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反原発派の自然知らず その2 セシウムと土壌の性格を知れ

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今回の「美味しんぼ」事件で、確かに3年たって、雁屋氏と一部マスコミのような「もう福島は住めない。勇気を持って逃げろ!」と叫ぶ人間が極少派に転落したのだと実感したのは心強いことです。

かつて2011年の今頃の季節の頃は、ひとことでも「落ち着いて」と言うだけで狂ったようなバッシングの嵐でした。

あれから福島事故が、「いい意味でのフェード」をしていくことは健全なことです。それだけ、東日本の人間は苦労したし、努力と知見を積み上げてきたのです。

かつて私たち現地の人間は必死に現実から学びました。教室から学ぶのではなく、今ある危機から学ばざるを得なかったわけです。

さて、どうして低線量で高い線量がコメから出たのでしょうか?その理由も分かっています。 

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上図はカリと玄米中のセシウム濃度の相関関係を調べたものです。ちょっと専門的なのですが、こう報告書は述べています。

土壌中の交換性カリウム濃度がK2Oにして25 mg  K2O/100g以上であれば玄米中にはセシウムはほとんど検出されず、10mg/100g土壌以下であれば基準値超えのセシウムも多く検出される」(同報告書)ということがわかりました。

カリムウはセシウムと似た挙動をする元素ですが、これをあらかじめ田畑に撒いておけば、植物はそれを先に吸ってしまうので、セシウムをこれ以上吸えなくなります。  

ちょうど事故初期に出るヨウ素131の甲状腺への吸収を妨げるために安定ヨウ素剤をあらかじめ飲んでおいて、甲状腺ガンを予防するのと原理的には一緒です。  

カリウムは農業でよく使われる肥料だったために、放射能対策として利用する前から散布されていました。  

そのために、驚くほど放射性物質が作物に吸収されなかったのです。 

もうひとつは土壌の性格です。  

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 セシウムを固定する粘土鉱物が多く含まれる土壌では、セシウムは吸着固定され、玄米への移行割合は低くなります。(上図参照)

これは堆肥がよく入った土壌は、腐食物質(※)がマイナスイオン電荷なために、セシウムのプラス電荷粒子を吸着し、粘土質の細孔 に封じ込めしまうためです。

この粘土にセシウムが結合しやすいことは、農水省飯館村除染実験のデータにも報告されています。(下図参照)
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-09.pdf

放射性セシウムは粘土やシルトなど細かい土粒子に多く結合している。」(同報告書)002

つまり、粘土質の土は、電気的にセシウムを吸着し、物理的に封じ込めています。

ただし、同じ粘土質土壌でも上図のように雲母由来ではないモンモリロナイトなどはセシウム吸着力が低いので注意が必要です。

また粘土鉱物や腐食物質が少ない砂質土は注意が必要です。よく11年産コメにセシウムが高い線量で検出された谷津田上部の沢水口田んぼは、砂質土壌が多かったようです。

ですから、ゼオライトなどの吸着補助土壌改良材を使用する場合、自分の畑や田んぼの土質をよく検査して見極める必要があります。

つまり、セシウム吸着性の高いバーミキュライトやイライト土質ならば、ゼオライトの補助はいりませんし、吸着性の低いモンモリロナイトならば使ったほうがいいでしょう。

とまれ、これで今までの測定で、同一地域において空間線量が同一なのにかかわらず、なぜ作物の放射線量が違うのか疑問視されていましたが、これで氷解したわけです。

ただ念のためにお断りしておきますが、これはあくまで 土壌線量自体を計測した場合には結果で現れません。

そりゃそうでしょう。「美味しんぼ」の山岡がいうように別にセシウムが「消滅」 したわけではなく、植物が利用するのを阻止した「だけ」ですから。

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                (スピリッツ24号より 無知を自慢している山岡)

これは本質的なことですが、現況で降下した放射性物質に拮抗した人間の営為を続けるためには、それが最善とまで言わぬにしても、次善の道なのです。

それを荒木田氏のように変に完璧主義で、「除染しても無駄だ」などと言ってしまえば、もう放射能に負けを認めたに等しいのです。次善を知るのは人の知恵です。

余談ですが、スピリッツ番外篇に「美味しんぼ」応援団で登場した「チェリノブイリへのかけはし」の野呂美加氏が、「EM菌で放射能が分解する」などというようなことを言っていますが、ナンセンスです。

ミミズなどの土中生物は、土ごと体内に取り込みますから、一定の封じ込めの役割をしますが、微生物は腐食物質を分解して団粒構造を改善することはあっても、それ自体で放射性物質を分解するわけではありません。

福島事故の陰で彼女のような疑似科学がはびこっています。ご注意下さい。

このように、セシウムの性格を知って、カリウムの施肥、土壌を粘土質にし、有機質を入れていく土壌改良があれば、セシウムなど「恐怖の大魔王」ではないのです。  

それは、下図の福島県2012年度の全袋調査という不撓不屈の記録にも現れています。  

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 全量全袋検査は既に1000万検体以上に達していますが、その中で基準値(100Bq/kg)超えはわずか71袋、0.0007%でした 

逆に言えば、99.9993 %は安全でした。  

この結果を見れば、先日のコメントにあったような、「全国に送られて放射性物質は拡散し続けます」「税金など使わずにさっさとやめろ」などというバカな暴論は吐けないはずです。

どうも反原発派や低線量被曝脅威派は、不安情報にはトリビィア的に詳しいようですが、自然の働きとなるととんと無知なようです。 

武田尊師は土壌のことなどまったく無知ですからね。

低線量被曝脅威論者の皆さん、もう少し放射能と自然の摂理を基本から学べば、気が楽になりますよ。

母なる自然を信じなさい。

腐食物質 土壌中の植物質が微生物によって分解されたもので肥沃な土を作る基礎的成分のひとつ。

 

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