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2014年8月20日 (水)

福島はチェルノブイリではない

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うちなーさんはこんなことを書いています。別に彼の個人的見解ではなく、これも典型的な反原発派の言い分です。

「チェルノブイリで放出された放射能核種は100種類以上あるとされますが、福島原発事故は文科省が31核種しか公表していません。
震災前、ストロンチウム測定されていましたが、現在はセシウムのみ。
非常に危険性の高い、β・α核種ストロンチウム、プルトニウム、ウラン、トリチウム諸々ありますが、全く測られていません」
 

なんでこんな暑い時期に、こんなことを繰り返しているのかなぁ~と思いつつ、しょうがない何度でもやります。

ェルノブイリ原発と福島第1原発の事故は次元が違う事故です。 

これ以上の設定がないためにレベル7に入ってしまって同一視されますが、別々に考えていく必要があります。

チェルノブイリは、黒鉛型で格納容器がなく、そのために原子炉の事故がそのまま大量の原子炉内のすべての核種の拡散につながりました。

400pxrbmk_reactor_schematic_svg(図 黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉 (RBMK) の構造図。核燃料を収めた圧力管の間をポンプで送り込まれた冷却水が流れて蒸気となり、タービンを回す構造になっている。格納容器がないのがわかる) 

その中にはプルトニウムやストロンチウムが含まれていたために、惨事となりました。

一方福島事故は、チェルノブイリと違って、閉じ込めるための格納容器が存在し、格納容器を覆う原子炉建屋が水素爆発によって破損しましました。 

400pxboilingwaterreactor
(図 沸騰水型軽水炉(BWR)構造図 燃料棒が格納容器に収納され、さらに建屋に入っているのがわかる)

格納容器内にあった燃料棒が融解して一部が格納容器外へメルトスルーしましたが、セシウムやヨウ素といった揮発性の高い比較的軽い核種の放出に留まっていたために、プルトニウムなどの放出という最悪の事態は最小限に抑えられました。

もちろん、ストロンチウムなどの放出もわずかにありましたが、原発周辺数キロにとどまり、量も微量でした。

放出されたプルトニウム放出量を見るとこのようなところです。

大気中への放射性物質の放出量の比較(単位1015Bq) 
●ガスとして揮発した軽い核種 
ヨウ素131131I)    ・・・チェルノブイリ      1760
                        ・・・ 福島第1       16 (10月20日 以下計測日は同じ)
セシウム134134Cs)・・・チェリノブイリ    47
・                            ・・・福島第1          18

●重い核種
ストロンチウム9090Sr)・チェルノブイリ  10
                             ・・・福島第1        0..14
プルトニウム238238Pu)・チェルノブイリ 0.015
                                ・・・福島第1        0.000019
プルトニウム241241Pu) ・チェルノブイリ  2.6
・                                ・・・福島第1        0.0012

(※典拠 原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書-東京電力福島原子力発電所の事故について

 以上で分るように放出量自体のケタがまったく違います 

その結果、このように拡散規模に大きな差が出ました。上下を比較すれば、その規模の拡がりがまったく違うのがわかるはずです。

次に、わが国にとって非常に幸運だっのは、事故当時の風向きです。(欄外参照 懐かしの早川マップ改良版) 

風は北東方向の風に乗って太平洋へ吹いていました。そのためにかなりの割合の放射性物質は洋上へと吹き飛ばされ、拡散しました 

3月12日から3月21日までの4回に渡って、いずれもいったんは北東方向の海上に出て、1回目は北上し、以後3回は南下しています。

飯館村などへ向った例もありますので、地形によって複雑な変化はしていますか、基本はこ「神風」によって地表部分の汚染は、内陸部にあるチェルノブイリと比較して大幅に減衰したと思われます。

また、事故後の対応も異なっています。

事故当初、ソ連特有の秘密主義のために報道管制が敷かれ、一般市民は事故発生後1週間ほどはなんの避難措置も取っていませんでした。

事故後4日後に高濃度汚染区域でメーデー行進も行なわれた例もあるほどです。 

そのために、計画的な避難はおろか、放射性物質に汚染された食品や牛乳の摂取制限も実施されず、大きな健康被害を引き起しました。

特に事故後に被曝した10シーベルト(1万ミリシーベルト)というとんでもない高線量の牛乳を子供に与えるという重大ミスをしたために、小児甲状腺ガンが大量に発生しました。

チェルノブイリ事故を継続して調査しているベラルーシで事故後10年、25年経つ今でも小児ガンなどが発症していると唱え、震災瓦礫の搬入は低線量内部被爆の危険地域を更に拡大することになると主張した人達がいました。 

ベラルーシで10年後に小児ガンが出た原因は既に解明されています。高濃度汚染地帯のキノコを季節的に大量に食べたからです。(下図参照)

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                      (ベルラド放射能安全研究所作成) 

上の図を見れば、10月12月など、キノコが大量に食卓に登る森林地帯の季節が飛び抜けて高いのが分かります。 

周辺地域だけではなく、東欧、北欧を中心にして野生のキノコ類を食べる食生活のために健康被害が多発しました。

このチェルノブイリの類推から、わが国でも大量の甲状腺ガンが出るはずだという一部の予見がありましたが、はずれました。 

一方わが国はチェルノブイリの教訓に従って厳しい食品の出荷統制を敷きました。

ベラルーシは野菜は3700ベクレル/㎏から40ベクレル/㎏まで実に13年かけて漸進的に基準値を落していますが、事故直後の基準値を見てみましょう。。

・事故直後のベラルーシと日本の食品基準値比較
・野菜  ・・・3700ベクレル
・豚・鶏肉・・・7400
・日本   ・・・300
(※米は500)
  

なお、日本は12年には食品一般の基準値を100ベクレルまで落しました。

チェルノブイリと福島を比較して、ロシア科学アカデミーバロノフ博士はこう結論づけています。 

「1986 年以来25 年が過ぎました。私たちは、今、公衆衛生上のどのような損害がチェルノブイリ事故によって引き起こされたか知っています。損害のほとんどが、1986年5 月に、汚染された地域で生成された、放射性ヨウ素を含んだミルクを飲んだ子どもの高い甲状腺癌発生率に帰着しました。不運にも、当局と専門家は、この内部被曝の危険から、適時、十分に彼らを保護することに失敗しました。
福島では、子どもが2011 年3 月から4 月にかけて、放射性物質を含むミルクを飲まなかったことにより、この種の放射線被ばくは非常に小さかったといえます。このため、近い将来あるいは、遠い将来、どんな甲状腺疾患の増加も予想できません」
(
内閣府・低線量被ばくのリスク管理によるワーキンググループ報告) 

また国連科学委員会はこう国連総会に報告し、承認されています。 

●国連科学委員会 (UNSCEAR)報告書要旨
①日本国民の総被曝線量(集団線量)は、甲状腺がチェルノブイリ原発事故の
約30分の1
②全身が10分の1
③チェルノブイリと比べて、放射性ヨウ素131の総放出量は3分の1未満
④セシウム137は4分の1未満
⑤ストロンチウムやプルトニウムは「非常に微量」
⑥(がんが増加しても非常に少ないために)見つけるのは難しい
⑦「福島はチェルノブイリではない」

トリチウム関しては、今の汚染水問題ともかかわるので、明日に廻します。  

※沸騰水型の構造図を間違って掲載しましたので訂正しました。

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 Photo                         

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コメント

はじめまして。
2枚目にPWRの図が掲載されていますが,福島はBWR(沸騰水型)だったので,BWRの図に差し替えた方がよいかと思います。

ちなみに,2枚目の図のキャプションが,
「図 加圧水型軽水炉(BWR)構造図」となっていますが,加圧水型はPWRです。

ecchu さま。ありがとうございます。忙しさで取り紛れて掲載しました。修正しました。

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