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2014年7月28日 (月)

電気はジャブジャブ余っているのか?その3 電力融通を妨げる「東西の壁」

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電気は有り余っていて、単に電力会社が原発再稼働を目論んで隠しているだけだ、というのがよくある脱原発派の言い分です。 

飯田哲也氏あたりが言い始めて、マスコミがこれを増幅したために今や、「夏でも大丈夫。電力不足は過去の話さ」という常識すら生れてしまっています。 

先週から、ほんとうにそうなのか、考えています。 

電力需給予備率という数値があります。これは「最大需要に対する供給力の余力」を指します。 

通常は発電所や、送電網の故障、なんらかの状況で需要が急増した場合に備えて3~5%程度を予備率としています。 

予備率が深刻な電力会社の順から並べてみます。

●2014年現在の電力需給予備率
・9電力平均・・・4.6%
・九州電力・・・1.3%(22万kW)
・関西  ・・・・1.8(51万)
・中部  ・・・3.3(93万)

・北陸   ・・・4.1(22万)
・中国  ・・・4.1(47万)
・四国   ・・・4..3(24万)
・東京   ・・・6.6(349万)
・東北   ・・・7.5(108万)
・北海道  ・・・9.2(44万)
 

このうち特に深刻なのが関西電力ですが、完全に火力に頼った稼働体制になっています。
http://www.kepco.co.jp/corporate/energy/thermal_power/plant/index.html#osaka

Photo
                   (関西電力hp)

関電の持つ最大級の火力発電所は、堺港発電所の200万kwですが、現在、姫路第2発電所265.95万kwの工事を繰り上げ完成してこの夏に対応しようとしています。 

このような老朽発電所の再稼働と、新設火力発電所の前倒し完成で対応しても、なお不足する分に関しては他社融通で凌いでいます。(欄外図参照) 

関西電力の場合、東京電力からの応援を得ています。ですから、東京電力からの送電が止まれば最悪の場合、関西電力の予備率は1・8%に低下し、地区ごとに輪番で送電停止する「計画停電」に入るはいらざるをえなくなります。 

「計画停電」というのは懐かしくもほろ苦い言葉で、2011年夏には関東はさんざんの目に合いました。 

今日はどの地区が何時から停電という情報が毎日流されたものです。 

2011年の震災直後の電力危機に際して、関東、東北では電気事業法による制限令で、大口需要家の電力使用を強制的に削減したり、地域による停電を実施しました。 

しかし、これはあまりにも社会に対するダメージが大きいためにそれ以降は行われなかったのですが、電力融通という最後の砦が突破された場合は、その事態になります。

「主力の火力発電所もトラブルが起きない保証はない。関電は今夏に火力をフル稼働させるため、全35基のうち過去最多の10基(計596・3万キロワット)で定期点検の先送りを決めたが、設備に疲労が蓄積する恐れもある。近畿経済産業局の小林利典局長は「予期せぬ停止が重なれば供給の余裕が吹き飛ぶ」と指摘する」
(産経新聞2014年6月30日)

関西電力や九州電力だけではなく北陸電力も不安を抱えています。

「予備率4・1%を確保する北陸電力は敦賀2号機(福井県、70万キロワット)と七尾大田2号機(石川県、同)のいずれかが止まれば、気温が平年並みでも最大需要528万キロワットをまかなえなくなる。」(同上)

もっとも余裕があるはずの東京電力にも、14年6月29日には、東電と東北電力に電力を供給する電源開発(Jパワー)の磯子1号機(横浜市、60万キロワット)が停止しました。

火力発電所のトラブルは全国でひんぱんに起きています。

火力に事故が起きた場合に電力融通を求める「最後の砦」を守るのが、東京にある「電力系統利用協議会」(ESCJ)の「給電連絡所」です。     

 ここは日夜24時間体制のリアルタイムで全国各電力会社の供給状況を監視し、トラブルが発生した場合1時間以内に他社からの送電応援を出来るようにしています。 

この電力融通をしている最大の供給源は東京電力ですが、ひとつ大きなネックがあります。それは「周波数の壁」です。

この周波数が違う電力を東西で往来させるためには周波数変換装置を通す必要があります。

しかし、この周波数変換装置は長野、静岡両県に3カ所設置されているだけです。

・東日本の電力周波数   ・・・50ヘルツ
・西日本            ・・・60ヘルツ
・変換;可能な最大送電量 ・・・120万kw

もしこの周波数変換装置がこ故障した場合、東西電力融通は不可能となり、関西は一挙に電源予備率1・8%を÷事態になります。1

「装置がある中部電力東清水変電所(静岡市)では今年2月に総点検を行ったばかりだが、6月初旬に5日間にわたって設備を点検し、故障が疑われる部品はすべて交換。予備の部品も積み上げた。青島清和所長は「今夏は責任が例年よりワンランク上がった語る」(同上) 

現場の多くの電力マンの献身的な努力で、今年もまた綱渡りが始まろうとしています。

このような状況で、「電力は余っている。節電要請は政府・電力会社の陰謀だ」と言う人たちの脳ミソは、この暑さで煮えているのではないでしょうか。

それにしても、こんなのどかなことを言う人達に限って、「福島では甲状腺ガンが増えている」というようなあらぬ心配ばかりしているのですから苦笑してしまいます。

この人達はいいかげん脳内危機から醒めて、現実の危機に向かい合ったらいかがでしょうか。

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(図 産経新聞2014.6.30 )Biz14063022190025p1

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