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2014年11月17日 (月)

沖縄知事選その後を考えるその1 保革対立の終わり 「翁長王朝」の始まり

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沖縄県知事選の結果はご承知の通りです。残念ながら、翁長氏の県民全体を被害者にする公約詐欺が勝ったようです。感情を排して仲井真敗因と、今後のことを考えてみましょう。 

沖縄県知事選開票結果
当360,820 翁長 雄志 無新
 261,076 仲井真弘多 無現
  69,447 下地 幹郎 無新
   7,821 喜納 昌吉 無新
           =確定得票=

思ったより票差は開いていないな、というのが私の実感です。俗に「保守分裂」といわれ、沖縄マスコミが翁長大応援団であった状況を考えると、予想以上の接戦だったというべきでしょう。

例によって保革対立構造になると、かならず革新陣営に寝返る公明党票が乗って、とんとんというところでしょうか。 ただし、公明党などといったコウモリはどうでもいいのであって問題は別にあります。

さて仲井真氏の敗因ですが、これはあまりにも明らかです。 

第1に、仲井真氏陣営が、最大の支持母体だった沖縄財界の勢力構造の変化に巻き込まれたことです。 

国場組を中心とする既存の沖縄財界主流に対して、金秀を引きいる呉屋氏や「かりゆしグループ」の平良氏らの「反乱」が勝利しました。 今後、彼らが振興予算配分利権の勝者となっていくことでしょう。

それは今まで通りの基地提供のパーターにして得られた振興予算の配分という構図が何ら変化せず、むしろ「基地反対」を掲げることで強まるということを意味します。

そもそも今回沖縄財界が分裂したのは(※前回まで一致して保守支持でした)、仲井真氏が埋め立てを承認することで、辺野古移転問題の泥沼に終止符を打ってしまったことに対する不満にあります。

ここで17年間にも及ぶ泥沼が終わってしまえば、これ以上「基地に反対することで政府を追い詰め、その見返りとして振興予算を獲得する」という沖縄流錬金術が使えなくなってしまいます。

それを不満とした呉屋氏などの財界反主流派が、翁長氏の自民党からの分裂を阿吽の呼吸でそそのかしたともいえます。

今後県民は、「翁長王朝」の下で、「新基地反対」の翁長氏を支持していた翁長支持グループ系土木会社が、辺野古の工事に嬉々として参入していく姿を見ることになるでしょう。

県民が、翁長支持母体が基地反対でもなんでもないことに気がつくのは、そう遠い日ではありません。正直言ってゲッソリするだけで、私には関心がありません。

また、「革新陣営の勝利」「沖縄県民の民意の勝利」であるかのように解説するマスコミが今日あたりは溢れると思いますが、それは明確に間違いです。どうして彼らはこうも薄ッペラなのでしょうか。

沖縄革新は、いわば翁長氏という「巨大毒ダンゴ」を呑んだネズミ状態になっただけです。

翁長氏は、翁長氏総決起集会に行って、「今後はスーパーかねひでに行って沖ハムを買おう」などと言っているような、なんともナイーブな革新の人たちに飼い馴らされるようなウブな手合いではありません。

今回沖縄革新は長年続けてきた独自候補の擁立にすら失敗し、かつての宿敵である翁長氏を山車に乗せざるを得ませんでした。

革新陣営やマスコミの皆さんはよほどの能天気なので分からないようですが、翁長氏に辺野古移設反対などをする意志はまるでありません。

あるならば、公約にとうに「承認拒否」と掲げているはずで、それをしなかったのは、「建設反対」「沖縄の基地負担を減らせ」というリップサービスで済ませる予定だったからです。

さっそくそんな発言を翁長氏は勝利会見で行っていますが、あんなことは、自民、革新の別なく沖縄の政治家なら誰でもいうテンプレート的発言にすぎません。

これにまんまと乗ってしまった沖縄革新と沖縄マスコミは、今後倍返しになって彼らを襲うはずです。勝利のカチャーシーなど踊っていられるのは今だけです。

つまり、翁長新知事の登場によって、今までの保革対立構造にあった「キレイゴトは革新、本音は保守」という構造が変化し、「キレイゴトも本音もオナガ」という一極化が起きるからです。翁長氏は移設反対を強硬に叫ぶだけで、埋立承認を撤回しません。

というか県知事にはそんな承認拒否の権限がないことは、翁長氏は百も承知のはずです。拒否しない以上、状況は選挙前と何ら変化がありません。

翁長新知事が味方だと勘違いして、辺野古沖でカヌーを漕ぐようなパーフォーマンスは拡がる一方で、そんな混乱した状況を引きずったまま埋立工事は菅官房長官風に言えば、「粛々と進む」ことになります。

よくも悪しくも、迷惑料としての振興予算はそのまま続きます。なにが変化したのでしょうか?変化したとすれば、県知事を攻撃できなくなったことくらいなもので、沖縄流錬金術は温存され続けます。

もし、これが変化するとしたら、それは反対派過激派が、自爆的流血騒動を引き起こすことです。

今も辺野古周辺で意図的に流血の事態を誘うような過激な「直接行動」が繰り返されていますが、その事態で双方に負傷者が出た場合、事態は一転して工事続行見直しへと傾くかもしれません。

その結果、本土政府が温存しているもうひとつのシナリオである、辺野古断念・普天間固定化が視野に入ってきます。

言い換えれば、2014年11月16日に起きた事態とは、翁長党が県の権力の地位についたということで、とりもなおさず「翁長王朝」が開始された年として記憶されることでしょう。

これにより、沖縄革新陣営の果たしていた役割は終了しました。以後、彼らは翁長氏が持ち出す琉球ナショナリズムをくすぐる「本土政府vs沖縄」という構造の中に巻き込まれていくことになります。

この構図に、民主、社民や社会大衆、労組の一部は猫にマタタビなことは明らかで、いっそう空疎な「琉球独立論」が幅を効かせることになるでしょう。

そしてこの構図は、現在の東アジア政治的力関係の中で、いやでも沖縄を中国に吸引していくことになっていきます。

本土政府がかつての民主党政権のような国家観があいまいな性格を持っていた場合、これに呼応していっそう沖縄を中国サイドに押しやることがありえますが、さて安倍政権はどのように対応するでしょうか。

ある意味、ボールは本土政府に投げ返されたわけで、本土政府が「翁長王朝」に対して毅然として対応するのか、さもなくば従来の政府がそうであったような新興予算の上積みといったご機嫌取りに走るのか、あとは本土政府次第となります。 

ここで来月衆院選が行なわれるわけですが、その結果、安倍政権が弱体化した場合、後者の宥和的対応をとらざるを得なくなるでしょうが、その結果かえって移転問題は泥沼化し、翁長党を喜ばせるだけです。

ただし県知事選惨敗の選挙予測はそうとう以前から自民党中枢は握っており、安倍氏と菅氏か国政選挙に撃って出たのは、この新たな事態に対する本土政府のカウンターと見ることもできるかもしれません。(※もちろん主要な解散動機は増税の是非なのはいうまでもありません)

もう既に事実上始まっている衆院選挙選において、沖縄自民党は今回の敗北を踏まえて強力な引き締めをせざるをえないからです。

いずれにしても、沖縄県において復帰後40年間営々と続いてきた保革の持ちつ持たれつという構造が破壊され、月曜の朝にふさわしい憂鬱な「新しい時代」が始まったことは確かなようてす。

簡単に終わりそうもないので、次回に続けます。 

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コメント

まあ、予想通りの結果ですが。

朝日1面見出しの
「辺野古反対派」勝利
これが分かりやすいんですが、つまりそんなに普天間固定化したいのか?と。
支持した土建屋さんたちも困るんじゃないの?

盲信している「革新系」の人々やライトな浮動層はそこが分からないんでしょうね…。

イデオロギーよりアイデンティティーという言葉が麻薬のように
うちなーんちゅの心に響いた結果なのでしょうか。
その後訪れるであろう禁断症状が心配ですが、自業自得なのかも知れません。
しかしいくら「イデオロギーよりアイデンティティー」と言ったって、
保守本流を標榜する候補者に革新陣営が乗っかるというのは
どう考えても節操を疑います。
龍柱などの計画もあるようで、ますます中国寄りに向かうんでしょうか。
小沢一郎といい翁長雄志といい喰えない連中です。

残念な結果でした。
愚民選挙の限界でしょうか。

合理的な判断のできない沖縄人
(いや日本人も)には、
民主主義はまだまだ早いって
思ってしまいました。

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