噴火と地震の「予知」について
御嶽山の噴火で痛ましい死者が大勢出ました。ご冥福をお祈りします。
さて、噴火の予知できなかったというので、ずいぶん騒いでいる人がいますね。不思議なことにというか、思ったとおりというか、だいたい反原発の皆さんのようです。
川内原発再稼働と桜島を引っかけたいようです。
まぁ、オスプレイを今回の噴火に関連づけている(←ホント)「9条の会会員」もいらっしゃるようなので、なんとかと膏薬はなんにでもつくというヤツですね。http://pbs.twimg.com/media/ByhNfEtCIAArBh-.jpg
マスコミは、地震がこれだけ起きていたのになんで入山規制をしないのだ、気象庁は予知ができたはずだと書いていましたが、そんなに簡単じゃありません。
AFPはこう報じています。
「岐阜県と長野県の県境にある御嶽山の突然の噴火について、フランスの火山学者、ジャックマリー・バルダンツェフ氏(パリ第11大学)は28日、非常にまれな現象で、事前に対応策を講じることは不可能だったとAFPに語った」
」(9月29日AFP)
これが妥当な火山学者の意見だと思われます。
今回はまだ全容は解明されていませんが、水蒸気爆発だと思われていますが、先ほどのバルダンツェフ教授によれば、このようなメカニズムです。
「「火山の内部には地下水がたまっていることがある。マグマが上昇すると、その熱で地下水が急速に気化し、圧力鍋のように火山内部で高圧が発生する。この圧力が地表の抵抗力よりも強ければ、岩石が全て断片状に粉砕され、火山弾となって飛散する」(同)
このような噴火は、発生前に明確な兆候があまりないそうです。ですから状況的には突発的に噴火したように感じられます。
現状の火山学では、火山内の状況が急激に変化するために、「現在の地震感知器では「残念ながらどうすることもできない」と指摘しています。
噴火予知は、地震より簡単だとされています。噴火は測定危機の性能向上と、活火山の24時間監視によって一定程度可能ですが、地震はそうはいきません。
地震は、場所、時間、大きさを予知せねば難しいからです。
「地震を予知するということは、地震の起こる時、場所、大きさの三つの要素を精度よく限定して予測することです。例えば「(時)一年以内に、(場所)日本の内陸部で、(大きさ)マグニチュード5の地震が起こる」というようなあいまいな予測や、毎日起きているマグニチュード4程度以下の小さな地震を予測するような場合はたいてい当たりますが、それは情報としての価値はあまりないと考えます。
少なくとも「(時)一週間以内に、(場所)東京直下で、(大きさ)マグニチュード6~7の地震が発生する」というように限定されている必要があります。時を限定するためには、地震の予測される地域で科学的な観測が十分に行われ、常時監視体制が整っていることが欠かせません。そのような体制が整っていて予知のできる可能性があるのは、現在のところ(場所)駿河湾付近からその沖合いを震源とする、(大きさ)マグニチュード8クラスのいわゆる「東海地震」だけです。それ以外の地震については直前に予知できるほど現在の科学技術が進んでいません。」
(気象庁-地震予知について-太字引用者)
地震が活断層によるものだというのは、一面事実ですが、いくら活断層だといっても、地震の時に動かない限り問題にはなりません。
というのは、日本の地層は掘ればそこらじゅうになんらかの地層の「ズレ」があるからです。
それが活断層だったり、破砕帯だったりするのですが、地震時に問題になるだけで、その上で私たちは平和に暮らしているわけです。
つまり「10年以内に地震が起こる可能性はナン%です」ていどの大きな網はかけられても、1週間以内に起きるか起きないかなどは誰もわからないのです。
よく東大地震研のなんとか先生が、南海トラフの巨大地震も30年以内に60~70%の確率で起こるとなどと「予知」しますが、先ほどの気象庁に言わせれば、そんなことは「予知」ではなく「予言」だということです。
もちろん、観測精度を上げることや、活火山を中心に観測体制をもっと整備していかねばなりませんが、「そのていど」のものだということを頭に置いておいたほうがいいでしょう。
今回、気象庁が予知をなぜできなかったと責められていますが、気象庁は9月16日に、9月10日からの火山性地震について「警戒するように」と呼びかけていました。
「予知」はできていたわけですが、だからといってといって入山規制まで取るか取らないかは、自治体行政の判断です。
つまり、気象庁の「予知」に基づいて、今のような観光シーズンに入山規制を出すか、出さないかは科学の「外」の判断なのです。
予知がはずれたことによる多大な経済的損失と、それでもなおそのリスクを取るかは自治体の判断責任なのです。
噴火や地震には大きなブレというか、「幅」があり、それを承知で現実の防災にどう役立てるかは政治の領域の問題だということをわきまえましょう。
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