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2014年12月 9日 (火)

財務省最大の武器「歳出権」とは

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昨日から、今年4月の消費増税の頃までの状況を書いています。 

というのは、中長期的な経済の回復の中から財政再建をするべきだと考えている首相が、なぜ増税に追い込まれたのかをみることで、今、彼がなにと戦っているのかが見えるからです。 

この解散総選挙の目的が色々取り沙汰されています。訳知りに、民主党潰しだなどという人がいますが、まったくないとは思いませんが、民主党のようなモノはどうでもいいと安倍氏は思っているはずです。 

わざわざ東京18区の怪人を政界から追放(←早く消えてほしいけど)するために、こんな大がかりなことをする必要はないじゃないですか(笑)。 

私はこの総選挙の隠された目的は、自民党内に浸透した財務省の影響力の排除です。

というか「財務省的発想」ときっちりと戦っておかないと、このデフレからの脱却は絶対に不可能だと考えたからだと思います。 

『voice』12月号の谷垣幹事長の対談を読むとその典型が分かります。ここで谷垣氏は「予定どおり上げる」ということを言っているわけですが、その理由としていくつか上げています。 

まずひとつ目は、「三党合意によって消費増税が法律として決まっているわけですから、計画どおりやる」というのが第一点です。 

その理由として法執行は粛々にやるべきで、付則18条の景気条項を使うためには法改正が必要で、そんな余裕はない、と続きます。 

この言い方は、まじめ人間ほど引っかかる増税派の論点すり替えです。 

本来、論議の中心にあるべき4月消費増税後の顕著な景気腰折れ現象について議論を戦わせるのではなく、ただの政局論議にしてしまっています。

法律といっても刑事法ではないんですよ。ただの消費増税の法律を「法ありき」と言うことでことさら重く見せていますが、実際は対決法案ではないのですから、1日ていどの審議で改正できてしまうことです。

そもそも法律は国民のためにあるのですから、国民の生活が打撃を受けていることをストップさせようという法改正が面倒だからできないでは通りません。それなら議員バッチはずしちゃいなさい、というだけです。

現に、今回首相が「増税はしません」といったらそれで終わりでしたね。その決断の時に、法改正の手続きが問題になりましたか。

こんな政局論は建前で、谷垣氏はむしろこの考えに支配されていると思われます。

「結局、消費増税を先延ばしにすると、社会保障や子育ての費用をどうするのかという問題がある。法人税減税といっても財源がない」

この「財源がない」というのは、財務省が使うレトリックの最強のものです。このひと言で、財務省は、議員をねじ伏せてきたのです。

たとえば、前回4月の消費増税の攻防において、財務省はこの切り札を乱発しました。

この攻防がたけなわだったのは去年の秋でしたが、ちょうど次年度の各省の概算要求を受け付ける時期にあたっていました。もっとも族議員が張り切る季節です。

なんだかんだで族議員たちが、あれもこれもと詰め込んだ予算要求が積み上がって約100兆もあったそうです。

財務省はどういう訳かいつものように、「センセイ、こりゃ無理です。カネが国庫にない」とは言わず、そのまま受け付けました。しかしこのひと言を付け加えたそうです。

「ならばセンセイ、既定路線どおりに増税していただかにゃなりませんなぁ」

財務省官僚は、予算規模を今ある税収から判断します。そこには成長の要素はありません。

そんな景気に左右される「水物」は考慮に値しないと考えているわけです。そしてこう言います。

「センセイ、与党の要求がいくらあるか知っていますか、約100兆ですよ。税収か決まらないので、予算書が書けないんですよ。やると決まった増税を早くチャッチャとやっちゃって下さいよ」

野党暮らしで3年半麦飯を食ってきた与党議員は、これにコロっと行ってしまったそうです。ああ、与党に戻れてよかった、さぁ増税するぞ。バカか、こいつら。

情けないですが、政治家とはこんなものです。議員でなけなればただの人、予算配分を選挙区や業界に引っ張ってこなければ、これまたただの人ということのようです。

これが財務省の「歳出権」といわれるものです。

「歳出権」とは、「財源として〇〇を執行するためには、〇〇税の〇〇%が要ります」ということを決定する財務省の権限のことです。

正確には明文化されたものではなく、明治の頃からの大蔵官僚の慣習でしかありませんが、財務官僚はこれを鉄板の権利だと思っているわけです。

たとえば、谷垣氏が社会保障費を上積みしたいということを考えたら、既存の予算枠を削るか、あるいは増税するという二者択一しかないと財務省は必ず言うわけです。

そして「センセイのおっしゃるいい政策をするためには、〇〇億円かかりますから、増税せにゃなりませんな」と畳みかけます。

このような財務官僚の「歳出権」と、「予算を引っ張りたい」という政治家のインセンティブとが見事に平仄があってしまった結果、「日本の常識」と化していました。

民主党などは「反官僚」をうたい文句にしていましたから、子供手当と高速料金無料化というやくたいもない予算をひねり出すために、普通は財務省主計局がやる事業仕分けという緊縮財政を自分でやってしまいました。

結果、「はやぶさ」(←この妨害のために3年も2号の開発が遅れた)やスパコン(←発奮して世界一になった)の予算をバシバシとカットしまくって、「財源作り」にいそしむ必要かあったのです。

結果レンポー氏が、「そんな財源なんか、なかった」と放り出したのですから、財務官僚はさぞかし笑いこけていたことでしょう。ついでに私も笑いましたが。

ちなみにあの事業仕分けの時に仕分け人の机にあった資料集を作ったのは、他ならぬ主計局の連中です。反官僚を叫んでいて、まるで財務省の掌の上の孫悟空ですな。

この財務省の発想には、すでにある予算を切り分けるという発想しかありませんから、経済が伸びて企業や国民が豊になり、その結果として税収か伸びるという考え自体がありません。

言ってみれば財務省は経済成長が体質的に嫌いなのです。キッチリと引き締まった無駄のない緊縮型予算を組む美学とでも言ったらほめ言葉になります。

経済成長した結果税収が増えても、財務省の手柄にはなりません。

ほんとうは予算枠が増えてメデタイと思ってしかるべきですが、そのように発想しないことが財務官僚の財務官僚たる所以なのです。

このように考えると、財務省に二度騙された首相が本気で闘いを挑んでいるのは、財務省に洗脳された自民党なのです。

首相の「政治の師匠」は小泉氏でだそうですが、安倍氏もまた、「自民党をぶっ壊す」と心の中で叫んでいるのかもしれません。

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