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2014年8月18日 (月)

反原発派の致命的弱点 疫学不在

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沖縄尚学、おめでとう。山城君すごい投手だ。次も相手は強いですよ。がんばっていこう。チバリヤ、ニセター。

さてうちなーさんのコメントを読むと、まだこんなことを書いているのかとなんともいえない気分になりました。

「低線量被曝の健康被害については食べて応援・政府広報NHKでも放送されています。
内部被曝のベクレル数値を、わざわざ外部被曝のシーベルト換算にさせ被害を矮小化させる御用学者の動きがあります」

つまり、福島の農産物を食べて応援しようという政府広報はけしからんということのようです(ため息)。 

うちなーさん、あなたたち反原発派の何が最大の弱点がなにか分かっています? 

あなたのコメントがそうであるように、あそこの評論家がこう言った、このメディアがああ言ったという「伝聞」の貼り付けばかりなんですよ。 

反原発派の医者も指の数くらいはいますが、そのうちひとりでもいいから福島現地に残って1年間くらい地道な検診活動をしている人がいますか? 

北海道のナントカ院長先生も、全国で講演はけっこうですが、引退しているんですから現地で検診のひとつもすればいいのです。 

そしてその検診結果をデータベース化して分析し、異常があれば公表して世に問えばいい。それが福島事故の健康被害を論じる基本の基本ではありませんか。 

それ抜きにして、「低線量被曝でガンが急増する」みたいなことばかりを言うからオオカミ少年扱いされます。 

ならば、自分たちがしないのだから第三者機関、つまりは国家機関や国連科学委員会が発表することを前提にするしかないわけですか、今度はそれは「推進派だ」で切り捨ててしまいます。

なぜかといえば、「ガン急増」の自分たちの意見と違うからです。 

困った人たちですね。自分たちでは検診-調査活動はしない、第三者機関は信じない、信じられるのは自分と同意見の人の見解だけ。これでは議論が成立するはずもありません。 

では逆に国連科学委員会が、「低線量被曝は危険だ。福島では甲状腺ガンが激増している」なんてバズビーみたいな報告書を出したら、間違いなく大喜びして錦の御旗にするんでしょうね。 

私は「被爆」地の人間です。しかもその土の上で農を営んでいます。ですから、福島第1原発事故の当事者のひとりです。 

私たちがしてきたことは、降りかかってきた放射性物質が、どこにどれだけ降下して蓄積したのかを測定し、それに対してどのように防御し、除去したらいいのか、健康被害はどれだけあるのか、ないのか、それらを現実のものとして考えることでした。 

「被曝」現地にいる私にとって、はるか彼方に住む安全地帯の人間たちの低線量被曝健康被害論争をただの神学論争、それも神様が聞いていない神学論争だと思って見ていました。 

たとえばうちなーさんは、「事故前までは食品基準は1ベクレルだった」と書いています。これは、典型的な非「被曝」地の人々の能天気な発想です。 

今、現に原発事故が起きていて、放射性物質が量の多寡を問わず降下した時に、「基準は1ベクレルのはずだ」と言ってもまったく意味がないじゃないですか。 

そんなことより、今のリアルな現実と向き合いなさい。 

具体的な放射線防護の基準値は、 緊急時の救助等の活動を行う場合の職業被ばくの限度があり、事故後の時間経過 によって適用する基準があるように事故からの時系列で変化していきます。

放射能の食品安全基準も同様な考え方に基づいています。 ECも米国もべラルーシ現地も同じです。

ベラルーシは14年かけて漸次減らしていて、わが国のように1年目で100ベクレルにまで落すというのはむしろ稀なケースです。

にもかかわらず、「事故前は1ベクレルだった、いやゼロベクレルだったから、食品基準はゼロベクレルだ」などという非現実的な反原発派の人たちの空論には辟易しました。

私はこのような脳内被曝地獄の人達を放っておくしかないと思っています。

「被曝」現地の地の人間として、危険だ危険だと言うだけで、土壌計測に来るわけでもない、検診活動もするわではないような口先人種は無意味だからです。

しかし困ったことには、脳内被曝地獄の人の多くは、マスコミ人だったり、作家、大学教師だったりするために、ことあるごとにメディアで「福島に行くな」「福島から逃げるのが勇気だ」などといった暴言を吐く始末です。 

さて、ここまで書けばうちなーさん、あなたがた反原発派の致命的欠点が何かおわかりになったでしょう。

それは主張する内容そのものもさることながら、それが自らの疫学データによって検証されていないことです。 

医者も少数ですがいるようなので、健康被害があるかないかなど、こちらの「被曝」地に来て自分で調べてみればいいのです。 

しかし北海道のナントカ院長も、岡山のナントカ教授も、福島現地で検診活動などやる気はさらさらありません。 

土壌線量と疫学調査をして、危険があるならあるんだし、ないならないのですよ、そうずっと言ってきましたが、彼らには肝心の基礎データを集める気配もありません。 

まぁ現地にある診療拠点が、「ふくしま共同診療所」という過激派C派傘下の所しかないのだからしかたがありませんが。

ですから、いつまでも、東京新聞がこう書いた、報道ステーションがこう言ったという伝聞ばかりです。 

ではここで具体例として、低線量被曝が原因だと反原発派が主張する鼻血を取り上げてみましょう。

鼻血は急性放射線症の典型的症状で、むしろ低線量被曝というより500ミリシーベルト以上の高線量被曝なのですが、朝日新聞「プロメテウスの罠」が火元で、それを双葉町元町長の井戸川氏が騒ぎ立て、「美味しんぼ」の雁屋哲氏が大々的に取り上げた事例です。

AがBの原因であるという因果関係を立証するためには、人体にどのような症状が現れたのか、どこでどれだけの数が出たのか、原因と思われることはなにか、それとの因果関係の確率は何%か、と考えていきます。 

これで統計学的に有意な数値(だいたい20%~30%)なら、「Aの原因がBである可能性がある」ということで有意ということになります。 

これからさらに調査を絞り込んでいって、他の原因ではありえない、ところまでいけば、それが結論として認められることになります。 

まず、鼻血がどれだけ、どの地域で出たのかの統計データが絶対に必要です。 

井戸川前町長は「大勢でているが、皆んな黙っているだけだ」と言っていますが、こんな言い方では通りません。 

だって、この論法なら「うちの村の住人は火星人ばかりだが、黙っているだけだ」と言っても誰も検証しようがありません(笑)。 

検証するためにはいつ、どこで、どれだけの人が鼻血を発症したのかのデータが必須です。 

特にどこで発生しているのかは大きな意味を持ちます。ちなみに雁屋氏は、福島取材をしたのちに鼻血が出たと述べています。 

ならば当日の取材コースの中でもっとも線量が高そうな場所は福島第1ですが、福島第1原発見学コースの1時間あたりの放射線量は0.02マイクロシーベルトで、東京都の0.03マイクロシーベルトと同程度です。

こんなていどの線量で鼻血が出るなら、東京は鼻血だらけです(笑)。

東京は冗談としても、福島第1の見学者で2割ていどの鼻血や「耐えがたいだるさ」などが発症すれば、有意な因果関係が認められると言っていいでしょう。むろん、そんなデータはありませんが。 

雁屋氏が自分の鼻血を放射能と関連づけたいのなら、いままでの見学者の見学後の健康記録が必要なのです。「福島から逃げることが勇気だ」などと言う前に調査してください。

雁屋氏に同情すれば、因果関係の立証はかなりたいへんな作業で、放射能以外の原因もひとつひとつ潰していかねばなりません

もちろん、福島で鼻血が出なかったということではなく、鼻血は多くの原因で出ました。

たとえば、事故直後の震災瓦礫の粉塵、潮害の影響による影響が報告されており、季節的な花粉病と重なったケースもあります。他にも避難することによる健康障害が出ました。

①住み慣れた一軒家の我が家から離れて、集合住宅に越したことによる精神的ストレス
②食生活の変化による体質変化
③共同体的人間関係から離されての精神的ストレス
④職業を失ったことによる喪失感
⑤経済的な心配と先行き不

その他にも別の観点で深刻な問題も発生しています。あとでもご紹介する南相馬病院の坪倉正治医師は地元民全般の健康問題についてこう述べています。

「糖尿病の増加。仮設住宅や避難所生活での生活から、運動不足になったり、栄養の偏りによってコレステロールが高値の子供が増えているといいます。子供だけではなく大人にもこの傾向が見られるのが現在の福島県内における実情 」

これを見ると、避難所などの人々の健康状態が決してよくないことが分かります。単に鼻血や甲状腺ガンなどばかりに注目するのではなく、トータルに健康状態をケアせねばならないことがわかります。

ほかにも色々と精神的、あるいは身体的なトラブルがあるかもしれませんので、これをひとつひとつ潰していくわけです。 

当然複合していることもありえますから、丁寧に解きほぐしていきます。医師というよりケースワーカーの仕事ですが、心と身体両方のケアが大事なのです。 

どうも低線量被曝を騒ぎたい人たちは、放射能被曝と結びつけたいため、鼻血とか倦怠感、甲状腺ガンなどにばかり注目しているようです。

らは福島現地の状況をトータルに見ずに、自分の関心事の放射能だけで見ているから、何も見えないのです。見えていないくせに声だけデカイから始末に悪い。

そして、「福島は住めない」「除染しても無駄」などと放言するために、かえって現地に精神的ストレスを加えることとなりました。

ところで医師の山本真氏の鼻血の全国と福島県の子供の調査データがありますので、ご紹介しておきましょう。
http://www.j-cast.com/2014/05/13204626.html 

山田氏は福島で事故直後から健康相談会を行なっていました。

「そこで私は、調査を行いました。2011年3月~11月の機関、福島、北海道、福岡の3地域の小学1年生の何%が、鼻血を出したかを調べたものです。こんな調査をしたのは、私ぐらいだと思います。個人による小規模調査ですが、数が1000人規模なので、信頼性はあると思います。
その結果が以下の通り。
●鼻血を経験した小学1年生の割合(2011年3月~11月)
福岡・・・ 26.0%(159人/612人中)
小樽・・・ 22.8%(164人/718人中)
岩見沢・・・7.4%(32人/434人中)

福島市・・・10.4%(8人/77人中)
いわき・・・ 2.3%(8人/341人中)

会津 ・・・3.2%(16人/499人中)

福岡では26%が鼻血を出していたが、福島では2.3~10.4%です。原発事故の影響で鼻血が増えているということはありません。 

福岡でなぜこのような高率なのか原因は分かりませんが、中国からのPM2.5などの影響があるのかもしれません。
(下図参照 グラフはryoko氏による)
 

Photo 

の健康調査は貴重なものです。調査母集団も、福島第1原発に近いいわき市で341名採取していますので有意な数ではないでしょうか。 

これを見る限り、鼻血が特に福島県で増えているということは考えられません 

またさきほど紹介した南相馬病院の坪倉正治医師と、東京大学の早野龍五氏によるホールボディカウンター(WBC)の測定と分析結果かあります。

南相馬で測定した約9500人のうち、数人を除いた全員の体内におけるセシウム137の量が100ベクレル/kgを大きく下回るという結果が出ました。これは測定した医療関係者からも驚きをもって受け入れられたそうです」 http://blog.safecast.org/ja/2012/09/dr_tsubokura_interview/

この調査の時にも実は4名の高齢者が1万ベクレルという高い線量を持っていました。この原因もわかっています。

「この方たちは、自分の土地で育てた野菜を食べていたこと、特に浪江町から持ってきたシイタケの原木から成ったキノコ類を食べていたということです。
原因がわかると防ぐこともできるので、この分析は有益なものだと思います。しかし、実際のところ、このように庭に自生したものを食べている人は、地元にはまだまだ多いと懸念されています。

では子供の被曝はどうでしょうか。

坪倉先生のチームでは、これまでに、いわき市、相馬市、南相馬、平田地区で子供6000人にWBCによる内部被ばくの測定をしました。親御さんの心配もあり、この地域に住む子供の内部被ばく測定の多くをカバーしています。(一番多い南相馬市で50%強です。)
6人から基準値以上の値が出ています。6000人に対して6人というのは全体の0.1%で、この6人のうち3人は兄弟です。基本的には食事が原因に挙げられるでしょうが、それ以外にもあるかもしれないそうです。
子供の線量について、坪倉先生はこう分析します。 「子供は大人に比べて新陳代謝が活発で、放射性物質の体内半減期が大人の約半分ということがわかっています。ですから、子供の場合は例え放射性物質が体内に入ったとしても、排出されるのも早いです」

私は北海道のナントカ院長の発言より、この3年間の地道な検診を続けてきた坪倉医師の言うことのほうを信じます。

「福島から逃げろ」と叫ぶ前にやることは沢山あります。幸いにも福島県には、坪倉医師のように多くの献身的に検診を続けている医師や医療従事者たちがいます。 

その人たちのこの3年間の努力の結果、貴重な疫学データを蒐集することができたのです。 「調査なくして発言なし」です。 

うちなーさんのように、「外部被曝数値を内部被曝数値とすり替える」と怒るのは自由ですし、気に食わない専門家を「御用学者」とこき下ろすのも勝手ですが、考えが違う人たちとの議論の場には自分たちの疫学データを揃える努力がいるのです。 

その共通の議論の場作りができずに、セクト的に固まって、「あいつは御用学者、こいつは推進派」と言い合ってハリネズミのようになっているのがあなた方です。 

こんな気風で、原発が止められたら奇跡です。

 

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