「朝日イデオロギー」という病根
朝日新聞に対し、安倍首相が取り消しの努力をもっとするように求めました。(欄外参照 )
稲田政調会長は参考人招致を求めており、いっそう朝日包囲網の環は狭まってきたようです。
首相の発言は、海外に対する朝日の訂正の発信がまったくといっていいほどない状況で、ひと頃は英語版すらアップしていない状況を受けたものと思われます。
世論調査では、謝罪会見以降も朝日の対応を評価する声はわずか6.4%にすぎません。
さて、吉田調書記事を書いた記者の名前が分かってきています。木村英昭記者と宮崎知記者でのふたりで、両人とも朝日の近年にないヒット作である「プロメテウスの罠」の担当記者でした。
宮崎記者は「プロメテウスの罠」のデスク、木村記者はその第6シリーズで、東電撤退説を流布した人物で、今回もその流れで、「所長命令違反で所員9割が逃亡」とやらかしました。
木村記者は「菅首相が東電撤退を阻止した日本の英雄だ」というストーリーを、民主党の政治家以上に盲信しており、そのストーリーを本にまでしています。(「※「検証福島原発事故 官邸の100時間」)
そして国会、政府事故調が共にそれを否定したことに不満を持ち、おそらくは菅氏サイドから調書が流出したことを幸いにして、吉田証言をズタズタに改竄して記事にしました。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-ab8a.html
木村記者はこのヨタ記事を書いたことの動機をこう述べています。
「―事故から2年半以上経ちましたが誰にも責任が追求されていません。報道者としてどう思いますか。
異常ですよね。原発事故は日本のジャーナリズムにとって2度目の敗北だと思います。一つは、戦争を止められなかった、アジアに侵略したということです。ジャーナリズムはここで一度敗北しています。
今回は、結果として原子力発電所の事故を招いてしまったという意味で2度目の敗北です。原発事故は戦争と同じではないでしょうか。戦争の責任はだれも取っていませんよね。一億総懺悔という言葉がありました。国民みんなが悪いんだ、みなさん手を繋いで一緒に責任取りましょう、という。今回も誰も刑事責任を問われていません。これを許してしまっているのが僕たちですよね。ジャーナリズムはそれを許していいのでしょうか」
(※「報道の力で奪い返す」第13回早稲田ジャーナリズム大賞奨励賞・連載「東京電力テレビ会議記録の公開キャンペーン報道」木村英昭記者に聞く |)
この「原発事故は戦争と同じだ」という木村記者の考え方こそ、典型的な朝日記者の発想を物語っています。
そもそもまったく別次元の福島原発事故と戦争を並列して並べ、「アジア侵略を止められなかった(戦前の)ジャーリズム」と「原発事故を招いてしまった(今の)ジャーナリズム」は二度敗北している、というのです。
この「二度の敗北」を許さないという「正義感」で木村記者は、あのような捏造記事を飛ばして、ついでに自分と同名の社長の首まで飛ばしてしまったということになります。
このようななんでも先の戦争にアナロジー(類推)するような特殊というか、独特な発想を私は「朝日イデオロギー」と呼ぶことにしています。
かつての「戦争」を多角的検証なしに単なる侵略戦争と捉えて、旧日本軍の「戦争犯罪」を永遠に糾弾し続けることこそがジャーナリズムの使命だと考えています。
きっと木村記者の脳味噌の中では、こんなふうな転換されているのでしょう。
・戦争=原発事故
・軍部=東電
・戦争責任=事故責任
・反戦勢力=反原発運動
この図式を見るとなぜ、反原発運動グループがそのまま反安保運動グループとキッチリ重なるのか、なんとなく分かってきますね。
木村記者にどうやったら戦争が止められたのかと問えば、たぶん反戦運動をすると答えるでしょうし、どうしたら原発を止められるのかと問えば、反原発運動をするなんて答えそうですね。答えになっていないがぁ~(笑)。
こういうのを頭のいい中坊と呼びます。成長がどこかで止まっています。
私はいわゆるA級戦犯を特に弁護する気はありませんし、彼らの誤った政治選択が日本国民を塗炭の苦しみに突き落としたのだと考えています。
朝日は決まり文句のように「無謀な侵略戦争に突入した」と書きますが、では日本が望みさえすれば戦争にはならなかったのでしょうか?
米国は、絶対に戦争をする意志を固めて、日本が呑むことが不可能な条件を出した上で、石油とくず鉄の禁輸で締め上げていきました。
この構図は、ブッシュ政権がイラクに押しつけた「大量破壊兵器を差し出せ」という、ないものを出せという要求と同じです。
一方、英国は対独戦勝利のために米国の介入を熱望し、中国もまた独力での勝利が見込めないために米国の参戦を待望していました。
このような国際的条件を一切無視しても、単独で米国の要求を呑めば、国内で陸軍がクーデターを起こしていたかもしれません。
つまり、日本の意志だけで戦争が避けられたというありえない空論の上に成り立っているのが、この朝日流の戦争認識なのです。
このような現実の諸条件を無視して、彼らだけの責任を問い、自分だけは白い手だという朝日の神経がたまりません。
朝日は、ご承知のように戦前は大政翼賛のトップランナーでした。そのうち検証してみたいと思って資料を集めていますが、ヒットラーを礼賛し日独伊三国同盟を言論界で推進したのも朝日、満州事変を熱狂したのも朝日、戦争突入を煽ったのも朝日です。
ひとつだけ記事を紹介します。リードがすごい。朝日のソウル特派員とパク・クネ氏にお見せしたいような内容です。
「朝鮮に徴兵制実施 澎湃たる民意に応ふ」「多年の念願実現 半島同胞徴兵制施行に歓喜><朝鮮・徴兵制に感激の波高し 上京して宮城奉拝 一死応へ奉らん」「今こそ真に日本人」 朝鮮の徴兵制に血書の感謝状」
「ああこの日本帝国に生れ合はした幸運、朝鮮人も祖国日本のため米英撃滅に参加出来る喜びをお察し下さい、今こそ靖国の英霊の仇を討って見せます、天皇陛下万歳、大日本帝国万歳」(朝日新聞昭和17年5月15日)
開戦となるや、大本営発表垂れ流しのような紙面を作り続け、一億総火の玉になれとアジりまくって戦意高揚に邁進したのも朝日でした。終戦前日には本土決戦を呼号しています。
「いかに敵が焦慮の新戦術を実施しようとも、一億の信念の凝り固まった火の玉を消すことはできない。敵の謀略が激しければ激しいほど、その報復の大きいことを知るべきのみである」(昭和20年8月14日社説)
言論界A級戦犯は間違いなく朝日です。
これは近代における総力戦の性格が、すべての社会・経済と国民をようしゃなく戦争遂行に巻き込むためで、ある意味すべての国民が「戦争協力者」になってしまうからです。
ですから朝日のように「アジア侵略」をしたい邪悪な勢力と、それを阻もうとする「正義」の勢力みたいな、マンガのような二分法ではなにもわからないのです。
しかも、さきほど述べたように朝日には大きな声ではいえない「戦争協力」の、いや「戦争推進派」の暗い過去がありました。
だからこそ、この戦争責任をA級戦犯に全部被せてしまい、中韓と女性が一方的被害者だとして、彼らに謝罪し続けることが良心的知識人たる資格だという教義を作ったのです
朝日は自分の延命のために戦争責任を回避する必要がありました。そのためにはこの贖罪意識を全国民が共有してくれることが必須だったわけです。
朝日はその教導師役として、「なんかちょっと違うんじゃない」と思う頭の悪い子供である国民に、毎日「天の声を人が語る」ように噛んで含めて贖罪を説くというのが朝日独特の上から目線のスタイルを生みました。
なにせ自分を「天の声」になぞらえるのですからハンパではありません。これが戦後の朝日という会社のビジネスモデルになっていきます。
こういう終戦直後に生れた朝日イデオロギーがあってこそ、慰安婦問題がいかに資料の実証研究や実地調査で完全否定されようと、ないものとして受け流し続すことができたのです。
つまり朝日は、事実は「正義」の前には瑣末なことでしかないと思いこんだわけです。
※木村、宮崎記者の発言部分は「政局観察日記」を参考にさせて頂きました。ありがとうございます。 http://iiko.hatenablog.com/entry/2014/09/12/130206
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■安倍首相「朝日新聞が努力を」 慰安婦記事取り消し
朝日新聞2014年9月15日
安倍晋三首相は14日のNHKの番組で、朝日新聞が慰安婦を巡る吉田清治氏(故人)の証言を伝えた記事を取り消したことについて、「朝日新聞自体がもっと努力をしていく必要もある」と述べた。
首相は番組で「日本兵が、人さらいのように人の家に入っていって子どもをさらって慰安婦にしたという、そういう記事だった。世界中でそれを事実だと思って、非難するいろんな碑が出来ているのも事実だ」と指摘。その上で「世界に向かってしっかりと取り消していくことが求められている」「一度できてしまった固定観念を変えていくのは、外交が絡む上では非常に難しい」などと述べた。
次世代の党の平沼赳夫党首は同じ番組で「実際に携わった人を呼んで、真相を究明しなければならない」と述べ、臨時国会で朝日新聞の関係者を参考人招致するよう求めた。「相当、国益に大きな悪影響を与えた。従軍慰安婦とその他も、しっかりと(招致の)対象にしていくことが大切だ」とも語った。
また、自民党の稲田朋美政調会長は同日のフジテレビの番組で「32年間、誤報を放置してきたことは不作為による虚偽と言っても過言でない。まずは自分(朝日新聞)自身で検証することが大事」と主張。朝日新聞が社外の弁護士や歴史学者、ジャーナリストらによる第三者委員会を立ち上げ、この問題を検証することについて「注視したい」と語った。
■朝日新聞社対応「評価」は僅かに6.4%
NNN世論調査
2014.09.16
NNNが12日~14日に行った世論調査によると、福島第一原発の吉田所長の証言、いわゆる「吉田調書」と慰安婦問題の報道を巡る朝日新聞社の対応について、「評価する」と答えた人は6.4%にとどまり、「訂正・謝罪は評価するが遅すぎる」が63.6%に達した。「評価しない」は23.3%となっている。
また、朝日新聞社は信頼を回復することができると思うかという問いに対しては、「思う」が21.5%なのに対し、「思わない」が60.4%に上っている。(読売テレビ)
<NNN電話世論調査>
【調査日】9月12日~14日
【全国有権者】2070人
【回答率】50.1%
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朝日が敗戦の前日まで煽っていたとは・・・
まあ、戦争中の国は須らく停戦の日まで全国民一丸となって戦争に協力すべきものではありますが。
よく現代日本を戦前に似た雰囲気だと知識人達は言いますが。
戦争をしたい大国がある、と言う点ではそうだと思います。
そんな国に対して戦争を嫌って譲歩したら、相手は更に無理難題を押しつけ、結局は、より不利な立場で戦争を始めることになる、ということになります。
そうならないためには、相手の最初の要求を拒否して相手をつけ上がらせないことが肝腎ですね。
直近ではさしずめ、「条件付き」の日中首脳会談を拒否する、というところでしょう。
投稿: プー | 2014年9月16日 (火) 09時26分
プーさん。
まったく許したい連中の末裔です。
ああ、 今年は東大卒がゼロでしたっけね。みなさんおめでとう!
ほとんどはワセダのアカか。まだ、やり直したいなら可能だよ。本人次第だけど。10年以内ならなんとか修正つくよ。
思想どうこうじゃなく、今時の学生でITにも詳しいなら、朝日なんかぶっこわして、自分たちの新聞社つくればいいたろ!
参考にちょっと偉い人(右でも左でも)呼んできて。
おまえらくらい優秀なら、その気になりさえすれば、そのくらいの力くらいあるだろうに。
『報道』とは何か?
今からじっくり考えてもいいんじゃないかと。
まさか『国民の啓蒙』なんて夢想を描いてるんじゃないよな!
それこそ戦前の大政翼賛会そのものだよ。
投稿: 山形 | 2014年9月16日 (火) 12時59分
しかし、安倍さんも長州の軍人みたく靖国参拝を
推してるので、朝日にあーせいこーせいと言って
も、外国にはまったく説得力がないわな。
この国には、マトモな保守中道というものがない。
キチガイの左と、明治恋しい右しかいない。
「プロメテウスの罠」という三文文士が書いたよう
な表題にはヘドが出る。いかにも気取った記者の顔
が想像できるから。こんな表題は原発事故被害者に
対する侮辱でもある。
学生運動の失敗(成功確率は0%だったけど)が年を
経て、今頃になってレッドモンスターが話題になる
とは・・彼等は変われないままお金儲けに走った。
そして無様な醜態を晒した。あとはお墓へどうぞ。
投稿: アホンダラ | 2014年9月17日 (水) 01時53分