翁長氏の移転阻止公約サギ
よく、革新陣営の人たちは、基地は沖縄経済の阻害物だと言います。北部はちょっと違いますが、普天間基地に関してはそのとおりです。
普天間基地の広大な跡地利用は、沖縄経済の起爆剤足り得るものです。新たな官庁施設やマミューズメントパーク、あるいは高層住宅地域などさまざまな跡地プランかあるはずです。
これに政府が反対したことは一度もありません。普天間基地がある宜野湾市は出て行ってくれ、、現地の辺野古は来てくれてけっこう、政府は積極推進しようと言っているですから、なにが問題なのでしょうか。
わかりきった問いですね。問題は、この普天間の基地機能をどこに移すかで、強硬な反対を言う人たちがいるからです。
はい、またおなじみの所に戻りました。結局、移設があっての普天間跡地開発なのです。
これは普天間基地を使用しているのが、海兵隊だという特殊性をわかっていなければ理解できないかもしれません。
一般的な陸軍なら、駐屯地(キャンプ)はある程度離れた場所に移転しても問題ありません。
しかし、海兵隊というタイプの部隊は、何か有事が起きた場合、真っ先に飛んでいかねばならない部隊です。数時間以内に即応すると言われています。
ですから陸軍のよう輸送艦で1週間かけてのんびりと到着するのではなく、ヘリやオスプレイで紛争地に駆けつけます。
だから、兵隊が居住するキャンプ・ハンセンのそばに航空基地の普天間がワッセットであったわけです。
もしキャンプの遠くに航空基地があったりすると、そこまで船や小さなヘリで行って、そこから乗り換えるみたいなロスタイムがあって本領を発揮できません。
だから、ハトさんの徳之島や九州という案は、出す前からダメだと分かりきっていたのです。
ましてひと頃、伊波洋一氏が触れ回っていたグアム・テニヤン案などは、米国の戦略にとって沖縄が不要にならない限りありえないのですから論外です。
整理してみます。
普天間基地は、東アジア有事に備えた海兵隊の緊急展開用航空基地なのです。今、私は三つのことを同時に言いました。
以下分かりやすく整理するために、箇条書きにしてみます。
①東アジアを中心とする広域の有事に備えた基地であること
②有事に際して最初に投入される海兵隊の拠点であること
③オスプレイを運用する航空基地であること
ですから、基地の移設は以下の5つの条件を満たしていなければなりません。
①紛争が予想される朝鮮半島、台湾、インド洋などに短時間で展開が可能な場所であること
②海兵隊のもうひとつの投入手段である強襲揚陸艦の港が近くにあること
③兵員が日常的に駐屯するキャンプがそばにあること
④MV22-オスプレイと給油機KC-130を運用できること
また、忘れられがちなことは、単に初動だけではなく
⑤やや遅れて米国本土から応援に駆けつける大量の航空機と兵員を受け入れ可能な基地であること
17年間、県内、県外のいくつもの候補地が消えたのは、これらの諸条件を満たさなかったからです。
その中でギリギリなんとか条件を満たしそうな場所が辺野古だったのです。辺野古には他の候補地にない以下の利点がありました。
①キャンプ・ハンセンという駐屯地と隣接していること
②海岸なので航空事故の危険が少ないこと
③地元の辺野古地区が受け入れを表明していること
④嘉手納基地があって、増援部隊が乗る大型機受け入れができること
これらすべてが充足できる代替地は辺野古しかなかったということに尽きます。 わざわざ選んだのではなく、結局のところ辺野古しかなかったという消去法的選択です。
そんな常識的なことは、反基地運動家ならともかく、自称「根っからの保守政治家」だそうな翁長氏は百も承知なはずです。知らなかったと言ったらその方が驚きです。
さて、以前このブログに来た沖縄の反基地活動家に、「普天間閉鎖するのは賛成だけど、その後どこに行くの」と素朴な質問をしたところ、なんと彼は「安全保障は国の専管事項だ。知るか」との話でした(苦笑)。
そう、そのとおりです。防衛案件は地方自治体には、行政法上の公水面の許可権や建設申請に対しての適否の審査程度しか権限はありません。
だから仲井真氏が再三指摘するように、移設に関する知事の事務手続きは既に去年暮れに終了しているのです。つまり、これ以上新知事になにかできる条件はゼロなのです。
左翼活動家なら、それ以上は「知るか」と言ってみたり、「官僚がジャマして」という愚痴で済ませられますか、手練だということで革新陣営から持ち上げられた翁長氏が同じことを言ったらシャレになりません。
翁長氏ができるのは、稲嶺名護市長と同じような口先だけの移転阻止要求や、諸手続きをサボタージュすることしかやりようがありません。
なぜこんなにも地方自治体首長が非力なのかと言えば、この移転工事の承認を覆すに足る「要件充足性」を成立させる主体が、県ではなく、政府にあるからです。
行政法によれば、辺野古埋め立て承認という行政処分を覆すに足る条件は、ふたつしかありません。
それは米政府自身が辺野古移設を進めるという前提が崩壊した場合です。その場合行政法上の「要件充足性の喪失」という理由が成立します。
あともうひとつは、日本政府自身が断念する場合、沖縄県の協力が見込めないと判断し断念するということはないわけではありません。
実は私はこの可能性が残っていると考えています。それは政府や米国が「やめた。こんなメンドーなこと!」と切れる場合です。
え、切れていいのかって?私は辺野古移設が凍結ないしは、白紙化されても米軍はいささかも困りませんって、ずっと書いているでしょう。
普天間基地がなくて、安保体制に穴があくというのならともかく、普天間はあるのですから、いささかも困りません。むしろこのほうがラッキーくらいなものです。
革新陣営の人達は、自分たちが作った「新基地」という宣伝に酔って、まるで辺野古移設がないと、安保体制が大打撃を受けるように想像している節がありますが、違うのです。
「新基地」ではなく、あくまでも代替基地です。これは本質的に別なのに、「新基地が増えるぞ」と言えば、県民がこれ以上の負担はイヤだというと思ってそう表現しているだけです。
その場合、政府は米国に頭を下げて、「このまま普天間にいて下さい」と頼めばいいだけです。
恥ではありますが、米国も事情は知っているはずですし、そのほうが米国にとっても都合がいいので、ノーとは言いません。
そう、革新支持の皆さん今頃分かりましたか。辺野古移設が消滅した瞬間、日米両政府は普天間の恒久化に舵を切ればいいだけなのです。
それをたかだか一地方自治体の首長が、なにか新発見できるとでも思ったのですか。
だから、これを知っている翁長氏は「辺野古移転承認取り消し」とはひとことも言わず、このようなボカした表現をとっているのです。
「県民は埋め立て承認の撤回や取り消しを望んでいると思う。知事選に勝ってから、相談しながら撤回や取り消しのあり方を考えていきたい」(毎日新聞9月13日)
主語は「県民」で、「共に考えていきたい」です。これはもはや公約ではなく、たんなる努力目標にすぎません。
移転阻止ができなかったら、「共に考えてやってみたが、できなかった」、それで終わりです。だってそれ以上は公約していないんですから、勝手に勘違いした方が悪い。
まさに詐欺師の本領全開。 詐欺師はウソは言わず、勝手に勘違いさせるのが奥義だといいますが、それはこの翁長雄志氏のためにあるような言葉です。
喜納昌吉氏や太田昌秀氏が、そのインチキに気がついたのはとうぜんです。単に革新陣営はわかっていて、革新候補を立てられないので沈黙しているだけです。
「辺野古移設承認取り消し」を正式公約にしてしまえば、仲井真知事の轍を今度は自分が踏んでしまい、「公約違反」を支持母体と沖タイ、琉新からバッシングされるのは目に見えています。
だから、しない。当人はダマしてなんかいません、と言い張るつもりでしょうなんでしょうが、まさに公約サギです。
まぁ、革新陣営のプロ活動家の皆さんも、ずっと普天間で騒げるからいいかと案外メゲないかもしれませんがね。
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沖縄県民でありながら、大変勉強になります。
投稿: japan2609 | 2015年4月30日 (木) 17時34分