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朝日「吉田調書」の虚妄その2 戻って待機という指示はありえない

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私は、朝日新聞の、「所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた」(朝日新聞5月20日)というキャンペーンを読んで、どうしてこういう解釈ができるのかとため息すら出ました。 

私が、朝日新聞のキャンペーンがおかしいと感じたのは、このキャンペーンは当時の吉田氏の「立場」をまったく理解していないことがすぐに分ったからです。 

当時の吉田氏は、福島第1原発所長として2つの責任を抱えていました。

①過酷事故に対応する緊急対処グループの現場責任者
②約700名の女性、事務職、下請けまで含んだ人々の安全管理責任者
 

つまり彼は、おそらく世界中の誰ひとりとして体験したことのない巨大原子力事故の緊急対応指揮を執りながら、一方で700名もの人々の職員・労働者の生命を守っていたのです。

まさに超人的の一語に尽きます。退任してほどなく病床に就いたのは当然のことです。多くの人は、彼の死を「戦死」と敬意を込めて呼びました。

さて、2011年3月15日朝の状況をもう一度おさらいしてみましょう。状況は最悪に近づきつつありました。

①1、3号機は既に爆発。避難所であった重要免震棟近くの2号機も爆発寸前。
②食糧、電気、水の備蓄が切れかかり、トイレすら使用不可能になりつつあった。
③構内は最大で1万1930マイクロシーベルト/時という高線量になっていた。

このような状況下で重要免震棟は、放射能遮断設備があるここにしか避難するしかなかったために700名もの人々を収容して膨れ上がっていたわけです。 

それから数か月たってもなお、階段や廊下に倒れるように眠っている作業員の姿が見られています。 

ましてや事故当時の状態は、凄惨極まるものであったことは想像に難くないと思われます。 

この記事によれば、吉田氏は高線量で食糧も切れかかっている、電気、トイレも使えないという重要免震棟に、その上事故処理には役にたたない事務職員の女の子まで「戻ってこい」と言っているとされています。

第一、帰ってきてなにをするのですか、出金伝票の整理でも?

事務職系に仕事はないし、下請けに対しては、福島第2の所長は留まるように指示していますが、吉田氏はすべて東電社員のみで責任を被っていこうという姿勢を貫いています。

なぜなら、当時の状況において残留することは、すなわち「死」を意味したからです。

それを朝日は、比較的安全な福島第2への退避ではなく、2号機の爆発が迫っていた構内に「待機していろ」というのですからハンパではない冷血漢か馬鹿ということになります。 

私は朝日新聞記事のこの部分を読んだ時、失笑してしまいました。ありえないからです。 

吉田氏の人柄以前に、現場指揮官として、女性や事務職員までここにいろと言うこと自体ナンセンスです。それもひとりふたりではなく700人も!(苦笑) 

安全管理上はいうまでもありませんが、緊急対応で不眠不休の戦いをしていた吉田氏には、700名もの大人数の保護をする余裕などなかったことでしょう。 

きっとこの朝日新聞の記事を読んだ国民は、そうか吉田氏は日本を救った英雄的な人だと聞いていたが、ガッカリだと思われたことでしょう。 

おそらく朝日新聞のねらいは、まさしくそこです。 

鬼籍に入られた吉田昌郎氏という男を、冷酷な「汚れた英雄」、しかも馬鹿として貶めたかったのです。 

そして630名もの事故に耐えた名もなき人々には、「恐怖にかられて逃げ出した命令違反者」として唾を吐きかけたわけです。たいした感性です。

実際、週刊ポストによれば朝日新聞の報道を受けて、海外ではこのような報道がなされたそうです。

福島第1原発の作業員は危機のさなか逃げ去った」(英国BBC)
福島第1原発は日本版セウォル号だった。職員90%が無断脱出!」(韓国エコノミックレビュー)
2011年、命令にも関わらず、パニックに陥った作業員たちは福島原発から逃げ去っていた」(NYタイムス)

福島第1の現場職員たちは、朝日新聞によってなんとあの「セウォル号の船員」にされてしまったわけです。 

もう少し続けます。 

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コメント

沸々と怒りが込み上げてきますね。

朝日グループはBBCやNYタイムズには、予め悪意を持って誤情報を意図的に流していたとしか…。
セウォル号は問題外としても、あそこは嘘でも1000回言えば本当になってしまう不思議な国ですから。


やり過ぎかと思えるW杯報道一色の中、テレビ朝日は比較的淡白。
なんせ、あそこはACLの放映権独占してやたら扱いますが、W杯は「ただの延長線上」で、大した旨味がないのでしょう。

中間貯蔵施設説明会後の石原伸晃環境大臣の立ち話「結局は金目でしょ」発言(共同通信提供)だけ切り取り、昨日から盛んに放送してます。確かにあの方の品位はどうかとおもいますが、
古舘にいたっては、完全に開き直る始末。

どうしてそんなに反日プロパガンダばかりしたがるんだか。

投稿: 山形 | 2014年6月17日 (火) 11時42分

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