荒木田准教授 スピリッツ編集部に発言使わぬように依頼し拒否されていた
荒木田氏は、「福島に住めない」という発言を使わないでほしいとスピリッツ編集部に要請していたそうですが「作品は作者のもの」と拒否されたそうです。(欄外参照)
編集部によると、荒木田氏は2年前に原作者の雁屋哲氏らと出会い、取材を受けるようになった。体験や持論を伝えるなかで、こうした発言もした。
これに対し、編集部は「作品は作者のもので登場人物のものではない」と説明。荒木田氏は「作品の中身の是非まで言う立場にない」と最終的に伝えたという。
取材に対し、編集部は一連の事実関係を認め、「同じ土地に住んでいても個々人によって判断が異なり、それぞれが被曝(ひばく)について考えることがある。広く『福島』とする表現を作者が採用したことには意味があると考えた」としている。(朝日新聞5月21日)
ひどい話ですね。形式的には表現・構成は著者・編集部の権利に属するわけですが、取材協力者が不利益があると申し立てた場合は違います。とうぜんソースに対する保護を優先せねばなりません。
荒木田氏が実名で福島現地から発言したという重みがあってのあのシリーズなわけですが、その決定的実名告発者が掲載を断ったわけですから、それを拒否する権利は編集部にはないはずです。
にもかかわらずどうして編集部は強行したのでしょうか?
理由は簡単です。雁屋氏が、白井勝也小学館副社長(元スピリッツ創刊編集長・「美味しんぼ」を生み出した編集者)の庇護下にある「帝王」だからです。(※白井氏は否定している)
荒木田氏の希望に沿って変更したりすれば、結論部分を奪われた雁屋「帝王」は怒り狂って手に負えなくなる、そう編集部は思ったはずです。
実際、あの人物が怒り出せば、執筆拒否は当然のこととして、単行本の版権引き上げくらい言い出しかねませんから。
それはさておき、記事によれば、雁屋・編集部は2年前から荒木田氏と接触していたそうですから、相当な長時間、荒木田氏は雁屋・編集部と話をしているはずで、その際に大量の資料も見せられているはずです。
それを雁屋・編集部はズタズタに切り貼りして、雁屋氏の主張に都合のいい部分のみを取り出したと思われます。
よくマスコミが「編集」という名の下にやる手口です。政治家など年中やられています。
これをやられると、確かに自分がしゃべったことは確かですが、ニュアンスや論旨が自分が言ったことと違うものに加工されたものを見て驚愕するわけです。
たぶん、荒木田氏は「福島」全体を「住めない」と言ったつもりではなく、限定した地域の被曝の危険性というつもりでしゃべったのかもしれません。
荒木田氏自身も問題となった部分は言ったと大学に答えていますから、「福島全体」と言った部分も実際に混ざっていたのでしょう。
しかし、これを雁屋・編集部にうまく取られました。それはこの編集部の言い方で想像がつきます。
「取材に対し、編集部は一連の事実関係を認め、「同じ土地に住んでいても個々人によって判断が異なり、それぞれが被曝(ひばく)について考えることがある。広く『福島』とする表現を作者が採用したことには意味があると考えた」としている。」(同)
なるほど「広く『福島』とすることで意味がある」ですか。
雁屋・編集部の「意味」とやらはこうです。
会津に住んでいようと、中通に住もうと、避難地域であろうと、今は地域によって意見が違っていても、このまま福島事故が拡大すれば福島県全体も壊滅するのだから、一括して「福島」としてしまえばいい。
それは25号の下の山岡の台詞に表されています。
「原発の事故がこのまま収まらず、拡大したら福島県は駄目になる」
もちろん妄想にすぎません。今の危険はあるとして、それで福島県全体が「駄目」になるはずもありません。
そして「福島は未来の日本だ」と続くわけです。ここまでくると、論理飛躍ウンヌンではなく、ただの極端な反原発論者のハルマゲドン願望にすぎません。
原発ゼロのためには、福島に滅びてもらわにゃならん、という倒錯した論理です。
しかし、これこそが雁屋氏がいちばん言いたいことでした。そのために山岡に鼻血を出させたり、井戸川氏にあることないことをしゃべらせてきたのです。
この粗雑な論理を前提づけるためには、荒木田氏のこの「福島を広域に除染し人が住めるようにするなんてできないと思います」という台詞が絶対に必要だったのです。
荒木田さん、まんまと雁屋・編集部に利用されましたね。彼らにとって荒木田さんのデータなどいらなかったのです。
荒木田氏自身は彼の別の書いたものを読む限り、そのような極端な反原発論者ではなく、むしろ脱被曝を訴えたかったようです。
しかし、彼らが欲しかったのは「福島は除染しても住めない」、ただそのひとことだけです。そして原画は既にできていた。だから彼らは絶対に修正を拒否したのです。
極めて悪辣です。マスコミ倫理に反しています。
初めから「福島壊滅」という結論があって、その方針で「綿密な取材」をし、結論に合う発言のみを拾い集めて、ハメ込んだというわけです。
そしていったん出来上がってしまえば、取材協力者がなんと言おうと知ることか、お前はもう用済みといことです。人間としても最低ですね。
さてこの「福島の真実」篇で、おそらくもっとも実生活上の被害を受けるのは荒木田氏だと思われます。
同じ「告発者」と言っても井戸川氏などは一種の変人奇人で、もはや福島県民ですらありません。
県民でもないし、帰る気もないくせに外野から「お前ら福島は住めないぞォ」「オレは鼻血まだ出ているゾォ」と言い続けているのですからはた迷惑もいいところです。
まぁ、今更彼が何を言おうと言うまいと地元は、「またあの人か。五月蠅いね」で笑って済ませられるような人です。
松井英介氏も医者というより党派色が強いゴリゴリの運動家ですから、覚悟の上でしょうし、かえっていい宣伝になったと喜んでいるはずです。
それに対して、まだ研究者としても途上の身で、しかも避難地域外の福島に住み続けている荒木田氏は、前途多難です。
ここに至って荒木田さんにできることは、ご自分の見解をネット上できちん公表することしかありません。
あなたは意図せざることであったとしても、それだけの暴言を吐いたのは確かです。荒木田氏はこうコメントしています。
「美味しんぼをめぐる議論が世間の対立を激化させている現状に心を痛めている」
まさにそのとおりです。あなたの「住めない」発言は多くの県民に困惑と精神的ストレスを与えました。
帰還を考え始めていた自主避難者はたじろぎ、浜通りに住む人には再び恐怖が走りました。それはあなたがやろうとしたことでしょうか?
とまれ、どのような考えを持って雁屋・編集部と話をし、ゲラを見てどう思ったのか、発売後なにを考えたのか、それをきちんと分かる形で福島の同胞に話すべきだと思います。
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■スピリッツ編集部コメント
「原作をご覧いただいた時点で、荒木田先生が表現方法に懸念を示されたことは事実ですが、編集部の責任において掲載することについてはご了承いただきました。朝日新聞の記事にあるような、発言を使わないでほしいという先生からのご要望を編集部が拒否したという事実はございません。しかしながら、作品掲載の結果として先生にご迷惑をおかけしたことにつきましては誠に遺憾に存じております」
■准教授「発言載せないで」 「美味しんぼ」編集部が拒否
朝日新聞デジタル 5月21日
週刊ビッグコミックスピリッツの人気漫画「美味しんぼ」(小学館)に登場する荒木田岳(たける)・福島大准教授(地方行政論)が「除染しても福島には住めない」という自らの発言を作品で使わないよう求めたにもかかわらず、編集部が「作品は作者のもの」と応じずに発行したことがわかった。編集部が取材に事実関係を認めた。
荒木田氏は12日発売号に載った「美味しんぼ」に実名で登場。「福島はもう住めない、安全には暮らせない」「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと私は思います」などと述べた場面が描かれている。
編集部によると、荒木田氏は2年前に原作者の雁屋哲氏らと出会い、取材を受けるようになった。体験や持論を伝えるなかで、こうした発言もした。
これに対し、編集部は「作品は作者のもので登場人物のものではない」と説明。荒木田氏は「作品の中身の是非まで言う立場にない」と最終的に伝えたという。
取材に対し、編集部は一連の事実関係を認め、「同じ土地に住んでいても個々人によって判断が異なり、それぞれが被曝(ひばく)について考えることがある。広く『福島』とする表現を作者が採用したことには意味があると考えた」としている。
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投稿: Johnd867 | 2014年5月28日 (水) 17時24分