慰安婦問題はなぜネバーエンディングストーリーなのか?
とうとう「しんぶん赤旗」までが、昨日、吉田証言慰安婦は虚報であったと認めました。ただし、「河野談話は正しい」という注釈つきです。
志位委員長の謝罪会見はないのでしょうか(笑)。吉田清治氏は共産党員でもあったわけですから、もう少し誠意を見せたらいかがでしょうか。
吉田証言放棄・河野談話死守ということで、朝日新聞などの人達はほぼこの線でまとまったようですね。
さて、ではこの人たちはこれまで30年かけて、慰安婦問題を大事に「育てて」きたわけですが、今後どう幕引きするつもりなのでしょう。
パククネ政権と同じように、「謝罪と償いをすべきだ」という路線を変更したとはついぞ聞きません。
よく勘違いされていますが、韓国政府は慰安婦問題で初めから「謝れ、金出せ」と言っていたわけではありません。変化するのはノ・ムヒョン政権からです。
むしろ、この問題が朝日新聞らによって人為的に爆発した当初は、賠償はいらないと明言していました。
これは政府の河野談話検証報告に出てきます。報告書はこう書いています。
「慰安婦への「措置」について日本側が、いかなる措置をとるべきか韓国政府の考え方を確認したところ、韓国側は、日韓間では法的な補償の問題は決着済みであり、何らかの措置という場合は法的補償のことではなく、そしてその措置は公式には日本側が一方的にやるべきものであり、韓国側がとやかくいう性質のものではないと理解しているとの反応であった」(検証報告書)
ほぉ、ですな。当時は文民初の民主化運動指導者のキム・ヨムサム政権でしたが、いまのパククネ氏と真逆の立場であることが分かります。
整理するとキム大統領は、こう述べています。
①「補償」は日韓間で法的に決着しているので、日本側が勝手にするものであり、韓国側は要求しない。
②慰安婦に対する賠償は、韓国がするものである。
なにか、いまになると、日本政府の公式見解をそのまま聞くような気分ですが、1990年代初期までは韓国側もしっかり日韓基本条約の性質を理解していたのが分かります。
むしろキムヨムサム大統領に至っては、謝罪は求めても「賠償は韓国でやるから、そのことで韓国は道義的に優位に立てるのだ」とすら言っています。
その謝罪すら、実は当時の韓国政府のニュアンスは、このようなものでした。
「日本人が提起して慰安婦問題が大きくなってしまった。日韓メディアが問題化させた。メディアのあり方としていかがなものか」
(月刊文芸春秋・浅利慶太氏との対談における発言主旨)
この慰安婦問題は当時の韓国政府すら予想だにしなかったもので、あまりに宮沢訪韓時に朝日新聞が騒いで国際問題化させたから、仕方なくとりあげたのだ、とキムヨムサム大統領は言いたいわけです。
ですからまして、キム大統領は決して日本の河野談話に基づく「償い事業」などを歓迎していないことが分かります。
村山政権は、そこを押し切った形で1997年1月から、元の希望者に支給を開始します。
1991年1月からかつての河野談話に沿って、首相のお詫びの言葉を記した手紙と、ひとりあたり500万円のお見舞金を61名の元慰安婦に手渡しています。
「事業終了までに、元合計61人に対し、民間による寄付を原資とする「償い金」200万円を支給し、政府拠出金を原資とする医療・福祉支援事業300万円を実施(一人当たり計500万円)するとともに、これらを受け取ったすべての元に対し、当時の総理の署名入りの「おわびの手紙」をお渡しした」 (検証報告書)
償い事業を設定し、日本側がひとりひとり出向いて首相名の謝罪の手紙と共に500万円(償い金300万+福祉関連として200万)を手渡しています。
これは、政府が取り得る最大級の個人補償対応であり、これ以上の対応を望むのは不可能であったでしょう。
ですから、いままだ安易に慰安婦に「謝罪と賠償」を要求する人達は、これ以上なにをしろというのか、逆にお聞きしたいくらいです。
それはさておき、いきなり韓国政府からストップがかかります。その理由はなんだったのでしょうか。
この韓国政府が償い事業にストップをかけた原因は、韓国特有の「国民感情」という名の火病(ファビョ)が爆発したためです。
「これに対し、韓国のメディアは「基金」事業を非難し、被害者団体等による元7人や新たに「基金」事業に申請しようとする元に対するハラスメントが始まった。被害者団体は、元7人の実名を対外的に言及した他、本人に電話をかけ「民間基金」からのカネを受け取ることは、自ら「売春婦」であったことを認める行為であるとして非難した。また、その後に、新たに「基金」事業の受け入れを表明した元に対しては、関係者が家にまで来て「日本の汚いカネ」を受け取らないよう迫った」 (検証報告書)
ため息が出ます。名乗り出ろと煽って、名乗り出れば「売春婦であったと認めることだ」と糾弾するのですから、話になりません。
ほんとうに彼女たち薄幸な老女たちのことを考えていたのなら、自宅に上がり込んで喚くことなどできないはずです。
彼ら韓国マスコミや反日団体は、慰安婦の老後の幸福を願って運動しているのではなく、ひたすら政治的に利用しているにすぎないのです。
この報告書に出てくる「被害者団体」ともっとも過激な反日団体である挺対協(挺身隊協議会)だったことは、元朝日新聞の下村満子氏(元「朝日ジャーナル編集長)も認めています。
この反日団体と韓国マスコミが、基金の受け取りを希望した7人の元慰安婦の老女たちに対して、自宅にまで押しかけて「売春婦だったことを認めるのか。恥をしれ」「日本の汚いカネを受けとるな」とまで騒いだのですそれか連日続きます。
「これに対し、韓国のメディアは「基金」事業を非難し、被害者団体等による元7人や新たに「基金」事業に申請しようとする元に対するハラスメントが始まった。被害者団体は、元7人の実名を対外的に言及した他、本人に電話をかけ「民間基金」からのカネを受け取ることは、自ら「売春婦」であったことを認める行為であるとして非難した。また、その後に、新たに「基金」事業の受け入れを表明した元に対しては、関係者が家にまで来て「日本の汚いカネ」を受け取らないよう迫った」 (検証報告)
この報告書に出てくる「被害者団体」とは韓国挺身隊問題協議会(挺対協)というもっとも過激な反日団体であったことは、この基金に関わった元朝日新聞の下村満子氏(元「朝日ジャーナル編集長)も認めています。
この激しいバッシングで基金に応じた元慰安婦たちは身の危険すら感じたと言います。
この個人補償を中断したのは、日本政府ではありません。韓国人が自らが、受け取ろうとする元慰安婦たちを暴力的に潰したのです。
そして 1998年3月に新大統領になった金大中氏によって、正式に韓国政府として「基金」を中止するようにとの申し出をします。
これを報告書はこう述べています。
「この時期、韓国政府は、金大統領自身本件について金銭の問題をなくせ、政府間のイシューにするなという意見であり、両国の問題は存在しないと思った方がよいとして、「基金」には申し訳ないが、政府間の問題にならないよう終止符を打つべき旨述べていた」 (検証報告書)
この経過を見て分かるのは、当時の韓国政府の立場を現在のパククネ政権はなにひとつ継承しておらず、変心したのは日本政府ではなく、韓国政府の側だという事実です。
日本の「償い」は韓国人みずからが破壊したの、その歴史的事実を知った上でなお、日本政府の「謝罪と賠償」を要求していくつもりなのか、韓国政府と朝日新聞界隈の皆さんはよく考えられるといいでしょう。
最後に日本側がなおも基金の賠償から福祉事業への転換を考えていたことに対する当時の韓国政府の意見を紹介します。
「1999年3月下旬に行われた日韓の事務方のやりとりにおいて、突如韓国政府が方針を変え、この問題では何かしてもしなくても批判されるということを冷静に踏まえておく必要がある」 (検証報告書)
まさに今や、かつての韓国政府自身の仰せのように、わが国は「何かしてもしなくても批判され」ているわけです。
「謝罪しない」と言っては批判され、謝罪すれば「賠償していない」と言われ、賠償を始めれば、韓国国内の反日勢力が寄ってたかって潰し、潰したら今度はまた「なんの償いもしていない」と、どこまでも続くネバーエンディングストーリー。
そして二国間だけでは飽き足らず、こともあろうに諸外国に行くたびに告げ口して回るのですから、まったく当時の韓国政府の言うとおりです。
あの国に対してはなにをしても無駄です。
なお、この事業成果は以下です。実に48億円を支出し、未だ「謝罪も賠償もしていない」と言われ続けるのですから、虚しい限りです。
「1995年に設立された「基金」には、基本財産への寄付を含め約6億円の募金が集まり、日本政府は、インドネシアでの事業をもって事業全体が終了する2007年3月末までに拠出金・補助金あわせ約48億円を支出した。
韓国における事業としては、事業終了までに、元合計61人に対し、民間による寄付を原資とする「償い金」200万円を支給し、政府拠出金を原資とする医療・福祉支援事業300万円を実施(一人当たり計500万円)するとともに、これらを受け取ったすべての元に対し、当時の総理の署名入りの「おわびの手紙」をお渡しした。その数は、橋本政権下で27件、小渕政権下で24件、森政権下で1件、小泉政権下で9件に及ぶ」(検証報告書)
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