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2014年10月24日 (金)

米国CDC(疾病対策センター)のもうひとつの顔

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CDCとWHOは表面的には協調していますが、実態は競合関係にあります。 

既に世界でエボラウイルスに感染した医療者の数は、テキサス州の看護師の2名のケースを加えると合計実に418人。うち234人がすでに死亡していますが、WHOはそんなアブナイ場所には行きません。

WHOから派遣された「国際公務員」は、各国の首都にある空調の効いた官庁の一室に常駐して、各国の関係官とデータを収集するのが仕事です。 WHOは現実の医療支援をする組織ではないのです。

エボラウイルスの患者の血を浴びかねない修羅場に出向いて、医療行為や医療支援に携わるのは、自前のロジスティクス(物流システム)を持つ米国CDC(疾病対策センター)や「国境なき医師団」などの国際的NGOです。 

今回の感染拡大でも米国は、3000名の軍隊を派遣してCDCの支援にあたらせようとしています。 (欄外参照)

さて、CDCが伝染病の専門的知見について他国に追随を許さないのには理由があります。 

それは世界でもっとも多くのウイルスサンプルをストックし、多くの遺伝子解析をおこなっているからです。 

このエボラ出血熱のゲノム解析に成功したのもCDCで、07年に特許を申請(取得は12年)しています。各国の研究機関はCDCから提供されたデータを基にして研究しています。

ではなぜ、CDCはそんな膨大なウィルスサンプルを持っているのでしょうか? それはCDCの「もうひとつの顔」を知らねばなりません。

よくマスコミはCDCを「日本の国立感染症研究所のようなもの」と解説していますが、半分正解、半分ハズレです。 

他国の伝染病研究機関とDCDか決定的に異なるのは、CDCが生物兵器の攻撃も想定している「準軍事的」色彩を持っているからです。 

CDCに与えられた任務は、一般的な伝染病制御だけではなく、米国に対する生物兵器の攻撃を防御することです。それは冷戦期から一貫して変わりません。

冷戦期に米国は、旧ソ連に対抗してみずからも生物兵器を保持し、逆に旧ソ連の生物兵器の攻撃を恐れてABC(核、生物、化学兵器)防護を準備していました。

その「槍」に当たるのが、陸軍感染症医学研究所(ユーサムリッド/フォートデリック)で、「楯」に当たるのがCDCというわけです。

先に述べた西アフリカへの軍隊派遣されるであろう部隊には、必ずフォートデリックの生物兵器の専門家が含まれているはずです。

たとえばこのような憂鬱なシナリオがありえるかもしれません。

ボコ・ハラムはアルカイダの基地で訓練されていますが、彼らテロリストが感染国に侵入して、感染者の体液や汚物などを採取したとします。

テロリストが自爆テロを行うつもりなら自ら感染して、潜伏期間中に移動することでしょう。そして旅行者のふりをして、非感染国からドバイを経由してヨーロッパに移動します。こうすることで西アフリカからの痕跡を消せます。

そしてEU域内の警戒の薄い国から英米独などの主要国を目指します。米国の場合はメキシコなどに立ち寄ってから陸路で米国内に侵入します。

いったん国内に潜入すれば、交通機関やターミナル駅、公共施設、ショッピングモールなどでウイルスをバラまけば、あとは想像したくもありません。

とうぜん米国は、テロリストのバイオテロを想定しないほど、お人好しではありませんから、セキュリティ・レベルは上げているでしょうが、このようなテロをあらかじめ防御することは極めて困難です。

ですから、発生した場合、直ちにファビピラブルなどのような治療薬を配布して、初動制圧を図るしかないわけです。

つまり、バイオテロは「貧者の核爆弾」なのです。

このようなシナリオを想定している国が米国であり、そのためにあるのがCDCなのだということを忘れるべきではありません。

なお、日本といえば、来週に書きますが、エボラウイルスの確定判定ができるBSL-4施設すらない有り様ですから、なにをかいわんやです。

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エボラ対策で米軍3000人派遣、オバマ大統領が追加支援表明
ロイター[アトランタ/モンロビア 16日 ロイター]
 

 オバマ米大統領は16日、西アフリカで拡大しているエボラ出血熱は世界に安全保障上の脅威をもたらす可能性があるとし、3000人の軍展開を含む支援拡大を表明した。  派遣される3000人にはエンジニアや医療関係者も含まれ、もっとも被害の大きいリベリアの首都モンロビアに地域司令部を設置する計画。このほか、100床を完備した治療施設17カ所を設置するという。  

大統領は、アトランタの疾病対策センター(CDC)本部で「現実に、(エボラ熱の拡大状況は)改善するより悪化するほうが先となるだろう。だがいまなら、数えきれないほどの命を救うチャンスがまだ残っている。いま世界には、行動する責任がある」と述べた。

 

 

 

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コメント

いつも目から鱗の記事ありがとうございます
バイオテロの可能性は確かに考えてなかったですね
相変わらず我が国は政局に忙しいですからねしょうがないね(呆れ)

大変勉強になります。

このエボラに対して、日本はアメリカと共に重要なプレイヤーです。
その日本の政局を混乱させているのは誰(の意図)なのでしょうね。

日本も他人事ではありませんね。もし狙われたら…想像したくもありませんが。
自爆上等(聖戦)で仕掛けてくるテロほどタチの悪いものは無いでしょう。
かつての連続爆弾テロや、社会を震撼させたあのオウム地下鉄サリン事件でさえ、実行犯自身は退避前提だったんですから。

私はたまに東京に行く度に、変わりゆく街の姿に驚きつつ「なんて無防備な巨大密集都市なんだ…」と、いつも思います。

一昨日はカナダで国会にテロリスト侵入で大きな報道になりましたが、先週の国会議事堂敷地内に侵入した男を取り押さえるまで1時間半もかかってたのを見ると、全くシャレになりません。


あと、皆さんもマスコミ(見ちゃいないだろうけど)も、CDCが何なのかくらい少し勉強しましょうよ。
旧軍の731部隊(勿論肯定はしないよ)の批判なんかすぐに番組になるけど、それこそ誰の意思なんだか。

大臣(内閣改造は失敗でしたね…)の領収書でSMクラブへの支出で野党が追求とか、何やってんでしょ。
大臣は行ってないとのことですが、どのみち性癖はどうでもいい。本人だろうと秘書だろうと自腹で行けよ!ってだけ。
全く、閣僚もいかんが、マスコミもよく飽きないもんだなあ。
もっと大事なことが山積でしょうに。

>相変わらず我が国は政局に忙しいですからねしょうがないね(呆れ)

本当にそうですね。
団扇で大もめにもめている姿は腹立たしいと言うよりも情けない。
辞任に至った二人の自民党女性閣僚の脇の甘さにも呆れますが、
鬼の首を取ったかの如く大騒ぎをしている野党(特に民主党)
の姿にも閉口します。
この人達は自民党を貶めるためには日本がどうなろうと
知ったこっちゃないのでしょうね。
いわゆる「健康のためなら死んでもいい」というやつですか。

話は変わりますが、
バイオテロが貧者の核兵器というのは正しくその通りで、
自爆テロなんかよりよほど怖いし質が悪いといえますね。

本件では、日本は欧米に対して恩を売れる絶好の機会です。逆に、それを邪魔したいのは誰か。

日本は、ムスリムからは恨まれていない立場ですが、近隣国のテロには弱いという問題があります。
まあ、地下鉄サリンや和歌山カレーも、相手が何者か分からなかったから大変でした。逆に、最初から相手が分かっていれば強敵でも何とかなります。

管理人さんのエントリーを読むに益々、日本はシステムが無く、アメリカは運営が下手、と感じます。
誰かが、司令官がアメリカ人で兵士が日本人なら最強、と言っていたのを思い出します。

プーさん。

確かにシビアな国際政治の場においては「恩を売る」というのは間違いではないですが…

そこは日本的奥ゆかしさを持って「国際貢献」と言うべきでしょう。だからこそ信頼されてきたのですから。
今回のアビガンも一企業の無償提供です。

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