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普天間固定化の道は七合目まで来た

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さて、今回の知事選の結果で、私は普天間固定化の道は半ばから7分ていどまできたと思っています。 

何度も書いてきていますが、交渉事には相手がいるのです。真の交渉相手は、沖縄の知事や、ましてや名護市長などのドメスティックな相手ではありません。米国政府です。 

いつも沖縄の皆さんのご意見を聞くと、このことをスポッと忘れているんじゃないかな、と思うことがしばしばあります。 

「普天間は出て行け、辺野古移設阻止」などというスローガンを見ると、よくこれだけ矛盾したことを平気で言えるなと思って驚いたことがあります。 

しかし、考えてみれば、この人たちは米軍基地周辺で叫んでいますが、米国相手に叫んでいるようでいて、あくまでも「日本政府」相手に言っているだけなんですよね(苦笑)。 

今、「日本政府」と書きましたが、沖縄革新勢力や、それに支持された稲嶺名護市長や、今や「根っからの保守政治家」翁長新知事まで平気でそう表現していますが、日本政府を「相手国」とみなして交渉しているわけですか、ビックリするなぁ。 

こりゃスゴイ。沖縄県はいつから一国二制度になったのか、と突っ込みを入れたくなります。

地方自治体の首長が、自国政府を「日本政府」といって憚らないことが、沖縄の反基地運動の本質的奇妙さなのです。 

それはさておき、改めて書くまでもなく、ほんとうの交渉相手は米国政府です。米国がこの問題の半分の決定権を留保しているのです。

どうしてこんな簡単なことに気がつかないのか、そのほうが不思議なくらいです。 

米国国務省は、昨日「既定方針どおりで日本政府と協力して推進する」とコメントしていますが、それは外交的修辞という奴です。 

米国にとって何が最大の要求なのか分かりますか?そこがわからなくて普天間問題を語るのはナンセンスです。 

辺野古に「新基地」を建てたくてしかたがない。畳となんとやらは新しいほうがいい。ハズレです。

そんな金がかかる上に、狭くなって、おまけに移動なんて大変なことをするのはイヤに決まっているじゃないですか。 

日本政府と17年間も話し合いをしてきて、もし移すというなら辺野古しかないということで消去法的にそうなったというだけです。 

答えは、安定した環境で基地運営をしたいというだけです。これに尽きます。

17年前に、橋本首相がポマード頭を下げて、「どうぞ危険な場所から退いて下さい。代替は見つけますから」というから乗っただけです。 

普天間基地か経済発展の妨げになっているとか、人口密集地だからという理由は、米国から見ればあくまで日本側の自己都合にすぎないのです。

米国がもっとも嫌うのは、米軍基地が不安定な状況に陥ることです。基地を取りまく環境が反米に傾き、合衆国施設が反米闘争の標的になることです。

かつてフィリピンが反米に傾き、その勢いでスービックとクラークの移転を要求したとたん、米国はさっさと引き上げました。

フィリピンは立ち退きを突きつけることで、なんらかの見返りが欲しかっただけなんですがね。

この代償は大きく、米軍はピナツボ火山噴火による大きな火山灰被害がも加わって全面撤収しました。

そしてご承知のように、米国がいなくなって「力の空白」となってしまった南沙諸島、西沙諸島海域の島々に、中国が暴力的に支配を拡大することになります。

結局、中国によって領有する島々を取られたフィリピンは、米国に頭を擦りつけてカムバックと懇願するハメになります。

もちろん沖縄の位置とフィリピンの戦略的重さは違います。だから、ここまで米国は我慢してきたのです。

私たち日本人は、米国を甘く見すぎています。中韓にはあれほど配慮するくせに、米国相手ならなにを言ってもいい、どんな無理でも言い放題と思っていませんか。

このまま辺野古を本格着工した場合、知事と市長が自ら先頭に立って反米運動に乗り出す可能性があります。

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(写真 琉球新報11月19日 新知事の初仕事。名護市辺野古のキャンプ・シュアブゲート前の抗議団体前で当選支援に感謝演説する翁長氏。いよいよ「沖縄の小沢一郎」のようになってきたようだ。ただし、小沢氏もいくらなんでも共産党とは組まなかったが

おそらく翁長氏はまた共産党と共にオスプレイの時のように赤ハチマキに赤ゼッケンをつけて、稲嶺氏と共にデモ会隊の先頭に立つと思われます。

そして海上では、下手くそなカヌーの群れが海保の阻止線に自爆的突撃を繰り返します。そのうち海中に落ちる人も出るでしょう。地上と違って落ちたら冗談では済みません。流血騒ぎも頻繁に起きるかもしれません。

さて、こんな状況を米国が望みますか。わけはない。まさに米国がもっとも恐れていた「合衆国施設の反米標的化」が始まったと判断します。

私は既に官邸はこのシナリオを考えていると思います。あの怜悧な菅官房長官がハトさんのように何も考えないはずがありません。

おそらく、翁長「政権」に替わったことを奇貨とすることを考えているはずです。

たとえば、来年度予算は余りに時間がないから仲井真氏との約束どおり一括交付するとしても、次年度からはスパっとそれを中止する可能性もあるでしょう。

当然振興予算自体も大幅に減額されるでしょう。これが翁長氏が「カネはいらないから、基地は出て行け」と啖呵を切ったことに対する政府のアンサーです。

移転工事自体も、政府は口では「粛々」とという言い方を続けながら、着工自体のスピードを意識的に減速させていきます。

そうでなくとも翁長氏のサボタージュで、工期は遅れに遅れて、5年先の「普天間運用停止」などには間に合うはずがありません。

4年目の任期切れ改選期まで翁長新知事の抵抗路線が続けば、この5年以内で反基地運動は「輝かしい勝利」を掴むことになります。すなわち、辺野古移設の事実上の断念です。

政府がフェードさせていくか、正式に着工凍結とするか、それはその時の政治状況次第です。

この移転事業の遅滞による波紋は大きく、コメントにもありましたが、他の返還計画にも影響を及ぼすことでしょう。

いずれにせよ、沖縄県民はその「民意」の代償として普天間基地固定化といった17年前に時間が巻き戻された事態の代償を支払うことになります。

さて、今度は沖縄県民の皆さんに私のほうからお聞きしたい。こんなことがあなた方の望みなのでしょうか、と。 

特に宜野湾市の市民の皆さん、あなたがたが1位で当選させた翁長氏は、「普天間基地がこのままここに居ていいのだ」という恐るべき主張するに等しい候補だったのです。

再度お聞きします。それがあなた方の望みなのでしょうか

■写真 土浦港の子供の書いた壁画。戦前に土浦を来訪したツェペリン号てす。先日の日曜日にはC1グランプリがあって盛況でした。ツェペリンカレーも出ました。

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沖縄問題」カテゴリの記事

コメント

本当に一国二制度を目指しているとしか思えませんね。
翁長氏は知事選後テレビのインタビューで、
日本政府は沖縄を日本の一部と考えておられるのか・・・
というような事を語っていましたが、
そのまま熨斗を付けてその言葉をお返ししたいくらいです。
もはや地方自治体というより、非常に質の悪い圧力団体の
様相を呈していると言わざるを得ません。

投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2014年11月20日 (木) 17時02分

結局だだこねてカネが欲しい、につきるのでしょう。だったらカネ出さなきゃいいんですよ。困るのは反対運動派なんですから。その地政学的優位性から「どうせ出ていくわけはない」とタカをくくっているのでしょうね。だからって、たかりに金を出してやる必要はもうないって、多数の国民は気付き始めてるんじゃないでしょうか。

投稿: sudoku | 2014年11月20日 (木) 22時41分

沖縄には海兵隊以外にも自衛隊、海保、嘉手納空軍が配備されています。ホワイトビーチ等、戦略的施設も多数あります。
5年後、県民の意識が高いままなら、辺野古がいかなる状況でも普天間基地の閉鎖に踏み切ると思いますよ。
振興予算の減額?
削減して沖縄が困窮した場合、中国が支援してくるのは目に見えてますし、そんなバカなことを政府がしますかね?

投稿: | 2014年11月21日 (金) 16時16分

名無しさん。「沖縄が困窮したら中国が支援する」か。すごいね。
私はこのての奴隷根性が大嫌いですから、長くなりそうなんで、月曜日に記事にします。

投稿: 管理人 | 2014年11月22日 (土) 03時02分

辺野古移設工事が新知事らにより遅々として進まなければ、管理人様の仰る通り「普天間の永久固定化」は避けられないと感じています。

名無しさんが言う、
<<5年後、県民の意識が高いままなら、辺野古がいかなる状況でも普天間基地の閉鎖に踏み切ると思いますよ。>>は夢物語ですね。
普天間をどうするかの決定権は米国及び日本政府にあり、沖縄県民の意識がどうのこうので決められるものでない事は、現実を見れば分かると思います。
今後4~5年後に全世界が「地球国」にでもなって領土や資源・人種・宗教問題が無くなれば別ですが(笑)
以前の記事にあった様に、小学校等々を移転しないで、いつまでも「人質」にしている考え方が理解できません。何かあったら!!事故が起きたら!!と思うなら、そちらを移動させ子供たちへのリスクを一日でも早く減らす事を優先させることが合理的ではないでしょうか?
「通学が不便になる?」スクールバスでもなんでも対応可能です。
地域振興予算削減・・・中国が支援!?!?!?名無しさんの頭の中は完全に「沖縄国」なんですね。
仮に「沖縄国」と言うなら、支援云々より自主自立を模索する事は無いのでしょうか?

管理人様
掲示板ではないのは承知していますが、つい反応してしまいました。申し訳ありません。


投稿: 北海道 | 2014年11月22日 (土) 08時38分

Thats a very good feedback. What are your thoughts on expansion on a global scale? People obviously get frustrated when it begins to affect them locally. I will be back soon and follow up with a response.

投稿: forever21 prom dresses | 2014年11月22日 (土) 08時44分

>中国が支援
言っちまったなー、ですね。
どんな対価を要求されるか想像してみると良いのですがね。
中国軍の基地が出来た時、今のように反基地運動したら踏みつぶされてしまうというのに。

それとも対価を貰う側?
いえいえ、用が済んだら消されますよ。

投稿: プー | 2014年11月22日 (土) 12時59分

名無しさんのコメントは
「人類皆兄弟、世界共和国」なんて幻想が前提なんでしょうか?

せめて「何がなんでも沖縄独立だ」とでも言ってくれるんなら、まだ議論の余地はあると思いますが…。

投稿: 山形 | 2014年11月23日 (日) 08時55分

沖縄の交渉相手はあくまで日本政府
第一に沖縄が米国に直接交渉する権限がない
いわば係長が社長権限を使って他社と契約交渉しろと言うのは無理な話
そりゃ、沖縄の議員が沖縄の民意を米国の議員に話をすることもできるし話を聞いてくれるだろうさ
しかし結局ね、米国側も交渉は日本政府を通してやってくれってことになるんだよ


投稿: | 2014年11月25日 (火) 15時01分

別な名無しさんのようですが、何を言いたいのかわかりません。国家間交渉ですから、沖縄に交渉権限があるはずがありません。意味がわかりません。
念押しなんですかね?記事では一貫して日米両政府が主要交渉関係だと書いてきています。

この移転問題は、本来受益者に当たる沖縄県の理解が得られないために込み入ったことになってきています。
本土政府からすれば、「世界一危険だから撤去せよ」という県の要請を受けて移転させる計画を立てたら、それに対しても反対だということになり、では迷惑料としての振興予算を上積みしましょうかという、おかしなことになってしまいました。

投稿: 管理人 | 2014年11月26日 (水) 01時32分

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