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2014年12月 8日 (月)

自民党内異端としてのアベノミクス

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この衆院選は、経済政策が争点になるという、面白い展開になってきたようです。こんなことは私が投票するような歳になってから初めてだったような気がします。そのくらい珍しい。 

安倍氏は、左右の集団的自衛権がどうたら、いや特定秘密はこうたら、という声をよそに、争点絞りをしました。

「アベノミクスはこの道しかない。流れを止めるか止めないかの選挙だ」という訴えは、シンプルに選挙の選択肢を示しています。 

経済が国の礎、安全保障も災害対策も、人権すらその上に乗っていて語れるものにすぎないからです。

一方、民主党の前原氏はこういう言い方で対抗しています。
「アベノミクスはこの道しかないのではなく、この道は危ない」という、アベノミクス批判です。
 

前原氏には気の毒ですが、批判という行為につきものの、我が身と引き比べなきゃなんでも言えるという類のものです。 

仮に民主党が政権をまったく運営したことがないウブな野党ならば、つまり政権交替選挙の時ならば、この言い方にも迫力があったでしょう。 

しかし、民主党政権時に何ができたのか、私たちはゲップが出るほど見させられました。 

財源なきバラまき、深刻さを増すデフレ地獄、止まるところを知らない円高バーゲン、停滞する実質賃金、改善されぬ雇用、ブラック企業の跋扈・・・、まるで無限に続く長いトンネルに国民は置かれたのではなかっのでしょうか。 

もういい、もう充分に分かったから、3年半高野山で百日行をしながら毎日反省文40枚書いてまた出直してね。 

さて、安倍氏が政権の途中において「国民の信を問う」たのは妥当でした。重大な決断に対して是非を問うのは民主主義の原則だからです。

600億かかるからくだらないなどと言うマスコミがいるので仰天しますが、この人たちは投票率落したいようですね。仲間由紀恵さんに、怒られちゃうゾ(笑)。

それはさておき、焦点の消費税についての経緯を見てみましょう。 

そもそも菅首相辞任時に民意が問われれば、野田政権は誕生せず、3党合意=増税路線自体が誕生しませんでした。 

消費増税が決まったのは2012年8月の消費増税法の成立によります。提出した政権は、野田佳彦首相でした。 

経緯としては、その前の6月に民主、自民、公明のいわゆる3党合意が出来ます。自民党側は、谷垣禎一総裁、幹事長は石原伸晃氏でした。 

安倍氏はこの決定にまったく関わっていません。雌伏の不遇期が続いていたからで、当時誰も彼が首相に帰り咲くなどと考えてもみませんでした。 

この消費増税法成立の後の2012年9月の自民党総裁選で、安倍氏は僅差で総裁の座につくのですが、この時に石破茂氏との政策の違いは安全保障政策にはなく、むしろ経済政策の差でした。 

石破氏は、かなりハッキリした財政緊縮論者で、かつ金融引き締め論者でした。つい先日まで「3党合意は堅持すべきだ」と言っていましたから、増税に対してもむしろ積極的な立場だと思われます。 

もうひとりの総裁候補であり、1回目で第1位を獲得した石原氏に至っては、3党合意路線を作った当事者でした。

一方、安倍氏は第1次安倍政権の失敗が、景気後退局面での財務省と日銀によるデフレ推進政策にあると考えていました。 

安倍氏の経済政策は、エール大学浜田宏一名誉教授の教えどおり、財政再建は景気回復に先行するものではなく、中長期的な経済成長によって解決すべきだとしていました。

これは今になると常識のように聞こえますが、おそらくこれを口にした首相は、安倍氏が初めてではなかっでしょうか。

彼はそれまでの民主党政権が押し進めてきた経済政策を180度逆にしたものでした。

「コンクリートから人へ」と称する財政緊縮政策、財政再建原理主義者の藤井裕久氏や与謝野馨氏が経済・財務担当の座に座っていたような金融引き締め路線、そして「初めに増税ありき」を根底から覆すものだったのです。 

ですから、安倍氏が掲げたいわゆる3本の矢である「大胆な金融緩和」、「機動的な財政運営」「成長戦略」のどこにも増税のゾの字も書かれていません。

いやむしろ安倍氏にとっては、アベノミクスにとって最大の阻害要因となりうるのが、他ならぬこの3党合意路線、すなわち増税政策でした。

2013年10月の増税決断を前に、8月前後から増税に向けて安倍包囲網が自民党内で作られます。 

産経新聞(2013年8月19日)は、その内幕をこう報じています。なかなかすごいですよ。 

「自民党石破茂幹事長は26日の記者会見で『引き上げは法律で決まっている。遅らせることだけが解ではない』と強調し、予定どおりの増税実施を求める考えを示した。(略)これまで安倍首相を支えてきた麻生太郎副総理県財務相や、甘利明経済財政担当相は、『予定どおりの増税』をくりかえしており、これを首相が無視すれば政権内に亀裂が生じる」

「自民党税制調査会(野田毅会長)は、税制について絶大な権限を持つとされる。それを少人数で切りまわす『インナー』には町村信孝元官房長官や額賀福志郎元財務相ら派閥領袖クラスか顔を揃えている。
一様に財政再建を重視しており、(略)安倍氏が増税先送りすれば『うち霧』と受け止められ、安倍内閣への批判を強めかねない。『インナー』OBの伊吹文明衆院議長が再考を求める可能性すらある」

このように自民党内のすべての派閥は増税を指向していて、安倍氏はその出身派閥の町村派からすら浮いた存在になっていました。

まさに安倍氏の経済政策は、経済学界では定説のケインズ理論に基づいていたにもかかわらず、与野党の中にあっては激しく異端だったのです。

長くなりましたので次回に続けます。

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政治・経済」カテゴリの記事

コメント

オバマ大統領がアベノミクスの失敗を公式に表明したとかなんとか云って、サヨクが沸いているようです。

オバマ大統領「日欧の減速で米景気後退の可能性」 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141204/k10013709141000.html

BLUEDOGさん。別にアベノミクス全体を評したものじゃなくて、単に増税の失敗で景気が減速したことを指摘しただけです。EUの失速はもはや致命的ですし、中国は崩壊直前、そこに日本まで落ち込まれたら、米国しか牽引車がなくなって困るじゃないか、と言いたいようです。

同じようなことはジェイコブ・ルー財務長官も言っていることで、彼はもっとはっきりと増税はするべきではないと言っています。

オバマさん、他人の国の選挙戦終盤に言うことかね、まったく。自分の国の黒人暴動押えてから言えつうの。今や米最大の週刊誌『TIME』に「オバマ、信じられない無能な大統領」とまで酷評されただけありますよ。

FRBのバーナンキも、ノーベル経済学賞のクルーグマンもアベノミクスは支持しており、米国ではそれを失敗というほうが少ないほどです。

問題は増税なのにそれから目を背けたい人たちには困ったものです。経済をイデオロギーでしか見ない人が多くてイヤになります。

引っ張りますね。(笑)

>経済が国の礎、安全保障も災害対策も、人権すらその上に乗っていて語れるものにすぎないからです。

大賛成です。特に「人権すら」というところ。しかしこれを分かっている人は意外と少ないのでは?

オバマさんも、中間選挙で負けて口だけ男になってしまいました。
いずれ必要だったとは言え、金融緩和を止めたアメリカも世界景気後退の主犯格だというのに(元を正せばリーマンショックだって)、どの口がそんなことを言うのでしょうね。


ここにきて、マスコミは「自民勝つ勝つ!但し浮動票がまだ多い」との報道がやたら目立ちますな。
なんなんでしょう…。

本日は前フリの段階と思いますが、管理人さんはアベ
ノミクスを肯定されているようで、私は「おや?」と思っ
てしまいました。

元より、民主党と比較するのは、自民党に失礼過ぎる
と思っています。民主党は、学生気分のシロート集団
の、自称リベラルの筋金入りのポピュリスト達です。
バックに変な集団も多くついていて、論外です。

第三の矢が放たれない以上、アベノミクスはバラマキ
以外の何者でもなく、財務官僚の大インフレ債務雲消
計画と対をなす、従来通りのコア問題の先送りです。

エンジンが壊れた車に、いくらガソリンをブチ込んで
も動きません。給油口から溢れたガソリンを抜目ない
業者が掠め取ってゆくだけです。エンジンを直して!

安倍さんには、鉄の宰相になってもらいたい。小さな
政府で、減税・規制撤廃・低福祉・自助として欲しい。
ラストチャンス!もうすぐ、ジジババだらけになって
取り返しの付かないことになってしまう・・

アホンダラさん。
私や私の老いた父(銀行OB)も、アベノミクスには不安を感じてます。
しかし、他に対案がありますか?

それが無ければただの民主党と同じです。
財務省や財務出身者に対して、あなたの仰るエンジンそのものにメスを入れて改革(エンジンならオーバーホール改修か)していこうというのが、アベノミクスです。
野田政権時代の「3党合意」こそ、元凶です。

藤井とか…角栄さん時代の財務官僚で、それまで許されなかった『赤字国債発行』をやった当人です。
本人は後悔しているとか言ってますが、じゃあ今更何が出来るの?という状態ですね。

アホンダラさん。それじゃあ経済政策にならんでしょう。あなたの言い方ではみんな壊しちゃえでしかありません。それは「気分」であってロジックじゃありません。

なお「バラマキ」というのは経済学では定義されていて、「有効需要を創出しない財政支出」のことです。民主党の子供手当てが典型です。

経済に全く疎い人間の素朴な疑問なのですが、財政規律を堅持したい人々と言うのは、結局のところ円の対外的価値を維持したいと言う人達なのでしょうか?いつも思うのですが、日本の国債が円建てで有る以上、どこぞの国の格付け会社がリスク評価を上げようが下げようが、日本国内としては何ら問題ない気がします。これは暴論ですが、日銀がもっと円を刷ってくれて貨幣価値を下げてくれたら(ぶっちゃけハイパーインフレ?)、個人的には負債が一発で返せて楽なんですけど。ま、それは日本経済の破綻でしょうから、そのような事は起きないとは思いますが、財務省の言う国民1人当たり何百万とかの借金と言うプロパガンダには辟易しています。

大惨敗をした自民党を引っ張ってきたのが谷垣氏などの今の重鎮の方たちですから、それに反旗を翻すのはほんとに力技なんでしょうね。
一歩間違えれば恩知らずな奴になってしまいますから。

一宮崎人さん。こんばんは。

だいたいそんな感じの理解で合ってると思いますよ。
どっかの国のムーディーで素敵な会社がどうこういおうが(笑)
ま、そんな素敵な会社が椅子に座って勝手に格付けして、世界経済に影響を及ぼすって構造事態がおかしな話です。

そんなものは右から左へ受け流せばいいのです。

山形さん。
民主党と同じにしないで下さい w。

アベノミクスは、今のところオーバーホールらしき
事はしていません。私は、もうシビレを切らしてし
まったのです。何の為の圧倒的過半数なのか・・

対案はカンタンです。劇薬を思い切って飲むのです。
鉄の意志の女が飲み、命知らず(タダの◯◯?)の
カウボーイが飲んで、危篤状態の国が曲りなりにも
健康体に戻りました。皆が皆幸福になれたかは知り
ませんが。

管理人さん。
私はバラマキがダメとは思いません。バラマキだけ
だとダメだと思っています。火種だけ入れて炭を入
れないのでは落語になってしまいます。

私はもう非常事態と思っているので、既得権体制を
壊すしか新しい保守を築けないのでは?とアセって
いるのかも知れません。

サッチャリズム、レーガノミックス、アベノミクス
と言うからには、私も大期待しているのですよ。
後の記事を楽しみにしています。いつも、有難うご
ざいます。

一宮崎人さん

>日銀がもっと円を刷ってくれて貨幣価値を下げてくれたら(ぶっちゃけハイパーインフレ?)、個人的には負債が一発で返せて楽なんですけど。

きっとそれは名案です。
但し名案過ぎて、日本国の(唯一の懸案である国債問題が片付いて)信任が上がりすぎて円高になってしまうのです。

皆さん、盛んな議論で今回の選挙の意味をよくわかっていらっしゃるようで嬉しいかぎりです。

余裕があればゆっくり論じたいのですが(というのは今仕事が超忙しくて)、簡単にふれれば、ハイパーインフレにはなりません。ハイパーインフレというのはこれも定義があって1万%以上のインフレを指します。ドイツの第1次世界大戦の頃の状況です。

今はデフレですから、冷えきったお風呂にスポイトでお湯を入れているようなもので、絶対にインフレなどにはなりません。むしろなってほしいくらいです。

バラマキというのは公共事業投資のことだと思いますが、もちろん不要な土木工事などする必要はありません。しかし、民間需要が低迷している場合、政府が需要を作ってやることがあります。いわば呼び水として財政出動です。それが今です。ただし、これも麻生内閣の時のようにこればかりに頼ると失敗します。

あくまでも金融緩和などと適切に組み合わしていかねばなりません。

既得権益の打破というのは、今の経済諮問会議の民間議員たちが好きな言葉ですが、私はデフレ期に競争を激化させてどうすると思っています。
アホンダラさんが怒る気分は共有できるのですが、あくまで「それは今ではない」と思っています。

あなたの考えははいわば、半病人にフルマラソンをしてこいというようなものです。
それをするのは、今ではなくデフレ病から回復した時期です。そのときは、規制緩和でも、競争力激化でも、増税でもなんでもやって下さい。

今は日本経済が15年間も延々と低体温症にかかっているような時期からやや回復しかかった時期にあたります。まずはデフレ病を治癒してから、マラソンでも格闘技でも好き放題してください。

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