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「米軍基地が経済発展を妨げている」というのは真実か?

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「うちなー」という方からのコメントについてもう少し続けます。 うちなー氏はこう書いています。

「既に基地には依存しない社会ができており、経済発展には基地は邪魔者でしかない。 無い方が今後の賃金上昇、活性化が見込める。 現在、全国ー低い低賃金・待遇でも、多くが共働き、支えあい精神で生きている。米軍基地がどうしても必要なら必要な地域で受け入れをすべき」

 それは「もはや沖縄経済は基地依存ではない。基地は沖縄の発展を妨げている」という趣旨ですね。 

ここで私は、ああなるほどなぁと思いました。 

この人はたぶん宜野湾から以南に住む人ではないでしょうか。同じ中部でもコザ(沖縄市)以北の人間ならこのような言い方を簡単にはしません。 

Base

上の地図を見ると、沖縄の米軍基地は南部にはほとんど存在せず、那覇軍港、牧港補給地区には既に返還計画があります。

基地の中心は、中部以北にあることに気がつきます。 

また、航空騒音を発する飛行場は普天間と嘉手納で、兵員の駐屯地も北部です。 

このように見ると、普天間飛行場が例外的に「経済発展を阻害している米軍基地」という構図で見ることの出来る地点ではないかと思われます。 

逆に言えば、この宜野湾市を除くと、よく言われる「基地依存か経済発展か」という単純な図式は成立しないのではないでしょうか。 

もうひとつこのデータを見て頂きましょう。2006年の仲井真氏と糸数氏との知事選は、米軍基地を争点とした今どき珍しい保守対革新の一騎討ち選挙の時の自治体別得票数データです。 

その選挙の集計結果と、米軍基地収入の自治体財政に占める割合、そして基地面積を一覧した表をご覧ください。(欄外資料参照) 

当時、普天間の辺野古移設容認を掲げていた仲井真氏の得票率が50%を超える市町村は以下です。 

・国頭村・・・仲井真得票率70%  基地占有率23%
・伊江村・・・         68%         35%
・金部町・・・         65%         59%
・東村 ・・・          3%         42%  
・嘉手納町・・・       57%         83%
・名護市・・・         56%         11%
・恩納村・・・         55%         29%
・沖縄市・・・         54%         36%
・宜野湾市・・・       52%          33%
 

以上の得票率を見ると、基地現状維持派が5割を超えるのは、いずれも基地のある北部から中部にかけての自治体だと分かります。 

逆に、基地撤去を掲げた糸数候補が勝利した基地依存度が高い自治体はふたつ、北谷町(ちゃたん)と読谷(よみたん)村に限られています。 

そのうち読谷村は、糸数氏の地元であり、北谷のあるキャンプ瑞慶覧は縮小が決定していました。 

一方、糸数氏が勝利した自治体は、南部の住宅地である西原町、豊見城(とみぐすく)市、南風原(はえばる)市などです。 

いずれの自治体にも基地はありません。豊見城市に典型なように県外移住者も含めて人口が激増しており、企業進出も盛んで、経済成長が著しい地域です。 

この選挙結果から見えるのは、北部から中部にかけて、「基地経済」に強く依存している地域ほど基地の現状維持を願っていることです。 

「基地経済」とは、自治体への地代や、見返りとしての振興策など有形無形の基地に依存した経済のことですが、これに寄り掛かれば寄り掛かるほど自治体経済が安定するという結果になっています。 

その意味で、北部から中部にかけての地域において、「基地は資産」であり、「経済か基地か」ではなく、「基地で経済を」が実情です。

地域に基地がなく、基地公害と無縁な中部地域の南側及び南部地域は、沖縄の建て前である「反戦・反基地」という革新スローガンを受け入れやすい風土があります。 

沖縄を本土の人が見る場合必ず誤るのは、イデオロギー対立で見てしまうことです。

「保守対革新」「基地容認対基地反対」「自民対反自民」などという安易な二項対立の中に入れて判断しがちです。 

また、困ったことに沖タイ、琉新などがその視点だけで報道しています。そのほうが本土の朝日新聞やTBSのようなジャーナリズムに受け入れられやすいからです。

しかし、私は沖縄には、基地経済に依存している地域が多いという厳然たる事実を知った上で、普天間移設に象徴される基地問題を考えるべきだと考えています。 

経済発展を続ける南部とその周辺にとって基地は邪魔なだけであり、貧困と過疎から抜け出せないでいる中部・北部地域にとって基地経済は失うことのできない重要な経済手段なのです

その意味で、普天間問題は沖縄における南北問題でもあるのです。

現時点の首長の支持自治体分布を見ると、前々回選挙の分布状況に似たものが伺えます。(欄外参照)
つまり、中部から北部にかけて米軍基地がある自治体首長が仲井真支持自治体で、仲井真不支持は「反戦市長」の稲嶺氏の名護、糸数元候補の出身地の読谷、発展が著しい北谷のみです。
ヤンバルの大宜味、今帰仁には基地がなく、南部の北中城、中城、西原、南風原にはもちろん基地はありません。
このように基地がない自治体が「反戦・反基地」を叫び、基地がある自治体が移設容認の仲井真知事を支持するというねじれた関係にあります。

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Photo_2              (日経新聞那覇支局長 大久保潤氏による)

現時点での仲井真氏を支持する首長
・宜野湾市・石垣市・浦添市・糸満市・沖縄市・豊見城市・うるま市・宮古島市・南城市・国頭村・東村・本部町・恩納村・宜野座村・金武町・伊江村・嘉手納村・与那原町以上 中部から北部(やんはる)にかけて

以下離島
渡嘉敷村・座間味村・粟国村・渡名喜村・南大東村・北大東村・伊平屋村・伊是名村・久米島町・八重瀬町・多良間村・
与那国町
以上30人

仲井真知事不支持首長
那覇市・名護市・大宜味村・今帰仁村・読谷村・北谷町・北中城村・中城村・
西原町
南風原町
離島・竹富町
以上11人

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