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2014年12月12日 (金)

首相が国民に問うているもの

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私たち国民は、ふたつの分岐点の上に立っています。 

ひとつはアベノミクスはそもそも失敗であるので、速やかに中止して増税を断行せよ、とするのがひとつの道です。民主党は選挙になった瞬間に態度を豹変させましたが、この立場です。 

もうひとつは、アベノミクスは基本的に支持するが、4月増税は失敗だったので、再増税を止めて元の回復軌道に乗せろ、というもうひとつの道です。  

今回私たち国民は、3分の2の議席数を持ち、50%を越える支持率を持つ首相が解散・総選挙の道を選んだのはなぜか、自問する必要があります。 

こうも言う人達がいます。「アベノミクスが失敗したから、増税する余裕がなくなったんだよ」。  

果たしてそうなのでしょうか。もしその意味で「アベノミクスが失敗」というならば、首相がこの経済政策をとって以降、実質賃金が下落しつづけねばなりません。 

実質賃金こそが、国民の豊さの最大の指標だからです。実質賃金とは、名目賃金から 物価変動分を調整したほんとうの賃金のことです。

現実には実質賃金は上がり続け、初めて腰折れをしたのがこの消費増税をした2014年4月以降のことなのです。

アベノミクスがめざしている「脱デフレ」とは、単に物価を2%まで引き上げるという日銀の「インフレ目標」の達成にあるわけではありません。  

何しろ、1998年からの実に15年間に渡って私たち国民は、物価の下落を上回るスピードで実質賃金が下落を続けるという苦しみを味わってきました。 

主婦は1円でも安いスーパー探しに血眼になり、スーパーは安値合戦の過当競争を演じ、納入業者の製造業や農業団体はさらに安く納入することを要求されてきました。  

彼らはまさに乾いたタオルを絞るようにして合理化に励み、もう悲鳴も出ないほどへたばりました。 

そのツケは従業員や農業者の納入価格を切り下げることで対応してきたわけです。 これで、実質賃金が上がるはずがありません。 

確かに物価は下落して見た目は暮らしが楽になりそうなものなのに、実態は実質賃金の下落がそれ以上の速度で落ち続けているために、まったく楽にならない、これがデフレという地獄なのです。  

実質賃金推移

上のグラフは、リーマン・ショックが起きた2008年9月を100として、実質賃金と円の対ドル相場を追ったものです。  

1997年4月の橋本政権による消費税率引き上げは、3%から5%へのわずか2%の増税だったにもかかわらず、まるで日本経済は背骨にヒビが入ったように実質賃金の下落を開始します。

いわゆる「うつむきかげんの時代」が始まったのです。  

そしてそれ以降、日本経済は長いトンネルに入ります。企業は景気の動向次第で直ちにか整理できる非正規雇用を増大させ、雇用率は低下し続け、 24時間働けという愚かなブラック企業が世間にはびこります。

このようなブラック 企業が生息できるのは、雇用状況がよくないからで、景気が回復すれば誰が好き好んでこんな会社で働きますか。

若者たちが「就活」で20社以上受けるのがあたりまえとなりました。しかもそれは、一時的な不況によるものではなく、恒常的に続く「常態」と化してしまっていました。  

このような中で、不況の長期化による税収の不足から社会保障費が破綻の様相を見せ、年金不安すら叫ばれるようになります。  

若者の間で、「オレたちが年寄りになる頃には年金はくじ引きだぜ」という冗談とも言えない会話が交わされるようになりました。

彼ら若者は、生まれてから一度も日本か輝いた時代を知らず、冬の就職と、先行きの見えないほの暗い闇の中で成長してきたのです。

これほどまでに若者が未来を閉ざされた時代は近年なかったでしょう。  

この実質賃金の下落トレンドにやっと実に15年ぶり歯止めがかかったのが、アベノミクスでした。2012年12月のことです。  

しかし、この回復軌道はまだ弱々しいものです。いまだ15年間も続いた巨大な重しははずれてはいません。 

それはグラフの黒線の伸びを見ればわかるでしょう。落ち続けたのが止まった、やっと長い下落スパイラルから脱しようとしている、その入り口に差しかかったのが今年だったのです。

重力加速度がついたような巨大な石を、ガシッと受け止めたのが2012年からのことなのです。それまで民主党政権がなにをしたのでしょうか。

それはヤンママや農家に「お手当て」を配り、高速道路をタダにするという人気取り政策でした。

このようなバラマキ政策の財源作りのためいっそう緊縮財政を強め、なおかつ信じがたいことに消費増税すら企みました。

国民はお人好しにも忘れかけていますが、1997年以降初めて消費増税を叫んだ首相は、菅直人氏で、それはマニュフェストに一行も書かれていなかったことです。

この男は首相就任直後から、日本をギリシアのような財政破綻国にするな、という経済学の初歩の初歩も知らないバカなことを言い出しました。

財務大臣当時に財務省に洗脳されていて、なんの経済対策も打たずに、デフレ下で消費増税するというアタマのネジがハズれたことを言い出したのです。

そして彼ら民主党は、原発事故処理にも失敗しただけでなく、震災復興という絶好の景気テコ入れの機会がありながら、みすみすそれも見逃してしまいました。

もう少し長く彼らが政権に居すわっていたのなら、わが国は絶望的状況に立ち至ったことは間違いありません。

この断崖絶壁の状況をリカバリーしたのが安倍首相でした。 以降2年、荒れ野に若草が芽生えるように景気は徐々に回復していました。  

内閣府が発表する景気動向でもっともリアルな数値は、景気ウォッチャー調査というアンケート調査です。 

これはタクシー運転手やホテル従業員、飲食業者などへの聞き取りによるもので、素直に景況感を反映しているといわれています。 

この調査がすべての地方で好転した時期があります。それが2012年12月からなのです。 

また、雇用においても有効求人倍率の地域別指標は、首都圏だけではなく北陸や中国地方においてすら回復ペースにありました。その勢いは、関東を凌いだほどです。(※飯田泰之明大准教授による) 

あえて言いましょう。私も民主党が言うのとは別の意味で「アベノミクスは失敗」だと思います。  

なぜ、首相は今年4月の税率8%に増税をしてしまったのか。首相が批判されねばならないとしたら唯一この点です。 

すべてが回復基調にあった時に、まだ民力が15年間の傷から癒えぬうちの増税が、2012年以降の首相の努力をすべて無にしかかったのです。 

だからといって、民主党が言うように、今までの荒野に種を撒くが如き首相の政策すべてが失敗だったと決めつけてよいのでしょうか。

今私たちは、ひとりの首相が任期中に自らの「失敗」を率直に国民に問う、という珍しい体験をしようとしています。 

再度繰り返しましょう。首相は国民に問うています。再増税を拒否した自分の判断が正しいのかどうか、と。 

そして国民が支持するなら日本最強の官庁、ある意味古い「日本」国家そのものとも言える財務省という伏魔殿と戦ってみせよう、と首相は言っているのです。

私は自民党が好きでもなんでもありませんが(というかむしろ嫌いでしょうが)、今回は首相の心意気を買います。

 

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コメント

う~ん、日頃は同意する内容ですが、今回はちょっと…
実質賃金は下降トレンドのままです。グラフを見ても。
それは、民主党時代が円高で輸入品が安く入ってきて、名目賃金の低下を吸収していたからです。
逆に、現在の政策は名目賃金は下げ止まりましたがインフレ政策による値上がりが実質賃金を押し下げた格好になっています。

ただ、その代り国産品の消費は増えていると思われ、雇用は100万人増えました。このトレンドが固定化すると思われれば非正規社員の正社員化も行われるでしょうし、結果的に名目賃金が上昇トレンドに乗るのではと思われます。

安倍さんの英断には敬意を表しますが。
しかし選挙に勝ったとて、世論という「盾」は手に入りますが、「矛」がありません。

安全保障だって三権分立だって、矛無しには成り立ちません。
マスコミの横暴も、ネット民が不買運動やスポンサーへの圧力という手段で実害や脅威を与えたから修正が効き始めたのです。

国内無敵の財務省に対抗するには、今のところ独立した議員団(安倍派?)くらいしか考えつきません。
しかしそれって昔の派閥抗争に戻ってしまうような??
政党としては自民党以外の選択肢がなく、その中で政策が争われる、とすれば昔も今も同じかもしれません。

自分は若造なので小泉政権までは政治経済に無関心でした。不勉強でしたらお詫び致します。

私も管理人さん同様、自由民主党の支持者ではありません。
民主党立ち上げの当初は「55年体制を打破する」という意気に
共感して一票を投じたほどです。
が、その後、小沢一郎や極左とも思えるような人間をかき集め、
文字通り烏合の衆と化してしまい、
終いには予算委員会で総理相手に
漢字クイズを展開するという体たらくに至ります。
もうこの時点で完璧に愛想も小想も尽き果てました。

岡田代表のときのスローガンが「日本をあきらめない」だったと記憶しています。
このコピーのセンスも疑いましたが、
今回は何と「今こそ、流れを変えるとき」だそうです。

この党の辞書には反省や総括という言葉は無いのでしょうか。
呆れてものも言えません。

民主主義ですから各々それぞれ賛否の意見があってよろしいかと。

ただ、マスコミがひたすら的外れな批判やボカしてきた争点を、こちらのブログではハッキリと指摘してきたのは事実だと思います。

私も別に自民党支持者ではありませんが、今回は安倍さんを応援します。

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