伝染病の火薬庫・中国
先週、ロシア通信社の衝撃的なニュースが駆けめぐりました。
「中国南部の広東省でエボラ出血熱に感染している疑いが持たれていた43人は、分析の結果、陰性だった」(ロシアの声9月22日)
この初報は「陰性」と「陽性」を取り違えるという誤報であることがすぐに判明して削除されたのですが、やはり中国に出たかと身構えてしまいました。
というのは、中国にエボラ出血熱が出れば、その経済的関係の深さから言ってもはや日本上陸までは秒読みだからです。
この「ロシアの声」の報道自体は直ちに否定されましたが、多くの防疫関係者は米国の次に出るのは中国だろうと考えています。
いやむしろ、既に発生していてもなんの不思議もないからです。
「ロシアの声」は現時点で広東省では今も3000人以上が、エボラ出血熱に感染している疑いが持たれている」と報じています。
「これらの人々は全員、エボラが猛威を振るっているアフリカ諸国から戻ったばかりで、その後、隔離された。今のところ中国、そしてアジア地域全体でも、エボラ出血熱の感染は確認されていない。しかし中国政府は、エボラの流行が深刻な脅威を与えていることを認めている。これを受け、アフリカに実験ワクチンJK-05を数千回分送ることが決まった。JK-05は、中国軍向けに中国の軍事医学アカデミーで開発されたもので、エボラ出血熱の治療薬としての臨床試験は完了していない」(同)
そして高等経済学院の教授で、エビデンス(証拠)に基づく医療(EBM)専門家協会の会長を務めるワシリー・ヴラソフ氏は、現在の状況を受けてこう述べたとしています。
「中国の医療関係者たちは、必要な場合に、アフリカにいる中国人に実験薬を投与する許可を得た。(略)アフリカには中国人が大勢いる。そのため、彼らが第一の保護対象となる。しかし、この実験薬は、実際に保護の役目を果たすのだろうか?」(同)
中国はあまりにアフリカに深入りしすぎました。産経新聞によれば、ある中国外交関係者はこう述べたそうです。
「中国はここ10年でアフリカ諸国との結びつきを急速に強めている。現地の天然資源や成長市場を狙ってインフラ整備計画に数十億ドル規模の資金を提供するなど、アフリカ最大の貿易国になっている」
2004年頃から資源外交のかけ声と共に、中国はアフリカの豊富な資源の獲得も目指しました。
それは日米欧のような公的機関による無償援助ではなく、経済的な得失を考えた投機資金でした。
中国はアフリカの天然資源を担保に自国製機材を輸出し、その代金を資源で受けるわけですが、自国製機材の価格を安く設定し、安く資源を輸入するという手法をとりました。
この方法で現地政府に取り入り、(とうぜん現地政府に賄賂攻勢をしたわけですが)安価で性能の悪い中国製工業製品の輸出先を広げました。
例えば、この方法で自動車会社「中国第一汽車集団公司(FAW)」は、安価しか取り柄がない多くの車をアフリカに輸出することができるようになりました。
もっとも他の諸国と異なったのは、現地の石油や鉱山を押え、そこに採掘権を確保するやいなや、数万人規模の中国人労働者を送り込んだことです。
今やアフリカ各地には、アフリカに渡った80万人から100万人を超えているといわれる中国人労働者のチャイナタウンが各所にあります。
100万人規模まで膨れ上がると、現地住民との人口比率が逆転した地域も生まれ、もはや移民政策、いや態のいい「棄民」ではないかと強い批判を浴びています。
AFP東京発10月30日によれば、エボラウイルスの発見者であるピーター・ビオット氏は空港でのサーモはほとんど効果がなく、WHOの動きはあまりに遅かったと指摘した上でこう述べています。
「数万人規模の中国人が今、アフリカにいる」「だからそのうちの1人が中国に帰国するのは不可能ではない。そのことのほうが、アフリカ人が中国入りすることよりも、私は懸念している」「中国の公共病院の治療の質も懸念材料だ」
一方、アフリカ諸国での中国の存在感が高まるにつれ、人的交流も活発化し、アフリカ人もまたビジネスチャンスを求めて中国国内に大量に流入するようになりました。
「広東省広州市には商売をするため、中国にやってきたアフリカ人による居住区までできている。中国のアフリカ進出が目立ち始めた2004年ごろに形成された。(略)広州現地では住人の肌の色から「チョコレート村」と差別的な表現で呼ばれているという」(拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏)
今や、密入国者も含めてアフリカ人「移民」の規模は、中国当局自身も把握できておらず、「密入国者も含めると10万人(※)を超えるともいわれている」と産経新聞は報じています。※在中アフリカ人労働者の数は諸説あります。
この巨大な「チョコレート村」こそが、帰国したアフリカ帰りの中国人労働者と並ぶ、「エボラの火薬庫」となっています。
「コミュニティーに集まった黒人の比率は、西アフリカ出身者が7割ぐらい。その中にエボラ出血熱の保菌者が入り込んでいる可能性は捨てきれない。中国ではSARS(重症急性呼吸器症候群)の大流行以降、防疫体制をかなり強化しているが、エボラ出血熱のウイルスは潜伏期間が長い。検疫の網をすり抜けていてもおかしくはない」(富坂氏)
2002年から03年にかけて流行したSARSは、広州市が最初の発生地区でした。もし広州で発生すれば、隣接する香港に必ず飛び火します。
その場合、SARS発生時も約1750人が感染し、死者約300人を出しただけに高い確率で同じ事態が起きるでしょう。
また、FAO(国連世界食料機関)の専門家は、「中国当局の許可なしに、専門家を感染地に派遣調査することはできない。中国の本当の伝染状況を把握するのは困難である」と指摘していました。
中国の政治-社会体制はあれからまったく変化していません。今回も肝心な情報はまったく公表されないままです。
新型インフルエンザの時にWHOの関係者がこう述べていたことを、忘れるべきではありません。
「中国当局は、最悪の状況に追い込まれない限り、われわれには本当のことを明かさない」
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香港にエボラですか。うまいことを考えましたね。
デモ隊排除の大義名分が出来ました。
調査しないって、古くて新しい解決策ですね。
中国はエボラで1億人くらい死ぬかもしれませんが、
大躍進や文化大革命を経験した国にとっては無問題なのでしょう。
それこそ、「なあに、かえって免疫力がつく」です。
そんなことより、日本国の感染対策ですね。
実際に上陸してある程度拡散して国民に危機感が共有されてからでないと抜本的な対策は取れないでしょうが、それでも本気になった日本国のことは信じています。
投稿: プー | 2014年10月31日 (金) 08時44分