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2014年5月28日 (水)

小出裕章氏解説 福島の健康被害を被曝に結びつける理由とは

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 温かいお言葉ありがとうございます。ヘンなのも来ていましたが、ひとつだけ答えましょう。 

なになに、「鼻血の原因は粉塵と土砂ってどういう根拠?」って。 

はぁ、あなた、震災から半年の海岸沿いの被災地をご存じない。工事現場なんてメじゃない、すごい瓦礫粉塵でしたよ。 

しかも粉塵の粒子に津波の残していった潮が混ざっていました。これがデリケートな鼻腔粘膜にどんな影響を与えますか? 

説明する必要もないでしょう。自分でやってみなさい、すぐ分かるから。 

専門医の意見。http://kenko.self09.com/02-hanaji.html

鼻の穴の入り口にある柔らかい部分を「キーゼルバッハ部位」といいます。 ここが、なんらかの原因で傷つくと鼻血が出てしまいます。 また、左右の鼻の孔を仕切っている鼻中隔の前部が傷ついておこることもあります。鼻血の約8割の原因がこれです。
キーゼルバッハ部位は血管が多くて、しかも脆い場所です。 鼻の中を直接触っただけでも損傷することがあるくらい、カンタンに出血します。 出血はしやすのですが、出血量は少なめであり、わりとすぐに治まるという特徴もあります。

もし、この時、鼻血を出した人が長い時間鼻血が止まらない場合は、「血小板減少症」の疑いがあります。

急性骨髄症候群
1Gy以上の全身被曝によって出現する。これは、各臓器の幹細胞のなかで骨髄造血幹細胞がもっとも放射線に対する感受性の高いことによるもので、造血幹細胞が細胞死を来たし、造血細胞が減少する。これにより白血球血小板の供給が途絶えるため、出血が増加すると共に免疫力が低下し、重症・無治療の場合は30〜60日程度で死亡する。」Wikipedia
※1Gyグレイ=0.8シーベルト

放射線が骨髄の中にある造血機能を損傷して血小板という天然の止血剤を破壊してしまうからです。 

そういう場合は、あなたは500から1000ミリシーベルトといった高線量を一時に浴びた急性被曝の可能性があります。 

ただちにホールボディカウンターのある病院に行って下さい。 

ただし、福島県民が事故時に浴びた放射線量の平均は24ミリシーベルトです。この線量で血小板減少症が発症することは絶対ありえません。 

※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-42aa.html 

さて、こういうなんでもかんでも被曝と結びつける精神の傾きを、あの小出裕章氏がうまいこと言っています。 

疫学調査を経ないまま『福島でこんな障害が』とすべてを被曝にむすびつけるでたらめも多い」(ニューズウィーク2013年月11日号)。 

まさにその通りです。このディストピア願望症候群の人たちは、なんでも被曝に結びつけたがります。 

事故初期に朝日新聞の「プロメテウスの罠」と、東京新聞がアジったせいで、鼻血=被曝という固定観念が生まれてしまいました。 

そして小出氏が言うように、その99%はデタラメです。 

おっと、私が言っているのではありませんからね。「反原発のガンジー」こと小出氏ですよ、言っているのは(笑)。 

そして小出氏は、それが必ずしも反原発運動とは関係ないと見抜いています。 

「(反対運動の新規参加者は)原子力に反対なのではない。と小出は言う。自分のところに火の粉が降りかかるのを恐れているだけだ」(同) 

ズバリです。 

このあたりが小出氏が、武田邦彦(←彼に限り永久に呼び捨て)などという最低の詐欺師とは一線も二線も画する彼の凄さです。 

武田は分かりやすい上昇志向の強い金儲けの輩にすぎませんが、小出氏は真に原子力の限界を自覚して心底から憂いています。 

ちょうど今回の「美味しんぼ」騒動で、鼻血写真まで公開して小心翼々たる姿をさらけ出した井戸川氏と、現地実名で登場してみせた荒木田氏との差のようなものです。 

こんなことを書くと、なに言ってやがると言われるかもしれませんが、私は荒木田氏を評価しています。言った内容ではなく、人間としての態度です。 

現地実名というのはともかく重い。私ですら、2011年夏まではメルアドも本名も公開していたのを、止めたほどです。 

それが狭い地域や職場で生きていく時に、しかも40代の途上の研究者にとってどれだけ重いことか。 

それを承知で一種の内部告発をした彼の勇気に敬意を表します。ただし、方向はメチャクチャでしたが。 

さて小出氏は、職場までチャリで通い、食べるものも「大人は福島県の野菜を喰え」という骨がある反原発論者であると同時に、強く運動家」でもありました。 

学者は、表現に神経質なほど臆病ですが、運動家は自らの運動にとって有利な方向に増幅して歪めます。その意味で小出氏は、運動家的学者だったわけです。 

彼が流した、「福島事故が広島原爆の140発分だ」というデマゴギーは、小出氏が言う「火の粉が降りかかるのを恐れるだけ」の市民を直撃しました。  

原爆のようにほとんどセシウムが残留しないものと、セシウムのような軽い揮発性の核種が大量に出る原発事故を比較すること自体が間違っているということは、原子力の専門家の小出氏はよく知っていたはずです。  

いわゆる「嘘ではないが ほんとうではない」という類の、小出氏の運動家の部分が言わせた発言でした。  

セシウムは広島原爆ではほとんど放出されていません。高熱と衝撃に変化したからです。 

しかし、広島原爆の140倍も福島ではセシウムが出た。そう身心共に潔白なあなたに言われたら素人はどうとります。 

たぶんこう解釈するはずです。広島で出た原爆症が福島事故で400倍出るかもしれない、と。 

しかし、、さぁどうなんです、小出さん。ほんとうに広島の400倍の原爆症、つまり被爆ではなく「被曝」による患者が出るんですか?  

このような作り上げられたディストピア願望症候群の空気に便乗して、岩上安身氏は「奇形が出ました」と叫びました。  

右手で弱者に同情するしぐさをしながら、左手で差別を煽るという卑劣な手口です。 

では、小出氏が言う疫学的調査結果をみます。 

2011年夏という初期の段階で、既に完全ではありませんが、政府のホールボディカウンターを使った疫学調査結果は出ていました。  

・2011年9月末までの福島県の住民4463名の内部被曝の疫学調査結果
・最大数値であった3ミリシーベルト・・・2人
・2ミリシーベルト           ・・・・8人
・1ミリシーベルト以下     ・・・・4447人
 

セシウムが女性の卵巣に影響を与えるとすれば、750ミリシーベルト以上の被曝線量が必要です。それがチェルノブイリでの疫学調査の発症ラインだからです。  

非常によく誤解されていますが、放射線の有害性については、分からないと言う学者や政治家、評論家が今でもいますが、これくらい研究され、疫学的実証データを持っている分野は医学では稀なほどです。 

セシウムは筋肉などに蓄積する性格をもっていますから全身均等被曝します。一定の臓器に蓄積されることはありません。 

百歩譲って、卵巣にのみ蓄積されたとしても、福島の最大内部被爆量3ミリシーベルトは、チェルノブイリの750ミリシーベルトの、250分の1でしかありません。  

これで福島の女性が不妊になる、あるいは先天性奇形を出産することは断じてありえません。  

ところが、現実には「福島浜通りの女とは結婚するな」という差別が発生しました。今でも福島の母親の中には学校給食を恐れる者が多くいます。  

小出氏はこのおぞましい結果を、運動家ではなく科学者としてしっかりかみしめるべきです。  

小出氏は原子力の専門家として、感情を煽るのではなく、脱原発の立場で「正しく怖がる」筋道をしっかりとつけるべきでした 

脱原発運動は、今や原発が現実になくなるためにどうしたらいいのかを真面目に問う運動ではなくなりかかっています。 

ただひたすらあるかないか言った本人すら分からない「健康被害」を叫びたて、挙げ句に「福島には住めない」ときたもんです。 

ニューズウィークは、日本の脱原発運動に対してこう評しています。  

この3年間は『空気』に揺り動かされるばかりで、日本は原発について建設的な議論を充分してこなかった」。  

いまでも「福島には住めない。勇気を持って逃げろ」と叫ぶような「美味しんぼ」は、かえって脱原発の道から、多くの人たちを遠ざけているのではないでしょうか。 

それにしても、言った切りで南半球に逃げ出す雁屋氏と、前から決まっていた休載をけじめに使う小学館、最低最悪最バカですね。

 

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コメント

私は原発問題に関する管理人さんの一連のブログ記事に概ね賛同しています。
また、管理人さんが震災後に風評被害と戦うためにされてきた努力には頭が下がる思いです。

ただ、血小板減少に関する記述の中で気になる点があったので、指摘させて頂きます。
まず、「血小板損傷症」という表現は正しくないのではないでしょうか(あるいはタイプミスでしょうか)。
次に、血小板減少症についての引用記事ですが、これはプードルに関する記事のようですし、書いた人が素人のようなので間違っている部分がいくつかあるようです。
例えば、「腸管出血は黒い便、鮮血は粘膜出血」という下りは、意味が分かりません。通常、黒色便(タール便)は上部消化管からの出血を疑います。胃や十二指腸からの出血は胃液によって酸化されるからです。赤い血液が出た場合は下部消化管出血を疑います。
引用されるなら、専門家の書いたきちんとした文章を引用するべきではないでしょうか。

本筋とは関係のない細かいことですみませんが、「声の大きい少数派」の「脱原発派市民」に揚げ足取りの材料を与えているようにみえたので指摘させて頂きました。

kさん。ご指摘。ありがとうございます。当該部分はいったん削除して、別の文献を探しております。

前コメントは削除して頂いて結構です。

ホールボディカウンターは、体内から漏出するγ線のみを計測できるもので、α線β線などの体内被曝の恐ろしい核種は計測できません。セシウム137もβ崩壊とγ崩壊があり、95%の崩壊がβ崩壊だと言われています。故にホールボディカウンターの線量測定だけでは、体内被曝の実情は測定しきれないのです。だからこそαβ線の体内被曝がより怖れられるのです。 廃原発ヨコハマの会・社会科学の研究者です。

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