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2014年12月10日 (水)

南相馬市の米の超過事件の真相

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やや旧聞となりますが、反原発派がひと頃騒いでいたことがいくつかあります。ひとつはこの7月にあった南相馬市で昨年のコメに基準値越えの放射能が見つかったというものです。

朝日新聞は早速こう伝えています。 

「がれき撤去で飛散、コメ汚染 福島第一の20キロ先」(朝日新聞2014年7月14日)

「東京電力福島第一原発で昨夏に実施した大規模ながれき撤去作業で放射性物質が飛散して、20キロ以上離れた福島県南相馬市の水田を汚染した可能性を農林水産省が指摘し、東電に防止策を要請していたことが分かった。福島県は「他の要因は考えられず、がれき撤去の可能性が限りなく高い」としている。東電は要請を受けて撤去作業を凍結してきたが、広範囲に飛散した可能性を公表しないまま近く再開しようとしている

ちなみにこの記事は署名記事で、書いたのはあの「有名」な青木美希記者です。

青木記者は、「北の沖タイ」と呼ばれる北海道新聞からスカウトされて特報担当だったようですが、「手抜き除染」を報じた際に、実は「告発者」の男性に身振り手振りまで振りつけて演出していたいた逸脱行為を暴かれています。 

さてここで朝日は、南相馬市の水田汚染が原発構内の瓦礫撤去影響だと書いて、あたかも東電が瓦礫撤去の影響を隠蔽し、口をぬぐったまま工事を再開しようとしているかのような伝え方をしています。

朝日は、「構内の瓦礫撤去が既にこんなに放射性物質を飛散させているんだから、これからもっと大がかりになる事故現場の撤去作業は大変な2次災害をもたらすぞ」と言いたいようです。

それは以下の末尾の文章で分かります。

「東電は3号機のがれき撤去を終えたが、高線量のがれきが残る1号機は手つかずで、建屋を覆ったカバーを近く解体する方針だ。「最も早く作業が進む方法だが、放出量は増える」とし、飛散防止剤の散布を増やして対応するという。それでも天候や風向き次第でどこまで飛散するかは不透明だ。村山武彦東工大教授(リスク管理論)は「飛散の可能性を情報提供するのが大前提だ」と指摘する」(同)

う~ん、なにを言いたいのでしょうね、この人。どうやら、このまま第1原発をほったらかしにして、瓦礫撤去などするなということでしょうか。

それともこのまま世界記憶遺産にでも登録しろとでも。あ、ほんとうにそのうちやるかも(苦笑)。第9条をノーベル平和賞に申請したような人達だもんな。

ここで朝日は、東電が1号炉の建屋カバーを撤去しようとしていることで、放射性物質の飛散が増大すると識者が仰せなのだと書いています。  

自分が言いたいことを、識者に替わりに語らせるというのが、朝日が常道的方法なので、東工大の誰さんが言おうと、それは朝日の意見なのです。

それならばそうと、わが社はそう思うと書けば、かえってスッキリするのに、東大のナントカセンセイがぁとか、東工大のナンチャラ博士がみたいな書き方で権威付けした上で、自社の責任を回避するやり方がせこいですな。  

しかし、この南相馬市の水田汚染が、まったく福島第1の瓦礫撤去作業と関係ないことを原子力規制委員会が公表してしまいました。  

「がれき撤去でコメ汚染されず 昨夏の福島第1原発、規制委が実測値報告 

「東京電力福島第1原発で昨年8月に実施したがれき撤去作業で飛散した放射性物質が、20キロ以上離れた水田を汚染したとされる問題で、原子力規制委員会は26日、放射性物質の降下量の数値結果から、がれき撤去による汚染ではないと結論付けた(産経新聞2014年11月26日)

規制委員会の田中俊一委員長は「汚染はがれき撤去によるものではないことが明らかになった。ただ県民が心配しているので、これからも原因追及はやっていくべきだ」(同)と述べています。

チャンチャン。はい、これでオシマイです。

私は2013年に、福島の放射性物質拡散地域 の綿密な調査をした研究者から話を聞いたことがありますか、水田の汚染は実に多様な原因で生じます。

たとえば、山林にも放射性物質はフォールアウトしていますが、それは落ち葉に付着して、沢水に乗って谷津田に出る場合があります。

同じ谷津田でも沢水に近い側と、数十m離れた下流側ではまったく線量が違ったこともたびたびありました。

また、地質が砂質だとコメに移行しやすく、粘土質だと土が吸着するために比較的移行しにくいということもわかっています。

つまり、南相馬でコメに出たからと言って、検出された地点の地形、土質、当時の風向きなど細かい検証をせねばならないわけです。

それをしないことには福島第1の瓦礫撤去と関連があるかどうかなど、誰にも分からないのです。

にもかかわらず青木記者は、官庁などの数カ所の取材だけで、現地での裏もとらずに原因が確定的であるかのような書き方をしてしまっています。

昨年8月の瓦礫処理に伴う粉塵が、南相馬市のコメに基準値越えが検出されたたことで、工事を中止していたわけですが、実はよく調べてみれば、飛散の疑いがあるのは3キロ離れた双葉町で、20キロ離れた南相馬市には届いていなかったわけです。  

しかし、この朝日の記事を読めば読者は、「まだ福島第1は放射性物質を垂れ流しているのか、南相馬なんて遠くまで飛散してコメ汚染しているとはなんたることだ」という反応になるでしょう。  

そして、「福島はまだ危険なんだ」と思い込み、室井佑月さんのように「子供を福島へ修学旅行に行かせるな」というムチャクチャな差別につながっていき、またまた復興が遅れるということになります。

朝日はこのようなあらかじめキャンペーン対象を決めて、それに見合った物しか取材しません。よしんば異論があったとしても、それはノイズとして捨ててしまいます。

これは運動家的スタンスとでもいうべきものです。反原発運動にかぎらず、「運動」はその目的を達成するために活動しています。

これは左翼運動、保守を問わず、「運動」の宿命的体質のようなものです。

こう書くとお互いに気分が悪いでしょうが、在特会としばき隊が、傍からみれば兄弟喧嘩のように見えるのも、それが理由です。

彼ら「運動家」は、自分にとって都合の悪い情報は「見ない・聞かない・話さない」という三猿のような精神的密室状態にいます。

ですから、どんどんと一般の社会人の認識とかけ離れた異次元に突進して、そこで定向進化を遂げるので、気がつくとただの電波になってしまう場合も多々あります。

朝日などは、この運動家たちと体質的に親和性が強いと見えて、特定の左翼運動団体の主張を丸写しにしてしまいます。

特にこのバイアスがひどいのが、沖縄基地関係とこの原発問題です。

ノグチゲラが死んでいればオスプレイの低周波が原因、老人がダンプに飛び込むのを救った警官を逆に人殺し呼ばわりしたのは沖縄マスコミ。

福島には人が住めない、福島から逃げろ、福島第1では所員は我がちに逃げたゾと絶叫したのも大手マスコミ。

このようないわば「運動家」的取材方法が朝日の宿痾でした。それは慰安婦問題と吉田調書報道で木村社長の首を飛ばしたことで完全に破綻したと思ったのですが、どうもそうでもないようです。 

私はこのような「運動家」的な情報操作まがいの記事を書き続ける限り、メディアこそが今や国民の「知る権利」の最大の阻害者になっていると思えてなりません。

特定秘密法で騒ぐのもけっこうですが、たまには自分の顔を鏡に写してみたらいかがでしょうか。 

蛇足 原発や放射能問題を書いていると、しみじみホームグランドに戻った気分になるのが、われながら情けない(笑)。

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

その特定秘密保護法、本日施行ですね。
朝日毎日などにとって余程都合が悪いのでしょう。

彼等も同様に秘密を多数握っている以上、
あとはマスコミと政治のどちらを信用するか、
という問題ですね。

自分は、彼等よりは政治の方を信用しているので、
特定秘密保護法に賛成です。

夏のやつですね。
これ、記者が「よしっ来た、待ってました」とばかりに書いたんでしょうが…浅はか過ぎというか、ものすごいバイアスかかってましたね。姑息ですが「印象操作」としては実に有効に作用してしまいました。

こんなんだから、国防や外交に関する「機密」は一定期間「保護」しなければならないわけです。どこの国でもそうでしょう。私も特定機密保護法には賛成です。
むしろ今までが平和ボケでダダ漏れ過ぎた。
但し、長年ユルユルに慣れ切ってしまったために、国民としては抵抗があるでしょう。メディアは「正義」や「国民の知る権利」を盾にそこに漬け込みます。もはやただの害悪。

説明や国民的議論が不足?
確かにそうです。が、そんなことをやってる暇は無いだろうということ。
むしろソフトな法律ですよ。前の某政権時代を思い出してちょっとは懲りましょうよ。

こういう人たちはとうとう脱原発すら名乗らなくなりましたね。いまだに、がれきの撤去で「十年後にガンが増える」と言っていますからね。あとこういう人たちのトンデモをどうして信じてしまう人がいるのでしょうか?

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