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沖縄県型瀬戸際戦術とは

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昨日書いたようにオスプレイを「殺人機」だと言っている人たちは、普天間移設問題とオスプレイという新型機配備を意図的に混同している人たちです。  

基地反対派がそう言うのならまだ納得がつきます。ミソもクソも、ともかく米軍がらみなら全否定の人たちですから。  

しかしこれが自称保守政治家、それも自民党沖縄県連会長、そして今は那覇市長にして沖縄県知事候補となると、おいおいです。 

それが翁長雄志(おなが・たけし)・那覇市長です。本土では知られていませんが、沖縄では大変な実力者です。  

翁長氏が今回自民党でありながら、革新陣営までも巻き込んだ「オール沖縄」の候補になったのは、東京まで沖縄首長全員を率いた去年1月28日のオスプレイ配備反対首都請願デモを主導したからです。

1aa92b5b53e8172c3331dc910b08f534 (写真 沖縄タイムス 2013年1月29日 まるで過激派の機関紙みたい)

この請願文を書いたのは翁長氏かどうかわかりませんが、こう述べています。

「米軍普天間飛行場は市街地の真ん中に居座り続け、県民の生命・財産を脅かしている世界一危険な飛行場であり、日米両政府もそのことを認識しているはずである。
このような危険な飛行場に、開発段階から事故を繰り返し、多数にのぼる死者をだしている危険なオスプレイを配備することは、沖縄県民に対する「差別」以外なにものでもない。現に米本国やハワイにおいては、騒音に対する住民への考慮などにより訓練が中止されている」

こんな短い文章の中で、突っ込み所満載です。オスプレイについては、昨日書きましたのでそちらをご覧下さい。

まず、「普天間飛行場が居座り続けている」、というのは事実関係に正確ではありませんね。

米軍だって「居座り続けて」なんかいたくはありませんよ(笑)。 

ほんとうは、2009年に鳩山政権が「最低でも県外」などという愚行をせねば、仲井真知事-島袋名護市長-現地という奇跡の惑星直列が出来上がっていたのです。

それを一瞬にしてちゃぶ台返しをしたのがハトさんです。それがなければ、とうに普天間飛行場の跡地利用計画が進行して、「県民の生命・財産を脅かしている世界一危険な飛行場」は除去されていたのです。

その後は、再び勢いを取り戻したこのデモをやったような人たちが、「普天間飛行場の居座りを強要している」のです。

次に、「オスプレイ配備は沖縄差別」だそうです。

このようなことは言いたくはありませんが、今まで「差別」されることで一体いくらの本土からの金がこの狭い島に流れ込んだのでしょうか。 

この島に本土政府から流れ込む金のことを「沖縄振興予算」といい、本土復帰した1972年から始まり、2008年度までの総額は、実に9兆4056億円という途方もない額に達し、 既に10兆円を超えました。 

その内9割以上が公共事業に費やされてきました。 

そのために、本土では橋本構造改革以降、大なたを振るわれた土木事業費は、この沖縄のみでは生き残っており、狭い本島に5千社もの土建業がひしめき合うという異常な光景があたりまえになっています。 

余談ですが、今回出馬したひとりの下地幹郎氏は、大手建設会社「大米建設」の副社長で、他にも国会議員や県会議員には建設会社経営者がゴロゴロいます。

言ってはナンですが、沖縄の政治家はこの振興予算利権に群がるようなアリのような連中ばかりです。

たとえば、本島の嘉手納基地を作った県内最大手の国場組からは、国場幸昌、幸之助などの自民党政治家を生み出しています。

自民党が利権政党だというのが、よく分かりすぎるくらい分かるのがこの沖縄なのです。 

さてこれとはまた別枠で、基地に対する防衛施設庁がらみの軍用地代や地元交付金があります。地代だけで年間900億超です。 

これを合わせた「沖縄関係予算」は、年間08年度で4393億です。これは県の自主財源の3倍に達します。 

「県税などの自主財源は 1,723億円で25.3%しかなく、全体の. 74.7%を地方交付税  などの依存財源で占めています」(「沖縄の財政2012」沖縄県) 

また、政府補助金率が他県と違った算定基準に基づいています。 

たとえば、公共事業に対する政府補助金率は、他の県では平均して5割ですが、沖縄県のみは9割以上の補助金率です。  

具体的に、本土と沖縄県の補助金率を比較してみます。

・公立学校の整備             ・・本土33~50% 沖縄県75~85%
・国道、空港、港湾などのインフラ整備・・本土55~70% 沖縄県95%
・河川改修整備              ・・本土50%    沖縄県90%
・農業関連基盤整備           ・・本土50~70% 沖縄県95%

よく沖縄革新勢力は、本土の沖縄関連予算を「箱ものばかりだ」と批判していますが、それは半分正しく、半分は間違っています。 

というのは、もはや沖縄県民の生活の隅々まで浸透している性格の「税の軽減措置」があるからです。 

これは本土復帰に伴う特別措置として長年継続されてきたものです。主だった税の軽減措置は以下です。

・泡盛やビールに対する酒税
・ガソリンなどに対する揮発油税
・地方道路税
・本土-沖縄間の航空燃料税
・観光業、情報通信業、電力会社に対する法人税

にもかかわらず大部分の県民はそれを「知らない」で、恨みだけを蓄積していきました。 

よく革新派は、「沖縄は沖縄差別に苦しむ植民地だ」というような言い方を好みますが、こんな十重二十重の援助をもらっている「植民地」などこの世にはありません 

沖縄が「植民地」であることをやめ、本土政府から注入されたカネを拒否すれば現在の3分の1にまで県財政は縮小せねばなりません。

そうなれば、皮肉にも真っ先に「植民地」の特権的地位から転落するのは「沖縄差別」を言い立てている当の官公労を中心とする沖縄革新勢力です。

特権的地位といわれるのは、沖縄では民間企業が低賃金なぶんだけ、いっそう官高民低の公務員天国だからです。

どのくらい格差があるかといえば、2006年3月に県が自らおこなった「沖縄県外部監査報告書」にはこのような記述があります。 (琉球新報06年3月29日による)

「4年度の県内給与所得者の平均年収約340万円に対して、県職員の平均年収は722万円と2倍以上の格差が生じている。」

さらに国家公務員の給与を100とした県のラスパイレス指標(※国家公務員の地方公務員との所得格差指標)は99.3と47都道府県で31位で、監査報告書はこう述べています。

「県民所得が最下位なのに、疑問の余地が大きい」
県の一般職員給与費を4年度当初予算の約半分にすること

つまり、沖縄社会の勝ち組は公務員で、民間の2倍もの賃金を得ており、過剰に県財政に負担をかけているから県職員への予算半分を半分にしろと外部監査報告は指摘しているわけです。

多かれ少なかれ、地方は政府予算頼みの体質がありますが、ここまで極端な予算構造を持つ県は沖縄だけです。

このように沖縄では、「保守」の自民党から、「革新」の官公労までが同じ政府予算頼みという根深い体質を持っているのです。

いわば、自民党保守が振興予算という甘いケーキを右側から食べ、官公労革新が左から食べる、という構図です。

ですからこの両者は利害が一致しており、立場が違うだけです。Photo_2

上図は振興予算の年度推移ですが、グラフ中央部の平成10年(1998年)が4713億円とピークとなって、徐々に減ってきており、現在は2000億~3000億円規模になってきています。 

この1998年時の沖縄県知事は、一時はその権勢を「琉球王」とまで呼ばれた太田昌秀氏です。 

皮肉にも反戦・反基地を掲げて当選したこの革新知事がしたことは、基地の見返りとしての増額だったわけです。 

基地を恒常化させるための「アメ」である振興資金を取れば取るほど米軍基地は居座り続けるわけですが、これを飲み込み続けたのが沖縄でした。 

当然のことながら、こんな方法では基地問題は解決できません。というか、むしろ基地の恒久性は強まる一方でしょう。

しかし、沖縄県民は建前では「基地のない平和な島」を望みながらも、「地域資産」のようにして基地に依存してきたことも確かなのです。

このような巨額な国策がらみの予算が動く地域で、利権や腐敗が起きないほうが奇跡でしょう。

長年、本土政治家の利権は旧経世会系が握っていましたが、沖縄側は保革の争いでその都度変化しています。

仲井真知事は、この中で珍しく利権色が薄い堅実な実務家タイプでした。

とまれ、全沖縄首長東京直訴などというスタンドプレーで、「二代目琉球王」を目指しているのが翁長氏であることは確かです。

ところで、こういう戦術ってどこかに既視感がありませんか。そう、それは北朝鮮の瀬戸際戦術によく似ています。別名、「弱者の恫喝」ともいいます。

瀬戸際戦術とは、相手方と自分をギリギリの窮地にあえて追い込んで、圧力と緊張を高めることで、相手方から譲歩を引き出す戦術です。

沖縄の場合、本土政府に「基地撤去」あるいは「普天間の県外移設」「辺野古移設反対」という実現不可能な難題を吹っ掛けます。

一種のチキンゲームのように、ずっと反対、反対を叫び続け、時には政府との会談にすら応じないかもしれません。

困り果てた政府がジリジリとチップをテーブルに乗せていけばしめたものです。

振興予算の増額はもちろん、北部振興予算、各種生活支援の減税措置の拡充、米軍機や一部部隊の訓練の本土移転などなど、むしり取れるだけむしり取ります。

そのためには、最初から本土政府が喜ぶような移転協力などしてはダメだと考えるわけです。

おそらく、政府とこのような交付金交渉をしているのは沖縄県のみでしょう。その意味で、既に沖縄は「独立」しているのかもしれません。

しかしこの「独立」は、すればするほど自立心は萎えて、基地依存・本土政府依存になるという不思議な「独立」なのですが。

しかし今回だけは米国がしびれを切らして、「タイムアウト。オレは普天間から動かない」ということになるかもしれず、その場合は振り出しに戻ることになります。 

それにしても、もういいかげんこんな方法はやめたいものです。 

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コメント

う~ん、読んでてゲンナリしましたわ。

封建的ムラ社会の典型です。各小団体のオサが
自己利権を強く求めるのに、全体利益は考えない。
結果、合成の誤謬みたいになって、全体で最終的
に大損害を被ってしまう。すぐに敗戦記念日です。

税金(未来の分=国債も含)が続く限りは安泰で
しょうが・・現在の納税者はともかく、生まれた
瞬間に借用書(アカの他人の)を突き付けられる
まだ見ぬ納税者は、地獄の釜ゆでですね。それを
分捕って喰い散らかす官公労などはオニそのもの。

ムラ社会は数十年では変わらない。けど管理人
さんの奮闘が、少しでも短くしてくれると思い
ます。


投稿: アホンダラ | 2014年8月 5日 (火) 14時23分

http://amamishimbun.co.jp/index.php?QBlog-20131105-1
為山道則氏にも焦点

為山氏は21(大正10)年11月徳之島亀津南区生まれ。満鉄育成学校、兵役などを経て、祖国分離下で塗炭の生活苦にあった徳之島での青年団長当時「奄美民族を救う道は日本復帰しかない」と決意。49年、命懸けの密航で鹿児島県庁を訪れ知事に協力を求めるが、GHQ(連合国軍総司令部)を警戒した知事の消極姿勢に失望。亀津出身者が多く住む宮崎市の旧大島町(現・波島地区)を訪ね、青年団員らに協力を呼びかける。

>為山道則は奄美から鹿児島へ密航して鹿児島県知事に奄美本土復帰を訴えました。しかし相手にされず宮崎市波島町のリトルオキナワから奄美復帰運動を始めました。ありんくりんさんにこの人物を知って欲しいです。

投稿: ラケル | 2014年8月 6日 (水) 21時34分

ラケルさんとやら、

テレビ・新聞報道でとっくに知られてることをリンク貼り付けしながら「一知半解」な知識で、記事とは的外れな批判されるのはもう止めませんか?

あなたは自称「穏健な人間」なのでしょう?
でも言ってることはまるで「純化した過激派」ですよ。

前の新田原コメントでも「ソニックブーム」が何なのかすら知らないのが丸分かりです。(三沢で米軍のF-16が20年ほど前にやらかして民家の窓が割れたのが最後の被害です。違ったら教えて下さい)

すいませんが、私には今のところ嘲笑の対象でしかありません。
何でわざわざ書き込むかなぁ…。自分の見たい物以外は信じない「病」なのかと疑ってしまいます。

勿論、問題提起することは否定しませんが、個人ブログに記事から完全にピントの外れたことを録な説明も無く書き殴るのは、いかがなものかとおもいますよ。
私も脱線して何度も怒られてますが、あなたは次元が違うでしょう?

投稿: 山形 | 2014年8月 7日 (木) 07時51分

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