究極の無責任男・武田邦彦氏の「不都合な真実」
雁屋哲氏などの脱原発派の人たちにいつも奇妙に感じるのは、この人たちは福島の被害が大きければ大きいほどなにやら興奮して嬉しげにすら見えることです。
恐怖と喜びは、意外と脳内ホルモンの出所が一緒なんでしょうかね。
あたりまえですが、脱原発と被害の大きさはなんの関係もありません。被害が大きかろうと深刻であろうと、原発をどのように考えるのかとはまったく別次元の問題です。
にもかかわらず、ほんの10か月前にあの武田邦彦氏は郡山市での講演でこんなことを述べています。
「郡山に住むことは法令違反しています」(2013年7月19日郡山市主催講演会の発言)
すごいですね。住んでいると「法令違反」だそうです。逮捕されちゃうんでしょうか(苦笑)。
あるいは、武田氏はこれも去年にこう書いています。(2013年2月14日武田ブログ)http://takedanet.com/2013/02/10_6a83-1.html
原子力と被曝 福島で甲状腺ガン10倍。国は子どもの退避を急げ!
国は直ちに次の事が必要です。
1)高濃度被曝地の子どもを疎開させる(除染は間に合わない)、
2)汚染された食材の出荷を止める、
3)ガンになった子どもを全力で援助する、
4)除染を進める。また親も含めて移動を促進する。
5)「福島にいても大丈夫だ」と言った官吏を罷免し、損害賠償の手続きを取る。
日本の未来を守るために、大至急、予防措置を取ることを求めます。
ものすごいですね、こっちも。「甲状腺ガン10倍」「福島に居ても大丈夫と言った役人は罷免」だそうです。
ほかにも「住めなくなる予言を沢山しています。
そしてお定まりの「福島は全員疎開」ときたもんです。
このような煽動を武田氏は、事故直後から執拗に行っており、「東日本の農産物は食べるな」と煽動したために、大きな風評被害をもたらました。
今でも武田と聞いただけで、吐き気がするという福島県、茨城県の農業者はたくさんいます。なにを隠そう私もそのひとりですが。
そして彼の周辺には北関東を中心に多くの母親の信奉者サークルが生れました。彼女たちの中から多くの自主避難者が出たことは、ご承知のとおりです。
その数は千所帯を超えると言われています。彼らは関西、九州、四国、遠く沖縄にまで逃げて行きました。
ひとりの人物の煽動か、これほどまで多くの家族の運命を変えたことは希有なケースではなかったでしょうか。
ところが、こう書いた武田氏は郡山市で「住むことは法令違反だ」といったわずか半年後にこう言ってのけます。
「危険はありません。このブログで2011年5月から言っているとおり、逃げなくても大丈夫です」(2013年1月13日)
この発言は直接には福島第1の原子炉の現状について言っているのですが、添付された音声ファイルでは、「福島から逃げる必要はない」としかとれません。(この部分の発言全体は欄外参照)
全体を通じて大丈夫だというのが私の感じで、特に福島におられる人も含めて、逃げる必要はないというふうに思います。
彼はこのように過激な煽りの裏で矛盾だらけの言行をしているのですが、2011年末にはタケダ・ビリーバーにとってもっと衝撃的なことをも言っています。
2011年末の鼎談(※)での武田氏発言。
※DVD「たかじんのそこまで言って委員会 超原発論」 音声起こしは「杜の里から」様によりました。ありがとうございます。)「僕は5ミリシーベルトまでは危険という事はないんだ。だから1ミリシーベルトは望ましい被ばくで、5ミリシーベルトまではまず安全と考えていいので、お母さんは1から5の間に入るように努力して下さい。
(中略)
それは病室でも、子供でも5ミリシーベルトまでは医者が診て使ってる訳ですよ。ですから大体5ミリシーベルトぐらいは今までの歴史からいって大丈夫だという事は分かってます」ここでは武田氏は、5ミリシーベルトまで「危険はない」と言い切っています。
彼が、福島は1ミリシーベルトでないから「親まで含めて疎開しろ」と言って、1000人もの多くの家族が現に自主避難してしまったことに対する責任などどこを吹く風のようです。
彼が1ミリシーベルトと主張した理由がふるっています。
「(1ミリの勧告はという問いに対して)ICRPはNPOですし、えらい先生が皆集まってますから。それから今までの国際的な基準を決めてきたという実績もありますね。だから尊重しなければいけないんですが、あくまでも日本国民は日本国内の決定に従うべきだ。
従って現在私の認識は、日本の国内法が依然として1年1ミリシーベルトを基準にしている、という事で一年1ミリシーベルト」なんのことはない。彼はなにぶん「日本の国内法が依然として1ミリシーベルトを基準にしているから、法令に従えと言っていただけだ」と白状しています。な~んだ、科学的根拠ははゼロということですか。
それどころか、こんなスゴイこともチャラっと言ってのけています。
「私は、"放射線被ばくは線量によってはいい影響が出る"と思っています」「放射線ホルミシス仮説(※)は仮説なんかじゃないよ。あたりまえのこと」
うわぁ、驚いた!おそらくホルミシス効果を認めている脱原発派って武田氏くらいじゃないかな。
考えてみれば武田氏って、3.11前には、原発容認どころか、レッキとした推進派でしたね。風向き見て転向したんでしたよね。地金が出ちゃいましたね。
もちろん3.11前までは、国民全体の原発への認識度はそんなていどだったともいえなくはありませんが、なんの自己切開もなしに、いきなり真逆の極端な立場に乗り移るのが問題でのです。
あの低線量被曝が体内細胞活動を活性化して健康になるというホルミシス仮説の信奉者ならば、「1ミリシーベルト毎時でなければ住めない」どころか、かえって健康になるじゃないですか。
これは傑作だ。わ、はは!
彼が「郡山に住んではいけない」というのは、このDVDを聞く限り、ただそれが「法令」だったからと、あとホルミシス効果で健康になられては、自分の煽り本が売れなくなって困るからのようです。
武田氏は本心は、「大体5ミリシーベルトぐらいは今までの歴史からいって大丈夫だ」と考えていたそうです。
にもかかわらず、あれだけ吹きまくり一個3000円のガイガーカウンターを倍の6000円で売りさばいていたわけです。
今わが国では、上杉隆氏も岩上安身氏もかつての元気がなく、小出裕章氏も海外布教で多忙のご様子で、残る武田邦彦氏もこのように自爆してしまいました。
脱原発運動も山本太郎氏たちグループに乗っ取られて、飯田哲也氏までもが「隠れ推進派」とパージされる有り様です。
このように、「フクシマから逃げろ」説は今や風前の灯火だったところに現れたのが、武田氏みたいなせこい小物ではなく、超大物の雁屋氏だったわけです。
しかし惜しむらくは、「鼻血と耐えがたい疲労感」が急性被曝を意味することも知らないような、独善と傲慢が服着て歩いているような雁屋氏ですから、先が危ぶまれます。
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※放射線ホルミシス(Radiation hormesis)とは、大きな量(高線量)では有害な電離放射線が小さな量(低線量)では生物活性を刺激したり、あるいは以後の高線量照射に対しての抵抗性をもたらす適応応答を起こすことである[1]。電離放射線による被曝が慢性・急性のどちらの場合でも確認されている。(Wikipediaより)
■武田邦彦ブログ1月13日 音声ファイル4分6秒より
「全体を通じて大丈夫だというのが私の感じで、特に福島におられる人も含めて、逃げる必要はないというふうに思います。
これはですね、実はあの、私がそのここで質疑応答しなければならないのは、政府・自治体・マスコミが全く報道しない訳ですよ。
ところが、ネットの方は「すぐに逃げなさい」と、「東京も危ない」という警告もありますね。それからNHKの昨夜かな、何かの放送はなかなかいいんですけれども、1年10か月前には逃げなきゃならなかったという、こういう放送がありましたけれども、これもちょっとですね。まあ、せめて放送してくれたという事はいい事ですが、まあその、逃げる時はその時に言ってくれないとですね。
今頃になって「一生懸命計算してみたら30ミリシーベルト甲状腺にあったんじゃないか」と。もちろんこれは学者の研究は非常に立派なんですよ。そこに、放送に出てこられた学者の方の放送は立派です。それからそれを放送したNHKも評価するべきですが、やはりですねその時に言わなければいけません。今もそうですね。」
(音声起こし「信夫山のネコの憂鬱」様による。ありがとうございます。)
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