするほど、特に関心のなかった人が聞きかじり、無責任な相手の話を面白可笑しくエネルギーになると思っています。
といったことを記すと、皆が原発を忘れ無視したら、原発の核反応が止まるのか?といった突っ込みが入る世の中を私達は生きている訳ですが・・・。

Vous devez raisonner en utilisant ceci: le projet achev茅 Bill et Sally est devenue l'茅nergie. Chaque fois que le prochain de l'茅nergie potentielle de l'茅nergie sur votre sac est la m锚me pour les autres.

おっしゃりたいことはわからなくもないですが、雁谷氏をいくら叩いても福島の惨状は回復しません。むしろ第二の福島を作りたい勢力を勢いづかせるだけです

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