名無し氏のコメントに答えてその1 5年で普天間は「閉鎖」される?
名無し氏からこんなコメントをもらいました。短い割になかなか刺激的です。
「沖縄には海兵隊以外にも自衛隊、海保、嘉手納空軍が配備されています。ホワイトビーチ等、戦略的施設も多数あります。
5年後、県民の意識が高いままなら、辺野古がいかなる状況でも普天間基地の閉鎖に踏み切ると思いますよ。
振興予算の減額?
削減して沖縄が困窮した場合、中国が支援してくるのは目に見えてますし、そんなバカなことを政府がしますかね?」
前段と後段は別のことを言っているので、分けてみてみます。
県外の方は何を言っているのか分からないかも知れませんが、ここで名無し氏が「5年間県民意識が高いままなら」と言っているうちの、「5年間」と期限を切っているのがキイワードです。
これは、政府が2019年、つまり5年後に普天間基地の「運用停止」を言っているからです。ただし、その直後に米国はこれを拒否しています。
この政府の「運用停止」という発表は、沖縄側の一部にこの名無し氏のような素朴な誤解が生じました。
特に、反基地運動家の皆さんは、名無し氏のように「そうか、このまま粘って5年たてば、政府は普天間の運用停止を言っているのだから、タイムアウトで閉鎖だ」 という単純な誤解を生んだようです。
お気の毒ですが、違います。もしそうなら、既に政府が2023年までに辺野古を完成させるという行程表を出しているのとまったく整合しなくなります。
ハトさんのように頭が不自由な人ではなく菅さんが言う以上、5年もズレたことを考えているはずがありません。
政府は「運用停止」がどのような状態を指すのか、どのようになったら「運用停止」なのかを説明していません。実にファジーです。
航空基地の建設は通常で約9年から10年かかると言われています。まして海上埋め立てを伴って、おまけに2本滑走路を作るのですから、山を削るのとはわけが違います。
この5年後「運用停止」発言は仲井真知事の求めに応じたもので、移設承認とバーターになった非常に政治的ニュアンスか高い発言です。
つまり、政府が沖縄県に移設承認を受けて、工事を進めるという信頼関係の大前提があってこその「運用停止」だとということを忘れるべきではありません。
工事に対してまったく非協力、それどころかことごとくサボタージュを図ったあげくは政府から行政訴訟を起こされる、こんな状況になった場合、この大前提そのものが瓦解してしまいます。
まさに今、沖縄県が踏み込もうとしている道がこれです。サボタージュしたいだけして、約束を守れというのは虫がよすぎます。
したがって、「政治的ニュアンスが高い発言」とは、この事態を想定したどうとでも取れる内容だということを意味します。
「運用停止」を、基地閉鎖、土地返還と取るのは勝手ですが、もしそうならばそのように厳密に概念既定して、「普天間基地閉鎖」と表現するはずです。
「施設」閉鎖などとはひと言もいわず、あくまで「運用」の停止と言っていることに留意してください。
何の「運用」でしょうか。基地「全体」なはずはありません。もし、そうなら基地機能を切れ目なく移転させるという大前提が崩れてしまいます。
考えられるのは、おそらく基地の航空機の一部の「運用」の削減ていどです。たとえば可能性としてありえるのは、オスプレイの訓練の「運用」の一部移転です。
米軍はあくまでも、代替基地が完成しての移転でないと了承しないはずですから、当然のことです。
政府はいままで、普天間基地の返還期限を口にしたことはありません。仮に代替基地ができたとしてもそれが即時に「閉鎖」につながるかとうかは、あくまでも未定なのです。
というのは別に政府が不誠実なのではなく、なんどか書いてきているように交渉には相手がいるからです。
日本はいわば大家ですが、店子の権利は借地借家法ではありませんが強いのです。まして今回は、大家の自己都合による立ち退き要請です。
仮に完成しても、店子が「いや移設はそんな簡単なことじゃないんだよ。新居が機能するかどうか見極めなければねぇ」と言われればじっと待つしかありません。
おそらくその移設の猶予期間に数年かかるかもしれません。となると、2023年に施設が完成したとしても、確かなことは2023年にプラス1、2年加わることになるかもしれません。
どうして、こんな簡単なことが、この人たちには分からないのか。自分で自分の首を締めていることになぜ気がつかないのでしょうか。
また、さきほど述べたように翁長県知事が、県と政府の約束事である移設承認を意識的に妨害した場合、仲井真知事との合意事項はすべてが白紙になります。
当然です。県と国の約束は双方の誠意ある実行によって担保されているのですから、一方的にそれを廃棄したら無効になります。
よもや沖縄県が約束を一方的に廃棄しても、政府はそれを遵守すべきだなんて甘いことを考えているのではありませんよね。いや、どうもそうみたいです。
振興予算や他の基地の移設計画、日米地位改定交渉などの仲井真知事との約束は、まさに政府と沖縄県との信頼関係次第なのです。
そのような機微がわからなくて、ただ5年間騒げばゴールインで、普天間閉鎖だなんて考えている人たちのお粗末さにただ呆れるばかりです。
さて、後段の「中国の支援があるさぁ」という部分に関しては、明日ジックリやります。簡単に聞き捨てにできない言葉ですので。
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コメント
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イノセントな名無しさんは、沖縄の方なのですか?
そうだとしたら、なんか日本と中国を天秤にかけて
利益を得ることについて、無神経な事に驚きます。
ちゅーうごくきょうさんとうですよ?独裁ですよー
米軍どうこうとはレベルの違う話だと思うのですが。
私はヤマトンチュですが、感覚が信じられません。
管理人さんの解説を早く聞きたいものです。
投稿: アホンダラ | 2014年11月24日 (月) 22時19分