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2014年10月21日 (火)

米国初のエボラ出血熱患者を時系列で追う

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自衛隊の派遣は、連絡官をドイツ・シュトゥットガルトの米アフリカ軍司令部に派遣するもののようです。情報収集が主任務だと思われます。西アフリカの人には不人情ですが、正直、安心しました。

さて米国疾病感染症センター (CDC)は、ダンカン氏(※)のエボラ出血熱の診断が確定した9月30日午後7時にCDC職員がアトランタからダラスに到着しています。(※トーマス・ダンカン「トーマス氏」と表記される場合もある)  

CDCは感染拡大阻止への3ステップとして、次の措置をとったと発表しています。

① 感染した患者への集中治療
②今後、患者の治療に当たる病院スタッフへの感染予防の徹底
③これまでにダンカン氏と接触し感染の可能性のある人の同定

しかし、CDCの公式発表と現実は食い違っています。時系列でダンカン氏を追ってみます。

リベリアで、結婚を間近に控えて婚約者の待つダラスに急ぐダンカン氏の前に、妊婦の娘が現れました。

彼は苦しんでいた彼女をタクシーに乗せる手伝いをします。優しい心根の青年だったのでしょう。

その瞬間に娘から彼に、エボラウイルスは乗り移っていました。

9月19日 ダンカン氏リベリアを出国する直前に、19歳の妊婦が病院行きのタクシーに乗るのを介助した。この妊婦は同日夕刻にエボラ出血熱で死亡。介助の際にダンカン氏は妊婦の血液或いは何らかの体液に触れたと思われる。
9月19日 ダンカン氏出国に際して、「エボラウイルスに感染した人に接触したことはない」と申告。帰路は、ベルギー・ブリュッセル空港及びワシントン・ダレス国際空港を経由。
9月20日 ダラスに帰国。出入国時に発熱などの症状なし。
9月24日 発熱・腹痛が始まる。
9月25日夜10時 プレスビテリアン病院救急外来を受診したが、軽症と判断され、抗生剤の処方で帰宅となった。保険がないためとも言われる。受診時にダンカン氏は病院スタッフにリベリアから渡国したことを申告した。しかし、この情報は医師に伝達されていない。
9月28日 ダンカン氏容体悪化。救急車で再びプレスビテリアン病院の救急外来を受診し、緊急入院。意識レベルは会話がかろうじてできるていどに低下。

9月30日午後1時 PCR検査(高感度なウイルス遺伝子検査法)で2回検査陽性。米国初のエボラ患者と判明。陰圧室に隔離。集中治療するが死亡。遺体は病原性を保持しているため、点滴チューブや気管挿管チューブを外すことなく、2重のプラスチック袋に埋葬され、直ちに火葬。
※ダンカン氏の婚約者など接触した可能性のある48名は現時点で陰性である。

整理すればこうなります。

エボラ感謝と接触したという自覚がないケースもあり、当人の「患者とのい接触はない」という自己申告は信用性に欠ける
潜伏期間中に空港をすり抜けることがありえる
③伝染病隔離施設がない病院に緊急外来で来院するケース
がある
エボラウイルスの訓練をされていない病院が大部分である
⑤看護師の2次感染がありえる
エボラ対策の施設、訓練が不十分な場合、病院が感染ハブになる可能性がある

の際にダンカン氏の看護をした看護師のニーナ・ファム氏と、もう一名の看護師アンバー・ビンソン氏にも院内感染を引き起こしていました。(※実名に関して、米政府は今回重大事態のために個人情報保護を解除している) 

全米看護師組合は、15日大統領に対してこのような要請書簡を公表しています。  

政府はすべての医療機関に対し、高い安全基準と対応の手順を定める必要がある」(産経10月18日)   

これには理由があります。ダンカン氏の受け入れに際して恐るべき病院側の無神経さが明らかになったためです。 

同病院の複数の看護師からの聞き取りに基づく指摘で、死亡患者は症状が出ていたが数時間も他の患者と同じ区画に置かれ、初期段階で使われた防護服は首の部分がカバーされていなかったという。組合幹部は「感染した看護師は防護手順を守らなかったと批判されたが、手順そのものが存在しなかった」と指摘している」(毎日新聞 2014年10月16日)  

組合によれば、エボラ患者が死亡した後にもカバーをかけられただけで治療室に数時間置かれ放しであり、少なくとも7人の他の患者が同じ治療室にいたといいます。

つまり、日本でいえば第一種感染症指定医療機関に隔離収容するのは状況的に無理だったにせよ、完全に他の患者と完全に隔離すべきなのにもかかわらず、病院はその措置を怠ったことになります。

病院がエボラウイルスについて無知であった、と批判されてもやむを得ないところです。もっともわが国でも、おそらくこれ以下の対応しかできないでしょうが。

2次感染者を医療従事者から出した全米看護師組合側(※)は、死亡患者の治療を担当していた看護師は、他の患者の看護も続けており、その間まったくエボラ出血熱に対して予防措置を講じていないと述べています。 ※感染した看護師は組合には加盟していなかった。 

受け入れ前の、エボラ治療に関する事前セミナーも必修ではなく、受講者も少なかったようです。

また組合側の主張では、当時ダンカン氏は「激しい下痢や嘔吐」の症状を呈しており、濃厚なエボラウイルスが嘔吐物や便などでまき散らされていたにもかかわらず、担当看護師に支給された防護服は手首と首の部分が開いているような欠陥防護服でした。 

おそらく着脱や嘔吐物の始末などの対処方法も、訓練なしのぶっつけ本番だったと思われます。

ベイラー大学病院ベイラー研究所の滝田盛仁氏は現地レポートで、病院側の発表と看護師組合の主張を比較しています。

「なぜ、病院で2次感染?――具体的にどのような作業が原因で、2人の看護師がエボラウイルスに感染したか未だ不明である。病院の説明では、2回目にトーマスさんが救急搬送されて以降、医療スタッフは全員、CDCのガイドラインに沿って、ガウンや手袋、マスクなどの血液・体液感染を想定した感染防御対策をしていたという。エボラウイルスに感染した2人の看護師は、1回目にトーマスさんが救急外来を受診した際に診療に携わっておらず、感染防御対策を開始した2回目の来院からトーマスさんの治療に当たっている。
これに対し、全米看護師連合 (National Nurses United)の調査によれば、(1)トーマスさんは救急搬送後、数時間、個室に隔離されていなかった, (2)手首や首が完全に締まらない簡易タイプのガウンが看護師に支給された, (3) 看護師を対象とした実地訓練は実施されていなかったなど、病院の受け入れ体制に不備があったと言う。病院長はトーマスさんの1度目の救急外来受診について対応のミスを認め、公式に謝罪した。現在、CDCが真相を究明中だ」
(ベイラー大学病院ベイラー研究所滝田盛仁医師Vol.239 現地レポート(2): 拡大した米国でのエボラウイルス感染)
  

なお、一回目のダンカン氏の受診について病院長は謝罪しています。リベリアからの帰国を聞きながら医師に伝えず、抗生物質ひとつ与えただけでダンカン氏を追い返したのですから、罪は深いといえます。

さてこれでCDCの不手際は終わったわけではありませんでした。まだ続きはあります。  

エボラ患者のダンカン氏を看護したふたりの看護師のひとりであるビンソン氏は、10日にダラスから中西部オハイオ州クリーブランドまで空路で移動しています。

Photo

 (図 産経新聞10月18日)

この2次感染者二人も時系列で追ってみましょう。

●10月10日(※8日という説もある) テキサス・ヘルス・プレスビテリアン病院看護師アンバー・ビンソン氏はオハイオ州クリーブランドへフロンティア航空1142便で向かう。
●10月13日 同地からダラス・フォートワース行きのフロンティア航空1143便で移動。
●10月16日 ダラスからファム氏ワシントンへ移動。(便名不明)。

CDCのトーマス・フリーデン長官は、記者会見で「(ビンソン氏は)渡航すべきでなかった」と遺憾の意を表明し、同時に「彼女は嘔吐、出血といった症状を確認しておらず周囲が感染したリスクは極めて低い」と述べています。

そのダラス便に登場したときに、既にビンソン氏は37.5度の発熱をしていました。発症していたのです。

ですからこのビンソン氏の移動は爆弾をバラ撒いているのも同然なことでした。

フリーデン長官は「渡航すべきでなかった」などと責任転嫁を図っているようですが、エボラ出血熱について知識をもっていた看護師のビンソン氏は、搭乗前にCDCに問い合わせて搭乗してよいかどうかを相談しているのです。  

それに対してこともあろうに、防疫の総本山であるCDCはあっさりと許可してしまいました。重大な誤判断です。  

後にCDCフリーデン長官は、「許可すべきではなかった」と認めていますが、後の祭りでした。  

現在、この機内に居合わせた人々は厳重な監視下に置かれていますが、エボラ出血熱は最長21日間の潜伏期間がありますので、予断を許しません。  

いずれにしても、「エボラ出血熱が米国にたどり着けることはありえない」と豪語していたオバマ氏の楽観を裏切って、米国内で静かに感染拡大が拡がっているとみるかどうか、ここ数週間が山場となります。

れにしても、世界がエボラ出血熱のパンデミックに備えているこの時期に、ウチワがどうたら、天童よしみショーがこうたらと、大臣の首を取った取ったとはしゃいでいる日本のマスコミには心底うんざりします。  

                                              (続く)

■写真 霞ヶ浦のカモメの三段飛び 。クリックしてね。

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コメント

最初、先進国のマスコミはズバリとは言いません
でしたが「途上国のその又田舎じゃ、衛生観念と
いうものが無い。呪術師がお祈りしてるんだぜ、
そりゃ、エボラも広まるさ」「先進国の俺たちゃ
清潔だし、ウィルスの知識もある。患者なんて出
ないよ」ってな楽天的なものでした。

マスコミは古今洋の東西を問わず、ただの情報屋
ですから、売れる情報を捏造して発信しています。
今回は、暗黒大陸アフリカを貶して優越感に浸り
たい大衆に迎合したようです。それが、自分達の
ケツにも火が付いた。日本のマスコミは、その火
にも気がつかないらしい。商人として見れば立派
ですけど・・

私は日本のヤクニンの習性から、エボラ患者が出
ても発表しないと思います。「えっ、そうだった
の~」と後から白々しく言い訳するパターンです。
だから、余計に心配です。

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