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小泉翁の妄執「原発ゼロ」の嘘 その1 オンカロはフィンランドのエネルギー理性の象徴

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ブラジルの惨敗は、自分の国のつまらない試合よりショックでした。う~、なんなんだこれは。

最初のクローゼのシュートを、ジュリオ・セザールが弾くというプレーがなければ、流れは多少違っていたかもしれません。

いや、今大会はどの試合も青息吐息だったから、どのみちダメだったかもしれませんが。しかし7点ですぞ、7点。天皇杯のJ1相手の実業団だってもっとましです。

いまだ信じられない。このままドイツが優勝なんですかね、つまらん。

さて、小泉元首相がまたまた懲りずに「再稼働反対」「原発ゼロ」を言っています。

自民党のかつて総裁や幹事長をやった人たちって自分が責任がなくなったとたん、なぜ揃いも揃って「しんぶん赤旗」が喜びそうなことを言い出すのでしょうか(苦笑)。

さて、言った人が人だからでしょうね。内容的には、ただのよくある脱原発論でしかありません。首相官邸の前で踊っている人たちと同じ水準です。

そもそもなぜこんなことを小泉さんが言い出したのかといえば、財界人がフィンランドの核廃棄物最終処分場施設「オンカロ」視察に、よせばいいのに翁を連れていったからです。

財界人とすれば、このオンカロを見せて、「こんな安定した地層は地震国日本にないのだから、核燃料リサイクル施設を動かして原発再稼働しませんか。ぜひ小泉さん、お力添えを」といった目論見だったのでしょう。

ところが、政界一のひねくれ者の小泉翁は真逆に暴走してしまいました。面白い御仁だな、ホント。

こういう元首相の「オレは見てきたんだ」という発言は、情報操作トリックでいう権威の利用」というタイプです。

「元首相」という権威と、「見てきた」という2枚のカードで信憑性を高めていて、実際この人かどれだけフィンランドの原子力政策を知っているのか、地層保管の技術に知識があるのか、正しい情報を伝えているのか、を検証しようとしなくなります。

下の発言などそこいらのお馬鹿タレント並です。

フィンランドには原発が4基しかないが、日本には50基もある。いますぐ止めないと最終処理が難しくなる。」(ハフィントンポスト10月20日)

フィンランドの原発の電力に占める比率は日本より高く、29.6%(日本は3.11以前までは24%前後)ですから、これは23倍の人口を持つわが国に換算すれば92基に相当します。

人口が532万人のフィンランドでできたから、1億2千万人の人口を持つわが国でもできるだろうといった発想自体がなんだかなぁです。

これだけ人口が違えば、問題の質も違ってくるのです。そんなことあたりまえじゃないですか、小泉さん、あんた1億2千万人の国の総理やってただろ。

小泉さん、人生色々、国も色々なんですよ。フィンランドはロシアからガッポリ天然ガスを買ってます。

フィンランド人がいちばん頼りたくない国は、かつて侵略を受けたロシアです。

よりにもよってそんな国にエネルギー安全保障を預けているために、フィンランド人は一生懸命に原発を作ろうとしているわけです。

どこをどう間違ったら、オンカロが「原発ゼロ」のシンボルになるのですかね。オンカロはフィンランドにとって、エネルギー自立のシンボルなのです。

小泉翁は典型的な一知半解、というか一知曲解をしています。日本に帰ってきてオンカロやフィンランドの原発事情を多少調べれば、こうも単純な勘違いをしなかったと思うのですが。

小泉翁は、オンカロとフィンランドの原子力政策の関係を正反対に捉えているのです。

だいぶ前にオンカロは取り上げていますから、詳しくはそちらをお読みください。
※関連記事

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-1f72.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-bc12.html 

フィンランドの原発政策が、この国以外すべての国と異なるのは、先に最終処分場を作って、その容量に合わせて原発を作ったことです。

ドイツはニーダーザクセン州ゴアレーベンの岩塩ドームに最終処分場を作る予定でしたが、失敗に終わりました。

米国は、ネバダ州のユッカマウンテンに作るつもりでしたが、これも挫折。

わが国は、受け入れ自治体がないまま宙を漂っています。

オンカロとはフィンランド語で「隠された場所」を意味し、この地下埋却施設の地層はなんと18億年変動していないそうです。

この安定した地層を500m掘って二重のキャスクに入れて保管する計画です。

しかし実はまだオンカロは動いていません。オンカロが操業を開始するのは、2020年で、そこから貯蔵していって2100年代に満杯にする予定だそうです。

問題はこの80年間の間になにをフィンランドが計画しているかです。80年たったら原発を止めますなどと、フィンランド政府がひとことも言っていないことに注目してください。

フィンランド政府はこの80年間で、核リサイクルの安全な技術が確立されるか、あるいは代替エネルギーが誕生すると考えています。

要するに、いきなり原発を全部止めて自然エネルギー一本でいけるなどとフィンランドはまったく思っていないのです。

ところで、フィンラド人が原子力発電を維持し続ける理由はなんでしょうか。

まず第1に、フィンランド人が原発のリスクより地球温暖化によるリスクが大きいと考えたからです。

フィンランドは寒帯に属する国で、気候変動が起きた場合、北極圏にあるためにオゾン層破壊が、そのまま紫外線の増大とつながってしまうことを恐れています。

新規原発3基を建設することによって国内のCO2の3分の1にあたる3000万トンを削減する計画です。そして2020年までに石炭火力発電所をゼロにする予定です。

第2に、80年代にエネルギー供給の多くをロシアに依存している構造を解消して、エネルギーの安全保障を確立したこともあります。

ロシアは湾ひとつ隔てた巨大な隣国で、常に侵略を受けてきた苦い過去があります。ソ連の侵略を受けた1939年の「冬戦争」は今もフインランド人の魂の中に生き続けています。

ですから、フインランドは「独立」の二字にかけてかつての支配民族ロシアにエネルギーを依存する選択はありえなかったのです。 

電力供給をロシアに握られてしまっていては、フィンランドの独立にも関わります。同様の地政学的位置にあるバルト三国や東欧圏も、ロシアの異民族支配を肌身で知っているだけに安易に原発からの離脱の道を選べないのです。 

小国でありながら技術立国であり続けるためには原発は必要悪であり、その維持のためには「オンカロ」が許容するだけの放射性廃棄物は認めていこう、そう彼らは考えたわけです。

ですから、小泉さんが都合よく考えているように「原発ゼロ」と決めたから受け入れたのではなく真逆で必要な原発を維持するために作ったのです。

ところで、小泉さんは無視していますが、わが国の火力発電に使う燃料費は今年の試算で3・6兆増加し、アラブの富豪たちに景気よく特大福袋を配りまくっています。

電気料金は関西電力の場合、家庭用で11.88%、企業向けが19.23%上昇と2割値上げが現実になりつつあり、これがわが国の経済・社会生活に与えているマイナス効果は計り知れません。                 

日本経済と社会を犠牲にしてでも脱原発を貫くんだという立場は、菅さんのような「市民運動家」のものであって、責任ある政治家のものじゃありませんね。

ああ、そういえば菅さんもオンカロに行きましたね。いまやかつての「希代の勝負師」もこの人と一緒の駄馬に成り果てましたか(笑)。

小泉さんに、グスタフソン・フィンランド駐日大使のこの言葉をお贈りします。

「(原発問題は)論理的に導き出された選択であって、情熱やイデオロギーの問題ではない。」(「ニューズウィーク」10月30日号)

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■原発再稼働「できるわけがない」、推進論は完全に破たん=小泉元首相
2014/07/07ロイター

即時原発ゼロを訴えてきた小泉純一郎元首相は7日、都内で講演し、原子力発電所推進の論理は完全に破たんしていると述べ、「今後も原発ゼロにする国づくりを一歩でも進めていく」と訴えた。

世界一厳しい安全基準だと政府が主張する再稼働基準に異論を唱え、「再稼働はできるわけがない」と反論した。

講演で小泉氏はあらためて、2011年3月11日の東日本大震災による東京電力 (9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島原発の事故を契機に、「原発ゼロ」に舵を切ったことを説明。いまや「原発推進の論理は完全に破たんしている」と訴えた。

安全神話が「嘘」だったことは大事故で判明した。「他の電源に比べて原発コストは安い」との論も「嘘どころか一番の『金くい虫』だ」と反論。「被害の賠償。廃炉までには40年─50年かかること。安全対策。作業員の確保。最終処分場確保にいたってはいまだにない」と述べ、推進論がこれらをコストに入れない「甘さ」を追求した。

さらに小泉氏は「国民の税金投入なくして原発は成り立たない。しかも、この負担は、生きている人だけではなく、千年、万年の単位だ。こんな採算のとれない会社はやっていけないと考えるのが賢明な経営者だ」と糾弾した。

再稼働にあたって政府が「世界一厳しい安全基準」をもとに判断すると言及している点についても、「米国の原発は住民の避難路を確保していなければ認められない。日本で避難路を作っているところはあるか。ない。これひとつとっても、世界一厳しい安全基準なんて(信じがたい)」と述べ、「再稼働はできるわけがない」と語った。「今後も原発ゼロに向けての国民運動を展開していかなければならない」と訴えた。

<最終処分場、原発ゼロ決定後でなければ理解得られず>

最終処分場の選定について、「ゼロにすることを決定してからでなければ、国民の協力は得られない。再稼働し、これからまた核のゴミが増える段階で、処分場をつくるのに協力してほしいでは、住民の協力は得られない」とも語り、政治決断を行うにも「原発ゼロ」方針の明確化が不可欠だとの認識を示した。

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

管理主様の的確なご指摘、いつもながら感服致します。前回の河野談話検証の記事も、緻密且つ的確な記述に、自分は目をみはりましたm(__)m

しかし小泉・元総理のおかしさ、彼はこのメンタリティで“改革”をやり続け、国民生活をボロボロにしたようですね。安倍総理批判のメディアは腐るほどありますが、何故か安倍総理が小泉改革の振り付け師である竹中平蔵を重用していることを批判するメディアはありません。

集団的自衛権や特定秘密保護法より、そっちの方が問題なのではッ!!

さて、原発なのですが、以前自分が言った「トリウム原発」、これは考慮に値しないのでしょうか?

原発を使わざるを得ない→ならば原発の安全性を高める→トリウム原発はウラン原発よりもはるかに安全性が高まり、使用済み核燃料も今より少量しか出ない→ならば、現在の原発を全てトリウムに改造すればいい

と、自分は考えたのですが、推進派・反対派ともにトリウム原発のことは誰も言いません。

誰も言わないというのは、「トリウムにしても、危険性はウランと同じ」か、「ウランよりも危険性が増大する」のか、どちらかなのでしょうか。

誰もトリウムのことを言わないので、「あれ、俺読み間違えたのかな?」と最近思いだしたのですが、管理主様はトリウム原発に関してはどの様にお考えですか?

投稿: 播磨真悟 | 2014年7月10日 (木) 12時35分

播磨真吾さん。

いや、理論はともかく実用化されていないトリウム冷却炉やその他の物は、本職の原子力学者さんに聞くしかないとおもいますよ。

可能性の1つとして、私も大いに魅力を感じますが…。

投稿: 山形 | 2014年7月10日 (木) 12時56分

まだ地球温暖化を信じているのですか。

投稿: 温暖化 | 2015年6月16日 (火) 20時07分

温暖化さん。

これまた古い記事にご苦労様です。
信じているの?も何も、本文の何処にそんなことが書いてありますか?
フィンランドではCO2増加のリスクが高いと判断したと紹介してるだけのようですが。

また、過去記事を読めば、ブログ主は安易に温暖化説はとっていないことは明らかなんですが…。

投稿: 山形 | 2015年6月17日 (水) 07時15分

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