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2014年7月30日 (水)

小泉翁の妄執「原発ゼロ」の嘘 その9 B・5・bを握り潰した人が脱原発だって?!

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福島第1原発事故は、必ずしも必然だったわけではありません。 

たぶん回避可能な多くの事故と同じように、起きないで済んだことも考えられます。 

それはそう難しいことではなく、冷却系の電源を複数離れた場所に確保しておき、万が一地震や津波で一基が破壊されてもサブユニットが生き残る方法をとることで済んだはずです。 

この改修は、今、安全基準に沿うように実施されている高い防波堤や、建屋の耐震構造の見直しなどから較べればはるかに簡単で安価、しかも直ちにとりかかることが可能でした。

ここで深刻な疑問が湧きます。なぜこのような小規模の安全措置の多重化をしなかったのでしょう 

それは、もちろん本質的にはいわゆる「原発安全神話」が生きていたからですが、ただ一度だけその見直しのチャンスがあったのです。 

その原発施設の強靱化方法が伝えられたのは2002年の米国NRC(原子力規制委員会)からでした。

その名を「原発事故・核テロにおける減災対策連邦基準B5条b項」と呼ばれ、略称を単に「B・5・b」といいます。  

このB・5・bは、その前年の忌まわしい9.11米国同時多発テロの教訓から生まれています。 (※異説があります)

この時ワシントンに向ったユナイテッド93便は、乗客の反撃にあってその手前で墜落しましたが、その先にはホワイトハウス、議会などいくつもの政府な施設が存在していました。 

しかしNRCは、ある意味で政治的象徴より恐ろしい施設を、その推定されたいくつかの飛行コース上に発見し慄然としました。

それがハドソン川河口のインディアン・ポイント原発(PWR2基)です。(下写真)

 

旅客機を乗っ取ったテロリストが、もし原発に旅客機を衝突させたら、それによって原子炉建屋が破壊され、ニューヨークは一瞬にして壊滅します。  

その可能性を考えたNRCはこのそれまで予想もしなかった旅客機の衝突(※欄外参照)を含む核テロに対して対策を練ります。それがこのB・5・bだったのです。

米国は、核テロを想定しています。テロリストが原発施設内に侵入し制御室を制圧し、制御室へのアクセスが不可能になるといった事態です。

つまり、自爆テロリストが制御室にまで武力侵入し、そこら中のボタンをメチャクチャに押したらどうなるのかと想定したのです。

その場合、彼らが電源のメーンスイッチをオフにしたらどうするのか、一瞬にして冷却系への給水が止まる事態になりはしないか、恐ろしい事態をNRCは考えました。

この結果起きるであろう全交流電源、及び直流電源の喪失という最悪シナリオを想定せねばならないわけです。

その事態に対処するために作られた「最悪シナリオ」対処案がこの「B・5・b」なのです。

船橋洋一『カウントダウン メルトダウン』によれば、NRCが作ったは「B・5・b」の内容はこのようなものです。 

第1段階 想定される事態に対応可能な機材や人員の準備
第2段階 使用済み燃料プールの機能維持及び回復のための措置
この際に、第2段階では
サイト内での給水手段の多重化 
サイト外では給水装置の柔軟性と動力の独立性
第3段階 炉心冷却と格納容器の機能の維持及び回復ための措置
この際に第3段階では
原子炉への攻撃に対する初動時の指揮命令系統の強化
原子炉への攻撃に対する対処戦略の強化
 

米国NRCは核・原発テロは4つのシナリオを考えていました。

a 核施設に潜入して、中央制御室に立てこもり、要求を受け入れないとベントするか爆破すると脅迫する
b 9.11スタイルで、乗っ取った航空機で核施設を自爆攻撃する
c 電源喪失などの核インフラを切断する
d 配管・パイプを切断する

テロリストではなく、それ以上に恐ろしい未曾有の大震災と津波が襲った結果、第2段階(④)及びcの状況になったのがまさに福島第1原発事故だったわけです。

つまり考えるまでもなく、このB・5・bは福島事故のような核テロ以外の状況においても充分に役に立ったはずなのです。 

特に③の冷却系に対する給水手段の多重化、④給水装置の柔軟化と動力の独立などは、そのまま今、全国の日本の原発でとられている安全措置とまったく同じです。 

もし、この時に日本政府がB・5・bを受け入れて、冷却系の動力をいくつもに分けて多重化し、万が一ひとつか破損しても別な系統で代行できるようにした上で、配電盤も水密構造にし、これも多重化しておいたならば、福島事故は相当な確率で予防できたはずです。

現実に3.11時にも、女川、福島第2、東海村第2の各原発は、震災と津波に合いながらもかろうじて残存した電源があったために事なきを得ました。 

このようなNRCからの重要な情報に耳を閉ざしていたのが、誰あろう当時の宰相であった小泉純一郎首相でした。

彼はブッシュ・ジュニアのご機嫌をうかがってイラク戦争に自衛隊を送り出すことに必死で、そんなNRCの情報など見向きもしませんでした。

今頃になって、小泉氏は「原発安全神話」を盛んに批判していますが、日本でもっとも深く原発安全神話に洗脳されていた御仁が彼だったのです。

彼は、唯一福島事故を回避する手段だったB・5・bに目もくれず、安全委員会や東電には資料を渡すことすらせずに放置しました。

ですから、3.11時に支援に入った米国NRCのスタッフは真っ先に、このB・5・bを利用して事故対処ができないかと考えたのです。

もちろん日本側は、斑目安全委員会委員長からして初耳だったわけで、この結果に、逆にNRCは仰天したのです。

情けないというか、バッカじゃなかろかと心底思います。

こうしてただ一回限りの福島第1原発事故を防止できたチャンスは消え去りました。この責任者は紛うことなく、小泉翁です。

よりによって、このような平成の無責任男に反原発を語らせるのはなにかタチの悪い冗談でしょうか。

それにしても、なぜ反原発を叫ぶ元首相って、菅直人氏や小泉翁のように福島事故の「戦犯」クラスが多いのでしょうか。

                 :;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

旅客機の原発建屋への衝突について
1988年にサンディア米国国立研究所はF4ファントム戦闘機の衝突実験をしています。時速800キロの衝撃に建屋は耐えたという結果がでています。

それまで日本の原発関係者は、この実験結果を例証にして原発建屋はミサイル攻撃に耐えると豪語していました。もちろん誤りです。

現実には福島第1原発の建屋屋上が飛んだり、4号炉建屋の壁が爆発で破壊されて穴が開いているのが確認されています。

この原因は、屋上は爆発の高圧ガスを逃がすために爆発時に吹き飛ぶ構造になっていたこと、2階部分は地震の際、上部の壁を厚くして重くなると地震の揺れをもろに受けてしまうので、重心を下に置く関係上、比較的壁は薄くなっているからだと推測されています。

ちなみに米国の戦闘機衝突実験でぶつけのはこの1階部分で、通常の原発建屋はミサイル攻撃や旅客機の衝撃に耐えるように設計されていません。

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コメント

勉強になります。

菅・小泉・・・何故って、管理人様はとっくにご存知な筈ですが。
原発を絶対悪にしないと自分の悪がばれてしまうから。

第二次世界大戦の構図と同じです。
原発をナチス日帝、菅小泉を米中ソに置き換えればそのまんまです。

こちらの記事を私のブログで紹介させていただきました。
他の記事もいくつか拝読しましたが、データを示しながらの説明は説得力がありますね。
私はそういう緻密な文章は書けませんが、反原発運動に疑問を抱いている者です。これからも勉強させていただきます。

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