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FIT終了の原因 「空枠取り」「ブローカー」「小分け」詐欺

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経済産業省がようやくメガソーラーの新たな認定を一時停止し,既に認定した事業者の増設も凍結すると発表しました。(欄外参照)

既報のように、小渕優子経済産業相は9月26日の閣議後記者会見で、「再生エネルギーの最大限の導入に向け、あらゆる角度から検証する」と述べて有識者会議の中に専門部会を立ち上げて検討に入ると言っていますから、来年度からの大幅見直しが始まるのは確実です。

原因はFIT制度そのものが詐欺的手口の温床になっていることに、やっと資源エネ庁も気がついたというところでしょう。

「電力会社が太陽光など再生可能エネルギーを一定価格で買い取る「固定価格買い取り制度」を巡って、九州電力など電力5社が新規受け入れを停止した問題で、経済産業省は11日、大規模な太陽光発電の新規認定を一時停止する検討に入った。既存の太陽光発電事業者の新増設も凍結するなどして、太陽光発電に集中している再生エネの供給量を制限する。15日の同省審議会で固定価格買い取り制度見直しの具体化に入り、年内に方向性をまとめる」(毎日新聞10月11日)

FITの実態を知る者には遅すぎた決断ですが、今この時点ならばまだ最小限の傷で済ますことができます。

原発が停止し続け、再稼働の見通しが見えず、中東情勢の悪化に伴った原油価格の天井状態が続き、加えて円安という要素が重なると、日本のエネルギー価格は破滅的になることが予想されていただけに、ひとまずはよかったというべきでしょう。

反原発主義者の皆さんからは悪罵を投げつけられることは必至ですが、見直しがなければ再エネの健全な発展もないことを知るべきです。

さてこの記事にもありますが、FITは一部の風力を除いてほぼすべてが太陽光に集中しました。

「固定価格買い取り制度」が導入された12年7月から今年6月までに政府の認定を受けた再生エネ設備の出力は計7178万キロワット。うち大型の太陽光発電(出力10キロワット未満の住宅用以外)は6604万キロワットと約9割を占める。風力や地熱よりも事業開始手続きに時間がかからないため、再生エネの新規参入事業者は太陽光に集中してきた」(同)

実は、ドイツも太陽光には手を焼きました。スペインにも起きたこの太陽光ブームは財政を圧迫し、電気料金は高騰させたために、火消しに回らねばならなくなっています。

下のグラフは、ドイツが太陽光FIT鎮静化の特効薬である買い取り価格を下げた時に、発電量がどのように動いたのかを見たグラフです。  

Img_d42bf4a6f4c42610c366f55bdb55ac1                            (図 WEDGE Infinity)

FITが始まった09年には40ユーロセント/kW時(1ユーロ120円換算で48円)だったものが、今やその4分の1以下の10ユーロセントまで下げています。

面白いと言ってはナンですが、必ず価格が下がる時には駆け込み設置か増えます。 

グラフで飛び抜けて青い棒が飛び出している時期が設置量が急増した時期で、キッチリと買い取り価格が下がる直前に対応しています。

ニンゲンの欲には東西はないもんです。 ドイツやスペインでは、北海道様のコメントにあったように太陽光バブルが発生しました。

農家は納屋や牛舎の屋根にパネルを張りめぐらし、風力発電の出資のための市民ファンドが続々と生まれました。なぜって、そりゃ濡れ手に粟だからです。

とうぜんのことですが、わが国でも似た現象が起きています。(図 出典同)

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日本はリベラルメディアが醸成した脱原発の「空気」に酔って、42円/kW時という世界一の高額固定買い取り、おまけに20年間固定というFITという砂糖菓子を作ってしまいました。

あなたの家に電気量販店から勧誘の電話がありませんでしたか。あるいは空き地や屋根の募集のチラシは?年間200万保証などという甘い言葉が踊っていませんでしたか? 

ちなみにFIT開始当時のドイツの相場はだいたい30円くらいですから、そのていどにしておけばよかったものをと思わざるを得ません。 

事実、FIT前に参入していた業者は28円で充分にペイすると試算していました。 

さて、このバカ値は13年度3月期末で終わるというので、そこに向けてグングンと認定量が伸びているのが分かります。

そして大規模に出現したのが、制度の隙間を突く「FIT脱法詐欺」でした。WEDGE誌は「FIT脱法詐欺」の事例を報じています

法的には合法なので、「脱法詐欺」と呼ぶしかないのですが、こんないいかげんな制度を作ったほうが悪いのです。 

やり口はこうです。高値の12年度中に申請書類だけ作って、とりあえずどこかの空き地に土地を確保し、工事中ということにして申請だけ出してしまいます。認定を受ければしめたもの。 

そして、実際には監督が杜撰なことをいいことに空き地のままで放っておきます。これが「空取り」です。 

もちろん発電などはサラサラやる気などなく、「42円」を確定させて権利を得ることだけが目的ですから、これを転売してしまいます。 

これが「ブローカー」ですが、そのまま大きな敷地のままでは買い手がつかないので50kW未満の低圧連系で「小分け」します。 

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                     (写真 WEDGE Infinity)

低圧連携となると、色々とメリットがあります。まず、電気主任技術者が要りませし、電力会社系統接続の事前検討も免除されます。 

ですから、仮に1万kWのメガソーラーならば、50kW未満ギリギリの49.9kWで200件に「小分け」して販売してしまいます。 

また「小分け」にすると、本来発電事業者が負担すべき柱上変圧器等の系統対策コストが買い手である電力会社負担になってしまうそうです。 

まったく買う側の電力会社にとっては、送電線を敷く費用から、柱上変圧器からなにからを押しつけられて、甘い汁を一方的に吸われるのですからたまったものではありません。 

このようなメガソーラー分譲地は全国いたる所に発生しています。特にひどいのは太陽光発電適地と言われる九州だといいます。 

かくしてそのツケは電力会社に回り、さらに電気料金の値上げとして消費者に回って来ることになります。

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大規模太陽光:参入凍結 経産省検討、電力量を制限
毎日新聞 2014年10月11日

電力会社が太陽光など再生可能エネルギーを一定価格で買い取る「固定価格買い取り制度」を巡って、九州電力など電力5社が新規受け入れを停止した問題で、経済産業省は11日、大規模な太陽光発電の新規認定を一時停止する検討に入った。既存の太陽光発電事業者の新増設も凍結するなどして、太陽光発電に集中している再生エネの供給量を制限する。15日の同省審議会で固定価格買い取り制度見直しの具体化に入り、年内に方向性をまとめる。

 福島第1原発事故を踏まえて、政府は再生エネの導入推進を掲げてきた。固定価格買い取り制度は再生エネ発電への新規参入を促す柱と位置付けられてきたが、抜本的な見直しを迫られ、制度設計の甘さを露呈した格好だ。

 経産省は、固定価格買い取り制度を2016年度から見直す方向で検討を進め、改正法案を15年度に国会に提出する方針。政府による再生エネの認定量や買い取り額に上限を設ける総量規制や、太陽光発電の買い取り価格を引き下げるなどの見直しも検討している。認定済みの再生エネ設備の稼働を優先し、小規模な住宅用の太陽光発電の認定も継続する方向だ。風力や地熱など再生エネ全体のバランスを図る狙いもある。

 「固定価格買い取り制度」が導入された12年7月から今年6月までに政府の認定を受けた再生エネ設備の出力は計7178万キロワット。うち大型の太陽光発電(出力10キロワット未満の住宅用以外)は6604万キロワットと約9割を占める。風力や地熱よりも事業開始手続きに時間がかからないため、再生エネの新規参入事業者は太陽光に集中してきた。

 新規事業者には送電網がなく、大手電力各社が買い取りを義務付けられてきた。だが、電力各社は認定された電力をすべて受け入れると、管内の全需要を上回り、需給バランスが崩れて周波数や電圧が乱れ、大規模停電や発送電設備の故障などにつながりかねないと主張。九州のほか、北海道、東北、四国、沖縄の各電力会社が再生エネの新規受け入れを停止し、再生エネの事業者に混乱が広がっている。

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コメント

今更ながらですが、
菅直人の「俺を辞めさせたかったらFIT導入認めろ」
「いくらなんでも太陽光だけ突出して高過ぎ」との指摘に「42円は譲れない」
と、成り上がり政商の孫正義(少なくともセイギは無いな)と結託して無理矢理通した挙げ句に、「送電線は電力会社が作れ」なんて『電力会社=巨悪の巣』といった社会風潮に乗っかって言い出す。
厚かましいにもほどがありますな。
そりゃ、業者はこぞって金儲けに走ります。

しかも、耕作放棄地や遊休地が拡がってましたから、とにかく土地さえ押さえりゃいい。
地熱や小水力みたいな環境アセスメントや、面倒な温泉組合や利水関係者との調整もいらない。設備も簡単で安い。そりゃ申し込みが殺到するわけです。

破綻は見えてました。

うちの県でも県営メガソーラーなんてのがすでに稼働してますし(当然土地はイマイチなとこで、夏以外の午前中は日陰)、
隣県宮城じゃ、バブル期に華々しくオープンしたものの最近は目立った大きなレースイベントも無く設備も老朽化していた仙台ハイランド(現行日産GT-Rの開発コース)を全面メガソーラー化するそうですが…なんせ山の中ですから日当たり最悪で、雪も多いです。

投稿: 山形 | 2014年10月14日 (火) 08時17分

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