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2014年5月29日 (木)

反原発派の自然知らず その1自然界の放射性物質封じこめ現象

Img_0009

「福島県内では、1Fから70kmぐらいのところでも毎時2μSvと高い線量の場所もあり、福島だけでなく周辺県にも風向きによって降り注いだ放射性核種により汚染の度合いが高いところもあることは、モニタリングポストや山菜の検査で明らかであり、長野ではコシアブラから300bq/kgという非常に高い濃度の汚染が見つかりました。

風評被害ではありません。残念ながら事故周辺自治体からの食品を全国にばらまいてほしいとは思いませんし、自主的にばらまかないように振る舞うのが正しい判断だとは思いませんか?射性核種により汚染の度合いが高いところもあることは、モニタリングポストや山菜の検査であきらかだから、事故周辺自治体からの食品を全国にばらまいてほしいとは思いませんし、自主的にバラまかないようにして下さい」

これは、頂戴したコメントでその名もまんま「反原発派」という方のコメントですが、脅威派のお作法どおりの主張なので、ほぉーまだ洗脳解除できていないのだと妙に感心してしまいました。 

こういうストーリーですね。

①「○○という地点は高線量だ」
②「そこの農産物は危険だ」
③「福島県が農産物を出すと、全国に放射能をバラ撒くことになる」

「知っていて猛毒を撒く農家はテロリストだ」

このプロパガンダを広めたのが、あの武田邦彦大元帥閣下で、④のように私たちをテロリストと名差ししたのが早川由紀夫閣下です。 

特に武田大元帥閣下は、放射性物質と青酸カリの毒性を比較するというトンデモ理論で、被災地攻撃をしかけました。http://takedanet.com/2011/09/post_d44c.html 

これが腹が立つほど効いたんだなぁ。これで「青酸カリを野菜につけていて、それを全国にバラ撒く悪辣な東日本農家」というイメージができちゃったんです。

セシウムの50%致死量は0.1ミリグラム!これは青酸カリの2000倍の猛毒だぁぁぁ!東北の農産物はゼッタイに食うな。死ぬぞ! (←ホントにホントにこう言った)

閣下のこの理論は急性被爆と預託実効線量をゴッチャにしています。

50%致死量というのは一気に食べたら半分の人が死ぬという意味ですが、そもそもセシウムを0.1ミリグラム食べるためには、何トン食べたらいいんでしょう?(笑)

奇特な人の計算では、食品基準値上限100ベクレルに含有されるとして、実に3千トンです(爆)。それだけ一気食いしたら、セシウムの前に腹がハジけて死にます。

現実には拡散を続け、はるかに早いスピードで「消滅」していくのが測定されています。

お断りしたいのは、物質として「消滅」することではなく、人間に利用できなくなるのです。

「美味しんぼ」では山岡が「放射性物質は消滅しない」ということを言っていましたが、根本的に勘違いしています。

「消滅」しない以上、人間や作物に悪影響が及ばない場所、つまり土壌分子の牢獄とか水底の泥の粒子の牢屋に「移動」して悪さをしないように封じ込めるのが正解なのです

Photo_2

自然界の放射性物質封じこめ現象を知らないで、除染や安全問題を語っても意味がありません。 

もう少しこれを見ていきましょう。  

反原発派がいうように「土壌線量がある」=「農産物も放射能汚染されている」という単純な定式が成り立つかです。 

前に、ある強烈な低線量被曝恐怖派の消費者と話をした時に、彼女に対して「仮に土が100ベクレルあるとしたら、作物にどれだけ移行しちゃうんでしょうね」と質問したことがあります。 

彼女答えて曰く、「それは100ベクレルですよ」。 ひぇ~、全量移行しちゃうと思ってんだ。 移行率1かぁ(爆)。 

だから、放射線量が少しでもあると、きゃーアブナイという短絡的思考回路に突入して、「青酸カリが着いているような福島県産の野菜なんか全部燃やすか、自分らで勝手に食べてちょ~だい!」とヒステリックに騒ぐわけです。 

移行係数なんか、武田大元帥は教えてくれないもんな。 

と言っても、放射性物質の作物への移行については決定的なデータがありませんでしたから、実験室のサンプル数が少ない資料では、こんなふうに考えられていました。

・米の移行係数・・・0.0026(農業環境技術研究所)
・同     ・・・0.1(農水省)

農水省は安全パイを考えて0.1に設定して、500ベクレル以上の土地を作付け禁止にしたわけです。 

では現実に福島ではどうだったでしょうか。 

下図は、福島県が行った調査で、土壌中の放射性セシウム濃度と、玄米の放射性セシウム濃度を表にしたものです。
(※
「放射性セシウム濃度の高い米が発生する要因とその対策について~要因解析調査と試験栽培等の結果の取りまとめ~ (概要)」 福島県HP)  

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 この図は非常に面白いんですよ。これは福島県農業試験場が、県の総力を上げて、いろいろな大学と協働して1年間かけてやった試験結果です。  

たぶん世界的にも放射性物質の作物移行に関しての金字塔的研究じゃないかしら。 なんせサンプル数が多いのと、広範な地域から採取しています。 

で、横軸が土壌中のセシウム濃度で右にいくほど高線量です。、縦軸が玄米中のセシウム濃度で上に行くほど高線量です。 

なんで玄米でやっているかって?だってコメほど、そこら中で作っているものは他の作物にはないからです。  

比較的線量が高い沢水が流入する山地の谷津田水口(みなくち)でも作るし、平野部でも作るし、海岸でも作ります。だからありとあらゆる作物の指標になりやすいんですよ。 

で、横軸の土壌放射線量をみてみまくしょう。7500ベクレル/㎏なんて、脅威派がみたらそれだけで失神しそうな高線量が記録されています。

もし、農水省の移行係数が当たっていれば、移行係数0.1で750ベクレルが作物から検出されるはずです。 

ではここにプロットされているコメの放射線量をみてみましょう。 

これを見ると、15から16ベクレルというところです。20ベクレルを超えるものは少なく、5000ベクレルを超えても76%が20ベクレル以下に落ち着いています。 

スゴイですね。仮に5000ベクレルとすれば、4980ベクレルまでも土壌がトラップ゚して作物に移行させないでくれているんですよ。  

実に移行した放射性物質は0.4%です。99.6%を土壌がガチッと放射性物質をブロックしているのです。  

ぶったまげましたね。さすが私もこの実験結果をみるまで、そこまでとは思っていませんでした。

もう一回表に戻ってみましょう。もし、土壌中の放射性セシウム濃度と玄米の放射性セシウム濃度が比例するならば原点から右肩上がりのトレンド・ラインが引けるはずです。  

比較的低線量でも100ベクレルちかく出た場合もありますし、いちばん出たのは6000ベクレル周辺の水田でした。

しかしほとんどこの表では、線量と作物への移行には相関関係は見られませんでした

冒頭のコメントにあったような高い空間線量があるから農産品も危険だ、というのは間違っているのです。

キノコが高かったのは、地表付近で生育する地衣類は放射瀬軽物質を吸収しやすいからです。特に山菜は除染されていない山林で育ちますから影響を受けやすいと言えます。

これで分るのは、水田では放射線量の多い少ないとは関係なく、ほぼ8割が土壌に封じ込められて、植物に吸収される放射性物質は非常に少ないという事実です。  

長くなりそうなので、分割して次回に続けます。 

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コメント

移行係数が1なんて信じてるひとが、未だにいるなんて…消費者も少しは勉強しましょうよ。
一部の過激プロバガンダに踊らされすぎ。
本当に全量が移行するっていうなら、1年で土壌放射線はゼロになって必然的に栽培2年目からは安心だなぁ!ということになりますが…。

どうも除染効果が高いと期待されていたヒマワリや菜の花も、あまり効果がない(まだ研究段階)と東大の先生が呼び掛けて中止になりました。
全国あちこちから、もちろん「純粋な善意」で種子が送られましたが、もし有効だとしても、タネだけ送りつけられても、だれが植え付けから収穫と後処理をやるんだっての。残念ながら「ありがた迷惑」になってしまいました。

また、ゼオライトやベントナイト(東北の産地なら山から安くなんぼでも採れます)といったものも当時から注目されており、秋にはEテレの「サイエンスZERO」などでキレート効果の詳しい効果が成されていました。
ついでに静岡県や埼玉県の茶葉で高い線量が出たケースのメカニズム解説もありました。(ありゃ蒸して乾燥したものだから、Kg単位で高くなるのは当然ですし、ほとんどの家では葉は食べずに捨てますわな)
大手のお茶メーカーの製品から10ベクレル出た!と批判を煽る連中もいましたが、いったい毎日何リットル飲むのかと。

これ、もう3年前の話ですよ。

常識的・良識的に考えて消費行動すべきです。

福島の米全量検査を批判なさるコメントもありましたが、全量ではないものの他県でも肉から山菜までコストをかけて検査し公表しています。
今回の長野県のコシアブラの件などは、その典型で見事に捉えました。それだけのことです。

そこまで知っても、基準値(100から20までズルズルと引き下げられたんだが)など意味が無い。安心できないから買わないという方は、どうぞご勝手になされば?としか…。

ちなみに、昨日もお書きしましたが、事故以前にみんな喜んで食べていた欧州産輸入食材なんか、370Bq/Kg(現在は国が下げた100Bq/Kg)で検査は一部サンプルだけのザルです。

私だったら国内でも輸入でもカドミウム等の重金属や有害物質混入、残留農薬のほうが遥かに怖いですね。

バナナ健康法も流行りましたが、栄養価も必須カリウムの摂取は大変よろしいのですが、一定の割合でカリウム40という放射線物質(すでに人体内に平均で7000Bqほど)が必然的に含まれていることくらい知りましょう。

凄いなー、移行率1なら一回作物作ったら土のなかにセシウムのセの字も残らんではないかw

なんでそんな愉快な発想できるんだろうw

彼の人々の共通する主張は、行政(政府)による情報隠蔽が、これらの騒動の根本である言うところです。私自身、全ての情報が開示されているとは思いません。しかし、必要な情報は開示されていると思います。彼の人々は、自分自身がその情報を信じられない事を誰かのせいにしたいだけです。それを信じてしまうことが、まるで自分の存在理由が無くなるくらいに忌み嫌っているとしか思えません。ある種の精神疾患と同じではないでしょうか?

管理人様、こんばんは、初めまして。

作物移行のデータを開示いただきありがとうございます。自分の頭から抜け落ちている事柄だったので、助かりました。

一宮崎人さん、初めまして。
(=゚ω゚)ノ o(_ _)oペコッ

>必要な情報は開示されていると思います。

そうですよね。
たとえば、農産物ではありませんが、当然ながら福島県は内部被曝検査を実施しています。

http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/wbc-kensa-kekka.html
3月は5,044人が検査を受け、全員預託実効線量1mSv未満となっています。

たくさんの県民・市民を検査するのは膨大な時間と手間が掛かりますが、「健康に影響ない」と不存在の判断をするためには、極めて多くのデータが必要だということなのかもしれません。

少し目を向ければいろいろなことをやっている方がいます。知らないだけです(双葉町の前町長風)。
手を拱(こまぬ)いている人ばかりなわけはないではないですか。


ところで、カリウム40(放射性物質)ですが、厚生労働省が食品1キロあたり何ベクレル含まれるか公開しています。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/iken/dl/120117-1-02-01.pdf

一度に1キロ食べることはそうそうないと思われますが、どの食品もそれなりに含まれています。乾物が高いのが目立ちますね。
気にしていたら何も食べられません。

玄米への放射性セシウムの移行係数が概して1%以下というのは事実ですが、それは土壌ががっちりブロックしているからばかりではありません。
セシウムは植物にはほとんど使われない元素であり、たいていはカリウムと「間違って」取り込まれるにすぎません。
したがって、カリウムの要求量、およびセシウムとカリウムの選別効率によって、非常に高い移行係数をもつ生物もあります。具体的に言えばキノコ類の一部、および「イシクラゲ」と呼ばれるラン藻類です。ただしそれでも、移行係数は1よりやや低い程度です。
なお、私の記憶に間違いがなければ、白米への移行率は玄米より低かったはずです。そうであれば、精米をする限り、福島の米を恐れる理由なし、ですね。
ただしキノコは要注意。

カリウムについては月曜日にアップしますので、そちらをお読みください。

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