那覇軍港「新基地」建設を推進していた翁長市長
(昨日からの続きです。今週は次の日曜日16日投票の沖縄県知事選について書いています)
翁長氏には知られたくない過去が沢山あります。そのひとつが「新基地」建設の推進でした。しかも自分のお膝元の那覇市でのことです。
那覇軍港は、市街地の中心にあって、発展する沖縄経済の心臓部である那覇市にとって、大きな障害物になっていました。※欄外参照
私も沖縄に住んでいた当時は那覇軍港の横を何度となく通ったものですが、市街地から58号線で北に向うとすぐに軍港が見え、そこに多くの軍用車両や野砲が並んでいるのをみると、やはり異様な印象を受けたものです。
また、住宅地や商用地域のある市街地にあるために狭く使いづらいという苦情が米国側からもあり、移転が計画されていました。
そして移転計画が持ち上がりましたが、実は那覇軍港自体は74年に返還されていましたが、返還条件にある県内の代替基地が見つからなかったのです。
候補地としてはホワイトビーチや、おなじみの辺野古も登場します。しかしこのふたつには軍港として致命的欠陥ありました。沖縄で南に向いた港は、台風の時期になると風と波が強すぎて運用できないのです。
そして結局、那覇市に隣接する浦添市の牧港補給基地へと着地しましたが、ここで現地の浦添市の強い反対に合いました。
まぁ、そりゃそうでしょう。今大きな補給施設がある上に「新基地」が移転されてはたまったもんじゃない、これは当然です。
それに対して政府は、那覇市と浦添市に軍港と補給施設は全面返還することを説明し、代替として新軍港と14ヘクタールの物資集積場を沖合に新たに作ることを提案しました。
これにより、今までの35ヘクタールから49ヘクタールに拡大しますが、それは沖合の埋め立て地なので、影響は少ないという説明です。
つまり、今国道58号の真横にデンとのさばっている牧港補給施設270ヘクタールは返還して、その替わり沖合に持っていきますよ、多少増えるけどご勘弁、ということです。
当然のこととして、迷惑料としての振興予算や民間港湾施設などの大規模整備もつけますよ、これが国の提案でした。
合意の流れとしては、98年に移設に積極的な稲嶺県知事が誕生し、2001年には振興策や港湾整備を条件にした儀間浦添市長が誕生し、移設作業は急速に進展しました。
さて、この構図、どこかで見ませんか?はい、そうでね、普天間の構図そのものです。辺野古がまたもや予定地にあげられたことも似ています。
那覇市は出ていってもらう恩恵側でしたので、あまり動向は目立ちませんでしたが、面白いのは首長が他ならぬ翁長雄志氏だったことです。
その時翁長氏はなんと言っていたのでしょう。大いに興味ある所です。
「決断に敬意を表する。今後、那覇港は県、那覇市、浦添市の三者が一体となって国際流通港湾として整備・管理することになる。振興発展を担う中核施設として整備されるように努力を重ねたい」(琉球新報01年11月13日)
おいおい、那覇軍港移設、今の翁長氏流にいえば「新基地」建設に彼は諸手をあげて賛成していたのです。
当時の翁長氏ならば、今の普天間移設をこう言って居直ったことでしょう。 先の翁長氏のコメントをパロってみます。
「普天間基地が移設されることで、宜野湾は那覇市、浦添市などと一体となった広域首都圏として整備・管理されることになる。普天間基地の跡地が振興発展の中核施設として整備されるように努力を重ねたい」
私は冗談で書いているのではなく、まさにそのとおりで、普天間基地はよく言われるような周辺住民の航空災害だけの問題ではなく、那覇・浦添から膨張し続ける外縁都市の宜野湾市の真ん中にあります。
構造は同一で違うのは、那覇軍港より普天間基地のほうが危険性が高く、撤去した場合のメリットが高いという点だけです。
今翁長氏が大反対している普天間基地移設は、辺野古に3分の1に縮小して移転するので基地は減りこそすれ、増えるわけではありません。
●[普天間基地と辺野古新規増設の面積比較]
・普天間基地面積 ・・・480h
・辺野古新規建設部分 ・・・160h
辺野古だけで320hも基地面積は減少することになります。これが那覇軍港のように 14ヘクタール増加するのと決定的に違う点です。
翁長氏は当時、那覇軍港閉鎖と移転阻止が絶対に並立しないと割り切っていたはずです。
その翁長氏が今度は辺野古移設反対といっていますが、お膝元の基地がお隣へ引っ越すことには大賛成で、普天間から引っ越すことには大反対というわけです。なんてご都合主義で、二枚舌な人なことよ!
那覇市長としてかつて那覇軍港移設を積極推進したことを、どれだけの沖縄県民が知っているでしょうか。
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■沖縄県HP
※那覇港湾施設(那覇軍港)
県都那覇市の玄関口に位置する那覇港湾施設は、那覇港の一部を成し、那覇空港にも近いことから、産業振興の適地として極めて開発効果の高い地域です。また、ホワイト・ビーチ地区に次ぐ大きな軍港です。
同施設は、昭和49年1月の第15回日米安全保障協議委員会で、移設条件付きの全部返還が合意されながら、合意から25年以上経過した現在でも返還は実現していません。なお、移設先として、浦添市が平成13年11月に受け入れを表明したことにより、現在、移設作業が進められているところです。http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/kichitai/1228.html
※牧港補給地区
牧港補給地区は、浦添市の国道58号から西側の海岸までの南北3km、東西1kmに及ぶ広大な兵站補給基地です。同施設は那覇新港や卸売商業団地が所在する西海岸と国道58号に囲まれ、中南部の要路に位置するなど、地元浦添市をはじめ本県の振興開発にとって重要な空間を占めています。
なお、平成8年12月のSACO最終報告により、返還に伴い影響を受ける施設を残余の施設内に移設することを条件に約3ヘクタールの返還が示され、日米間で合意されています。また、平成25年8月31日には、北側進入路約1ヘクタールが返還されています。
http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/kichitai/1225.html
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