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« 外国任せのエボラ出血熱確定診断 | トップページ | 今回のエボラ疑い事件は幸運だった »

2014年10月28日 (火)

政府は責任をもってBSL-4施設を稼働させよ

038
(昨日からの続きです)

27日、リベリア帰りの男性が発熱していることがわかり、隔離されたそうです。とうとう来たかというところです。

感染研は検査してシロだと28日朝に発表しましたが、これは血液、尿、粘膜からのサンプル採取でしかなく、ウイルス抽出・分離をしていないみなし診断にすぎません。

「厚労省は血液検査をすると言っていますが、何度も書いてきているように、もちろんこれは簡易疑い段階の診断にすぎません。「感染研村山庁舎で患者の血液や尿、のどから採取した粘膜などを検査するが、ウイルスを取り出したり、培養したりすることは許可されておらず、確実に感染しているとの判断はできない」(毎日新聞10月16日 欄外参照) 

エボラウイルスは、米国初の感染死亡者のダンカン氏がそうであったように、わずかな接触から移る場合があります。この時も彼には患者と接触したという自覚はありませんでした。

発症初期にはインフルエンザのような症状なので、知らないうちにまき散らす可能性が高いのです。だからこそ、しっかりとした確定診断をせねばならないわけです。

さてわが国が医療先進国とは名ばかりの、エボラウイルスに対して丸腰同然だということをお話ししてきました。

受け入れ施設は全国で100床に満たず、BSL-4というエボラウイルスを分離して確定診断できる施設がないために、医師は患者の体内のウイルス量を勘でみるしかありません。

そもそも、エボラだという確定診断ができないのですから、簡易診断で判断するだけです。

つまり、わが国はエボラに対処できない国なのです。このことをはっきりと私たちは認識せねばなりません。

ではなぜ、日本のエボラ対策に緊急、かつ絶対に必要なBSL-4施設がないのでしょうか?

理由は無理解な「市民運動」の反対にあります。

BSL-4施設は、脅威度の高いレベル4(P4)を扱う施設ですから、排気や廃液の特殊設備をもつことが法で定められています。

日本において技術的にはまったく問題なく建設することができます。ところが今まで建設した2カ所の施設は、本来の感染症の確定診断に使われていません。

国立感染症研究所は東京都武蔵村山市に建設しましたが、建設反対運動のために稼働していません。現状はただの箱です。

また理研も同様の計画でつくば市に建設したものの、おなじようなP4反対運動のために使用できず、今は本来の目的ではないただの遺伝子組み換え実験施設として利用されているだけです。

一部住民は「地震やテロの危険がある。ウイルスを自分の街に持ち込むな」と主張しています。公平を期するために彼らのパンフの一部を引用します。

「米軍基地(通信施設)や航空自衛隊府中基地に隣接して建設されること自体がテロの危険性があると言えます。特に、航空自衛隊府中基地は、現在航空総隊司令部があり、横田基地に移転・統合された後も支援集団司令部(輸送に関する司令部)が残るきわめて中枢機能をもつ特殊な基地です。(略)
テロの標的となる危険性が高い特殊な自衛隊基地に隣接して国立衛生研は建設されようとしているのです。昨年の新潟中越沖地震で、柏崎刈谷原発は、火災が発生、放射能漏れを引き起こし、安全性について重大な疑問を投げかけました。今に至るも操業は再開できていません。
「震度○○、マグニチュード○○までは絶対に安全」とよく言われます。しかし、過去の災害を見ても設計時の予想をはるかに超える地震や災害によって、常にその設計は再考を迫られてきました。
地震に100%安全だ、という設備や建築物は基本的にあり得ないのではないでしょうか」
http://www.hmw.or.jp/~eiseikenmondai/q_and_a.html

私にはこのようなP4反対運動の主張は既視感があります。瓦礫処理反対運動という「住民運動」がかつてありました。

この人たちは被曝してもいない宮城県の「放射性瓦礫」に怯え、焼却したことで放射能が漏れた影響て頭痛や鼻血や、ときには脱毛が見られたそうです。

こういう人たちにははっきり言ってやったほうがいいと思いますが、それは単なる妄想か心気症(※)にすぎません。

このP4反対運動の人たちも、地震のリスクを無限大に見積もり、印象操作のように「地震が来る。テロが来る」と叫んでいます。

そしてお定まりのように、無理筋で原発や安保問題を接着していきます。

いつもこのような人たちを見ると思うのですが、どうして空気に動かされるだけで、立ち止まってひとつのテーマで建設的議論をしないのでしょうか。

現在検討中の長崎大学の施設に対しても同様の反対運動がなされていますが、今回もまた「市民団体」は、「しんぶん赤旗」や共産党議員の応援を受けているようで、かの政党の影響下にあるものと思われます。

そもそも、この人たちが言うように簡単にBSL-4レベルのウイルスが住宅地に漏れるくらいなら、初めからバイオ施設として機能しません。

この人たちのパンフを読むと、長文にも関わらず、なぜBSL-4の施設が今日本に必要なのかについて言及がありません。聞く耳を持たないのです。

原発の場合は「太陽光がある」と叫んでいればよいのでしょうが、BSL-4施設には代替が存在しません。エボラと戦うには絶対にいるのです。

施設の目的を問わないで、ただひたすら自分の所に火の粉がかかるのを恐れているだけです。

危険だと言う立場もあっていいと思いますが、ならば、かえってその危機因子のトゲを一本一本抜いていき、合意を積み重ねていかねばなりません。

「うちの街にウイルスを持ち込むな」と叫んでいますが、逆に国内にエボラウイルスなどを持ち込ませないためにこそ、しっかりとした防護措置をとったBSL-4施設が必要なのです。

こういったことがわからないようでは話になりません。これではただの住民エゴと言われても仕方ありません。

しかしその議論に参加すると、「建設協力」になるからと忌避します。ですから、建設目的には踏み込みたくないのです。

これでは永久に解決するわけはありません。

おそらく、今回改めてエボラから日本を守るためにはBSL-4施設が必要だと丁寧に説明すれば、かならず大多数の地元の人達は納得してくれると思います。

しかし、今鹿児島川内市でおきているように、かならず一部の政党を背景にした人達は感情的に反対を叫ぶでしょう。

このような一握りの人々に日本人全体の健康を委ねていいのでしょうか。いいはずありません。

残念ながらかつてこんな反対運動に馴れていない国立感染症究所は、巨額の税金を投入して、閣議決定までもらいながら、あっさりと「住民の気持ちを尊重して」稼働を断念しました。

感染症研究所は、海外から襲って来るBSL-4レベルの確定診断ができないことを熟知しながら、その建設を放棄したのです。無責任のそしりをまぬがれないでしょう。

結局、一部住民のエゴと、感染症研の責任放棄の狭間に落ちて、日本で喫緊に必要とされている確定診断施設が宙に浮いたということになります。

このような事態に対しては、一独法にすぎない感染症研に任せるのではなく、政府が責任ある判断をして、稼働していない村山市とつくば市のBSL-4施設を稼働させ、長崎大学の施設の建設も急ぐべきです。

※なんかヘンだなと思ったら、扉写真落としてました(笑)。

                ~~~~~~~~~

※追記 28日朝に感染していないとの発表がありましたが、しばらく経過観察するために入院させるとのことです。もちろん簡易診断です。

※心気症 器質的身体疾患がないにも かかわらず、自身の身体状態に対して、実際以上に過度に悲観的な悩み・心配・ 思い込みを抱え続け、その結果、身体・精神・日常生活に支障を来たしてしまう精神疾患 の一つ

■エボラ熱検査 28日未明に結果判明へ 

日本テレビ系(NNN) 10月27日27日、西アフリカ・リベリアから東京・羽田空港に到着した男性に発熱症状があり、厚生労働省は、エボラ出血熱に感染しているかを含めて確認するため、男性の血液などを現在、検査している。
 関係者などによると、男性は40代のジャーナリストで、リベリアに滞在したあと27日午後、羽田空港に到着した時に発熱症状があったという。厚生労働省は、エボラ出血熱に感染しているかどうかを含め確認するため男性を都内の特定医療機関に搬送し、現在、血液などを検査していて、28日未明に検査結果が判明する予定だという。
 

■エボラ出血熱:国内検査に懸念…危険ウイルス扱えず
毎日新聞 2014年10月16日
 

 エボラ出血熱への対策が国際的な課題となっているにもかかわらず、日本では感染が疑われる患者が見つかってもウイルスを調べる体制が整っておらず、確実な診断ができないことに懸念が広がっている。危険性が高いウイルスを扱う能力を備えた施設はあるが、制度上、取り扱いが許されていないためだ。厚生労働省の担当者は「現状では感染の疑いの有無までしか調べられない」という。

 国は、ウイルスの危険度を4段階に分類し、危険度の段階に応じて扱える施設を定めている。エボラウイルスは最も危険度が高く、最高レベルの設備を有した施設でなくては扱うことができないことになっている。この制度は、世界保健機関(WHO)がウイルスの危険度「バイオセーフティーレベル」(BSL)から定めた4段階の施設基準に準じている。  

 厚労省によると、日本では約30年前、最高レベル(BSL4相当)の設備が国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)と理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)に整えられたが、地元住民の同意が得られないなどの理由から、現在も最高レベルでの運用は許可されていない。   

 このため、仮にエボラ出血熱の可能性がある患者が見つかった場合、感染研村山庁舎で患者の血液や尿、のどから採取した粘膜などを検査するが、ウイルスを取り出したり、培養したりすることは許可されておらず、確実に感染しているとの判断はできない 

 日本学術会議のメンバーとして今年3月、BSL4施設の必要性を提言した江崎孝行・岐阜大教授(病原微生物学)は「今は特効薬がなく、効果があるのか分からない薬を患者に投与している。ウイルスを培養できればいきなり人体に投与しなくても薬の効果を研究できる」と施設の重要性を指摘する。  

 感染研ウイルス第1部の西條政幸部長も、ウイルスの感染能力の有無やウイルスがどこから来たのかを調べるには、ウイルスの培養が必要という。ただ、西條部長は「万一、エボラ出血熱が国内に入ってきても準備態勢は整えてあり、制限はあるが対応はできる」と話す。

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コメント

「市民団体」やバックと思われる政党は、まるで自分たちがバイオテロを起こしたいのか?という調子ですな。そんな地域エゴ丸出しで国民の安全対策に大穴が空くのは御免被りたい。
そんなら、山奥なり離島なりに施設を作れとでも提言すりゃいいのに、それこそ軍関連施設よりも遥かにテロの危険が高くなりますがね…。
どうして、なんでもかんでも日米安保と原発に結びつけたがるんだか(苦笑)
同じ人達がやってるんでしょうね。言ってることがハチャメチャです。

地震が怖いなら、先日放送されたバイオハザード4のアンブレラ東京支部(あれはあくまでSFで悪の組織でしたが)みたいに、地下深くに施設作るとかいくらでもやりようがあるはずですが。

国も30年も曖昧なままで放置してきた責任があります。

 武蔵村山の施設自体が人があまり住まないところで横田も近いからということだったと思うのですけどね…何かあったときに米軍の協力を得やすいということかと。
 しかし、なんか既視感を覚えるなと思ったら、普天間と同じじゃないですか。安全な頃は気にもしないで近くに勝手に住み着いて、問題が発生したら元からあったほうを問題視するって。


しかし、原発もそうですけどテロや地震という予測できない未来を気にして今そこにある危機を見て見ないふりをするというのもなかなかにすごいですよね。

塩川さん。
全くその通りです。

武蔵村山といえば、日産村山工場(旧プリンス自動車)の広大な跡地があったんですがねえ…宗教団体なんかじゃなく国が買い取って、メディカルタウンにでもしていれば…なんて、完全に後だしジャンケンですが、80年代初期からやっててもレベル4施設を稼働できない事態を考えてみると…。もう、なんとも勿体無いというか…。

多くの記事ありがとうございます。

ムラビトのDNAですわ。ムラの寄合には一人の反対者
もいません。もしいれば、それは村八分であり、村の
秩序の崩壊です。毎日イヤでも顔を合わすような小さ
な村では、反対者は皆でもって説得されました。

法的な効力が無くても、全員一致が原則の伝統は今も
受け継がれています。だだ人数が数十人から数十万人
単位以上になったので、全員一致などムリな相談です。

一億三千万人のムラビト社会には、多数決の原則など
事実上ありません。で、身動き取れなくなっています。
エボラだけの話ではありません。

数百人に一人の頭のおかしな人達が群れをなし、そこ
に片仮名サヨクの連中が生き残りをかけて馳せ参じる。
行政のヤクニンは一切の揉め事を嫌う事なかれ野郎で
すから、法の執行を怠慢する。政治家センセイは冠婚
葬祭や観劇ツアーや収支報告書とにらめっこしている
ので、スカルの中身はカラッポで高度な判断はできま
せん。(空き菅のような判断になってしまう)

まあ、日本固有のリスクとして受け入れて、自分の身
は自分で守るしかありませんわね。こちらは有り難い
ブログですねぇ、改めてありがとうございます。

いわゆるノイジーマイノリティという奴ですか。

確かにこの手の話は山ほどありますね。
普天間と似ていると思うのが大阪の(正確には兵庫県ですね)伊丹空港です。
元々あそこも住宅がある場所に空港を作ったわけではなく、
郊外の農地に作られたそうですが、
高度経済成長とともに新興住宅が空港の回りまで押し寄せて来て、
結果として騒音問題が取り沙汰され始めたというわけです。

後から来て文句を言うというのも変な話ですが、
住民の切なる声となればむげにも出来ず、巨費と膨大な時間を投じて
泉州沖に関西空港を建設することとなりました。
もちろん当初の予定では関空完成の暁には
伊丹空港を廃港するというのがお約束だったわけです。

しかし関空の完成を見て、伊丹空港近隣の住民が何と言ったかと言えば、
「伊丹空港を存続せよ」です。
もうこうなると、何をか言わんやです。
府知事だった橋下氏も何度か伊丹廃港に動こうとしましたが、結局どうすることも出来ませんでした。

石原慎太郎という人はあまり好きな人物ではありませんが、
この人が言っていた「日本人のアイデンティティは我欲」という言葉も
まんざら間違ってもいないなあと思えてきます。

エボラ感染症の確定診断・治療支援

エボラ感染症の確定診断・治療支援のための検体検査をウイルス分離法によって行えば、ウイルスに感染する危険性があるので、緊急避難的に感染研村山庁舎の老朽化したBSL4施設稼働が必要となる。村山庁舎BSL4施設の安全キャビネットは検体検査に不便なグローブボックス型であり、ウイルス分離法はウイルス有無の測定に一週間以上掛かる。

海外のエボラ感染症治療現場での検体検査は、ウイルスの遺伝子を迅速に検出するRT-PCR法によって行われている。RT-PCR法は、確定診断や退院決定に必要なウイルスの有無の測定だけでなく、治療・薬剤効果の判定に必要なウイルス量の増減も測定できる。RT-PCR法は、検体にタンパク質分解酵素を混入してウイルスのエンベロープ(膜)を分解して遺伝子を検出する。エンベロープの分解によってウイルスは不活性化され、感染の危険性が消滅するので、RT-PCR法はBSL2・BSL3施設で実施できる。

村山庁舎での確定診断もBSL3施設でRT-PCR法などによって実施されているが、患者の検体採取時にタンパク質分解酵素を混入してウイルスの不活性化処理を行えば、検体は安全かつ簡便に輸送できる。BSL3施設は大学、独立行政法人、企業の研究所などが多数(全国で200以上)保有しているので、特定・第一種感染症指定医療機関に近いBSL3施設で(派遣)検査員がRT-PCR法による検体検査を行えば、検体の輸送時間が大幅に短縮され、確定診断や継続的治療支援が迅速に実施できる。国際医療研究センターに収容された患者の検体検査は、近くにある感染研戸山庁舎のBSL3施設でRT-PCR法により行うのが合理的である。

そういえば、日産工場跡地は巨大電柱断層があったと誰かが大威張りで言ってたような記憶が(大笑い)。だから、P4施設なんてダメだったんじゃなかったっけ。

もはや市民って響きそのものが薄っぺらいものにしか聞こえないですね。
事実、自称市民団体は目的もやり方も一貫性がなく、組織そのものも不透明性が高く信用できるものでもありません。

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