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小泉翁の妄執「原発ゼロ」の嘘 その5 消費税増税より怖い電気料金値上

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せっかくまともな議論がなされてきた原発問題が、フーテンの純ちゃんの大暴れのために振り出しに戻ってはたまりません。 

振り出しといえば、関西電力の株主総会でも橋下市長が「再稼働するなら経営陣総退陣」を求めたり、嘉田知事の後継者が誕生したりしたそうです。  

首長は地場経済の守護者なければならないはずですが、この人たちにはお膝元の関西経済が火を吹いていることにはあまり関心がないご様子です。

さて、大飯原発再稼働に関しては、かつて記事でも取り上げた福井地裁判決があります。  判決文にこのような部分があって話題になりました。

「コストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件 原発運転停止により多額の貿易赤字が出るにしても、これを国富の流出や 喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活し ている事が国富である。これを取り戻す事ができなることが国富の喪失で ある」

この判決文は「国富」(※)という経済学用語を間違って使っているのはご愛嬌として、大飯原発が電力供給していた関西、北陸経済圏の現状を一顧だにしていません。

では、樋口判決が言うようにバッサリと経済など切り捨てられるものなのか見ていきましょう。

私たちは家庭用電気料金の方に目が行きがちですが、実は産業部門に電気料金値上げは重くのしかかってきています。

まず電気料金の値上げ状況を押えておきましょう。

化石燃料コストと電気料金値上がりは同調しているのかわかります。

Photo

                         (図 東電HP)  

昨年9月1日に北海道電力と東北電力の電力料金値上げが実施され、これで、福島事故翌年の12年からの全国の電力値上げは一巡したことになります。(下図参照) 

6431974e                    (図 関西経済連合会意見書より)

申請許可された電気料金値上げ幅
・家庭用(規制部門)     ・・・6・23%~9・75%
産業用(工場・オフィスビル)・・・11・0%~17・26%

神戸新聞はこう書いています。(2014年6月19日 欄外に全文))

「帝国データバンク大阪支社が19日発表した兵庫など近畿の企業を対象とする意識調査によると、昨春に続き関西電力が電気料金の値上げを実施した場合、経常利益が「減少する」と答えた企業が半数に達した

それを裏付ける関西・九州経済連合会の合同アンケート結果も出ています。 

関西と九州の経済連合会合同の企業アンケートの結果、経営上の懸念は消費税増税を上回って電気料金値上げだったそうです。(電力新聞 2014年4月17日)

関西・九州経済連合会アンケートによる経営上の懸念事項
電力コストの上昇     ・・・59.6%
・原油・原材料価格の高騰・・・57.8%
・消費税率引き上げ    ・・・49.8%

(※アンケートは「電力供給および電気料金に関する関西・九州企業への影響調査」。今年3月、関経連が会員企業1064事業所、九経連が934事業所を対象に実施した。回答率は全体で21.8%) 

アンケートを見ると、電気料金値上げは消費税引き上げよりも経営悪化をもたらしていることに驚かされます。 

原発停止による電力料金値上がりに加えて、為替高による原材料・資源の高騰に原油高が重なって、せっかく回復しかかっていた日本経済に打撃を与えていることが分かります。 

これに対しての企業の対策はアンケートではこう述べられています。 

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                  (図 関西経済連合会意見書)

企業移転ができるかという問いに対して、74%にのぼる会員企業が、電力料金が50%以上上がっても、管内からの移転が不可能だとしています。
 

これはグローバルに国境を越えて、低賃金国へ移動可能な大企業に対して、製造業を中心とする多くの中小零細企業は地場とのつながりで生きてきたためにそのような移転が難しいと捉えているからです。 

そしてこのような電気料金値上げによる企業の経営負担は、やがて従業員コストの削減に及び、国民は家庭用電気料金の値上げと、企業向け値上げに挟まれる形で、いっそう国民の生活を厳しくしていくことでしょう。

国内経済と社会をダメージを与えてまで脱原発というのは貫く性質のものなのでしょうか。

※ 国富(こくふ) 国民全体が保有する資産から負債を差し引いた経済指標。

※福井地裁判決関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-f55a.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-7e85.html

●参考資料 
・関西経済連合会
「低廉で安定的な電力供給の早期実現に向けた要望―深刻化する電力需給問題と関西経済への影響―」

http://www.kankeiren.or.jp/material/pdf/130618teigen.ikensho.pdf 

               :;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+ 

神戸新聞
2014年6月19日
 

帝国データバンク大阪支社が19日発表した兵庫など近畿の企業を対象とする意識調査によると、昨春に続き関西電力が電気料金の値上げを実施した場合、経常利益が「減少する」と答えた企業が半数に達した
商品やサービスへの価格転嫁が難しいと感じている企業も7割弱。原材料高騰などで負担が重なる中、再値上げされた場合は、自社で吸収せざるをえない苦境が浮き彫りになった。
5月19~31日に調査を実施。1736社が回答した(回答率45・6%)。
再値上げされた場合の業績への影響を聞いたところ、経常利益が「減少する」と回答したのは50・3%で、「影響なし」(30・5%)を大きく上回った。 商品やサービスへの価格転嫁では、「全くできない」(40・6%)や「ほとんどできない」(27%)が目立った。
値上げされた場合の対策(複数回答)では、59・7%が「既存設備での節電」と回答。中には「人件費の削減」(3・8%)など、電気料金以外のコスト削減を強いられる企業もあった。

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

九州に住んでいない関東圏の方々が首相官邸前で川内原発再稼働反対の抗議をされているのをテレビで見て、九州に住んでいる私は、何か違和感を感じます。九州に住まわれている人の中にも、再稼働反対の方はいるとは思いますが、私は電気代が下がるのであれば、川内原発再稼働には賛成です。原油価格は恐らくこれから上がることはあっても下がる事はない気がします。地方人にとって電気、ガソリン等の石油と密接に関係している物の価格上昇は、正に死活問題です。大都会東京のように大量輸送機関が発達していない地方では、車は重要な移動手段であり、ガソリンの高騰は庶民の懐を直撃します。日本が原発を止めて化石燃料にシフトしている事から、足元を見られ高い原油を買わされているとしたなら、一刻も早く原発再稼働することが、原油価格を少しでも下げることになる気がします。夏の電力需要ピーク時期を間近に控え、この夏電力不足が危惧され始めています。古い火力発電もかなり厳しい状況に置かれているようですので、川内原発が再稼働一番乗りになる可能性が報告されていますが、喜ばしい限りです。

投稿: 一宮崎人 | 2014年7月16日 (水) 11時53分

こんばんは。
よくも毎日筆が冴えますね、すごいです。

私は電気料金の高騰だけなら、民主主義ですから
原発絶対イヤ派が多数を占めてしまうのであれば、
「バカ高い料金でも仕方ない。でもな、オマエ達、
今度は電気料金高いのは貧乏人イジメだ、なんて
言ったら原子炉へ叩っこむぞ」と許しましょう。

けど、安全保障上は看過できないので、ゼッタイ
に許してあげませんわ。私はパレスチナ人みたい
な境遇になるのはイヤですから。

集団的自衛権をドータラしたところで、エネルギ
ーが化石燃料、水力、他再生可能では「兵糧攻め
にして下さ~い、すぐに降伏しちゃいますよ」と
言ってるようなモン。

侵略国側は、破壊攻撃をせずに占領国のインフラ
や人員をそのまま強奪できるので、こんなにリス
ク分散しないアホ国家を尊敬するでしょう。

コラ、安倍さん!ホントは肝の太いところをそろ
そろ見せてくれよ。又オナカ痛くなるの?


投稿: アホンダラ | 2014年7月17日 (木) 02時43分

アホンダラさん。
エネルギー安保の話なら種類や供給国を多様化してリスク分散すべきなのは当然ですが、

軍事的な安保の観点からは、実際に有事となった場合は、原発を保有してること自体が大きなリスクになります。テロ対策は強化してはいますが、相変わらず脆弱ですし、
何よりも福島の事故で「配電盤」を破壊して電力供給を断つだけで大惨事になりえることを、世界に示してしまいました。

これは日本に限ったことではなく、遥かに政情の安定しない国々もこぞって原発導入を目指しています。


一宮崎人さん。
私も田舎の住民ですので、すごくよく分かります。
東京の真ん中で、なんか騒いでる連中がいるなぁ、って感じです。
6年前なら「ガソリン値下げ隊」が国会でさわいでたのに…話題にすらならないと思ったら、12年の選挙で全滅していなくなってますね。
財務省が貴重な財源を手放すわけないでしょうし。

投稿: 山形 | 2014年7月17日 (木) 06時26分

管理人さん

それはそうなのですが原発を破壊すると、せっかく
占領した相手国の国土を汚染させてしまい、結局
自国領土にできません。

「原発を破壊するぞ!降伏せよ」と脅しはできます
が、実際に破壊するのは最後の最後の局面です。
又、脅し側も原発持ちですから、脅された方も飛び
道具で相手側の原発を攻撃する口実ができますから、
こんなところでも核の抑止力が働きます。

それに引き換え、エネルギー分散ができていないと
武力なしで丸々相手国の占領を受けてしまいます。
大東亜戦争でも南方資源補給海路を絶たれ、松ヤニ
で代用しましたがもう松林も少ないですw。大規模
停電続発で、反撃する気力も削がれてギブアップ!

土方殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の三日も降ればいい。


投稿: アホンダラ | 2014年7月17日 (木) 12時36分

アホンダラさん。あのコメントは山形さんですよ(笑)。

エネルギー源の分散は賛成です。今のような9割弱を化石燃料に頼っていると、今の天井知らずの原油価格高騰にたえられなくなります。
この原油の高止まりによって、消費増税などメではない電気料金値上げがなされるはずで、中小製造業は受忍限度を越えています。

脱原発派の方々は、なぜか集団的自衛権に反対の人達とぴったり重なりますが、それならばなおさらシーレーン防衛のために集団的自衛権は必要なはずだと思うのですが。

投稿: 管理人 | 2014年7月18日 (金) 04時04分

管理人さん、山形さん

失礼、面目ありません。

投稿: アホンダラ | 2014年7月18日 (金) 12時50分

初めてカキコさせていただきます。エネルギーのリスク分散には大賛成ですが、
現状のように、事故責任が曖昧なまま再稼動に持っていこうとするのも
問題があると思います。半減期をそんなに短縮できる技術があることは、
最近まで不勉強で知りませんでしたので、自分なりに調べを進めつつ
情報拡散や提案を進めていこうと考えております。

投稿: 李の木 | 2014年7月21日 (月) 02時14分

管理人様ほか、ご常連様は首相官邸前で遠く離れた関西・九州の原発反対を
叫んでいる方に違和感を覚えておられるようですが、官邸前の人々が全て
都民や関東近辺の住人ではありません。自分も何度か足を運んだことがありますが、
被災地やその周辺自治体(秋田・山形・青森)あるいは外国から来られた方もいます。
また関東の住民にしても3/11の時には心底恐怖感を味わった経験から、同じような
思いをして欲しくないと考えておられるようです(おせっかいでしょうか(笑))。
少なくとも決して騒ぎたいだけの方たちばかりでないことをお知らせしておきます。

投稿: 李の木 | 2014年7月21日 (月) 02時35分

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