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2015年1月

土曜雑感 クソコラ特集

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先々週のシャルリ襲撃事件から日本人人質事件へと移り、私のブログも異例ずくめでした。 

私としてはもっとじっくりと、シャルリ事件の裏側あるヨーロッパ移民問題を根っことするイスラミック・エスニック問題や、フランスという国の持っているデモクラシー原理主義的側面を論じてみたかったのですが、また別な機会にということになりそうです。 

さて、今回私もやや驚いたのは昨日書きましたが、クソコラです。山形さんたちの世代では珍しくもないでしょうが、私のような世代にはヘェ~ってかんじでした。
※もっとご覧になりたい方はこちらからhttp://www.akb48matomemory.com/archives/1018591497.html 

シャルリに代表されるフランスの風刺漫画が露骨なイスラーム(※「教」はイスラーム自体が「教え」の意味なので不要)攻撃と取られかねない漫画を延々と発信しているのに対して、クソコラはともかく攻撃性が希薄です。

しかもシャルリがやった失敗を、しっかりと学習していらっしゃる。Photo
イスラーム全体を冷やかす事以外は全部セーフなようで、あの反原発オバさんまでが俎上に乗っています。

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こりゃ笑える。もう一枚。あの人のぶっ飛びぶりは、魔法使いがよく似合う。

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あのジハーディ・ジョンのイキガリのポーズに至っては、大いに笑いを提供したようです。

まぁ、元ロンドンのヒップホッパーだからね。日本全国のヒップホッパーが怒っています。

フツー、外国ではテロリストて遊ばねぇぞ、と言いながら大いに腹を抱える私。

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もう、下のなんか笑いこけました。ISILは江頭 2:50かって(爆)。
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あの~、あいつらは世界的には「恐怖のジハード軍団」ってことになってんですが。もうクソコラでは笑いのめす対象でしかありません。

謎の「イスラム国」の内部はこんなもんかと(わけないだろ)。

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しまむらの「イスラム国」支店。実際は・・・、などというのは野暮です。

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シハーディ・ジョンも、自分の国へ帰ればコンナもんかと((←わけねぇだろ)。タブーのビールにうっとりするジハーディ・ジョン。これで斬首確定ですな。

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フンコロガシにコロコロされるジョン。もはや人気者。

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意味なく笑える一枚。小保方さん、異様に似合う!

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お前らなどスイカの種だと、笑い飛ばす。

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おいおい、お前まで笑うか。

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しかし、大谷のジィ様などがくどくど日本語でしゃべるより、よほど痛烈なテロリスト批判(←なのか?)です。しかも外人にも分かるのがスゴイ。

今のような状況でテロリストを笑い飛ばせる精神が、嬉しいですなぁ。

人質を取られているのに笑うのかという声もあるようですが、はい、「風刺」って元来が双方向のものなんで、発した側も笑われなけりゃ、そりゃフェアじゃありません。

このへんが自分がゼッタイに「正義」だと信じているタイプの、原理主義的な人には理解を越えるのでしょう。

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池内沙織議員のアクション。つまんないね。ユーモアになっていないよ、これ。単なるヘイト・アクションだもん。

「反アベ」がどーたらの前に、センスの問題。池内さんから、座布団取りなさい。

同じようにシャルリの標的にされた風刺漫画が、いまひとつ面白くないのは、この相対性がないのです。絶対に自分の側が正しいと確信しているから、やっちまったんですよ。

というところで、海外の反応。

●米国
「日本のツイッターユーザーは、風刺イメージを使った全国的な画像加工バトルを仕掛けてISIS(イスラム国)をやゆし、人質問題に抗議している」(NBCニュース電子版は2015年1月23日)

●フランス
「日本のツイッターユーザーは、ユーモアで対抗する道を選択した」
「切迫した状況下では少々恥ずかしい」
「いや、お笑いこそイスラム国の脅しに対するベストな回答だ」
「この点においては、日本人もまたシャルリーだ」
(公共ラジオ フランス・インター1月22日))

ちょっと違うと思うけど、日本人がISIL感染症にごく一部の人しか感染しなかったのを見て、大いに不思議に思っていて下さい。けっこう日本人はしぶといんですよ。

それにつけても、今の日本人のISILに対する気分はこれで決まり。

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週末写真館 金色の風景

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クリックすると大きなりますので、拡大してご覧下さい。記事は別途にアップいたします。

明日は休むぞぉ。

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ISIL情報戦略の失敗

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ヨルダンの死刑囚はまだ移送されていないようです。一時解放されたという情報がトルコのメディアから伝えられましたが、誤報のようです。 

ま、当然と言えば当然で驚くことではありません。 

ヨルダンがこのISIL(「イスラム国)の脅しに乗らなかったのは、第1に肝心のヨルダン人パイロット・ムアーズ・カサースベ空軍中尉の安否が分かっていないことです。 

カサースベ氏は、2014年12月24日にF16で対テロ作戦中に撃墜されて、ISILに捕虜となりましたが、その際負傷したのではないかと言われています。

Photo (写真 ISIL機関紙『ダビク』に掲載されたカサースベ中尉) 

その後、ISILの広報映像に出たようですが(上写真)、現時点での安否は不明です。安否情報を出さないで、「捕虜交換」するわけはありません。 

第2に、ISILはカサースベ中尉を返すとはひとことも言っていないことです。

実は、ヨルダン政府は今まで貫して捕虜交換を拒否してきており、先月にはラッカで米軍特殊部隊と協同で救出作戦まて決行しています。 

残念ながら失敗に終わりましたが、交換はしないという原則を堅持しているのが分かります。 

さて、今回の予想されたシナリオは3ツです。 

ひとつは、死刑囚が解放され、後藤氏と単独で交換されること、これが最悪シナリオです。 

このような形で後藤氏を返して貰うと、日本の「I AM KENJI」などというデモをしている人たちは単純に喜ぶでしょうが、そう簡単なことではありません。 

このような返され方をしてしまうと、わか国はISILの恐喝に簡単に屈する国、あるいは自国民の安全しか考えないミーイズム国家という印象を世界に発信してしまうことになります。 

二つ目は、カサースベ中尉が、「戦争捕虜」として交換されるケースです。 

これはかつて米国がアフガンでタリバンとの交換に応じて、軍曹を取り戻していますし、世界でもっとも強面な対テロ対応をすることで知られるイスラエルですら、状況に応じて捕虜交換をした歴史があります。 

この場合、ヨルダン政府の公式見解どおりカサースヘ中尉のみの交換となって、後藤氏は返されません。

これはヨルダン政府としてはギリギリ筋が通っています。日本もその決定には反対できるはずがありません。 

第3は、二人が同時に返還されるケースです。これが選択肢の中では最良ですが、IISILはそんなに甘い所ではないはずです。

ISILは、投降した敵軍兵士をその場で虐殺することで知られています。

ですから、生かしておかれたカサースベ中尉は、「価値」があったと思われたわけです。これは後藤氏も同様で、彼らは切り札だと思う間は生かしておくはずです。

したがって、現時点でヨルダン政府と日本政府にできることは、できる限り交渉を長引かせて、少しでも有利な条件が整うまで、安易な交換に応じないことです。 

さて、改めてISILの目的はなんでしょうか。直接にはカネです。彼らは今、外人部隊が集団脱走して大量処刑されるといった内部状況が漏れてくるなど、じり貧に陥っています。

ですから、主要国「最弱の環」と見込んだ日本を標的に巻き込んだのです。

「最弱の環」という表現を簡単に説明しておきましょう。今、国際社会は結束してテロリズムと戦っています。これを一本のチェーン(鎖)のように例えます。

その中で、ひとつの環が壊れて飛び散ると、全体のチェーンまでがバラバラになってしまいます。その一番弱い「環」が日本ではないか、という見方です。

わが国はダッカ事件の大失態によって、世界中にテロを拡散させたとして長年批判されてきました。

そして中東世界でも、カネをすぐに出す気弱な金満国という印象が、常識として流布されていました。まさにテロリストにとってうってつけの標的です。

ただ、慎重にイスラーム世界とは敵対しないように注意してきましたから、標的にしにくかったのです。

ISILも日本をなんとかして標的にしたいと思っていたはずで、1月17日の首相のカイロ声明をもって日本が、対テロ支援国家についた表明と見なして、ヤクザのように絡んできたわけです。

そして人質事件を起こし、日本国民を恐怖にひれ伏させるために、このような無言のメッセージを出しました。

「お前たちの政府は無力で無能だ。アベは冷血漢で、ケンジの命などなんとも思っちゃいない。米国とつるんで、無辜のイスラームの民を爆撃する手伝いをしている卑劣漢だ。抗議デモで包囲し、身代金を払ってケンジを釈放させよう。爆撃に使うのではなく、ケンジの命に2億ドルを使うのだ!」

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(写真 毎度おなじみ。反原発・反基地・反安保・反オスプレイ、反辺野古・反特定秘密・反集団的自衛権といった「反」がお好きな皆さまは、今回もまたISILにではなく、安倍さんに抗議)

はい、この台詞、色々な「識者」がISILの無意識の代弁者としてペラペラしゃべっていますね。このアホな人たちの名前をしっかり覚えておきましょうね。

しかし、このISILの煽動は、マスコミと一部の人達には絶大に効いたようですが、日本人全体には無効だったようです。

ヤメ官や小沢氏たちの「2億ドルは対テロ支援」というムチャクチャな誹謗は、たちどころに打ち消されました。

シリア難民や、ガザ地区の民生支援が対テロ軍事援助なわけがないことは、国民にすぐ分かってしまいました。

もう一つのISILの失敗は、日本人が今回の脅しに想定されたほどパニックにもならず、恐怖もしなかったことです。

Photo_4(写真 恐ろしく沢山クソコラはあったけど、これがなごむ。テロやられてなごむのはどうかとも思ったが、ともかく笑えます。遠くにドーモ君が、ISILの旗の替わりにいるというのも爆笑です。上のサヨクの人達にはユーモアがないんだよな)

フランスにあった大規模抗議デモもなく、その代わりISILのツイッターに大量に送られたのがクソコラだったというのは大笑いしました。

クマモンの頭から、ジハディ・ジョンが生えています(笑)。熊本県民の皆さん、ごめんなさい。

わが国には、江戸時代から黄表紙本という滑稽本の伝統があり、漫画文化のルーツになっています。

恐怖を笑いですり替えて、脅迫を逆手に取って抵抗するというのはフランスの風刺漫画にも一脈通じる抵抗精神ですが、日本のクソコラの方は、敵も味方も全部を笑いのめすのですから、いっそうタチが悪いというか、「風刺」本質に迫っているというか、ともかく過激です。

これには、当のフランスも含めてびっくりしたようですが、フランスの「アイ・アム・シャルリ」のマネをして、すぐに「I AM KENJI」とやるベタなスタイルよりよほど気が利いていると思いませんか。

このようなはぐらかされたような状況にいちばん焦ったのが、当の「恐怖の大魔王」になりそこなったISILです。

佐藤優氏がISILは日本にエージェントを置いて、国民の反応を報告しているはずだ、と述べていましたが、くだんのエージェントはこう報告したはずです。

「日本国民は、アベの強面とシャレで返してきている。若い奴らと来たら、パニックになるどころかKUSOKORAで遊んでいやがるが、シャルリみたいに反イスラームではないので怒るに怒れない。オレも笑っちまったぜ。
おまけに政府の対応には6割以上が支持を表明しているし、唯一のわれらの味方のマスコミだけは盛んに政府不信を煽ってくれているが、その煽動は不発のようだ。野党も共産党まで大人しくしている。オーノー、世界各国どこでも成功した自慢の情報工作は失敗した。なんだぁ~、このニッポンって国は(悲鳴)」

もちろん彼らのバーチャールぶりが「ISILに勝った」などと大げさに言うつりはありませんが、ISILの恐怖の洗脳がこの島国ではゼンゼン効かなかったというのは事実なようです。

また、湯川氏の父親の、まず息子がかけた迷惑を詫びて、救助活動に当たった政府に感謝するといった他国ではなかなか見られない日本的美徳も、国際的には高く評価されました。

このような日本人の無意識の集合意識が、ISILに対する強いメッセージとなったような気がします。

かくして、日本を脅迫する路線は急遽変更され、ヨルダンに標的が向いました。今度はヨルダンを日本との間で板ばさみにして、対テロ戦争の一角から突き崩すことです。

このような構図の変化の中で、状況は推移しています。日本人は冷静であり、イッちゃっているのはごく一部です。

落ち着いてISILを追い詰めていきましょう。絶対に後藤さんは帰って来ます。そして湯川さんのご遺体も。

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テロの前にオタオタするな。つけ入れられるぞ

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これを書いている時点では情報が錯綜しています。(29日午前3時)

ヨルダンが囚人を移送始めたというニュースもありますが、それが後藤氏とヨルダン人パイロット共に解放で合意したのか、あるいは将来の交換に備えたものなのかわかりません。 

「ヨルダンの国営テレビは、日本時間の28日午後8時前、画面上に字幕の速報を出し、この中で「ヨルダンの情報相は、ヨルダン軍のパイロットが無事に解放されれば、リシャウィ死刑囚を釈放する用意があると述べた」と伝えました。この速報では後藤健二さんについては、触れていません」(NHKニュース1月28日) 

一方、珍しく外務省が誤報通達(1月28日付)を出しています。 

「アル・ジャジーラ・ネット版(アラビア語)にて,櫻井修一駐ヨルダン日本国大使の発言として,「サージダ・アル・リーシャーウィーが移送され,引き渡される情報を持っている」との報道があるが,これは全くの誤報です」http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press2_000010.html

私としてはこういう時こそ、筋を通すべきだと思っています。自国民かわいさのあまり、ヨルダン人パイロットの生命や、ヨルダン政府の立場を悪くしては、禍根を残します。

色々な情報が飛び交う時は、落ち着いて解決の優先順位を決めることが大切です。 こういう時こそ、プリンシパル(原則)を守らねばなりません。

まず第一義は何かを考えることです。私はそれはヨルダンを支持し、彼らが国際的に果たしている重要な役割を妨げない事だと思います。

ヨルダンはISILに対する対テロ戦争の最前線国家です。この立場を傷つけることをしてはなりません。それが一義のプリンシパルです。

そして次善として自国民保護です。

そしてその目的のために、対テロ3原則が位置づけられます。

それは第1に、「テロには屈しない」、第2に「テロリストとは交渉しない」、第3に「テロリストとの人質交換には応じない」の三つです。

なお、ヨルダン軍パイロットは対テロ作戦での捕虜であって、このサキ報道官のいう「戦争捕虜」に該当しますので、後藤氏と違って人質交換にはなりません。

「イスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループが後藤健二さんとヨルダンの死刑囚の女との人質交換を要求している問題に関連し、米国務省のサキ報道官は26日、米国はテロ集団との人質交換には応じないとの原則を改めて示した。
 サキ氏は記者会見で、人質交換のための囚人釈放は、身代金支払いと「同じ部類」との認識を示し、「我々はテロリストに譲歩しない」と強調した。ヨルダン政府に死刑囚を釈放しないよう求めているかどうかについては『日本やヨルダンとの外交協議の詳細は話さない』と述べるにとどめた。
 米国が昨年5月、アフガニスタンの旧支配勢力タリバンに拘束されていた米陸軍軍曹の解放と引き換えに、収監していたタリバン幹部5人を釈放したことについては、『軍曹は戦争捕虜だった』と述べ、民間人の人質交換とは状況が異なると主張した」
(読売新聞1月27日)

この順位が逆になってはなりません。

ではなぜ、このように、雑音が多いのでしょうか。

そもそもこのような誘拐事案の性格を知らないからです。これは簡単に言えば、営利誘拐であって、圧倒的に犯人側が有利です。

こちらは相手の動向に決定されざるを得ないために、後手を踏む印象を与えてしまいます。 

いかにも自国政府がオタついて犯人の言いなりになっていて無能な印象を与えるわけで、この時とばかりに自国政府攻撃に励むバカの大群が発生します。

そしてもうひとつの理由はISILが、なぜ「国」を自称するのか、その理由を考えてみないからです。

彼らが「国」を名乗るのは、近代国家のふたつの要素である、「領土」と「国民」のいずれも否定しているからです。

自分は真のイスラーム法を体現する世界唯一の存在で、世界あまねくイスラーム法で支配するのだというが、彼らの理想です。

だから、既存の国家の領土、国民そのものを否定して、いくらでも膨張し得る、いや膨張せねばならないと決心しています。

そのための革命戦争をしているというのが、彼らの認識です。イスラーム原理主義が生んだ鬼っ子、連合赤軍がISILなのです。

まして、中東地域の国境線は英仏か勝手に引いたもので、そのようなものはイスラームの民を分裂させる原因にすぎないとしています。

それゆえに、彼らの「領土」と接するヨルダン、トルコなどは、許す事のできない「悪」なのです。

彼らの主張を逆にすれば、ヨルダン、トルコこそがISILの「イスラーム帝国」の膨張と戦う最前線国家なのです。

元内閣官房副長官補が、「安倍は人質交換に行け。首を差し出せ。お前が辞めれば解決する」などと言い出したりします。

また元外務省情報官僚で鳩山政権の外交ブレーンだった男まで、「2億ドル支援がテロを引き寄せた」などとしたり顔で解説しています。

野党は野党で、ここぞとはかりに「前から誘拐を知っていたのに今になってなんだ」と煩いこと、煩いこと。 

特に「山本タローの過激な仲間たちの生活のための党」(え~いなんだかよくわからんち)の小沢一郎氏と山本太郎氏は、生ぬるい、もっと政府攻撃しろ、とハッパをかけています。

「小沢、山本両氏は記者会見で、民主党や共産党など他の野党がイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件の解決を目指す政府への追及を抑えている現状をそろって批判した」(産経1月27日)

はいはい、だいたいこんな緊迫した時に官邸と外務大臣をくだらない国会審議に呼びつけるなよなよ、と言いたいのに、それでもまだ足りないというわけです。

イっちゃってるね。こんな人たちが唱える「反原発」って、一体なんだったんだろうねぇ。

海外メディアでは、従来は政府に対して批判的て立場の新聞社すら、一時的に休戦して政府を応援します。

少なくとも、ISILの広報映像を延々とお茶の間に放映してみせたり、テロリストの同調者がメディアに頻繁に登場するなどということは絶対にありえません。

それがメディアの「節操」です。こんな連中が、シャルリ襲撃事件で「言論の自由」を叫んでいたんですからお笑いです。

「言論の自由」とは、テロリストを応援する自由のことなのでしょうか。

簡単に彼らの言っていることを押えておきます。

2億ドル支援とこのISILのテロが関係ないことは、すべての中東専門家が一致していることです。 

後藤氏に脅迫メールが去年10月頃に来ていたのは事実のようです。 

外務省もそれを把握していたようです。しかし、個人に20億という法外な要求をしたり、それがただ一本のメールだったりしたわけで、その真偽の確認が出来ない状況でした。

しかし、日本政府は秘密裏にヨルダンに現地対策本部を設置して対応に追われていました。

「安倍首相は27日の衆院本会議での代表質問で、「行方不明事案の発生を把握した直後に現地対策本部を設置し、協力要請を行ってきた」と答弁した。
菅官房長官は同日午後の記者会見で、湯川さん拘束後の昨年8月16日に現地対策本部、翌17日に首相官邸の情報連絡室、外務省の対策室をそれぞれ設置し、11月1日に、後藤さんの行方不明事案も加えたと説明した。そのうえで、「事案の性質上、非公表とした」と語った」(読売新聞2015年01月28日)

 こういう対策をしつつ規定方針どおりの政策を進むのはいたって常識で、なんら不思議ではありません。 

結果としてISILに口実を与えたというだけにすぎません。ISILのようなヤクザ集団が、なんでも口実にして絡んでくるのはいつものことです。

それに左右されているのが、わが国の一部のメディアです。恥ずかしくないのでしょうか。

このような状況下でこちらが出来るのは、プリンシパルを崩さないことてす。オタオタしないこと。そして最悪な状況を想定し、それに備えることです。

日本のメディアや一部の野党のようにISILの言いなりになって右往左往すれば、間違いなくつけ入られことになります。

あ、それと、メディアにあのヘンな母親を出さないでください。脳波が乱れます。だいたい子供の時に手放しておいて、母親ヅラするんじゃありませんよ。

出すメディアの方も、ISILが、母親の情などに動かされると思っているんでしょうか。

今日はISILの危機の2回目を書こうとしましたが、明日に廻します。

■追記 あらたな要求がありました。
インターネット上に投稿された新たな音声メッセージは、「サジダ・シャウィ死刑囚が現地時間で29日木曜日の日没までにトルコ国境で連れてこられなければ、ヨルダン軍のパイロットのムアーズ・カサースベは即座に処刑される」(NHK午前10時)

 

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ISILの危機その1 濡れ手に粟の盗掘商法

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またISIL(「イスラム国」アイスル・統一略称※)の新画像が出たようです24時間の新たな期限設定と捕虜交換を求めています。
※今までISと表記してきましたが、政府の統一略称のISIL(アイスル)に変更いたしました。

マスコミは、「日本政府を翻弄するISIL」などと言っていますが、彼らには強力な指導機関がなくて、現場対応でまさにバザール商人をやっているだけに見えます。

さて、マスコミは、ISILに過剰な恐怖を植えつけています。まるで神出鬼没なスーパーテロリスト集団であるかのようです。

ISILは、そのうち詳述したいのですが、今までのテロリスト集団と違って、「国家ゴッコ」と、企業のような給料制度を持っています。

たとえば、あるマレーシアから夫婦子供連れで参加した(!)家族は、戦闘員として夫に月40ドル、ネット担当の妻に月40ドル、子供一人に15ドルの月給が支給され、マレーシアにいた時より豊になってしまったという例もあります。

いおい、出稼ぎテロリストかよ、とガックリきますが、案外純粋な理念型テロリストより高給欲しさの傭兵のような連中が主体なのかもしれません。

これは中東では標準以上の収入で、それが故に戦闘員を大量に抱え込んでいました。

また支配地域においては、病院、学校なども運営しており、行政組織や軍隊もあります。軍隊は、イラク軍基地を襲撃して奪った装甲車両やミサイルまで装備しているようです。

また、このマレーシア出稼ぎテロリスト一家の女房のように、海外からの「転職組」(←そんなもんに転職すんなよ)は技能に応じてITや「国家建設」の業務についているようで、みんながみんな戦闘員というわけではないようです。

ISを戦闘組織、あるいはテロリスト集団と説明していたマスコミかありましたが、むしろ「国家ゴッコ」をしているカルト宗教集団、アラブ版オウム真理教のようなものに近いでしょう。

オウムが各種インチキ商売に手を染めていたように、ISを支える潤沢な資金源こそが、彼らを実態以上に大きく見せていた原因です。

しかし、今や、ISILは最大の危機を迎えてようとしています。

それは彼らの財政的基盤がグラついてきているからです。それを指摘したのは米国の、しかも面白いことには財務省でした。 

2014年10月、カーネギー国際平和財団における講演で、デビッド・コーエン財務次官は「米国はIS困窮化政策」aとっている」と述べています。 

これによると米国は対テロ戦争において、空軍力以上に経済的打撃を重視して、資金源を断つことで消滅に導くことを重視しているのがわかります。 

9.11同時テロを実行したアルカーイダに対して、米国が使った手段が国際的金融制裁でした。

アルカーイダは、ウサーマ・ビン・ラビンがサウジの大富豪一族の出であったように、中東諸国を中心とする海外からの寄附で潤っていました。

この寄付金が流れ込む銀行の口座が、テロリストが利用する資金源だと特定された場合、当該国はその銀行に対して口座を凍結するように命じなければなりません。 

フランスの銀行などが実施に移し、今までアルカーイダが利用してきた主要国の口座は、ことごとく凍結されていくことになります。

これによって、アルカーイダは一気に衰退に追い込まれました。今、アルカーイダを名乗っているのは、ほとんどが小グループにすぎず、時にはシャルリ襲撃事件のようなスタンドアローンタイプ(孤立型)の個人テロリストだと言われています。

ちなみに、わが国の対テロ3法である「テロ資金提供処罰法」「犯罪収益移転防止法」「テロ資金凍結法」などの法案は、すべてテロリスト団体の資金源に対する打撃を目的としています。 

例によって日弁連が反対しているようですが、彼らが反対するということは、きっとテロリストにとってすごくイヤな法律なんでしょうね(苦笑)。

さて、コーエン財務次官はこの講演において、ISはアルカーイダのようにいかない、と指摘しています。

それはISは自前の金づるを持っているからです。それが原油密売です。

彼らは軍事的に支配したシリア、イラク地域の油井は、アルカーイダのように破壊せずに、それを管理して、せっせと販売しました。

そのやり方たるや実にマメで、タンクローリーだけではなくポリタンを小型車で闇市場に運ぶことまでしています。

これが米国に恨みを呑んで死んだフセインの遺産である、中東最大の原油闇市場でした。

これは長年、米国が必死に探索して根こそぎにしようとしましたが、最後まで分からずに潰しきれなかったものです。

この密輸ルートはいくつものルートに分かれていて、トルコとクルド自治区を経て海外に伸びており、莫大なアングラマネーが動いていると言われています。

これらの諸国は、表向きはISと厳しい対立関係にありますが、いかんせんISILの盗掘してくる闇原油の価格が、バレル100ドル台の時代にドイツ連邦情報局(BND)の調べてバレル18ドルという驚異的破格だったために、地下経済でそれに協力してしまう構造が出来あがっていました。

ISILはこのように、周辺国と目に見えない地下経済でつながっていて、主要国の銀行口座を凍結したくらいでは痛くも痒くもなかったわけです。

そもそも濡れ手に粟です。他人様の油田を銃で脅して掘っているだけてす。

油田は、探査や採掘、原油施設の建設と維持まで巨額のコストがかかるものですが、それがゼロなのですから、儲かってあたりまえです。

おまけに、闇市場の原則はいつもニコニコ現金払いです。キャッシュしか受け付けません。

ですから、ISは密輸業者と相対で金の受け渡しをするという、まるで魚屋か八百屋のような商売で稼ぎまくってきたわけです。

もちろん銀行を経由した決済などシャレたことはしませんから、アルカーイダには効いた銀行口座凍結攻撃もまったく功を奏さなかったわけなのも当然です。

かくて、ISILの原油盗掘による彼らの収益は一説1日100万ドル以上、月にすると1000万ドル(約10億円)という潤沢なテロ資金となったわけです。

「ドイツの情報機関「独連邦情報局」の報告書によると、イスラム国が掌握する油田の産油能力は推定で日量2万8000バレルとされ、米中央軍は、イスラム国の年間原油収入を10億ドル(約1200億円)と推計していた」(読売新聞1月22日)

これがISILの潤沢な武器やIT、戦闘員の給料などに化けていったわけです。

しかし、これが急速にしぼみつつあります。長くなりそうなので次回に。

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ヨルダンの厚意にすがるな

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「誘拐産業株式会社・IS商事」(←名を替えてみました)が、いきなりトーンダウンしました。 

今度はヨルダンにで死刑囚となっている、60人を殺したサジダ・リシャウイというオバさんテロリストとの交換だそうです。もう笑うしかありません。

ふざけるな、あの2億ドルはなんだったんだ、と言いたい。まるで「ディスカウント、オーケー、オーケー」といいながら追いかけて来る、バザールの土産物屋です。 

先週、2億ドルを出せ、中東民生支援はISを刺激するから止めろと、安倍辞めろと、デモまでして騒いでいた諸君たちは、いかが思われますかね。

この人たちは、フランスのシャルリ襲撃事件に置き換えれば、テロリストに屈しろという襲撃犯人賛美デモをしたことになるんですよ。恥ずかしくないんですか。

意識的か無意識にか、テロリストの同盟軍になってしまっているんですから、左翼がここまで堕ちたかと情けなく思いました。

反安倍はけっこうですし、私も彼の政策を全肯定しているわけではありません。

しかし、テロリストと対峠している今、背後から撃たなくてもいいじゃないですか。時と場合を判断しなさい、ということです。

さて、後藤氏の声とされるのも合成の可能性があり(※)、声紋が合わないという説もあります。画面もホワイトバックで、IS広報局のロゴもなく、いかにISが慌てふためいているか想像できます。※政府は合致していると発表しました。

結論から言います。ヨルダン政府にテロリスト釈放依頼などぜったいに出すべきではありません。恥を知りなさい。

昨日、ヨルダン国王は自国の捕虜のほうか優先だと発言したそうです。当然です。 

マスコミは、「この女テロリストと、後藤さんプラス捕虜となっているヨルダン人パイロットで、どーだ。2名対1名だぞ」などと、情けないことを言っていました。 

おいおい、いつから他人の国の国民の命を駒に使うようになったんでしょうか。そんなことをしたら、うちの国はヨルダンに永遠に頭が上がりません。 

今回の女テロリストとの交換という、IS(「イスラム国」)の隠れた目的は、ヨルダンの近代的裁判制度によって死刑を宣告された死刑囚を、彼らが暴力で奪還することで、裁判が象徴する<近代>を否定してみせることです。 

つまり、ヨルダンのような世俗的イスラム国家をせせら笑ってみせて、ISの暴力の前にはそんなもんは屁でもないと誇示することです。 

ヨルダンは、自国民の救出ならば、酢を飲むようにして国民に説得できるでしょう。しかし、どうして外国人の虜囚との交換で、そんな屈辱を舐めねばならないのでしょうか。 

もし、今政府にその案か念頭にあるなら、お願いですから止めて頂きたい。なまじ具体性をもっていて、日本とヨルダンの親密さを考えるとありえそうな案だからこそ、止めて下さい。 

さて眼を少し前の、安倍首相の中東歴訪の日程に転じてみましょう。 彼が何を現地で根回したのか分かるはずです。 

1月20日午後、事件発生直後、イスラエル滞在中の安倍首相は、予定を変更せずに、エルサレムからパレスチナ自治区・ラマラに移動し、アッバス議長と会談しています。  

ついで、エルサレムに戻り、ヨルダンのアブドラ国王とトルコのエルドアン大統領と電話会談を行い、両国の全面協力を取り付けています。  

パレスチナとヨルダンは、シャルリ襲撃事件においても、パリの抗議デモに参加するなど、明確にISのテロとの対決を宣言しています。  

特にヨルダンは、アブドラ国王のカリスマ的とも言える統治が行き渡り、軍事的にも強力な精鋭部隊を有しています。 

アブドラ国王は、日本とのつながりが深く、私的な日本訪問も何度かしているほどです。  

またヨルダン総合情報部(GID)は中東世界随一の力量を持っているとされ、この10年はイスラム原理主義者を相手に情報戦を戦っているとされています。  

ヨルダンと共闘することで日本は、中東世界で、イスラエルのモサドと並ぶとすらいわれるヨルダンGIDの情報力とのコネクションを得たわけてす。 

また、トルコのエルドアン大統領は、安倍氏と個人的にも極めて良好な関係にあり、大統領自らが交渉仲介に乗り出していると伝えられています。  

トルコは、中東地域においてIS支配地域と接するシリア反体制派組織や、イラク国内のスンニ派の部族長たちとパイプを持つと言われています。

このふたつのイスラム国家が、日本の友邦だというのは偶然ではありません。両国とも中東世界を代表する世俗的近代国家であって、長年の交流を通じてわが国と価値観を共有できるからです。 

このふたつの中東で無比のパートナーを人質事件の援軍に据えることこそが、安倍首相の根回しだったわけです。 

そして表舞台には出ませんが、ネタニエフ・イスラエル首相にも、当然ながら支援要請をしたはずです。 

このネタニエフ首相とも安倍氏は懇意で、オバマが犬猿の仲なので、自由主義世界で彼を説得できるのはいまや、この安倍氏しかいないとさえ言われているほどです。 

こうして見ると、世界でも希なくらい中東世界に多くの「友人」という政治的資産を持つ政治家が、この安倍晋三という人物だともいえます。

つまり、ISは安倍氏が中東歴訪しているので隙を狙ったつもりかもしれませんが、逆に安倍氏が直接に各首脳に支援要請する絶好の機会を与えてしまったとも言えます。

かくして安倍氏が日本に帰る前に、ISを締め上げる包囲網が出来あがっていたといえるわけです。この包囲網は時間がたつほどISを締め上げていきます。

ISの当初の目論見を破壊し、今後の選択肢を切り縮め、やがて実行犯を特定し、後藤氏の拘束場所まで暴いていくでしょう。

彼らを恐怖に追い込み、お願いだから、後藤氏を解放させてくれというまで追い込んで行かねばなりません。

時間は味方です。焦る必要はありません。

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追い詰められているのはISだ!

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状況が動きました。(欄外参照) 

この画像が正しいとすれば、IS(「イスラム国」もしくはISIS※)は、湯川遥菜氏を殺害し、身代金要求を取り下げて、ヨルダンで死刑判決を受けているサジダ・リシャウイ死刑囚との交換を要求しているようです。※ISは国でもないのに「国」を名乗っているために、本物のイスラム諸国が迷惑していますので、英字略称で表記します。

リシャウイ死刑は、夫とヨルダンで自爆テロを行い、60名もの人々を殺した人物です。 

まだ真偽は確定していませんが、事実ならば強い怒りを感じます。

ISは湯川氏より、ジャーリリストの後藤健二氏のほうが人質としての価値が高いと判断したようです。人の命を価値で量るような、ISの冷血がわかりましたか。

ISが強気に出た、さぁ大変だ、というメディアが出そうですが、逆です。ISは追い詰められています。なぜそう言えるのでしょうか。

それは彼らが、誘拐を仕事にしている誘拐ビジネス業者だからです。え、何んですって。イスラム原理主義者だから、理想のイスラム社会を作るために戦っているんですと?

中田考のようなことを言わんで下さい。

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中田考はハッサン中田という別名を持ち、シャミール常岡などと同じに、確信犯的なIS、あるいはアルカーイダの準メンバーです。つまり立派なテロリストそのものです。

こんな男たちをメディアが登場させて発言を許すこと自体が、テロリストに加担する行為です。どうしてこう常識がないんだろう、日本のマスコミって。

この人物を外国特派員協会でしゃべらせたのが、慰安婦問題でお馴染みの日弁連、(いや改称して赤色弁護士会になったんだっけ)ということをしっかり記憶しておきましょう。

改めてハッキリさせておきたいのですが、ISは国家ゴッコの皮をかぶった盗賊、虐殺集団、奴隷商人、そして誘拐業者でしかありません。

ISが「反イスラム十字軍に参加した」などと言ったので、それに乗って「アベの2億ドル支援が引き起こした」などと言う人が多く出ましたが、単なる営利誘拐犯にすぎません。

そう思って彼らの理屈らしきものを取っ払って見れば、ほんとうのISの姿が見えてくるはずです。

まず現時点で、この「誘拐ビジネス・IS産業」は、何の利益も得ていないわけてす。こんな投資を回収しない段階で、語弊はありますが、大事ないわば「元本」である人質を全部殺したらバカ丸出しでじゃないですか。

湯川氏は捕らえられて約3カ月間になります。IS支配地域には、常時米国の偵察衛星が数基張りついているはずで、この目を盗んで居場所を転々としたはずです。

それにけっこうコストがかかっているはずで、後藤氏を拉致したので、一気にセット販売して大金をゲットしようと勝負をかけたわけです。

ところがこのバクチが大ハズレ。事前の彼らの知識では、日本政府はひ弱で、脅迫すればすぐにカネを出してしまうキャッシュデスペンサーのような国だと思っていたからです。

この認識はIS特有のものではなく、アラブ社会のいわば「常識」で、政府関係者からさえ表明されているようです。イスラーム学が専門の池内恵東大准教授はこう述べています。

「アラブ諸国では日本は「金だけ」と見られており、法外な額を身代金として突きつけるのは、「日本から取れるものなど金以外にない」という侮りの感情を表している。これはアラブ諸国でしばしば政府側の人間すらも露骨に表出させる感情であるため、根が深い」http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-258.html

だからISは、日本などチョロイ相手だと思って、この事件を始めたはずです。

ところが予想を越えて、安倍首相は毅然と要求を拒否しただけではなく、瞬く間に中東各国と連携してIS包囲網を作ってしまいました。

完全なIS側の読み違えです。

そもそも「72時間で200億円寄こせ」などという要求自体が、イスラム教圏のバザール経済における言い値にすぎず、これを値切ることから交渉は始まります。

「はい、72時間たちました、終了」とやってしまって困るのは誘拐商人のISの方であって、わが国ではありません。

しろ菅官房長官が、23日午後2時か刻限とこちらから刻限を切ったことに、彼らは驚いたはずです。

なぜなら交渉は長引けば長引くほど、ISにとって不利になっていくからです。

あす触れてみたいと思いますが、日本の働きかけによって、トルコ、ヨルダンなどの包囲網が締まっていき、最悪の場合米軍の特殊部隊が奪還作戦をかけてくるかもしれないと(※)、疑心暗鬼になっているのは彼らISの側です。※現実にそのような要請をする可能性はゼロです。

マスコミは、「日本政府打つ手なし。交渉すらできず」と報じていますが、バッカじゃないかと思います。

考えてご覧なさい。まず後藤氏は彼らの「最後の切り札」ですから殺される可能性はゼロではありませんが、非常に低いでしょう。

彼らは人質ビデオ公開初期に、日本が屈すると見ていました。しかしその目論見がはずれました。

早期に日本からカネを引っ張って、逃亡するのが彼らの作戦だったわけで、既にこの段階で、彼らの計画は破綻を開始し始めているのです。

その上で、なんらかの直接交渉をしたとしても、わが国が言えることは「カネは出せん。早く全員返せ」という原則論を繰り返すしかありません。

日本政府は長びけば長びくほど、中東各国の具体的支援を拡大する時間的猶予を得られるのですから、下手にせっつかれる直接交渉チャンネルなどないほうがいい(※)という判断もあり得るのです。

つまりダイレクトのISとの交渉チャンネルはあったらあったほうがいいし、なければなくてもいい程度のものなのです。

一方ISは、日本政府との直接の交渉チャンネルがなければ、肝心のカネの受取交渉すら出来ません。

いちばん営利誘拐において難しいと言われる、身代金の受け渡しができないのです。

さて、後藤氏はビデオで、「アベ、湯川さんを殺したのはお前だ」と批判しています。 

このような発言を真に受ける必要はまったくありません。 

今までの米英の人質は全員例外なく、自国政府に対する批判をしゃべっていますが、それが殺人の脅迫によってしゃべらされたものであることは明らかで、いつもどおりのISの汚い手口です。 

脅迫による発言は無効ですが、マスコミは例によって、「アベ、お前が殺した」という部分のみを、後藤氏が置かれた状況から切り取って、繰り返して流して、古賀茂明氏あたりに「アベの無為無策がこんな結果を招いてしまいました」などとしゃべらせるのでしょう。

ISは追い詰められています。中東世界で、改めて彼らの孤立ぶりが明らかになりました。

イスラム宗教界ですら、誰ひとりISを支持する所はありません。世界の政府、メディアも日本政府を支持しています。ただひとつわが国のマスメディアだけが例外です。

最悪のメイド・イン・ジャパン製品である日本のマスコミを見抜いて、ISは当初から「日本国民が決めることだ」と振ってきました。

これで勘違いしたのが、反原発・反安保、反アベの運動団体の皆さんです。

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かくて、手詰まりになったISがもっとも期待しているのは、日本のマスコミとコメンテーター、そして左翼運動家諸氏なのです。

そうそう、ISからRTをもらった山本タローの「仲間たち」の小沢一郎氏までが、こんなことを言う始末です。

「(政府によるイスラム国対策の2億ドル支援について)日本も敵だと捉えられても仕方ない。(支援表明は)イスラム国には宣戦布告とも言える」「人道支援の名前で言おうが、後方支援、補給が戦争そのものだ。曖昧なごまかしの話はやめるべきだ」

もう反論するのさえバカバカしい。後方支援と民生支援はまったく別物です。1991年の米国の湾岸戦争に90億ドルを拠出した元自民党幹事長が、そんなことも知らないのでしょうか。

あんたが昔、恥ずかしげもなくやったのが後方支援、安倍さんがしているのは民生支援です。その区別もつかないで、小沢氏は90億ドルも貢いじゃたんですかね~。(棒)

使えるものなら何でも使う小沢氏も、とうとうここまできましたか。隠居して宜野座で釣でもしていなさい。

何度も言いますが、ISに「国民力」を見せつけてやりましょう。それが国民として後藤さんを奪還できる唯一の支援なのです。

マスコミのようにジタバタしないこと。ISを助ける言動をしないことが大事です

そして静かに政府を支持しようではありませんか。アベなんか支持できるかという人は、支持しなくてもけっこうです。足を引っ張らない、それだけで充分です。

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■産経1月25日

イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に拘束された後藤健二さん(47)とみられる男性が、湯川遥菜(はるな)さん(42)は既に殺害されたとの声明を読み上げる画像がインターネット上に掲載された。安倍晋三首相は25日未明、関係閣僚会議の冒頭で「このようなテロ行為は言語道断の許し難い暴挙で、強い憤りを覚える。断固非難する」と述べた。これに先立ち、菅義偉官房長官は官邸で緊急の記者会見を行い、配信を確認するとともに「残る後藤氏に危害を加えないよう、直ちに解放するよう強く要求する」と強調した。
 画像は日本時間の24日午後11時すぎに投稿。後藤さんとみられる男性は、首を切断されたように見える別の男性の写真を掲げ、英語で「仲間のハルナ・ユカワがイスラム国の土地で殺された写真」と説明。
 声明で犯人グループは、後藤さんを解放する条件として従来の身代金要求を取り下げ、代わりに自爆テロの共謀罪で、ヨルダンで死刑判決を受け収監中のイラク人、サジダ・アルリシャウィ死刑囚をヨルダン政府に釈放させるよう要求した。

音声は「私はケンジ・ゴトウだ。写真はイスラム国で殺害されたハルナのものだ」とした上で、「アベ、お前がハルナを殺した。われわれをとらえていた者の脅迫を真に受けず、72時間以内に行動しなかった」と指摘。2人の娘に向けて「愛している。会いたい」と述べた。ヨルダンで収監されているサジダ・アルリシャウィ死刑囚の釈放を要求した。 

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イスラム原理主義vsデモクラシー原理主義

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実は先週に2度もアップした記事ですが、ISの人質事件が起きてしまったためにボツになった不憫なヤツです(涙)。このままお蔵入りも哀れなので、日曜特別版でアップしておきます。よかったね、陽の目見て、しくしく。

先週の1月20日の「非宗教性国家・フランスの「国教」ライシテ」の後半になります。http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-0051-1.html 

※なお、後藤氏の新たなビデオが公開されていて、状況が動いたようです。これについては明日に書きます。

                 ~~~~~

<ライシテ>la laïcité は一定の和訳はありませんが、「政教分離」と訳すと、ただの公権力への宗教の介入を許さないとなって、我が国と同じになってしまいます。

もちろんライシテは、そんな甘チョロイもんじゃありません。むしろ「非宗教性」あるいは「宗教からの自由」くらいの強い意味なので、ここでは原語のまま記すことにしました。

それはさておき、このフランス革命の贈り物である<ライシテ>について、もう少し見ていきましょう。

<ライシテ>は、一神教を前提とするA宗派も、B宗派も、共に互いの宗派を嫌悪しあっていたとしても認めねばならないとします。

宗教は内面の自由に制限され、他宗派を暴力的排除することは堅く禁止されます。表面的でいいから、市民社会で共存していこうね、ということです。

これが、<寛容>トレランスで、フランス革命の三大原則の<友愛>となっていきます。

そして、そのためには、自分の宗派が有利に運ぶように公権力への介入は絶対にしてはならならず、公権力は特定の宗派に援助してはなりません。

そりゃそうです。公権力が特定宗派に占有された場合、他宗派が圧迫されることになりかねません。

ですから、フランス大統領は就任式典で、間違っても聖書に手を置くという米国流の儀式はしません。したらその瞬間、解任動議が議会から飛んできます。

もし大統領が聖書に手を置くなら、一定宗派が政権を牛耳ることになり、フランス革命前に逆戻りとなって、また宗教戦争が勃発してしまいます。

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逆に言えば、公権力は特定宗派の神・聖職者への言論による圧迫に対して一切介入しないということで、つまりは宗教への冒涜は暴力さえ使わなければ、自由かつ、無制限なのです。

よく間違って報道されていますが、フランスの公立学校のスカーフ(ブルカ)禁止令は、イスラム教だけに対しての「弾圧」とは無関係です。

カソリック教徒の生徒はロザリオ(ネックレス)や、ユダヤ教の帽子も同じく禁止されています。

またフランスは、犯罪に手を染めていて悪質だと思われる活動をする宗派に対してもことのほか敏感で、「反セクト法」という、それを監視する法律さえ作っています。ちなみに、創価学会がこれに指定されているというのは、どうやらデマのようです。

これが「革命国家・フランス共和国」の教義(ドクトリン)である以上、シャルリ・エブドのイスラム冒涜もまた<自由>の名の下に許される、とフランス人は考えるのです。

他のヨーロッパ諸国は、フランスほどラジカルではないと言われていますが、民主主義革命の原点を自負するフランスにおいては、このもっとも過激な原理主義的解釈がいまだ一般的なのです。

私の造語ですが、いわば<デモクラシー原理主義>です。

つまり、このシャルリ襲撃事件の時にさんざん聞かされたコメンテーターのいう「言論の自由」という枠組みの外に<ライシテ>があり、それはいかなることによっても守られるべき「理性神」だとフランス人は考えているのです。

しかしこれが<ライシテ>が成立し時には予想しえなかった事態、すなわち、イスラム社会を国の内部に1000万人のオーダーで抱え込む状況になった時に、大きくきしみ、破綻していきます。

そして起きるべくして起きたのが、このシャルリ襲撃事件という悲劇でした。

イスラム原理主義vsデモクラシー原理主義という、両極の原理主義の衝突があの事件の本質だったように、私には思えます。

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IS人質事件 自己責任論について

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まだ進展はみられないようです。おそらく、水面下の交渉かトルコなどの国を介して続けられていると思われます。 

十数年たってからしか表面に出ないことが、話合われているはずです。たとえば、ヨーロッパのある国がとったといわれる方法はこうです。 

ある周辺国に対して仲介を求め、その国が捕虜にしているIS戦闘員と人質を交換します。そしてその代償にその周辺国に対して「開発援助」という形でお礼をするという方法です。 

あるいは、直接に周辺国の要人に「お礼」をすることも、あっても不思議ではないでしょう。 

いずれにしても、誘拐が産業化している諸国においては、その手練手管は沢山あるようです。 

しかしわが国では人質事件が起きると、圧倒的多数の国民の静けさと裏腹に、おかしな人達の乱舞が見られました。 

「2億ドルの民生援助を止めて、人質を返してもらえ」と叫ぶ「あの」参議院議員が出たり、誘拐犯の代弁者まてもが堂々と登場して、「ISと口をきいてもいいですよ」とのたもうたりしました。

山本タロー君が言う分には驚きませんが、元防衛官僚の柳澤協二氏が、「安倍、お前が辞れば解決する」と述べたことにはさすがびっくり。(岩上さんのhttp://iwj.co.jp/wj/open/archives/226466

こんな人物が第1次安倍・麻生政権時の元官房副長官補で、しかもあろうことか、危機管理担当だったというのですから、大笑いしました。

この人は尖閣に中国が進攻したら、きっとこんなかんじだったんでしょうね。

「大変です、首相!中国が進攻を開始しました。直ちに・・・」
「直ちに自衛隊を出動させるんだね」
「いいえ、首相がお辞めくだされば、中国様のお怒りが鎮まるかと」
♩チャンチャン

コントだね、こりゃ。こんな人が防衛省事務次官になるところだったんですから、まぁなんというか、かんというか。

さて、ひとつだけキッチリさせておいたほうが、いいことがあります。自己責任論です。 

一昨日、芥川賞作家の平野啓一郎氏がツイッターでこんなことをつぶやいていました。 

「スポーツなどで国際的に活躍すると、『同じ日本人』として思いっきり共感するのに、紛争地帯で拘束されたりすると、いきなり『自己責任』と言って突き放してしまう冷たさは何なのか」 

なにを言っているのでしょうね、この作家。冷たい、優しいという気持ちのあり方の問題でもないし、そもそもスポーツとテロを一緒にするのですから、この人の頭はどういう仕組みになっているんでしょう。 

もちろん、民主主義国家においては、国は国民の保護義務があります。それは国家主権の中に、領土の保全と並んで、国民の保護が大きく位置づけられているからです。 

だから、どんな状況においても国家は、国民を助けようと努力します。それが当人の馬鹿げたことことの結果であれ、仕事上のことであれ、救出をしようと努力します。 

人質交渉はしないと宣言している米国でさえ、人質救出作戦を特殊部隊に命じています。 

イスラエルに至っては、ミュンヘンオリンピック・テロの後に、世界各地に逃亡したテロリストを特定し、ひとりひとり殺して廻る「神の怒り」作戦を実施しています。 

先ほどのヨーロッパ諸国の手練手管以上に、日本には異次元の話に聞こえるでしょうが、こんな手段を使ってでも自国民を守ろうとするのが国際社会なのです。 

わが国ではすぐに「憲法違反だぁ」という声が飛んできそうですね。

それはさておき、自己責任というのは、切り分ければ3種類のカテゴリーに分類できます。 

ひとつは、御嶽山の噴火のように、予知不可能な状況で不運にも遭遇してしまったケースです。このケースに対して自己責任だろうというのは、いくらなんでも酷です。

また海外で紛争に巻き込まれた自国民などもこのケースで、当該国との合意の上で救助のために軍隊を派遣することは国際法で認められています。 

この第1のタイプは、無条件に国家の救助対象になります。

第2に、その事故の負傷者の救助にあたった警察や自衛隊の人達が事故に遭遇した場合はどうでしょうか。これも自己責任とは言いません。 

任務で命令されて危険な場に赴いたのですから、自己責任を問うてはおかしなことになります。

第2のタイプも無条件に救助対象です。

第3に、噴火が既に起きていて、入山禁止措置が取られているのに突撃取材して死亡したらどうでしょうか。 

これは、危険を知り得て自らの判断で、遵守規制を破ってしまったのですから、自己責任に該当します。 

今回のケースは考えるまでもなく、完全に第3のケースです。

後藤氏は、自ら「これからイスラム国の支配地域に入ろうと思います。全ての責任は自分にあります」と潔いビデオメッセージを託して、シリア領内に向いました。 

戦場ジャーナリストとして、しっかりとした職業倫理を持った方です。頭が下がります。 

一方、湯川氏は「民間軍事会社」という触れ込みで、シリア領内に出向いて人質になりました。 

民間軍事会社(PMSC)は、民間会社でありながら国家と契約して、軍隊の業務の代行・支援をする組織です。

銃器で武装しており、国際的には「傭兵」として扱われています。傭兵を助ける義理は国にはありません。

ちなみに、日本では設立そのものが認められていません。 外国法人にするしか方法はないはずです。

湯川氏は軍事訓練の経歴もなく、シリアの下調べも杜撰であり、幻想と現実の境を間違って渡ってしまったのでしょうね。

気の毒ですが、まことに愚かで,当人は「傭兵」のリスクを知らなかったと思われます。

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※追記 湯川氏の映像が出ました。どうも銃を持ってISくいの勢力圏に越境してしまったようです。戦闘員として認識されて捕えられても、まったく弁解の余地がない行為です。(1月30日)

後藤氏に対しては国は救助対象とするでしょうが、湯川氏は本来、国家の保護対象外でしょう。 しかし、わが国はどちらに対しても等しく、できる限りの手を尽くそうとしています。

救出に奔走している政府関係者の尽力を思うと、絶望的な状況とはいえ彼らの努力が報われて、人質が生還されることを祈ります。

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週末写真館 黒雲の先には太陽が見える

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記事は長くなりましたので、別途に独立させました。

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日本の「国民力」が試されている

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今、「国民力」が問われていると、私は思っています。 

まず、変に政府に情報や方針を求めないのが、このような状況の大原則です。だって、政府に答えられるはずがないじゃないですか。

政府が、今、犯人側とコレコレの交渉をしております、なんて言ったら、そりゃバカです。 

一種の営利誘拐犯との交渉のようなものなのです。完全に報道管制を敷いて、まったく情報を出さないのが原則です。 

「知る権利」などは、人命がかかった状況の前には、一時凍結されます。マスコミも知り得たとしても、報道しないでしょう。 

おそらく、報道については官邸から協力要請と、報道各社間で紳士協定のようなものが出来ているのではないでしょうか。

一部のマスコミか、 自称イスラム法学者の中田某という人物の会見を報じて、「イスラム国が日本人人質解放のために要求している2億ドルの支払いの条件として、イスラム国側に認めてもらう。そうすれば、イスラムとイスラム国のイメージの心証がよくなる」などと訳の分からないことを言わせています。

この人物はISの北大生のリクルートにも関わった男です。こんな時期にこのような者は黙らせるべきで、出すこと自体の見識を疑います。

私は先日の記事で、かならずこの事件を政治利用する奴が出てくると予想しましたが、よもやISの代理人か堂々と登場するとは思いませんでしたよ。

フランスに置き換えてご覧なさい。シャルリを襲った後に、印刷会社に立て籠もったテロリストの代理人が、「あたしが交渉しに行ってもいいです」などと、メディアにシャシャリ出て来るなんてありえますか。

フランスだったら絶対にありえません。日本のマスコミはぶっ飛んでいます。

そして、政府の判断の足を引っ張らないことです。 危機対応は、民主的合議で決定する類のことではなく、民主的手段で選ばれた政府に一任するしかないことだからです。 

このような72時間という切迫した時間で、おそらく彼らとコンタクトすることすら不可能でしょう。 

政府はあらゆるチャンネルを使っているはずですが、IS自体が、アルカイーダ系と違って地元の部族長のような伝統的社会と断絶していますから、困難を極めているはずです。 

様々な情報も来てはいるはずですが、真偽の裏を取るだけの時間もないはずです。 

したがって、最後は安倍首相が全責任を背負って、エイヤっと決断するしかないのです。 

安倍氏のスタンスは、当初から明確でこう述べています。 

「私の陣頭指揮の下に政府全体として全力を尽くす。国際社会は断固としてテロに屈せずに対応していく必要がある」 

政界用語で「陣頭指揮」とは、首相がいかなる結果になろうとも責任をかぶることを意味し、「テロに屈しない」という表現は、国際社会では「支払わない」ということと同義です。 

メディアの一部で、「現実的方法」としてフランス、ベルギー、ドイツ、スイスなどの人質が、裏交渉の結果、解放されたことをモデルにするべきだ、という案か出ています。 

実はこれもあり得たかもしれないプランでした。欧州各国は、英国を除き、政府は絶対に認めませんが、相場の0.1%~30%、相場にして数百万ユーロを支払って解放されています。 

しかし、この方法を取るには、条件がいくつか整わねばなりません。 

ひとつは、誰がするかです。

ヨーロッパでは政府がテロリストと直接に交渉することはありえないという前提に立って(※)、あくまで人質家族が交渉したことを、政府が見て見ぬふりをしたということにしています。(※一部で政府が直接交渉に関与した場合もあると噂されていますが、公式には否認されています)

人質家族が、現地の仲介者を探すか、ベルギーのように民間軍事会社に仲介してもらうしかないでしょうが、その能力はお二人の家族にないでしょうし、72時間ではあまりに短すぎます。

次に、この裏交渉したことが完全に封印できるかどうかです。裏交渉がバレた瞬間、わが国の国際的信用は地に落ちます。

フランスは身代金を支払ったと噂されていますが、頑として口を割りません。それだけの堅牢なしぶとさが、日本の政府与党にあるかです。

官邸はともかくとして、今の自民の一部、公明党にその覚悟があるかは、はなはだ不安です。

彼らの本音は、「身代金を払ってもいい。批判はされたくない」のはずです。まちがいなく、この方法を取った場合、彼らから水が漏れます。

したがって、この裏取引は事実上不可能です。

さて、もうひとつの要素は、これを単なる日本の受難にしないことです。あくまで、ISのようなグローバル・テロリストに対しては、国際的に対応して、徹底して締め上げていくしか方法はありません。 

安倍首相が各国の支援を要請したのは、ただ情報をくれというだけではなく、わが国は国際社会の一員として戦いますよ、日和ませんよという決意表明でもあるわけです。

これは非常に重要で、この事件以後のわが国の外交路線のみならず、集団的自衛権、憲法改正まて含んだ国のグランドデザインにまで影響を与えることになるでしょう。 

では一方、今政府が既定路線としている身代金の支払いには応じない場合、どのような状況が想定されるでしょうか。 

容易に想像できるのが、今までの欧米の人質のように残虐な殺害シーンがYouTubeに流れることでしょう。 

吐き気のするような場面を、茶の間で見ることになります。その場合、わが国ではマスヒステリーに陥る可能性があります。 

TBSやテレ朝は何度も放映し、「安倍首相の決断の結果が招いた」とコメントするでしょう。 

民主党や共産党などの野党は一斉に、安倍政権の外交政策の失敗の結果が、この残虐な殺害を生んだ、と政局に持ち込む構えを見せるでしょう。 

引退した政界長老たちが、言わなくていいことを言うでしょうし、お馬鹿タレントたちも、待ってましたとばかりに、やくたいもないことを叫ぶはずです。 

言い方としては、「国は国民の命を守る気がなかった」とか、「安倍政権の外交政策が殺したのだ」「安倍にノー」というレベルです。 

これは多かれ少なかれ、ISに人質を取られた欧米各国で起きたことで、民主主義社会である以上避けられないことです。 

残念ですが、この国際テロリズムに初めて遭遇したわが国が、同じような動揺を来すことは避けられないでしょう。 

しかし、この衝撃は比較的短期に治まると思います。正邪が明確だからです。 

テロリストの行為は、問答無用でテロリストが悪であって、人質の行動や政府が何をしたのかは、原因ではありません。

自己責任論にするのかと言う声もありますが、後藤氏が戦場ジャーナリストという仕事に誇りを持ており、湯川氏も自称であれ「民間軍事会社」としてシリアに出かけた以上、その結果に責任を持たざるを得ないでしょう。

後藤氏は、シリア領内に行くに際して、「これは自分の責任で行くのです」と言い残していきます。立派な覚悟です。無事な生還をお祈りします。

冷静に今日の午後を待ちましょう。 

 

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ISの思惑に乗るな!

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思ったとおり、首相官邸前で「二億ドル支援をやめろ! 人質解放! 首相官邸前抗議集会」とやらがあったようです。

「2億ドル援助にNO!人命軽視の安倍にNO!」だそうで、ネット署名までしているとか。やれやれ。どっちに向かって「抗議」しているんですか、まったく。 

この人たちは、暴力集団が暴力に訴えるたびに、政策変更しろって言うのかしら。

なら、もう政府も国会もいらないことになるから、いっそISに外交政策作ってもらったらいかがでしょうかね。

根本的に<国家主権>とか<民主主義>などということが、理解できていないようです。

なるほど、IS(「イスラム国」)は、あのYouTubeの映像で、あえて「日本国民に対して」という表現をとって、あたかも「日本国民の選択が人質の命を左右するんだ」といわんばかりの言い方をしています。 

これは、日本人の中に「政府」と「国民」の分断を持ち込み、自国政府攻撃をやらせて、自らの要求を通すという黒い戦術にすぎません。 

そもそも、ISは日本の中東政策になんの関心も持っていません。 

だって、そうでしょう。よくも悪しくも、我が国の中東政策は、従来から一貫してイスラエルにもアラブにも傾かず、支援金を出すだけのものにすぎませんでした。

それはこの中東地域が、一時は我が国のエネルギー源の9割を独占する存在だったからです。 

この過度の中東依存という絶対条件の中から、我が国のイスラエル・アラブにいずれにも傾斜しない中立的政策が出てきました。

英仏のように、かつての委任統治時代の傷跡に対しての責任もなく、米国のような国内に巨大なイスラエル・ロビーもなく、主要国でありながらいたって衛生無害てした。

この衛生無害なキャラ故に、中東和平のテーブル役になれる条件かないわけてもないわけですが、それも単にひとつの可能性に過ぎず、まだ何もやっているわけではありません。

ですから、わが国には伝統的に「中東政策などない」というのが真実で、今回の安倍首相のアラブ歴訪すらも、アラブ世界ではその延長と思われています。

強いて言えば、安倍さんがカイロで「反ISを支援する」とは言っていますが、ISを支持する国はアラブ世界でも皆無なはずで、アラブ世界でも好意的に受け止められていました。

つまり、日本はIS攻撃のための対テロ有志連合にも加わろうとはしていないし、基本政策も何ら見直しもしていません。 

もちろんISは、そんなことはよく分かって言っています。あのジハード・ジョンが登場する、殺人予告映像を他国と見比べて見てください。 

米国やフランスなどの対テロ有志連合の人達を拉致した時には、必ず空爆を止めろという政治要求を突きつけています。 

もちろん呑むはずがない要求で、不可能な要求を掲げて、裏で身代金交渉に入るというのが彼らの常道でした。 

しかし、今回の場合、日限を切って、ナイフで人質の頭を叩きながら、「こいつには1億ドル、こいつには1億ドル」というような、人命をバナナの叩き売りするような卑しいことを言っています。 

そして、日本が「反イスラム十字軍に参加した」とかなんとかいうくだりは、こんなていどしか、このロンドンのラッパーの貧しい脳みそに、浮かばなかっただけの話です。

政治要求でもなんでもありません。

したがってISの目的には、日本の政策変更にはありません。明確にゼニカネ目的です。

『イスラーム国の衝撃』という優れた本の著者で、池内恵(さとし)東大准教授(中東・イスラーム学)は自らのブログで、こう述べています。

「『イスラーム国』側の宣伝に無意識に乗り、『安倍政権批判』という政治目的のために、あたかも日本が政策変更を行っているかのように論じ、それが故にテロを誘発したと主張して、結果的にテロを正当化する議論が日本側に出てくるならば、少なくともそれがテロの暴力を政治目的に利用した議論だということは周知されなければならない」
(「中東・イスラーム学の風姿花伝」http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-258.html

冒頭の「抗議デモ」など、池内氏が危惧したような、IS(「イスラム国」)の狙いどおりに動いたわけで、この緊迫した状況下では「テロ支援団体」と言われても仕方がない愚行です。 

この人達は、おそらく集団的自衛権反対や特定秘密報反対、反原発運動をやってきた人達のはずです。

何を主張しようと勝手ですが、外国のテロに人命がさらされている時にそれをやるなということです。これについても池内氏はこう言っています。

「集団的自衛権」とは無関係である。そもそも集団的自衛権と個別的自衛権の区別が議論されるのは日本だけである。
現在日本が行っており、今回の安倍首相の中東訪問で再確認された経済援助は、従来から行われてきた中東諸国の経済開発、安定化、テロ対策、難民支援への資金供与となんら変わりなく、もちろん集団的・個別的自衛権のいずれとも関係がなく、関係があると受け止められる報道は現地にも国際メディアにもない。
今回の安倍首相の中東訪問によって日本側には従来からの対中東政策に変更はないし、変更がなされたとも現地で受け止められていない」(同)

もし、それで政府が政策変更などすれば、わが国ほどローリスク・ローコストで政策を替えられる国はないことなります。

ISからすれば、英米仏は特殊部隊を投入されるかもしれないし、英国など人質が殺された場合、事件後に報復することさえしています。

ならば、こんなハイリスクな国は止めて、ちょっと脅せばすぐに大金を出すようなローリスク・ハイリターンな日本を狙おうとするでしょう。

じゃあ、ちょっくら日本人をパクってくるか、ということになります。

次は別にIS支配地域でなくても、ドバイでもどこでもいいから観光客を2、3人見つくろってこいや、ということになっていきます。

ちなみに、これはあながち冗談ではなく、ISの最近の手口は、メールでジャーナリストを「招待」し、行けば拘束して人質にしてしまうというやり方すらしています。後藤氏もガイドにダマされたようです。

北朝鮮はヨーロッパで、よど号グループの日本人妻を使って誘拐までしています。ISには白人や東洋人などウジャウジャいるそうですから、簡単にマネできるでしょう。

だから、このような理不尽な人質要求に対しては、初めの一回目こそが決定的に重要で、ここで屈すると後はズルズルとやられっぱなしになっていきます。

かつてのダッカの日航機ハイジャック事件が、悪しき先例となって類似の事件を連鎖したことを思い出して下さい。

これについても池内氏はこう述べています。 

「『特定の勢力の気分を害する政策をやればテロが起こるからやめろ』という議論が成り立つなら、民主政治も主権国家も成り立たない。ただ剥き出しの暴力を行使するものの意が通る社会になる」(同) 

また、妙な「気配り」をする論調も登場しました。日経新聞(1月21日)はこう書いています。 

「米国が主導する有志連合が対イスラム国への軍事介入を続けており、日本政府が欧米との協調をアピールすれば人質を拘束している過激派組織を刺激しかねない」 

本当に悪い意味で日本人だねぇ。ムチャクチャなことをやってくる奴がいると、それに抗すること自体が「相手を刺激するからやめろよ。風は吹きすぎるからさ」というわけです。

バッカじゃないか。それは村内の論理。相手はISという手に負えない暴力団なのです。

人を殺すも、奴隷にするも、略奪もやりたい放題。先日は教育を受けたというだけで女性を大量処刑したような人間のクズどもです。

一回こんな奴らの暴力的要求を聞いたら最後、彼らのいいなりになる奴隷国に転落します。

池内氏はこう厳しく問うています。

「今回の件で、『イスラーム国を刺激した』ことを非難する論調を提示する者が出てきた場合、そのような暴力が勝つ社会にしたいのですかと問いたい」(同)

そして、このようなISのテロに媚びるような態度こそが、さらなるテロを招く国になると警告しています。

「テロリスト側が中東諸国への経済支援まで正当なテロの対象であると主張しているのが今回の殺害予告の特徴であり、重大な要素である。
それが日本国民に広く受け入れられるか、日本の政策になんらかの影響を与えたとみなされた場合は、今後テロの危険性は極めて高くなる。
日本をテロの対象とすることがロー・リスクであるとともに、経済的に、あるいは外交姿勢を変えさせて欧米側陣営に象徴的な足並みの乱れを生じさせる、ハイ・リターンの国であることが明白になるからだ」

いずれにしても、あとわずかで決定することです。政府の決断を静かに、しかし熱く見守ろうではありませんか。

軽挙妄動はしないこと。国内の政治に利用しないこと。

日本人の「国民力」が問われています。もしその結果殺されたのなら、その時こそシャルリに学べばいいのです。

:                 

■参考資料 池内恵(さとし)東大准教授
ぜひお読みくださることをお勧めします。

「中東・イスラーム学の風姿花伝」
http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-258.html 

 

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ISのテロに屈するな!

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ISの矛先が日本に向きました。2名の人質が取られて、巨額の身代金が要求されています。

画像の黒服でナイフをかざす男は、おそらく英国人だとみられているほか、画像自体が頭の部分だけを入れ替える「ヘッド・リプレイスメント」という技術ではないかという疑いもあります。

もしそうなら、既に人質は死亡していて、頭部のみがすげ替えられている可能性すらあります。

政治的要求らしきものをつきつけていますが、ほとんど言いがかりで話になりません。

そもそも我が国は対テロ有志連合ではないし、ましてや「反イスラム十字軍」だなどと寝ボケたこと言ってるんじゃないよ、というところです。

こんなことを理由にするくらいですから、よほど我が国から金をゆする口実がなかったのでしょう。

カイロ声明の支援の中身も安倍氏自身が言っているように軍事的性格は皆無で、パレスティナやシリア難民への民生援助なので、イスラム原理主義者からも感謝されこそすれ、批判される理由がありません。 

冷たい言い方になりますが、人質はIS支配地域に自らの判断で行った以上、その責任は彼ら個人にあります。 

政府は地域の有力者などを通じて、ISとネゴシエーションは試みるでしょうが、身代金の支払いは絶対にするべきではありません。

今まで、ジャーナリストが中東地域でテロリストに20人以上も拘束されて人質となったのは、どこかの国が陰で支払ってしまったからです。

正直に言えば、この人質事件には解決方法がありません。

身代金を論外とすると、後は英米流の特殊部隊の投入ですが、これは抑止的効果はあるもののリスクが多く、第一わが国は憲法の制約で、初めから使えないオプションです。

国民に対して、危険な場所には行かない、拘束されても国は救助できない、身代金は払わない、と言い聞かせるような消極的対応しかないのが現状です。

ここで屈したら、ISの軍資金となって、二人の人命に止まらず、多くの人々を殺すために使われてしまうでしょう。

またISにとっては、日本は便利なキャシュディスペンサーとなり、また気が向けば日本国民だというだけの理由で、何度でもテロリスト組織から同じような攻撃を受けることになります。

ここは各国と連携して、できるだけ引き延ばし、踏ん張るしかありません。間違っても、かつての「生命は地球より重い」などという愚劣な判断をしないように。(ハトさんならやるだろうな)

安倍氏にとってもここが試金石となります。

おそらく今日の朝日や報ステあたりのマスコミの報道ぶりは、テロの恐怖を煽りながら、このようなISのテロを招いた原因が、あたかも安倍氏の「積極的平和主義」外交や集団的自衛権にあるかのような批判を展開すると思われます。

このような日本という国家が攻撃された時でも一丸とならずに、「うちの国の首相が悪いからこんな事件が起きる」という、まるでISの味方のようなことを平気で言うのが、日本のマスコミだからです。

古舘氏あたりは今晩、「安倍さんの外交政策がふたりを人質に追いやったようなもんですよ。人質の人命は何ものにも替えがたい。いったい安倍政権はどうするつもりなんでしょうねぇ。さぁ、安倍政権、窮地に立たされました」と、嬉しそうに言いそうな気がします。

シャルリ襲撃事件のように、外部からの攻撃に対しては、いったんリーダーに対する批判を停止して、団結するというフランス流「戦うリベラリズム」がうらやましい気がします。

風刺漫画といえば、やくみつるというタレント漫画家がいますが、彼がこんなことを言っていたことを思い出しました。 

「戦争したい人間はてめえで勝手に行ってください。そのかわり自分は絶対行きたくない。降参してでも、中国領で生き続けることを良しとしてでも、戦いたくない人間はほっといてくれという感じだ」 

きっと彼は、今回コメントを求められればこう言うのでしょうね。 

「ISと戦いたい人間はてめえで勝手にやって下さい。その代わり自分は絶対やりたくない。ISに降参して身代金をあたえようが、IS領で生き続けることを良しとしてでも、戦いたくない」 

ま、IS領に行けば、彼の「冒涜的漫画」などは許されるはずもなく、即刻斬首でしょうが。

こういう甘ったれた人間が自称「リベラル」を気取っているから、日本のリベラルはいつまでたってもオコチャマから抜け出ないのでしょう。

フランスに行けば、こういう奴はフヌケと言われるだけですがね。 

今回のシャルリ襲撃事件で分かったのは、個人の<自由>を防衛するためには、時には戦いも必要であって、そこから逃げられないということです。

言い換えれば、<国>と<個> が別々な存在ではなく、<個>の自由と安全を保障するためにこそ<国>があるのだという民主主義の原理です。 

はっきりしておかねばならないのは、攻撃されているのは<日本国>、あるいは、日本国民全体であって、千葉の怪しげな自称民間軍事会社の男ではないのです。

国民の基本的人権である<安全>が危機にさらされている場合、国家を守って戦うという原則があいまいな戦後日本の持つ脆弱さが露呈しそうです。

なお、昨日の続きは明日に廻しました。

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非宗教性国家・フランスの「国教」ライシテ 

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シャルリ・エブドを襲撃したテロリストは約5分間に渡って突撃銃を撃ちまくったそうです。 

おそらく殺害された編集者、画家たちの遺体は、見るも無残だったと思われます。 

では、この犯人たちが狂人であったかといえば、彼らの日常を知る者は、至って穏やかで、むしろ優しい人間たちだったという声すらあります。 

ISは「イスラムの敵は殺してもかまわない。いやむしろ積極的に殺すべきである」と教えています。日本人からすれば異常です。

このような宗教的狂信から自由になるまでに、人類はずいぶんと長い時間と大量の死体の山を築いてきています。 

イタリアに住む作家の塩野七生氏は、こうした宗教と宗教の争いについてこう述べています。 

「『神は我らと共にある』と信じる者にしてみれば、敵であろうが何であろうが、相手とともにあるのは、悪魔しかいないことになるのだから、大義名分は立派に成立するわけである。
ただこの場合は、相手側とて、自分と共にあるのは神だと信じているわけたから、問題はややっこしくなる。
お互い神の後押しを受けていると信じているもの同士がぶつかるほど、禍を後に引く争いはない」(『男の肖像』)
 

中世において異教徒に対して寛容だったのは、むしろイスラム教です。 

彼らは、自らの帝国版図内において、ユダヤ教も、キリスト教徒も、改宗を強要することなく、一定の税金を納めれば、教会やシナゴーグの建設すら認めていました。 

いまでもモロッコなどに行けばシナゴーグを見ることができますし、イスラム原理主義国家ということになっているイランにすらキリスト教会は建っています。 

むしろキリスト教世界のほうが、ドイツ30年戦争のように同じ民族内部での宗派(旧教・新教)の激烈な争いをしていて、その大殺戮と国土の荒廃にくたびれ果ててしまいました。

そこで、互いの宗教に口を出すのは止めにしようや、ということになったきっかけが、フランス革命で、これで民主主義の元祖・本家ということになっています。 

さて革命の結果、フランス人が手にしたのは何だったのかといえば、近代世俗国家でした。なぁ~んだ、と言わない。大変な犠牲の上に勝ち取ったものなんですから。 

フランス革命の犠牲者数が約200万人。革命当時のフランスの人口が約2500万~2600万人といったところですから、実に1割を殺したことになります。

大量処刑と虐殺が横行し、ヴァンデ、リヨンのように王党派に属したために、街ごとすり潰されてしまった地域すらあります。 

フランス革命は「自由・平等・友愛」という標語を掲げましたが、この<自由>とは宗教からの<自由>のことです。

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 (写真 自由・平等・博愛という革命スローガンに書き換えられた寺院の正面玄関)

この<自由>こそが大前提であって、後に来るふたつの「平等・友愛」は、これを理解した者に対してのみ平等と友愛を保障しますよ、という意味です。 

フランスに移民を希望する人間は、この<自由>を理解したことを宣誓してのみ帰化が認められます。 

ですから、テロリストの兄弟の両親もアルジェリアから帰化する際に、宗教からの<自由>を国に対して宣誓して入国したはずです。 

さて、そう言えば思い出したのですが、シャルリ・エブドの襲撃された社屋は、あの革命の聖地・バスティーユの裏にあります。 

今はオベラ・バスティーユ(新オペラ座)になっていますが、シャルリにとっては、あながち偶然ではなく、ひょっとしたら革命の聖地に自分たちの城を作りたかったのかも知れません。 

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さてフランスが「フランス共和国」を名乗り、革命国家であることをレジティマシィ(正統性)にしているのは、宗教との分離があったからです。 

革命以前まで聖職者は、貴族と並ぶ特権階級に属していました。そのために共和派にとって、教会は敵そのものであり、聖職者の殺害・追放、教会の国有化と破壊が進みました。

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上は、『フランス栄光の頂点・自由の頂上』と題するグロテスクな絵ですが、これは1793年1月21日の革命広場(現コンコルド広場)のギヨタン処刑台の情景です。※http://www.maroon.dti.ne.jp/gokyo/savebox/sawada-fr.html

戯画的に描かれていますか、かなり史実に忠実だと言われています。

以後、ルイ王、貴族、僧侶、反革命と目された一般人までもが大量に処刑されていきます。

最後は急進派内部での殺し合いとなり、穏健派を処刑しまくったロベスピエールですら、最後にはギロチンで首をハネられました。

結局、革命l指導部ですら、最後まで生き残ったのはほとんどいないほどです。

この絵のキリスト像の上は、「旦那、お休み」と書き換えられて、首を吊られているのは、裁判官、大司教、修道士などです。

三色旗の上に「自由万才」とあり、聖母昇天教会は炎上中です。ガス灯によじのぼってニカニカしているのはサン・キュロット(平民)です。  

今は観光地として名高いモン・サン・ミッシェル修道院は牢獄となり、ヨーロッパ最大だったクリュニー修道院は他の建造物の石材供給源となってしまいました。

他にもフランス全土の多くの貴重な文化遺産が破壊されました。 中国・文革に並ぶ、文化破壊といっていいでしょう。

ちなみに1886年、米国へ独立100周年で寄贈された自由の女神像の原型は、下の写真の「マリアンヌ」です。 

革命当時、ノートルダム寺院は「理性の神殿」と名前を替えられて、キリスト像、聖母マリア像は共に撤去されて、代わりに安置されたのが「マリアンヌ」です。

デザインも違いますが、こちらがオリジナル・バージョンです。  

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1793年から数年間は、全国の教会でこの自由の女神を拝む理性神礼拝も行われたそうです。  

この中で共和派が崇拝したのは「理性神」であり、そのために「最高存在の祭典」すら開かれています。  

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 まぁこんな人工的な奇祭は一度きりだったようです。(当たり前だつうの)  

1801年に、ナポレオンが革命の終了を宣して教皇との和解(コンコルダート)に至るまで宗教への徹底した迫害が続けられました。 

宗教を公権力の場から排除するために、いかに巨大な犠牲が必要だったのかわかると、憂鬱になりますね。

このフランス革命の暗部があまりに大きかったために、フランス共和国は、今に至るも革命戦争(内乱)の詳しい実態を公表せず、臭いものに蓋を決め込んでいます。

それにしても、パリ祭に浮かれて、ヘラヘラと「友愛」を謳う政治家やマスコミ人には、フランス人の<自由>というイデオロギーが本来的に含む苛烈な中身は分からないことでしょう。

それは、他者が己が宗教を批判する<自由>を許容する苦痛に満ちた受忍のことなのです。

それこそが<寛容>であって、<自由>と一対になった概念です。

したがって、「言論の自由」とはフランス人の理解によれば、「一切の宗教に対する非難・冒涜まで含む自由」のことということになります。

当然、シャルリの戦闘的デモクラットたちはそのことを知った上で、イスラムをヤジり倒していたわけです。その意味で、フランスの国家原理に殉じたともいえるわけです。

その重みを知って、シャルリの漫画を批評しないと見誤ります。

ちなみに、我が国がこの苦痛を味わなかったのは、織田信長によります。先に上げた塩野氏はこう続けています。

「織田信長が日本人に与えた最大の贈り物は、比叡山の焼き討ちや長島、越前の一向宗徒との対決や石山本願寺攻めに示されたような、狂信の徒の皆殺しである。このときをもって、日本人は宗教に免疫になったのである。いや、とにかく守備範囲の外まで口を出したがるたぐいの宗教には、免疫になったというべきかもしれない。(略)
信長によってもたらされたこの免疫性は、宗教人にとっても、良い結果をもたらしたと思う。日本では、宗教が政治に口をだすことのほうが、不自然になってしまったのだから」(同)

このようにわが国は、フランス革命の200年以上前に、宗教に対して免疫性を与えた日本版<ライシテ>をやってしまったといえます。

え~、朝お読みいただいた方には申しわけありませんが、あまりに長いので後半は明日にいたしました。

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ISに憎悪の水と肥料を与えるな

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頂戴したHN「由紀子」さんのご意見にお答えしておきましょう。 解答というより、今、私が感じていることていどで受けとって下さい。 

ISの残虐性は誰しも認めるところです。ISという自称「国家」は、米軍のイラク撤退によって生じた軍事的空白につけ入り、瞬く間にイラクとシリアに広大な支配地を獲得しました。  

そしてイスラム法の偏狭な原理主義的解釈に基づいて、恐怖政治を推し進めました。彼らの軍隊は、既に各種のミサイル、戦車で武装し、捕虜や民間人を大量処刑するか、あるいは、奴隷として売り飛ばしたといわれています。  

このISは、ネットを利用して、世界に影響力を拡げており、いまや欧米にも多くの潜在的戦闘員を抱えるまでになっています。

このテロの起きたフランスですら、800名を越える「戦闘員」がいると、当局は発表していましたが、それが的中したことになります。

西欧社会に潜むISメンバーは、大部分がフランスだけで600万人(人口の1割)といわれるイスラム社会に存在しているはずです。

しかもそのほとんどが、今回のシャルリ襲撃事件の主犯たちのように、フランス生まれで、フランスの教育を受け、フランス語を母国語とするホームグロウン世代です。

問題は、今後今はひと握りにすぎないISの勢力を、拡大させてしまっていいのか、ということです。  

もし彼らの勢力を伸ばしたいのなら簡単です。ISの芽に「水と肥料」をふんだんに与えればいいのです。

たとえば、先日アップしたシャルリの風刺画のように、イスラムの預言者を全裸にして、跪かせ、睾丸を晒して尻の穴に星を飾ってやるか、コーランを銃弾で撃ち抜いて、「風刺」してやればいいのです。

は「ユーモアの欠落した」ひとりとして、シャルリと違う世界に生きていることをつくづく感じました。

このような風刺画は、もはや「風刺」ですらなく、ただの言論の姿をした暴力そのものです。

こんな便所の落書きまがいの絵を、何ひとつ肯定する理由はありません。「表現の自由」あるいは「報道の自由」などといったレベルではない、ただの常識の範疇です。

シャルリ・エブドは、自分たちの風刺画がISの「水と肥料」になりかねない危険な現実を、冷静に考えてみたほうがいいでしょう。

シャリルはこれを「ユーモアだ。笑えぬ者はユーモアに欠ける。われわれはイスラムだけでなくすべての宗教を平等に風刺している」と言います。なるほどそれは一面事実です。

シャルリはかつてイエス・キリストすら、こういう描き方をしたことがあります。生母マリアから生れた豚鼻のイエスです。

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こりゃスゴイねとは思いますが、自分が所属するキリスト教文化圏に向けて描いたのですから、笑うも笑わぬも読者次第です。

これが同一の社会に住むユタヤ教徒に対してはどうでしょうか。ユダヤ人に対しては、西欧社会はかつてのホロコーストに加担した後ろめたさがあるためか、ユダヤ教やホロコーストに対しては厳格に規制対象となっています。

しかし半面、イスラム教にはダブルスタンダードな対応をしています。

下の漫画は、ユダヤ教徒を描いただけで「アンチセミニズム(反ユダヤ主義)だ」と叩かれても、イスラムに対しては「言論の自由だ」と褒められている奇妙さを笑っています。

B60lqqhiuaevoyd上の風刺画はシャルリではありませんが、ムハンマドの風刺画には腹を抱えて笑うヨーロッパ人がホロコーストにはこりゃヒドイと顔をしかめています。

この絵は彼らの二重規範をよく現しています。

西欧社会にある、異文化や異教徒に対する想像力のなさ、西欧社会の「笑い」を押しつける傲慢さ、自らの規範のみを尊しとする自己文明中心主義の醜悪さすら感じてしまいます。

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どのような表現であったとしても、誰かが不愉快になることを避けることはできないかもしれません。

かつてフランスには、風刺画作者が不愉快に思った者からの決闘を拒否できないという掟があったそうです。

近代社会ではそれは、「あなたの表現は大変に不愉快だが、しかしあなたが表現する権利は認める」という精神によって取って替わられました。

しかし同時に、「表現の自由」も無制限・無規制ではなく、良識に従うというルールも生れました。

それがフランス共和国における友愛の精神の項に記されている「己の欲せざる所は人に施すなかれ。常に、己がされたいと思う善事を他者に施すように」の文言に集約されています。

たとえば、フランスにおいてもナチス賛美は厳しく禁じられており、民族差別を煽る憎悪表現も規制の対象とされています。(下図 産経)

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しかし、フランスは国家原理を、厳密な公権力・公教育、表現への宗教の介入を禁じる<ライシテ>を国是としてきました。

このような他国には極端に思われるような原理主義的な政教分離原則の結果、宗教に対しての批判を真空状態にしてしまいました。

その結果、これか今回のシャリル・エブド襲撃事件となったわけですか、では今後イスラムにとっての侮辱的表現か規制対象になるかと言えばノーです。

またまた長くなりましたので、明日に廻します。

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週末写真館 湖畔の神社に行ってみた 仏風刺新聞襲撃事件の雑感

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土曜日というのは連載とは関係なく、なんでも書ける日ということにしてあるんですが、なかなかそういかないんですなぁ。

私のブログは、一週間を単位にして2週、ときには3週続くことがザラです。ま~よ~やるよと、私自身思う時があります。そんなに粘着質のキャラじゃないと思うんだけどな。(笑)。

今回のフランスの襲撃事件など、マスコミの余りに薄手な論調に呆れました。<言論の自由vsテロ>という日本人にとって分かりやすい回転焼き論説なんです。

「言論の自由」とか「自由主義社会への挑戦」という回転焼きの型が既にあって、そこにニュースを流し込んでちょっと焼けば出来あがり。

あとは、ホームグロウン・テロだったことを移民問題に絡ませることくらいかな。

でもこれじゃあ、「どうして風刺週刊誌が標的にされたのか」、という肝心なことがわからなくなります。

あのテロリスト3名が狙ったのは、あくまでも風刺週刊誌と、ユダヤ人のスーパーなんですよ。国家機関や米国関連の公的施設じゃありません。

だから、反ユダヤ主義に抗議して、イスラエルのネタニエフ首相もデモに参加したわけです。

あとのドイツなどのEUの首脳がデモ参加したのは、もちろん国内に等しく移民問題を抱えていることもありますが、「イスラム国」(IS)に対する戦争をしている対テロ有志連合国だからです。

カナダ、オーストラリアと続きましたからね。次は自分の国だという恐れが、EU諸国首脳の脳裏をよぎったのでしょう。

同じく、ヨルダン王室が参加したのも、ISの中東最大の攻撃対象がヨルダン王室だからです。

オバマさんがなぜ来ないと叩かれたのは、対テロ戦争の呼びかけ国だったのに、通り一遍のステートメントでお茶を濁してしまったからです。

ま、あの人こそ、オランドさんやメルケルさんと腕を組んでシャンゼリゼを行進すべきでしたね。

とまぁ、各国それそれの思惑があるわけで、これを一括して「言論の自由に対しての国際連帯」などと言ってしまっては、何も言ったことになりません。

オバマさんが行かなかったことを謝ったので、じゃあうちの国もダメじゃんというアホな論調も出たようですな。

うちの国の首相が、墓参りに行っていたとか、永田町でラーメンを喰っていたなんて批判しているメディアがあるみたいですが、うちの国は対テロ戦争参戦国じゃないし、イスラム世界ともネタニエフさんとも仲良くやっているという世界で希なるスタンスの国なんですよ。

いわば「積極的あいまい外交」が、日本の外交上のアドバンテージなんですから、行かなくて当然なのです。

パリのデモに行ったら、イスラム諸国(ISじゃないですよ。ああ紛らわしい名をつけやがって)からどのような目で見られるか分かりきっていますからね。

今、時期が悪いから黙っていますが、イスラム諸国内部では、フツフツとあの風刺新聞への怒りが充填されているはずです。

というふうに、フランスと同じ移民問題が煮詰まっているドイツや北欧で起きずに、フランスが標的になったのは、あくまでイスラム冒涜の風刺新聞だったという事実に戻らねばわからなくなるんです。

そしてなぜ、デモなどでの憎悪表現が厳しく規制されているフランスで、風刺新聞のみがその枠外なのか、なぜ、それが基本的人権の一部のように考えられているのか、それを探ってみたかったわけです。

というわけで、来週も続けますんで、よろしくお知恵をお貸し下さい。皆さんのコメントが質が高いので助けられています。

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「言論の自由」は守られねばならないが、それは正さの証明ではない

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シャルリ・エブドは下のAFPの写真にあるように、タブロイド版の左翼週刊紙にすぎません。

日本でタブロイド版の左翼紙といえば「日刊ゲンダイ」でしょうが、あそこを襲うモノ好きなテロリストはいないでしょう。

シャルリ・エブドの発行部数は、わずかに6万部ていど。植村氏に訴えられた週刊文春が約70万部ですから、その規模がわかります。

ただし、フランスは日本のような押し紙という悪しき商習慣がないので、代表的日刊紙ルモンドですら29万部程度です。

ではなぜ、この「小さな新聞」が襲撃されたのでしょうか。 

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それにはまず、フランスにおいて<風刺漫画>がどのようなステータスにあるのか知っておいたほうがいいでしょう。 

コロンビア大学(歴史学)のサイモン・シャマ教授は、こう述べています。 

「風刺を殺害することは決して笑い事ではない。不遜こそは自由の活力源である。自由と笑いは3世紀以上にわたって欧州の伝統の中で双子の関係にあったし、双方あいまって風刺する権利として貴重なものと見なされてきた
グラフィックな風刺は、カソリックとプロテスタントの間の宗教戦争の中で武器として登場したのが最初である。
プロテスタントは、印刷物において法王を怪物に、そして王侯貴族を虐殺者に描き出した。17世紀半ばにイラスト入りの新聞を発明したオランダ人は、スペイン王国に対する反抗を描く図解の歴史を描き始めた」(フィナンシャルタイムス1月7日)

~ん、「不遜こそは自由の活力源」「自由と笑いは双子」「風刺する権利」ときたか・・・、何やらご大層なもののようです。

ここでシャマ教授が言っているのは、ヨーロッパの歴史の中から<政治的武器>として風刺漫画が登場したということのようです。 

それはなんと新教徒と旧教徒の血で血を洗う闘いの中で既に誕生し、印刷物として時には「異端」を、時には宗教的権威を叩きのめすための文字通りの政治的武器でした。 

そしてなによりフランス共和国という国家のレジティマシイ(正統性)の根源であるフランス革命においても、<風刺>は大きな力を発揮しました。

下の風刺画はまだ生ぬるい方なのですが、第一身分の聖職者、第二身分の貴族が、重税の大石を第三身分である平民に乗せて押し潰しています。

|重税に苦しむ第3身分風刺画の破壊力は、当時ほとんどが文盲であった貧しい農民や職工を革命に立ち上がらせるための起爆剤でした。

それは現代でもそうでしょう。グチャグチャと細かい活字よりも、一枚のグラフィックのほうがよほど訴求力があります。

この<絵の力>が持つ猥雑で権力を屁とも思わない「不遜な」パワーこそが風刺画であり、権力に立ち向かう自由の源泉なのだ、とフランス人は考えているのです。 

 この事件を受けて、AFPはこう書いています。(下写真も同じ) 

「報道における風刺画にはすでにこの当時100年の歴史があった。こうした風刺画が初めて登場したのはフランス革命のさなかだった。フランス国王ルイ16世と王妃、マリー・アントワネットは風刺画家のお好みの標的で、国王はブタ、王妃はヘビとして描かれていた。聖職者もまた連載画でさらし者にされていた」(AFP1月9日) 

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このように風刺漫画が「言論の自由」において占める地位は、まさに欧州という古い政治の舞台において、歴史的に形成され、確立してきたものであり、なかでもフランスの建国以来の歴史にまつわる、いわば「神話的存在」であったのです。 

しかし、このような言論界における特別席の座り心地は、時に危険なものに転化してしまいがちです。

フランス風刺雑誌は 自分が属する文化圏であるキリスト教文化圏に対しても、毒を含んだ<笑い>によって批評しています。

上のAFPの写真にあるシャルリ・エフドの裏表紙には、十字架をかついだキリストの風刺画が見えます。 

だから彼らは、「一切の宗教に対して公平に風刺している」という言い方をしています。しかし、ほんとうにそうなのでしょうか。私はそうは思いません。

しかしそれは同じ文明的価値観を共有できるという暗黙の了解の上に成り立つもので、いわばギリギリ「寸止め」が可能です。 

たとえばシャルリが掲載した法王のホモセクシャルな風刺漫画があったとしても、現実にありえないから、読む者は安心して笑って見ていられるわけです。

逆に言えば、読者がキリスト教徒がたらこそ書ける一枚なのです。 

しかし、昨日にあげたムハンマドの肛門に星という絵柄はどうでしょうか。シャルリはイエス・キリストに対して同じ絵柄を描くでしょうか。

たぶんしないはずです。 上の写真のように、ギリギリ十字架と絡ませるまでで「寸止め」するはずです。

シャルリは認めないでしょうが、そんなことをすれば、自分の雑誌の購買層であるキリスト教徒に「売れない」からです。

この<寸止めと突っ込み>のえもいえぬバランスこそが、風刺画を洗練化させていったのです。

風刺画家にとって、ギリギリで止めるということが、権力の出方を探り、それをより高い質の笑いですり抜けることによって風刺漫画のクォリティを高めることを可能にしていました。 

風刺画家は、ここまで言ったら危険かな、しかしそこをつついてみようぜ」という間合いを読みながら、かつ、読者に日常のストレスから解放されてもらおう、と思って書き、一方読者は、「ここまで書くか。けど、こんなんで怒ったら、ヤボテンだぜ」という阿吽(あうん)の了解が成立してこそ風刺画というジャンルは出来ているのです。 

しかし、異文化や異教徒にはそれが通じません。<笑い>の質や、価値観すらも違うからです。 

こんな簡単なことが、フランス風刺週刊紙には分からなかったようです。シャルリの自分が属する文明圏の風刺画は、確かに笑えます。 

しかし、イスラムやわが国を描いたものはさっぱり面白くないのは、この「風刺の見切り」が甘いからです。 

ムハンマドの尻の穴に星を飾って何が可笑しいのか、私には理解できないし、これがいかにイスラム教徒を怒らせるか、予測しなかったこともまた分かりません。

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また「フクシマ」の三本足の力士の何が楽しいのか、さっぱり理解できません。というか、これで笑うフランス人が目の前にいたら一発張り倒してやりたくなるでしょう。(しませんが)

当時まだ福島県の女性は、妊娠や出産に対して脅えがありました。「奇形が出る」と岩上安身氏のような反原発主義者が、騒ぎたてたからです。

その絶望的状況を乗り越えて、福島の女性たちは新しい生命を生み出してくれました。ほんとうに嬉しかったことを、今でも思い出します。

この福島県の出生率が高まりつつあり、東京オリンピック招致が決まって日本全国が喜びに沸き立っているその時を狙って、このような三本足の力士でヘラヘラ笑う神経を許せません。

はっきり言って、まるで子どもの便所の落書き以下です。私には、これか命をかけて守る「言論の自由」などにはまったく見えません。

下の写真は今回の大規模抗議デモのものですが、彼らが守ろうとしているのはフランスの国柄なのか、あるいはシャルリ・エブドの「言論」なのでしょうか。

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決定的にシャルリ・エブドは、鈍いのです。自らの属するキリスト教文化圏の絶対的優位を無意識の前提にして、他の異文化を差別することによる<笑い>の卑しさに気がつかないのです。 

そしてイスラム系移民が激増するフランス社会でこのようなことをすれば、それは社会の排外主義と安易に癒着して、結果としてシャルリのような戦闘的左翼の敵であるはずの極右勢力を伸ばしてしまうことに、あまりにも無自覚です。

したがって、ヨーロッパの政治的歴史的背景や、ましてやフランスの革命神話などを共有する立場にない我ら外国人や異教徒は、このフランス製の風刺画の特権的地位などを認める必要はなく、冷やかな突き放したスタンスで見るべきなのです。 

今回の襲撃事件は痛ましく、また許しがたいものでしたが、だからといって、それが故に風刺紙の中身まで「言論の自由」として美化される必要はまったくありません。

この事件は確かに「言論の自由に対する挑戦」でしたが、だからといってその「言論」が正しいかどうしかは別な次元のことなのです。

これは植村氏に対する脅迫が、彼の「言論の自由に対しての挑戦」だとしても、だからといって、それによって言説までが正当化されるわけではないことと一緒です。

こう考えてくると、おそらくシャルリ・エブド襲撃事件は、言論へのテロの終わりではなく、単なる序章でしかないように思えます。

もうひとつこの事件を理解するには「ライシテ」(政教分離・非宗教性)というフランスの国是があるのですが、それについては来週に。

 

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パリ風刺週刊誌テロ事件は、単に「言論の自由への挑戦」で片づけられるのか?

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このパリ風刺週刊誌テロ事件は、いくつもの問題をはらんでいます。 

昨日あたりのマスコミの解説を聞くと、ほぼ例外なく「言論に対する暴力の挑戦」といったトーンで報じられています。 

テレ朝では大谷昭宏のジィさまが、入れ歯を飛ばさんばかりにして、「言論には言論で対するべきなんですよぉ」と叫んでいらっしゃいました。 

まぁそりゃそうなんですが、それではなぜこんな事件が起きてしまったのかさっぱり分かりません。

確かに英国のフィナンシャルタイムスや、エコノミストあたりの社論も同じく「文明の衝突ではない。言論に対する暴力だ」という論調で共通しています。

しかしこれだとあまりにも通り一遍な解答に過ぎて、なぜこの襲撃を受けた風刺雑誌シャルリ・エブドが選ばれた標的となったのか、あるいは、再び下のような挑戦的な表紙の最新号を作ったのかわからなくなります。

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ここにはイスラムの預言者ムハンマドが、「すべてを赦す」というボードを下げて泣いている様子が漫画化されています。(たぶん汗じゃないよな)
※追記 なお翻訳家の関口涼子氏の見解を欄外に添付しておきます。

フランス政府は少なくともこの時期には、自粛してほしかったでしょうね。これでかなり長期に渡ってシャルリ・エブド社は当局の重保護下におかねばならなくなりましたからね。

米国のニュースネットはこの絵を流すのを自粛したそうですし、いくつかの国も同じ判断をしています。 

その理由はご承知のとおり、イスラムは偶像崇拝を禁じていて、イスラム世界では、預言者ムハンマドの顔には必ずベールがかけられています。

それは、 ムハンマドの肖像画や彫刻があると、人々が過ってそれらをアッラーフの代わりに拝めてしまうからだと言われています。

これは宗教的戒律であって、他の宗教の文明圏に住む者がとやかく批評の対象にすること自体が憚られるもので、まして嘲笑う対象にするべきではありません。ここまではいわば常識のレベルなはずです。

さて、今回のシャルリ・エブドの襲撃において、犠牲になった12名のうち4名は風刺漫画家でした。 

その中には、編集長であり、自らも画家「カーボ」というペンネームを持つステファン・シャルボニエ氏も含まれています。 

また、同じく犠牲になったカブ氏はこの週刊誌の共同経営者で、有名な風刺画家でした。

「シャルリー・エブド紙の前身である月刊誌「アラキリ(Harakiri:日本語の切腹の意 フランスでは「アラキリ」と発音する)」の共同創刊者でもあった。アラキリ誌は、1970年代に発禁処分を受けたため、『シャルリー・エブド』に改名したという背景がある」(ハフィントンポスト1月8日)。

また、他にウォリンスキ氏、ティグノスも犠牲になっています。 

編集長のシャボニエ氏が書いた漫画がこれです。 

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                     (絵 ハフィントンポストより)

これは2011年に発表されたもので、ムハンマドを同性愛者として描き、おそらく自分がモデルの男と同性愛をしているのが描かれています。
 

この時もイスラム世界で強い反発を招きハッカーの被害を受けています。 

ハフィントンプレス(1月8日)によれば、これに対してシャボニエ氏はこう答えたそうです。 

「2012年には、フランス当局から警告を受けていたにも関わらず、ヌード姿のムハンマドの絵を複数掲載した。シャルボニエ氏はAP通信に、預言者ムハンマドを風刺する漫画の掲載決定について次のように主張した。
『ムハンマドは私にとって聖なる存在ではない。イスラム教徒がこの漫画を見て笑わないのは仕方がない。しかし、私はフランスの法の下に生活しているのであって、コーランに従って生きているわけではない』」

ここで氏が、「私はフランスの法の下に生活しているのであって、コーランに従って生きているわけではない」と言っていることに注目ください。

これは、次回に説明しますが、フランスの<ライシテ>という法の原則を指します。一般的には「政教分離」原則と呼ばれていますが、フランスはこれを徹底的に適用しています。

他にもこのようなものがあります。 

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右が「コーランは糞 銃弾から守れない」とあります。これは、事件後もよく引き合いに出されましたが、左に至ってはあまりの下劣さに掲載するのを見合わせたメディアも多かったようです。 

これは予言者ムハンマドを顔を出しただけというレベルではなく、「ムハンマドのスター誕生」だそうです。 

これなど有田芳生氏のご意見を伺いたいものですが、まさに憎悪表現(ヘイトスピーチ)そのものだと指摘されても致し方ないでしょう。 これはもはや「風刺」ではなく「侮辱」です。

ところで、フランス人はこのような「言論の自由」の激しい逸脱の常習犯、いや確信犯とでも言える存在です。

これは他の主要各国とフランスか大きく違う点で、わが国はもとより米国でこのような反イスラムの風刺画は印刷することがほとんど不可能なはずです。

ただし、シャルリの名誉のために言い添えるならば、シャルリはキリスト教も風刺の対象からはずしているわけではなく、ローマ法王すらも笑い飛ばす標的にしています。

その時のシャルリの言い分はこうでした。

「我々はローマ法王も同じように揶揄しているから、平等であって、差別ではない」

また、その「無差別風刺」の対象は、福島事故にも及び、2013年にシャルリではありませんが、同じ仏週刊紙カナール・アンシェネに掲載されたものが下です。 

2020年夏季五輪・パラリンピックの東京開催と、東京電力福島第一原発の汚染水問題の影響を報じた記事と共に、手や足が3本ある力士を掲載しています。 

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 この画は3本の手がある力士と、3本の足がある力士が土俵上で向き合い、防護服姿のリポーターが「すばらしい。フクシマのおかげで相撲が五輪競技になった」と中継する内容です。 

この風刺画は、弁解の余地なく被曝地差別丸出しで、私はこれを見た時に、強い怒りを覚えたことを思い出します。 

これはフランス社会ではまったく問題にされず、日本政府の抗議に対しても、新聞社はにべもなく謝罪を拒否して、こう言い放っています。

「謝罪するのは、日本政府と東電のほうだ」 

また、これに対して日本で抗議が沸き起こっていることに対して、フランス人のひとりはこういう意見を述べています。 

「ユーモアとしては辛辣だけど、傷つけるほどまでの深刻なものではなくないか?それほどに失礼なものでもないと思うし、ユーモアは必要だって。福島のことを隠そうとしたところで、今起きている惨事がなくなるわけじゃないしさ」 

ユーモア?!絶句です。おそらくこの風刺画を見た、日本人の10人に9人は脱原発派の否かに関わらず、不快になるでしょう。

それは自分たちが守ろうとしている大事なものに、冷水を浴びせられたような気持ちになるからです。しかも面白半分に。

あるいはちょうど、このシャルリ・エブドの風刺漫画を見たイスラム教徒の人たちのように。

彼らフランス人の思考様式にはなにか決定的な抜け落ちがあります。それはどうしてかくも簡単に一線を越えてしまうのか、自覚できていないことです。

次回もこのテーマを続けます。

                   :;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

■翻訳家関口涼子氏の「Tout est pardonné」についての見解http://synodos.jp/international/12340

「すべてが許される」であれば、フランス語ではTout est permis になるだろう。「許可」を意味するPermissionから来ているPermisと異なり、Pardonné は宗教の罪の「赦し」に由来する、もっと重い言葉だ。そして、permisであれば、現在から未来に及ぶ行為を許可することを指すが、pardonnéは、過去に為された過ちを赦すことを意味する。「Tout est pardonné」は、直訳すれば「すべてを赦した」になる。
しかしこれは同時に、口語の慣用句であり、日本語で一番近い意味合いを探せば、たとえば、放蕩息子の帰還で親が言うだろう言葉、「そのことについてはもう咎めないよ」、または、あるカップルが、深刻な関係の危機に陥り、長い間の不仲の後、最後に「いろいろあったけどもう忘れよう」という表現になるだろう。

これは、ただの喧嘩の後の仲直りの言葉ではない。長い間の不和があり、それは実際には忘れられることも、許されることも出来ないかもしれない。割れた壺は戻らないかもしれない。それでも、この件については、終わったこととしようではないか、そうして、お互いに辛いけれども、新しい関係に移ろうという、「和解」「水に流す」というきれいごとの表現では表しきれない、深いニュアンスがこの言葉には含まれている。

画面上この文章は、預言者ムハンマドが言ったとも取れるし、「シャルリー・エブド」誌側の言葉とも取れる。つまり、複数の解釈を許しているのだ。ムハンマドが言ったとすれば、それは、「君たちの風刺・または思想をもわたしは寛容に受け止めよう」ということであり、「シャルリー・エブド」誌の側としては、「わたしたちの仲間は死んだ。でも、これを憎悪の元にするのではなく、前に進んでいかなければならない」ということを意味するだろう。

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パリ風刺週刊誌テロ事件まとめ

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おおよそ文明国の人間ならば、誰も絶対に許すことのできないテロ事件がパリで起きました。 

まず、この襲撃事件で犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。 

さて、まだ全容の詳細は分かっていませんが、同時に3カ所が襲われ、17名もの人が殺されました。 

ひとつは、パリ11区のシャルリ・エブド本社を襲撃され、合計12人が死亡、11人が負傷(うち4人が重傷)しました。 

Photo                      (写真 パリ11区Google Earth)

編集会議で居合わせたステファヌ・シャルボニエ編集長と編集者、経営者、風刺画家の10名が殺害され、駆けつけた警官2名も射殺されました。
 

この犯人の銃撃は、執拗にカラシニコフを5分間に渡って乱射し続けました。 

襲撃した2名の男は黒い戦闘服に防弾チョッキを着て、バラクラバ帽(覆面)で顔を隠し、、「アッラーフ・アクバル(アラーは偉大なり)」、「予言者モハメッドのために復讐した」と叫んでいました。

極めて正確に編集会議をピンポイントしたこと、その手際の良さから、彼らは軍事訓練を受けていたと思われています。 

目撃した人々は、まるで特殊部隊の訓練のようだったと言っています。この二人は兄弟で、アルジェリア系移民の2世であるサイド・クアシ(34)とシェリフ・クアシ(32)の兄弟です。 


(写真 クアシ兄弟 左が兄のサイド、右が弟のシェリフ)

犯人の逃走経路の位置関係と経過は以下です。 

96958a9e93819691e2eb9ae2828de2ebe2e                      (図 日経新聞1月10日)

犯人2名は、同9日、パリ・シャルル・ドゴール空港から約15キロ北東のダムマルタン・アン・ゴエルの印刷所で人質を取り立てこもりました。
 

Photo_2             (写真 ダムマルタン・アン・ゴエル Google Earth)

8日にはパリ東部のモルタージュで警官2名が襲撃され、1名が死亡しました。亡くなったのは女性警官で、イスラム教徒でした。なお、遺族はイスラム教とテロを混同しないでくれと訴えています。

犯人はアメディ・クリバリと確認され、クアシ兄弟との繋がりは当初ないとされましたが、翌日にあるとされました。 

 (写真 ネットで週刊誌襲撃事件への連帯を表明するアメディ・クリバリ)

 その後逃走していたクリバリは、9日13時、パリ東部のポルト・ド・ヴァンセンヌにあるユダヤ系食料品店Hyper Cacherに人質を取って立てこもりました。 

この際、クリバリはクアシ兄弟の解放を要求していており、同時多発テロだったことが分かります。 

Porte_de_vincennes                  (写真 ポルト・ド・ヴァンセンヌGoogle Earth)

1月9日1時00分、 印刷工場、スーパーマーケットの両方にGIGN(
国家憲兵隊治安介入部隊)やRAID(フランス国家警察特別介入部隊)などの特殊部隊が強行突入し、それぞれの容疑者を射殺しました。 

10日には、この残虐なテロに犠牲者追悼とテロリズムに対する抗議する370万もの大デモが行われ、フランスのオランド大統領と共に40を超える国や機関の首脳らも参加しました。

ドイツのメルケル首相やイギリスのキャメロン首相のほか、イスラム諸国からヨルダンのアブドラ国王も参加しています。

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また、ふだんは対立する立場のイスラエルのネタニヤフ首相と、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長の姿も見られました。

そして 今週号のシャルリ・エブドは下の表紙を掲載すると予告しています。

例によってこの雑誌の戦闘性は変わらず、予言者ムハンマドが顔を出したままで、「私はシャルリ」と言って涙を流しています。B7lxsykcmaelnv8
駆け足で事件の経過を見てきました。 次回からその背景を探って行きたいと思います。   

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    植村記事「脅迫」と、「批判」を混同してはいけない

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    外国特派員協会の通訳において、「慰安婦」の訳語として"Militarysexual slave」"(軍用性奴隷)という表現が、ひんぱんに使用されていていました。 

    当時のわが国の歴史呼称ならば、"Comfort woman"(慰安婦)ですし、さらに他国にもあった一般的それならば、"Wartime prostitute"(戦時娼婦)です。 

    つまりは詰めかけた多数の特派員は、この表現のおかしなバイアスに気がついておらず、初めから「軍用性奴隷」という認識を共有しているわけです。 

    韓国は言うに及ばず、欧米の政府機関までもが同様な表現をしています。 

    したがって、特派員の大多数は、慰安婦は「性奴隷」だと信じきっており、慰安婦問題の英語版資料を読んでいたとしても、せいぜいがヒックスの『Comfort woman』ていどだと思われます。 

    この本こそがクマラスワミ報告のネタ本で、朝日謝罪後にインタビューを受けた女史が、堂々と、「吉田証言だけではなく、多くの証言と文献によっているので間違いはない」と言い張ったのは、この本があったからです。 

    ところが、ヒックス本のベースときたら、吉田清治や金一勉の本の丸写しですから、結局同じじゃないかと思いますがね(笑)。 

    国際社会の認識など、しょせんこんな日本の20年前の研究レベルです。朝日新聞の謝罪などは、「右翼政権に屈したリベラル紙」ていどの認識で、中身まで理解していません。 

    そしてこの慰安婦問題への無理解故に、植村氏への「迫害」を極右によるヘイトスピーチとして、一括して植村記事批判を見る動きがあります。 

    これはパリのシャルリ・エブドという左翼系の政治風刺マンガ週刊誌に対する襲撃事件を経て、いっそう強くなることが予想されます。 

    たとえば、植村氏の支援者たちの言説の一例を見てみましょう。 

    「歴史修正主義者による『慰安婦問題」潰しのための策動はとめどがない。表現の自由などといったレベルではなく、事実をねじ曲げて、うそをまき散らして、他者を誹謗中傷する。『慰安婦』に対するヘイトスピーチを繰り返す。こうした状態が長期に渡って続いている。何しろ歴史修正主義者が権力を握っている異常な国だ」
    http://maeda-akira.blogspot.jp/2015/01/blog-post_9.html  

    ここでこの人たちは、植村批判をする流れを、「表現の自由のレベルではなく、ヘイトスピーチを繰り返す」勢力と決めつけています。

    いうまでもなく事実は、ヘイトスピーカーと言論における批判者はまったく次元の違う存在ですが、あえて混同してみせることによって、言論そのものを封じ込めようとしています。

    これは支援者のみならず、植村氏自らやTBSなどの大手マスコミもやっていますので、特派員たちもその影響下にあるでしょう。 

    もうひとつ見ておきましょう。これは在特会のヘイトスピーチに対するカウンターの人たちのツイートです。 

    「在特会はどう見ても悪じゃん。悪を倒すのは暴力なのよ。誰も仮面ライダーやウルトラマンにどっちもどっちとは言わんよ」 

    もはや「悪の論理」あるいは「悪の言論」を倒すには、暴力を許容すべきだと言っています。

    おそらく、植村氏を「襲った」在特会関係者も同一の論理を持っていたはずです。

    この大馬鹿者は、自分がやったことで、今まで地道に研究に基づいて論理的批判を積み重ねてきた人に、どれだけ打撃を与えてしまったのかわかっていません。

    幼稚な論理と言えばそれまでですが、パリの襲撃事件を現に見た後ではそうも言っていられません。

    何をして「悪の言論」とするのか、あるいは、「正義」を何に求めるのかの違いだけで、気に食わなければ「正義」の鉄槌を振り降ろす権利が自分にあると錯覚していいる点で、この両者はまったく同じ穴のムジナです。

    あんたは、仮面ライダーでもウルトラマンでもないんだよ、と言ってやってもこの人たちにはわからないでしょう。

    パリのテロ事件は、表現の自由がどこまで許されるのか、それに対しての反対行動をどこまで社会が許容すべきなのか、言論は法規制されるべきか、などという深刻な問題も提起しました。

    もちろん各国それぞれの事情を持っているわけですが、この問題をしっかり押えておかないと、一括して葬られることになると肝に命じておくべきでしょう。

    この問題は大変に重いテーマなので、もう少し続けます。とりあえず今日はここまでということでおしまい。

     

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    見えてきた植村氏サイドの戦略

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    1月9日、植村氏が外国特派員協会で、この訴訟についての記者会見をしました。  

    訴状の内容は、もう言い古された植村氏の矛盾に満ちた弁明にすぎません。このブログでも月刊文藝春秋1月号手記をしっかりと読んで論評した内容をそのまま、なんの注釈もなく繰り返しています。 (欄外参照)

    23年間逃げ回り、やっと文藝春秋1月号に手記を乗せたと思ったら、「言論を守れ」と言いながら、言論で戦うのではなく訴訟。 

    しかもまず迷惑をかけた日本国民に対しての説明責任を果たすのではなく、真っ先に外国人に向って対しペラペラしゃべっています。

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    彼は今までも、ハンギョレ新聞や朝鮮日報、NYタイムスなどには積極的にインタビューに応じていますが、TBSのようなヨイショメディアを除く日本のメディアには一切応じていません。 

    唯一の例外が、長文の反論手記を掲載してくれた文藝春秋でしたが、今回それを訴えているんですから、話になりません。

    普通、自分の反論文を乗せてくれたメディアを、翌月に訴えますかね。非常識な人だ。

    よほど、メチャクチャな改竄を編集段階でされたとか、ひどいコメントをつけられたとかいうならともかく、文春は実に公平で紳士的な対応を、この長年の論敵に対しています。

    まぁ月刊の編集部は怒るだろうが、週刊誌のほうは大喜びでしょうがね(苦笑)。

    西岡力氏に至ってはどんな団体にも属さない、在野のt韓国近代史研究者にすぎません。植村氏のような「大朝日」の金看板でジャーナリストをやっていたような、メディア貴族ではないのです。

    彼が最初に外国特派員協会に駆け込んだことで、植村サイドの戦略が見えました。

    第1に、この問題を再度外国に持ち出して、外圧利用すること
    第2に、慰安婦問題の歴史検証を、「良心的ジャーナリストへの迫害事件」にすり替えて人権問題にすること
    第3に、彼の批判者を一括して歴史修正主義者としてネオナチ扱いすること

    以上については追って詳説します。

    まず自分に厳しいことを聞いて来そうなメディアはシャットアウトし、慰安婦問題に暗く、自分を受難者扱いにしてくれる海外メディアには好意的に露出するというわけで、なんとも甘ったれた「戦うジャーナリスト」です。 

    さて、朝日第三者検証委員会報告書が出たことによって、国内ジャーナリズムにおいては、歴史検証レベルとしてはほぼ白黒決着がついてしまっています。 

    しかし残念なことに、海外メディアの認識にはいささかも変化はありません。

    これについて朝日新聞第三者検証委員会報告書は、こう述べています。http://www.asahi.com/articles/DA3S11520773.html?iref=reca

    「今回インタビューした海外有識者にしても、日本軍が、直接、集団的、暴力的、計画的に多くの女性を拉致し、暴行を加え、強制的に従軍慰安婦にした、というイメージが相当に定着している。(略)
    しかし、韓国における
    慰安婦問題に対する過激な言説を、朝日新聞その他の日本のメディアはいわばエンドース(裏書き)してきた。その中で指導的な位置にあったのが朝日新聞である。それは、韓国における過激な慰安婦問題批判に弾みをつけ、さらに過激化させた。
    第三国からみれば、韓国におけるメディアが日本を批判し、日本の有力メディアがそれと同調していれば、日本が間違っていると思うのも無理はない。朝日新聞が
    慰安婦問題の誇張されたイメージ形成に力を持ったと考えるのは、その意味においてである」

    このような誤った海外のイメージ形成について、植村氏の責任は重大であるにもかかわらず、それについてのひとこともなくただ「捏造記者といわれたのは名誉毀損」でとおるはずもありません。

    海外メディアに対応するなら、まず自らの誤りを誤りとして認めた上で、自分の身に降りかかった「迫害」を糾弾すればいいのです。

    それを都合の悪いことには口をつぐみ、自らを「言論の自由を守る良心的ジャーナリスト」と装う、その厚顔無恥が卑劣です。7ab6fddf上の写真はNYタイムス(14年12月2日)ですが、見出しには、「日本の右翼勢力が新聞を攻撃して戦争責任を書き換えさせている」と書いています。

    この中で植村氏は、取材に対し、河野談話を見直そうとする安倍首相や政治家たちについて、「彼らは脅迫によって歴史を否定しようとしている」「われわれをいじめてだまらせようとしていると、安倍政権が彼を迫害しているかのような主張をしています。 

    植村氏と支援者たちは、この国内と海外の温度差、あるいは隙間をついています。

    この外国特派員協会の記者会見でも、記事内容についての質問はまったくなかったそうです。

    逆に、おそらく国内メディアならば、荒のような質問責めにあったはずです。

    外国特派員の多くは、慰安婦問題など満足に勉強しておらず、「極右歴史修正主義政権と闘う正義の記者」にしか関心がないのですから。

    外国にありもしないことで火を点けて回り、都合が悪くなると、再び外国に頼ろうとする、そういう姿勢そのものが問われているのです。

    特派員協会でまず大々的に記者会見することで、また上のNYタイムスのような記事を沢山書いてもらい、「ほら見ろ。国際社会はお怒りであるぞ」と水戸黄門をやりたいのでしょう。

    国連人権委に慰安婦を「性奴隷」だとして持ち出した戸田悦朗弁護士、同じく国連人権委にヘイトスピーチを提訴した有田芳生氏。

    どうして揃いも揃って日本のリベラルは、いつまでたっても<外圧>頼みなのでしょうか。

    外国が怒っている、外国が懸念を示している、外国が憂慮している・・・、骨絡みの植民地根性と排外主義です。

    日本のリベラル(左翼)が、その誕生において外来のマルクス主義の洗礼を受けて誕生したために、いまだに自らの足元の土着を蔑み、外来思想を最善としてしまう体質が抜けきらないのでしょう。

    本来国内問題でしかないことを、国外に持ち出すことで、<外圧>を使って自国の世論や世論に圧力をかけて、自分たちに有利なように解決しようとします。

    先生に言いつけやる、といわんばっかりの育ちきらない子供のようなやり口ですが、それなりに効果的でした。

    彼は特派員協会で、「自分を愛国者であると思っている」と言っていたそうですが、久しぶりに大いに笑わせていただきました。

    植村氏が「愛国者」なら、吉田清治も「愛国者」でしょうよ。

                   :;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

    ■植村氏の主張

    ①当時の韓国では慰安婦を指す言葉として「女子挺身隊」が用いられていた
    ②キーセン学校に触れなかったのは、慰安婦になったことと直接関係がなかったためだ
    ③植村氏の義母が、元慰安婦らが日本政府を訴えた裁判の、韓国の支援団体幹部であったこと、そして氏が結果的に裁判が有利になる捏造記事を書いた事実はない。

    ※後半は長いのでカットしました。毎度すいません。みんなからお前のは長すぎる、といわれているもんで。

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    週末写真館 植物園にて 慰安婦記事第2ラウンド始まる

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    土日は基本はブログもお休みにしたいのだ~、というのが私のささやかな願望ですが、なかなかそうさせてくれません。

    情報をいただきまして感謝しているのですが、なんと朝日新聞の植村元記者が、西岡氏と文藝春秋を訴えたそうです。

    元朝日新聞記者で従軍慰安婦報道に関わった北星学園大(札幌市)非常勤講師の植村隆氏(56)が9日、週刊文春で「捏造(ねつぞう)記事」などと書かれて名誉を毀損(きそん)されたとして、発行元の文芸春秋と誌上で発言した西岡力・東京基督教大教授に計約1650万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
      訴状によると、問題となったのは週刊文春の昨年2月6日号の記事など。1991年に植村氏が慰安婦について書いた朝日新聞の記事をめぐり、西岡氏は「捏造記事と言っても過言ではない」などと誌上で批判した。
       訴状で植村氏側は、「原告が犯罪者であるかのような印象を社会に植え付け、大学に対する脅迫まで引き起こした」と訴えている」

    はぁ~、裁判ねぇ。やるかね、フツー。いったい何で訴えているのかしらね。

    家族まで脅迫にあったという刑事事件的要素ならば、植村氏にも多少理があります。

    しかし、上の記事のように西岡氏が「捏造だといっても過言ではない」というのが「原告が犯罪者であるかのような印象を与えた」って言われてもねぇ。

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    (写真 TBSNEWS23の植村支援番組より 植村さんってこう見ると、まるで子供みたいな顔しているね。中身も子どもだけど。朝日にどっぷり半生漬かっていると、こういうしまりない顔になるんかね。イヤダねぇ)

    西岡さんの批判が、「大学に対する脅迫を引き起こした」って、植村さん正気?熱ない?

    周りの支援者やTBSにおだて上げられて、本気で自分を「報道の自由の闘士」と思っちゃったの?そちらの勘違いのほうがよほど悲惨だよな。

    そういう論法なら、今のフランスの風刺新聞に対する狂信者のテロも、「風刺新聞がテロを引き起こした」ということになりますよ。

    <批判の論理>という次元と、それに対しての<社会的アクション>とはまったく別です。

    こんな論理を使うこと自体、この人がいかに「言論の自由」をはき違えているのか分かります。

    植村さんのように、自分が受けた「受難」を、批判者にまで遡及して名誉毀損で訴えたなら、この世の中に討論の自由がなくなりますよ。

    「印象を社会に与えた」という表現など、まさに感覚的でどうとでもとれる危ない論理。

    だって、これって客観的基準なんかない植村さんしか判定しようがないわけで、「オレ傷ついた」と言えば成立するわけ。

    これってものすごく危険な論理なんだけど。わかって使っているの。わかって使っているならジャーナリスト失格、分からないなら単なるバカ。

    そういえば、朝日も謝罪に至るまで、さんざん「法的措置」を色々な週刊誌に通告していたもんな。社長会見以降、全部取り下げたようだけど(爆)。 

    しかし、こうなったら、ぜひこの裁判に、西岡氏側は朝日新聞のお歴々と、当該編集担当などを証人としてご招待すべきです。 

    いや、これはこれで第2ラウンドとして面白くなってきた。朝日の新社長、さぞかし苦り切っているでしょうな(またまた爆)。 

    ああ、植村を野に放つんじゃなかったってね。社員でいれば、飼い殺しできたのにって。

    下手すりゃ、このバカの暴走で、やっと治まりかかった朝日批判が再燃するのは必至で、下手すりゃ国会招致だァァ(長く続く悲鳴)。

    そもそも植村さん、「名誉毀損」って何?「名誉毀損」なんて、世界広しといえど、あなたにだけは言われたくない。

    この私も含めた日本国民の「名誉」を、23年間も「毀損」し続けた記事を書いたのは、どこのどいつだったのかしらね。

    それに対してのひと言もなくいきなり裁判ですか。すごいなぁ。自分が傷つけられると即裁判で、他人や国を傷つけてもシカトなんだよなー(棒読み)

    この人、まったく自分を振り返る能力が欠落しちゃっているようてす。言い訳めいたグダグダした駄文を無編集で掲載してやった文春まて訴えるんだから逆上のひとことです。

    今まで朝日は、自分に対する批判に紙面なんか提供したことなかったでしょう。自社に対する批判記事が載った広告すら黒ベタにしちゃう新聞社だったわけで、こういう体質って記者のひとりひとりにまで染みついているのでしょうな。おおイヤダ。

    「ジャーナリスト」なら言論で勝負しなよ、常識だろうが。

    私は、彼の家族や職場にまで及んだ追及を苦々しく見ていましたが、植村氏がこのような提訴に踏み切った以上、しっかりと「ブログ的措置」を取らしていただきます(笑)。

    動きを見ながら、来週に取り上げるしかないようですね。

    ※写真はぜひ、クリックして大きくしてご覧ください。

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    もう少し民主党政権が続いていたら尖閣は「係争地」になっていた

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    小沢一郎氏が160名の朝貢使節団を派遣したほぼ同時期、鳩山首相は尖閣を含む東アジアの米軍拠点である普天間飛行場の辺野古移転をチャブ台返しして、「国外。最低でも県外」と公約します。  

    これは単に沖縄の「新基地」だけの問題ではなく、米軍沖縄基地の抑止力はいらない、いや日米同盟すらも不要と言っているに等しいもので、当然小沢氏の賛成なくしてはありえない政策でした。

    では、小沢氏はどのように安全保障を考えていたのでしょうか。 

    小沢氏は政権奪取直前にこう述べています。

    「ただ米国の言う通り唯々諾々と従っていくということでなく、私たちもきちんとした世界戦略を持ち、どういう役割を果たしていくか。少なくとも日本に関係する事柄は、もっと日本自身が役割を分担すべきだ。そうすれば米国の役割は減る。この時代に前線に部隊を置いておく意味はあまりない。軍事戦略的に第7艦隊が今いるから、それで米国の極東におけるプレゼンスは十分だ。あとは日本が極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思っている」(2009年2月24日 奈良県香芝市で記者団)

    う~ん、なんとも無責任。なんとも不勉強。なんとも不見識。これで政権を取る気があったというのが不思議なくらいで、後にリッパなリベラル政治家になる下地がムンムンです。

    おなじみのオザワ流、ヒトをヒトとも思わない表現をすれば、こう超訳できるでしょう。

    米軍は軽くて、留守がいい 

    負担の分担など具体案が欠落していますから、要は、沖縄海兵隊はグアムにでも出ていってくれというだけです。 

    これは、当時の中国が東シナ海のみならず、南沙諸島全域にまで広く軍事的脅威を与えている状況をまったく視野からはずしたもので、危険極まりないものでした。 

    沖縄の米軍基地が何のために存在しているのか、台風と反基地デモの罵声に耐えてどうして「そこにいる」のかを、この人はまったく理解していません。 

    ひとことで言えば、沖縄の海兵隊と航空基地のもっている政治的意味は、米国のアジアの政治軍事的プレゼンス(存在感)そのものなのです。  

    東シナ海、南シナ海、東南アジア、台湾、さらには朝鮮半島でなんらかの紛争が発生すれば、米軍が数時間以内に急行できるという安全・安心のための共通インフラと言ってもいいでしょう。 

    グアムというはるか1000キロの太平洋の真ん中まで後退してしまえば、その政治的信号は「米国はアジアに関知しない」という意思表示をしたことになります。  

    このような誤った外交シグナルを送れば、それに乗じて勢力圏拡大をしてくるのが中国です。

    確かに現実には、尖閣諸島に中国軍が侵攻しても、米国が自衛隊を支援するかどうかは微妙です。  

    しかし中国側からみれば、米国大統領が「尖閣は安保条約第5条の範疇である」と言明し、沖縄に海兵隊基地がある以上、「米軍が介入する可能性を排除できない」ということになります。  

    自衛隊単独でもどうかという力関係に在沖米軍が加われば、中国はまったく勝機がないわけですから、ならば今は思い止まるか、ということになります。 

    これが<抑止>です。抑止とは戦争を仕掛けるのではなく、相手に戦争を思い止まらせることなのです。

    たぶん小沢氏は、外務官僚から、米国国務省の一部に存在する、空軍と海軍だけで充分、沖縄などの有事に即応する海兵隊基地はすべてグアムに撤収という、かつてのドナルド・ラムズフェルド戦略を聞きかじったものだと思います。 

    ラムズフェルド、どこかで聞いたことあるなぁ、という方はピンポンっです。あの超有名な「普天間は世界一危険な基地」と言ってしまった「あの」人です。 

    また、沖縄県知事から「米軍は県民の負担だ」と陳情されて、「負担というならば出て行く」と言ってしまう中坊みたいな人です。 

    こともあろうに、米国国防長官がこんな無責任な発言をしたために、橋龍ポマードは普天間移転問題に御輿を上げらざるをえないハメになりました。

    これが今に至るも延々と牛のヨダレのように続く、辺野古移転問題の幕開けです。

    ラムズフェルドには元々、中東重視、アジア軽視の傾向が濃厚で、中国の脅威を過小評価していました。  

    ラムズフェルドの「グアム撤収」「常駐なき安保」論をもう一歩進めると、そこに待ち構えているのは、なんと中国と米国という二大国が仲良く世界を統治していこう、というG2論(二大国世界管理論)です。

    中国は2000年後半あたりからあたりから、このG2戦略を政府と軍で練っており、具体的には米国と中国で太平洋を分割統治することを考えていました。

    たとえば2008年に、ハワイを訪問した楊毅海中国海軍少将が、ティモシ ー・キティング米太平洋艦隊司令官に対してこんなスゴイことを言っていったと、上院軍事委員会で暴露しています。

    ハワイを起点にして太平洋をふたつに分けよう。東側はアメリカが管理し、西側はわれわれが取る 

    おいおい、大航海時代のポルトガルとスペインの世界分割協定じゃあるまいし、関係各国を無視して勝手に太平洋に線引くんじゃねぇ-つうの。

    キティング司令官はさすがに、ジョークだろうと笑って受け流したようですが、もちろん中国は、マジもマジ、ど真剣でした。

    なにもこれが初めてではなく、2007年5月の米中戦略・経済対話の席上、戴秉国務委員が「核心的利益の尊重」という表現で初めて言い出し、ついで習近平が訪米した際に「新型大国関係」を提案しています。

    簡単に言えば、かつての冷戦期のような米ソ二大国の世界分割統治を、21世紀は米中で再現しようじゃないかということです。もっとも、今度は冷戦ではなく仲良く。

    これを受けてまんざらでもないという反応が、ホワイトハウス内に現れるようになります。

    安全保障補佐官のスーザン・ライスや、国務省の親中派、ジョー・バイデン副大統領、そしてチャック・ヘーゲル国防長官までもがG2論に同調するような発言をしています。

    G2論がなぜ危険なのでしょうか。中国の言う「核心的利益」とは、中国特有の用語で、領土問題を指します。

    たとえば、この戦略対話の場でも中国は、「これをチベット、ウイグル、南シナ海にあてはめる」と発言し、ついで2013年4月には中国外務省の華春瑩報道官が「核心的利益は、尖閣もこれに該当する」と明言しています。

    この中国の提案に米国が同意した場合どのようになるのか、考えるまでもありません。

    南シナ海と尖閣を含む東シナ海全域は「中国の内海」となり、中国海軍艦艇と公船、漁船で覆い尽くされることになります。

    尖閣諸島はこの「中国の内海」に浮く孤島でしかなくなり、あえて軍事的に奪取しなくても奪ったも同然になります。

    沖縄は、本島が直接に中国の「内海」と接することになり、以西の宮古、石垣は事実上中国の「内海」に浮く島々になって、防衛は非常に困難になります。

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    そしてこの水域を抜けて、核ミサイルを登載した中国原潜は太平洋へと出て行くことになります。

    このような際どい情勢下で民主党政権がやってしまったのが、辺野古チャブ台返しであり、小沢氏による北京朝貢訪問団だったわけです。

    この背後に中国の意志かあったかどうかは不明ですが、間違いなくこれほどまでに中国にとって「都合のいい」政権はなかったはずです。 

    このような民主党は、中国海軍が海自艦艇を「実弾を詰めたライフルを相手の頭に当てる」ようなレーダー照射をしようともすべて握り潰し、海保の巡視艇に中国漁船衝突してこようとも、抗議のひとことも上げずにこれまた握り潰して、「日中友好」にいそしんでいたというわけです。  

    結果、日本を舐めきった中国はさらに挑発行動をエスカレートさせ、猫が獲物をいたぶるようにひんぱんに海自の艦艇をレーダー照射して、回避する自衛艦を追い回しては「東洋鬼狩り」ゴッコを楽しんでいたようです。

    なぜなら中国は、何をしても絶対に自衛艦は反撃しないし、民主党政権は「日中友好」に不都合なことはすべて握りつぶしてしまい、公表はおろか抗議すらしないことを、よく知っていましたから。 

    このように危険な戦争誘発行為を、中国が取る理由はひとつしかありません。民主党が政権を握っている絶好の機会に、尖閣諸島を「係争地」にしてしまうことでした。 

    わが国は撃沈される危険に耐えて反撃しませんでしたが、その理由は反撃した瞬間、尖閣海域は「係争地」になるからです。  

    いったん「係争地」になれば、わが国は憲法上、軍事的対抗措置を取ることが厳しくなります 

    たとえば、実行支配の裏付けとして尖閣諸島に公務員を派遣して常駐させることも、いったん係争地になった場合、事実上不可能になります。  

    このように、中国は当然それを熟知した上で、オザワ「野戦軍司令官」が政権掌握している間に、尖閣水域を「係争地」と化す算段だったのです。 

    もう少し長く民主党政権が続けば、この中国の願望はかなったことでしょう。 

    マスコミの口癖のひとつに、「アベ政権によって日中友好が後退した」というのがありますが、こんな「日中友好」なんて後退してくれて結構です。

    幸い、民主党政権が東日本大震災・福島事故対応の失敗により、3年3か月で自壊したのが、せめてもでした。

    私はあの野田首相が辞任を発表した日、わが国の「異民族支配」がこれで終わったような気分がしたものでした(笑)。

     

    ※参考資料 成果報告書 「東アジア海域の海洋安全保障環境 ... - 海洋政策研究財団

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    「野戦軍司令官」小沢氏と中国の利害の一致

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    この、中国が尖閣を「係争地」にすべく猛然と日本を攻めまくっていた時期の、民主党政権の事実上の支配者は小沢一郎氏でした。 

    小沢氏は、素人政治家の選挙互助会でしかないかった民主党を政権に導いた功績を背景にして、幹事長職につきます。

    「かつぐ山車は軽くてパーがいい」という持論どおりに、首班はハトさんでしたが、国民誰ひとりとして脳が不自由な彼が政権を運営しているとは思っていなかったでしょう。

    小沢氏がやったことは、党財政のみならず、いままで政権与党にあった政務調査会などの政策討議組織をなくし、党幹事長に一元化することでした。

    また、業界や地域からの陳情も、すべて幹事長室に一元化しました。これは陳情の聴取を、従来の選挙区の議員から取り上げ、いったん県連に集約した形式をとった後に、中央の幹事長室に一括集約するというシステムです。

    この陳情聞き取り禁止の名目をこの男は、体裁良く「政-官-業の癒着を断つ」としました。しかし、ちょっと待っていただきたい。この男だけには言われたくはありません。

    今政界を見渡して、この男ほど絵に描いたような政-官-業の談合そのもののを大っぴらにやって、恬として恥じない政治家はいなかったはずです。

    談合利権の本家本元の自民でも、小沢氏のような利権工学マイスターの地位にまで上り詰めた人は他にはいません。

    たしかにかつての自民党政治は、業者や住民が陳情をするのを議員が官僚に仲介することで見返りをもらい、これが政-官-業の談合構造を作ってきました。

    自民党腐敗政治の温床であった金権構造です。

    ちなみに、この腐敗の温床を断つとして出来たのが税金による政党交付金で、国が支援金をあげればエゲツないことはなくなるだろう、ってわけです。

    わけねぇだろううが、と今になると思いますが、自民党を割って出たことで、なんとなく政界の革命児のように見られていた当時の小沢氏に、国民は大いに期待しちゃったんですね。ああ、甘かった。

    小沢氏は細川8派連立政権の大立者として、「クリーンな政治」を目指して1994年に政党助成金、小選挙区制などの「政治改革4法」を可決させましたが、これでえげつない業界献金がなくなったかといえば、ぜんぜん違ったのはご承知のとおりです。

    なぜなら、今までダイレクトに政治家に行ったカネが、党支部を利用した迂回献金という裏技に変わっただけだったからてす。

    なにせこの裏技を考え出したのが、この政党助成金制度や政治資金規正法の裏の裏まで知り尽くした作った側の彼だったからです。

    新進党や自由党分裂時にも、この利権工学マイスターの腕は冴えわたりました。

    本来、政党の解散時には政党助成金は国庫に返還しないといけないのですが、小沢氏は解散直前に自らの運営する政治資金団体に「寄付」の名目で振り込んで、政党助成金を残高ゼロにするという、「罰則がないので違法ではないが、限りなくブラック」というトリッキーな手段を使っています。

    一説、新進党解党時に彼が得た金は10億円、自由党解党時は13億円とも言われていますが、真相は闇に包まれています。嘉田氏らとの未来の党解党時も、似た方法で8億円を手にしています。

    落ち目の三度笠の今でも、山本太郎クンに土下座して政党要件を満たして、4億円を貰っているのは情けないですが、さすがです。

    それで出来たのが、あの「山本太郎と愉快な仲間たちの生活のための党」(違ったか)でしたっけね(笑)。

    師匠の角栄さんは土地ころがしで財を作り、弟子は新党ころがしで富を成す、というわけです。

    ちなみになぜ、彼が「永田町の不動産屋」といわれるようになったのかといえば、この政党助成金は政治目的でしか使えないために、不動産に変換してマネーロンダリングしたかったためだと思われています。

    いかん、小沢一郎というモンスターを語りだすとキリがない(苦笑)。また別な機会に。

    それにしてもなんでこんな人物を、左の人は好きなんでしょうね。無罪だった時には涙まで流していました。理解不能。

    話を戻しましょう。たとえばODAがあれば、必ずコンサルタント会社があり、それが政治家を仲介して外務省を動かし、その3~5%をコミッションとして政治家が自分のポッポに入れたと言います。

    この数ある利権の中で、最大かつ闇に包まれていたのが中国ODA利権でした。

    この中国利権は伝統的に、田中角栄が「井戸を掘った」(中国側の表現)ことにより、旧田中派が一元的に握ってきました。

    田中-金丸-橋本と連綿と続く中国ODAの利権のやり口を、田中の愛弟子、金丸の側近としてもっとも知悉していたのは、他でもない直系本流の小沢一郎その人だったはずです。

    そう考えると、色々なことが見えてきます。

    なぜこの男が野党時代から毎年几帳面に年末北京詣でを続けたてきたのか、
    そして日本の最高権力者になった時、国会会期を調整してまで、なぜ160名の現職議員、随行合わせて600人もの北京参拝団を従えたのか、
    あるいは、なぜ中国共産党の御曹司・習近平を天皇陛下に強引に会見させる必要があったのか、
    はたまた、なぜ李克強(現国務院総理)を自宅にホームスティさせていたのか・・・、
    それらの理由の一端が分かってくるでしょう。

    ダム利権、道路利権、土地改良、ODA利権など、古い自民党がなしてきたすべての談合構造を知り尽くした小沢氏の野望は、自民党の持てるすべての利権を自らに吸い寄せること、そっくり自らの下に移植することでした。

    そして利権の全面的な移し替えのためには、「政権交替」が必須で、ある意味、旧民主党もその小沢氏の野望に利用されたのかもしれません。

    しかし、小沢氏という「昭和の悪霊」に乗っ取られ、それなくしては何も出来ない素人集団は、乗っ取られてあたリまえなのかもしれません。ハトさんのあの虚ろな目を見ると、ああこりゃ憑依されているなと・・・(苦笑)。

    そして、民主党を乗っ取った小沢氏がしたことは、与党の政治資金の金庫を握り、党の政策決定を一手に掌握し、かつ党への国民の声もすべて自分に一元化するという、ひとり独裁体制を作ることでした。

    このように、共産党よろしく党執行部、それも幹事長個人にすべての権限が集中する仕組みを、民主中央集権制、別名全体主義といいます。

    先日、菅直人氏を「輝け!日本のヒトラー大賞」に推薦しておいたのですが、すいません、小沢氏のほうかはるかに大物でした。謹んで、新たに「輝け!日本のヒトラー大賞」は小沢一郎氏に贈りたいと思います。おめでとうございます。

    もっとも福島事故の折、菅氏がデタラメな指揮をしていた時に、この「野戦軍司令官」ときたら、女性と京都に逃げて、奥さんに逃げられたんですが(爆)。

    さてこの小沢氏が、政権をとるやいなや最初にやったことは、高校生の修学旅行のような民主党議員160名、総勢600名の民主党議員たち引き連れて北京詣をしたことです。

    多数のリムジンを連ねて、それは見事な朝貢使のご一行だったそうです。国権の最高機関たる国会開催期間を無理矢理変えてまで行ったのですから、もはや国家行事と言うべきで、とうぜん税金が多額に投入されています。

    小沢氏は得意満面で、小沢チルドレンを率いる校長よろしく、胡錦濤主席と握手させては、記念写真に収まらせていました。

    下の写真を見てください。右端の胡氏は惜しいことに消えてしまっていますが、もう嬉しさ一杯で笑み崩れている小沢チルドレン諸君がいます。

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    滑稽を通り越してなにやらもの哀しくなってくるような光景ですが、一国の与党が、ここまで自尊心と羞恥心を捨てて堕ちるのはなかなか難しいことです。 

    この北京詣を小沢氏は「長城計画」と名付けていましたが、長城とは中国を夷狄から守るためのもの、ならば彼は何を何から護ろうとしていたのかよく分かります。

    実はこの年の朝貢は、彼の資金疑惑が浮上したためにて、中国側か開催を渋っていたようです。 

    そこを押して、「権力を取ったオレ様の顔を立ててくれ」とネジ込んだ、というのが舞台裏だったようです。 

    ですから、小沢氏が日本ではゼッタイに見せない追従笑いを浮かべて、揉み手をせんばかりにして「(人民解放軍)野戦軍司令官として頑張っていま~す」などと殊勝なことを、胡に伝えたようてす。

    え~、「野戦軍」という呼称は方面軍をのことですが、その統帥権者は中国共産党軍事委員会主席たる胡氏です。

    つまりは、「胡総司令官様。ワタクシめは、あなた様の部下でございます。よしなにお使いくださいませませ」ということです(爆笑)。

    やれやれ。この人はとどこの国の政治家なのかしらね。 

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     おそらく胡は、「日本の議員なんぞ、皇帝に使える奴婢のようなもの。写真一枚で大喜びする。手応えひとつない卑屈な奴らだ」と内心思ったことでしょう。 

    実際に、この民主党議員ご一行様の「修学旅行」に立ち会った中国政府の下級官僚は、「小沢一郎は胡錦濤主席にじゃれつく子犬」とまで言って、口を歪めたそうです。

    小沢氏からすれば、オレはカネの成る木のODA利権をゲットし、中国は日本の与党を間接支配できたのだからwin-winだろう、「この素晴らしき日中友好に幸あれ」といったところでしょう。

    これか「日中友好」ならば、ないほうがよほどましです。

    小沢氏のことを書いていたら、またまた長くなりました。後半は次回に続けます。 

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    中国艦艇射撃照準レーダー照射事件は戦争一歩手前だった

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    よく安倍政権の「暴走」と呼ぶ人に共通なことは、相手側を視野から外していることです。

    この場合、中国が相手国になるわけですが、この人たちにかかると、まるで日本側だけがひとりで勝手に煮詰まって、暴走しているようにすら見えます。

    おいおい、違うだろうって。日本は仕掛けられたただの受動側にすぎません。どうしていつも日本が「加害者」でなければ、気が済まないのでしょうか。

    今回のような、明らかな中国の一方的な侵犯事例に対しても、たちどころに「反省」して、、次元の違う「歴史の反省」まで持ち出しては、国民に説教し始めるのですからまったくたまったもんじゃありません。

    初めから中韓に対しては、加害-被害の固定した鋳型からしか見ることができないのです。

    このような人たちを、「中国の手先」などと失礼なことを言うつもりはありませんが、中国にとって「都合のいい人たち」であることは確かでしょうね。もっとクールにならないと、国家間摩擦は解決しませんよ。

    さて、漁船衝突以外に、もうひとつ日中がレッドゾーン一歩手前だった事件の流れがあります。 

    それはちょうど2年前の2013年1月19日におきた、自衛艦「おおなみ」搭載SH-60Kに対する射撃用レーダー照射事件 と、同年1月30日の自衛艦「ゆうだち」に対する射撃管制用レーダー照射事件です。
    ※詳しくは関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-b878.html  

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    この両事件は、尖閣諸島を警戒していた自衛艦とその搭載ヘリに対して,中国海軍艦艇から、突如射撃用レーダーの照射が行われた事件です。 

    まず前提知識として、海上保安庁(海保)と海上自衛隊(海自)との根本的な差について押えておきましょう。 

    簡単に言えば、海保は海の警察です。一方海自は国際的には海軍として認識されています。 

    このような領土問題をめぐる潜在的紛争海域には、まず海保が派遣されて、相手国の漁船や公船の侵犯行為に備えています。 

    いきなり海軍同士が殴り合いを始めたら、そのまま本格的戦争に発展する可能性があってシャレになりません。 

    ですから、まずはお互いの海保同士が間に入ることで、未然に戦争を防止していこうというのが、大人の知恵なのです。 

    ところが、海保を遠巻きにして情報収集に当たっていた海自の艦艇に対して、中国海軍艦艇からレーダー照射を受けるという事件が発生しました。 

    え、ただのレーダーじゃん、当たっても安全じゃないの、というのは間違いです。現代の海軍艦艇の射撃はすべてレーダーによる照準に頼っています。 

    本当に撃つ気なら、照準した直後の数秒で砲弾が着弾してしてしまいます。 

    ですから、レーダー照準は射撃行為同然と見なす、というのが国際的な海軍の常識なのです。その場合、海自の艦艇は撃沈されるか大破して、百数十人の犠牲者を出したたことでしょう。 

    そして、日中間は最悪な場合、交戦関係に突入します。 

    この行為は「西大西洋海軍シンポジウム」が作った「紳士協定」(CUES・Code for Unalerted  Encounters at Sea)に違反しています。 

    紳士協定だからといってな~んだと思ってはいけません。これは事実上の海軍同士の平時のルールを定めたもので、国際法に匹敵すると言われています。 

    これがいかにとんでもない危険な戦争挑発行為なのかは、他でもない中国の「同盟国」ロシアの解説を読んでみましょう。 

    「もし2隻の船を2人の兵士になぞらえるなら、レーダーによる標的の捕捉とそれに付随する行為は、弾丸の入ったライフル銃を敵に向け照準を合わせるに等しい。
    そうした条件においては、挑発者自身により偶然引き金が弾かれる可能性もないわけではないし、標的とされた側の船の乗組員が、生命の危険を感じて衝動的に危険な行為に出る事もあり得る」
    (「ボイス・オブ・ロシア」2013年2月8日)

    つまり射撃用レーダーを照射して、照準(ロックオン)するという行動は、世界の海軍の常識では「弾丸の入ったライフルを敵に向って照準を合わせること」、すなわち戦闘準備行為そのものなのです。 

    つまり、国際社会では戦端を切る行為だと受け取られる行為なのです。 

    この危険極まりない中国の行動に対して、安倍政権は、事実関係を精査するや直ちに強い抗議を行い、証拠資料を開示する用意があると公表しました。 

    中国は「捏造だ」と言っていたようですが、日本政府が完全に資料を揃えて公表の用意を整えて原則的な対応をしたために、あえなく沈黙しました。 

    以後、中国からは、このような行為は絶えてなくなりました。ただし、今度は中国軍機が異常接近などをするようになりましたが(苦笑)。まったく懲りない連中ですなぁ。本気で戦争をしたいのかしら。どうかしています。 

    これでこの事件は終わったわけではありませんでした。というのは、事件は思わぬ事実の発見に発展します。 

    朝日はこのようなスクープをデジタル版でアップした直後に、なぜかすぐに削除してしまいましたが、この消された記事はこう報じています。 

    「政府関係者によると、1月30日に中国軍艦が海上自衛隊護衛艦に火器管制用レーダーを照射したのは尖閣諸島の北西百数十キロの公海上。同月19日に海自ヘリコプターへの照射があったとみられるのも同じ海域。防衛省は今回公表したケース以前にも周辺海域で複数回、自衛隊への中国軍のレーダー照射を把握
     今回の「数分間」(防衛省)より長く照射したケースもあるという。日本政府は「日中関係を悪化させる懸念がある」(政府高官)とこれまで公表を避けてきたが、今回は立て続けにレーダー照射されたため、安倍政権が事態を重く見て公表に踏み切った」 (朝日新聞2013年2月4日デジタル版)
     

    つまり、2013年1月のレーダー照射事件の「以前」にも、中国海軍の戦争誘発行為があったということです。  

    しかもそれは長時間に及び、複数回あり、それを民主党政権は「日中関係を悪化させる懸念がある」という判断で、もみ消していたということになります。 

    したがって、中国政府がなにかにつけて問題とし、反日デモの引き金となった2012年9月11日の尖閣国有化以前から、中国の戦争挑発行為は数年に渡って続けられていたということになります。

    この事件をもっと深く知るためには、当時の日本の政治状況を見ておく必要があります。長くなりそうなので、それは次回ということで。

    ※ 後半は長すぎたのでカットして明日にまわしました。

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    中国におもねった無残な結果

    115
    2010年9月、民主党菅政権は、ある意味自民党時代からの伝統芸である、中国におもねることで、尖閣漁船衝突事件を収拾しようとしました。

    なんと、海保の衝突映像記録という決定的証拠を、国が命じて隠匿させてしまったのです。

    主権国家、あるいは法治国家としてあってはならないことですが、ではこれで中国の怒りは治まり、侵犯行為を控えるようになったでしょうか。

    笑えることには、日中関係はまったく逆の道を辿ります。Image01

               (図 中国公船等による尖閣諸島周辺の接続水域内入域及び領海侵犯数 月別)

    上図は、外務省HPの中国公船の尖閣水域及び接続海域への侵入数ですが、2010年9月の漁船衝突事件直後と、2012年9月を境にして侵犯が激増しています。これは野田政権の突然の尖閣国有化があったためです。 

    これについて外務省はこう述べています。

    「2010年9月7日の尖閣諸島周辺の我が国領海内での中国漁船衝突事件以降は、中国公船が従 来以上の頻度で尖閣諸島周辺海域を航行するようになり、2011年8月に2隻、2012年3月に1 隻、同年7月に4隻による尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入事案が発生した」 

    「2012年9月11日に我が国が尖閣諸島のうち3島(魚釣島・北小島・南小島)の民法上の所有権を、民間人から国に移したことを口実として、同月14日以降、中国公船が荒天の日を除きほぼ毎日接続水域に入域するようになり、さらに、毎月おおむね5回程度の頻度で領海侵入を繰 り返すようになっている」

    同じ民主党政権でありながら、菅内閣の宥和政策と野田政権の国有化政策がジグザクで展開された結果、日中関係はみるも無残な破局状態になったわけです。

    国有化政策は、それ自体はひとつの政策的選択肢であったのはたしかでしょうが、野田政権は、石原都知事が都の所有するということを聞いてうろたえ、「尖閣諸島で何もやらせない」ためだけに国有化したのでした。

    戦略性ゼロで、中国と波風を立てたくないの一心ですから、菅政権と根本的には同じ発想です。

    ですから政府の対応は泥縄そのもので、中国の反応すら予測していないお粗末さでした。

    結果、この直後に起きた中国全土を覆う反日運動に口実を提供しただけに終わりました。

    ちなみに先の衆院選で、民主党は日中関係の悪化の原因を安倍政権の右傾化路線にあるなどと言っていましたが、自らの政権が原因を作ったことは都合よく忘れてしまったようです。 

    同じく中国は公船、漁船だけではなく、空軍機の侵犯も激増させています。(外務省HP) 

    Graph01
                         (図 中国機に対する緊急発進回数)

    この中国機の侵犯は、尖閣領域だけではなく、挑発的にも爆撃機を沖縄本島と宮古島の中間を通過させるといった危機的事態にまで発展しています。
    Map02a                   (図 2013年9月 H-6爆撃機の航跡)

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      (写真 侵犯したH-6爆撃機 航空自衛隊撮影)

     さらに、2013年11月23日には、防空識別圏(ADIZ)を、尖閣諸島上空に被せるようにして設定しました。 

    Img_52807cf74c83f000821d6740fe21705

     この防空識別圏(ADIZ)を作っても、現実には中国のレーダー監視は尖閣諸島まで及ばないことは知られており、政治的パーフォーマンスにすぎません。

    ではこの国際ルールを屁とも思わない、中国のパーフォーマンスの目的はなんなのでしょうか。

    まず第1に、直接的にはこれによって、「中国とは領土紛争はない」とする日本の見解に対して、領土紛争があることを国際的にアピールしたかったと思われます。

    これはこの防空識別圏に韓国が実効支配する離於島を含んでいることからも分かります。 

    第2に、中国が設定した防空識別圏は非常ににぎやかな空域です。旅客機の航空路が通り、日米の軍用機の訓練空域も重なっています。

    また訓練だけではなく、米軍や自衛隊による情報収集のための飛行も頻繁に行なわれている空域です。

    これら日米の軍用機の接近を牽制し、やがては実力で阻止してやるゾという意志を現しています。

    少し説明しておきましょう。 

    中国は根本的に「領空」と「防空識別圏」をゴッチャにしています。 

    中国は、他国の航空機が防空識別圏に侵入すれば、フライトプランが提出されない限り「実力で排除する」としていますが、何を勘違いしているのやら。それが出来るのは「領空」の方です。

    防空識別圏は、「領空」に接近する航空機が敵対意思があるかないかを、文字どおり「識別」するためだけの空域にすぎません。

    こういう初歩的国際ルールに対する無知があるのが、かの国なのだということを肝に命じておきましょう。まるで大きいなりをしたガキです(ため息)。

    防空識別圏まで中国が軍事的に管理することを、「選択的アクセス拒否」と呼びますが、これは地域の海や空の通行を統制することです。

    これは単に「航行の自由の権利」への挑戦だけではなく、海洋というコモン(common共有地)の自由への挑戦なのです。

    国がそれまでのG2(2大国)路線から、中国を包囲する外交路線にシフトしたのは、この自由社会の根本である「航海の自由」「コモンの自由」を中国が犯そうとしていると判断したからです。

    これをいったん許せば、わが国は東シナ海上空の「航行自由の権利」を奪われ、尖閣諸島もやがて失う結果につながっていきます 

    尖閣を失うことは、単に岩礁のような離れ小島を失うことではありません。その海域における中国の制海権を認めることと同義なのです。

    その場合、海外からの日本へ向う海上物流ルートは、中国軍の意のままになり、いつでも中国がわが国の喉くびを締め上げて日干しにすることが可能になるかもしれません。

    Map_middleeastf2e0676a                      (図 中東からの海上交通路)
    Photo               (図 尖閣諸島 Google Earth)

    第3に、同時期に中国は尖閣海域・空域のみならず、南シナ海、西沙諸島の海域全体で、露骨な侵犯と基地建設、漁業管理の強化を行なって国際社会からの鼻つまみ者になっていました。

    これは、排他的経済水域とその上空に関する国際ルールを、自国に有利なように一方的に変更しようとしている極めて危険な膨張政策で、今どきこんな露骨な19世紀的帝国主義のようなマネをする国は世界広しといえど、中国とロシアくらいなものです。

    このように「その後」を見ると、この中国の海への膨張の最初の兆しが、この2010年9月の尖閣漁船衝突事件だったようにみえます。

    中国が国際ルールに従う常識的な国家ならば、友好も宥和も結構です。大いに友好したらよろしい。

    しかし、相手はアジアの覇権国を目指すと公言している中華帝国なのです。

    南シナ海はオレ様のもの、東シナ海もオレ様のもの、尖閣はあたりまえ、沖縄もオレ様のものと堂々と言ってのける国なのです。

    こんな相手に媚びてどうしますか。まさに相手を見てからやれ、です。

    頂戴したコメントにかつてのヒトラーを増長させた1938年のズデーデン地方の侵攻に対するネビル・チェンバレンの宥和策を上げられていましたが、まさにそのとおりです。

    あれがヒトラーに、西欧列強がドイツの侵略を認めたという合図になってしまい、後のポーランド侵攻から大戦へとつながっていきます。

    大戦後、このチェンバレンの融和策は徹底的に批判を受けて、「膨張する軍事国家に対しては絶対に宥和してはならない。原則的に対応する」という国際ルールを作り出しました。

    力による一方的な国境線の変更は、戦争を引き起こす最も直接的な脅威と認識され、したがって最も基本的な国際法上の禁止事項とされてきています。

    ただし、チェンバレンの名誉のために付け加えれば、これで稼いだ時間を彼は軍備増強に当てていて、この猶予がなければバトル・オブ・ブリテンも敗北していたとさえ言われています。

    あ、菅さんはただ中国というジャイアンを前にしたのび太くん状態になっただけでしたっけね、ゼンゼン違うや(爆)。

    ところで、この尖閣漁船衝突事件にはもうひとつの事件の流れがありました。それについては次回に。

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    国際関係における「責任」と「説明」の関係とは

    027
    村上春樹氏は、去年の毎日新聞とのインタビューでこう述べたそうです。

    「中国人も韓国人も怒っているが、日本人には自分たちが加害者でもあったという発想が基本的に希薄だし、その傾向はますます強くなっているように思う
    「福島原発事故にしても「誰が加害者であるかということが真剣には追及されていない」
    「加害者と被害者が入り乱れているということはあるが、このままでいけば『地震と津波が最大の加害者で、あとはみんな被害者だった』みたいなことで収まってしまいかねない
     

    ここで村上氏は、サザン桑田氏と口調まで一緒に、「中国と韓国は怒っている」から、国民にもっと強く過去への反省をするように求めています。  

    さて、村上・桑田両氏には気の毒ですが、現在の日中間の摩擦の原因は、かつての「戦争」に起因するのではありません 

    2010年9月の中国漁船の海保の巡視船に対する体当たり攻撃と、それ以降の大規模な組織的中国公船の侵犯が直接の原因です。他に何かあるなら教えてほしいものです。 

    二国間紛争を望んだのは、わが国ではなく明らかにかの国です。  

    それはさておき、わが国では今回の桑田氏や村上氏といった文化人の発言に往々にして見られるように、この中国の歴史観をそのまま直輸入して、ひたすら謝り続けてきました。 

    少し謝り忘れた時期があると、桑田・村上両氏のような朝日文化人が、「加害性への反省が足りない」と叱ってくれました(苦笑)。  

    したがって日中関係は、「ひたすら謝罪要求をする中国」と、「ひたすら謝りつづける日本」という固定した関係が、完成してしまっています。  

    たとえば、先に上げた尖閣の漁船衝突事件においても、当時の菅政権は、ろくな調査もすることなくただちに当事者である中国人船長を釈放することを命じました。 

    忘れかかった方も多いでしょうから、ちょっと振り返ってみましょう。

    Photo

    上は事故直後、中国が発表した日本の海保が漁船に突入したとする図です。彼らの説明によれば、「日本の巡視船が平和に操業していた中国漁船をヤクザのように包囲し、船腹に衝突させて損害を与え、船長を拘束した」というものです。 

    いうまでもなく、白サギをカラスという類のデタラメですが、恐るべきことにこれが定説となりかかってしまっていました。 

    なぜなら他ならぬ日本政府側が中国政府に「配慮」して、証拠をもみ消そうとしたからです。 

    Photo_2

               (写真 『みずき』右舷に突入する様がはっきりと撮影された海保証拠ビデオより)

    事実は、現場で撮影されていた海保の巡視船『みずき』によるビデオのみが知っていました。

    しかし、あろうことか菅直人首相と、仙谷由人官房長官は、証拠になるビデオ映像を非公開として隠匿を命じてしまいます。

    さすがに後ろめたかったとみえて、民主党政府はこの判断を那覇地検にやらせて、責任逃れをするというおまけまでつけました。 

    もし後に、義憤にかられた海保職員・一色正春氏の内部告発がなければ、中国の歴史書には間違いなくこう書かれていたはずです。 

    「再び中国侵略をたくらむ悪辣な日帝は、尖閣侵略のために平和に操業する漁船を攻撃し、損害を与えた。これは第2の盧溝橋事件だとして、中国人民は怒りの抗日運動に立ち上がったのでア~ル」 

    そして国際的宣伝力に優る中国によって、これこそが真実として国際社会に定着したはずです。まるで慰安婦問題のように。 

    さて、このような国境紛争においては、ただちに国際社会に対して互いに証拠資料を開示し、説明責任を果たさねばなりません 

    それが国際紛争を初期に消し止める唯一の手だてなのですが、「隣国が怒っている」ことを何より恐怖する政府は、それをネグレクトしました。外交的失敗という以前の問題です。

    きちんと事件に向き合って、それを「説明」していく努力が解決の前提なのであって、まず「謝る」ことが大事なのでありません 

    桑田・村上両氏はポップな顔をしていますが、悪い意味での古くさい「日本人」の典型です。 

    この人たちは、なぜこのような事態になったのかを深く考えようとせずに、相手が「怒っている」から一方的に自分に非があると認めてしまい、ひたすら謝れば、事態が解決すると思っています 

    これはわが和の国の民がやりがちな社会習慣です。相手が怒れば、まずは頭を下げて場を和ませてから、話し合いをもとうとします。 

    このような日本人の口癖は「話し合い」です。桑田氏流に言えば、このようなことになるようです。 

    「歴史を照らし合わせて、助け合えたらいいじゃない。硬い拳を振り上げても心開かない」(『ピースとハイライト』)

    はいはい、歌っていると滑舌が悪いために意味不明でしたが、こんなふうにベタ打ちすると、中学生が背伸びして書いた「良い子の主張」みたいですね(笑)。 

    まぁ日本社会ならば、それで通用するのでしょうが、まったく価値観の違う外国人にも同じことをしてしまいます。 

    お二人は原因をあいまいにしたまま、中韓に対して日本の「加害性の責任を取る」ことを、要求していますが、村上氏は英語に堪能なはずなのに、「責任をとる」という英訳をご存じないようです。 

    レスポンシブル( responsible )がその英訳に相当しますが、この単語は単に謝罪するという意味ではなく、説明責任を果たすアカウンタブル(acountable)の意味も含んでいます 

    「責任を取る」ために説明責任を果たすわけですから、「責任」と「説明」は一体の関係、または必要充分条件(necessary and sufficient condition)の関係にあります。

    ところが日本語では、これか単なる「謝罪」の意味だけに解釈され、村上氏に至っては「自らの加害性を忘れている」とまで言いだす始末です。 

    これではまるで両氏は、中国が日本に押しつけている「永遠の罪人」政策の良き子です。

    中国は、日中間で齟齬があるたびに必ず「侵略戦争」を持ち出し、それに対する謝罪要求をすることで、日本が永遠に変わらない「罪人」であるように決めつけてきました。  

    それは中国の国是として、「日本の侵略戦争に民族が一致団結して、共産党の指導の下に勝利した」という建国神話があるからです。  

    台湾の旧國府軍がそれを言うなら、まだ分かりますが、日中戦争においてまったく戦闘に参加することのなかったに等しい共産党政府からそれを言われると、ウソをつけとこぼしたくなります。

    おまけに、桑田・村上両氏は中国と同調して、「日本人の加害性」を追及する始末ですから、手に負えません。 

    真に「責任をとる」気ならば、問題をゴッチャにして全部まとめて倫理的に謝ることなどはもっともしてはならないことです。 

    問題の在り所を探すためには、ていねいに切り分けて整理せねばなりません 

    なぜこのような戦争に至ったのか、そしてなぜそれから70年たって未だこのような侵犯行為が続けられているのか、しっかりと「説明責任」を果たす必要があるのです。 

    それが「責任を取ること」です。結果、謝る必要があれば謝ればいいし、そうでなければその旨をかの国に伝えるべきです。

    そのような「説明責任」なき気分的な謝罪はかえって問題をこじらせ、感情的対立を煽る結果にしかなりません。

    では、この菅政権のように桑田・村上両氏の言うとおりやった結果、中国と日本の友好関係が高まったかと言えば、まったくノーです。 

    長くなりましたので、これについては次回に見ることにします。 

    桑田クンのおかげで、新年早々、予定になかった「困った隣人」について書くハメになりましたよ。恨むぅぅぅ(棒)。

     

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    週末写真館 黄金の湖 桑田クンの歴史知らず

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    昨日、やっと遅ればせの紅白歌合戦を見ていました。前半は、私の世代にちはつらいので早送り。後半からたっぷりと聞きましたた。

    おお、薬師丸さんの「Wの悲劇」をまた聞けるとは、うるうる。
    長淵はうっとおしい奴だが、うまいなぁとか。
    みゆきさんは、もはや女帝ですなとか、機嫌よく見ていたのですが、サザンの桑田で、一気に酔いが醒めるハメに。

    なんだありゃ。「お隣の人(国)が怒っていた」「現代史を習う前に時間切れ」「悲しい過去も、愚かな行為もひとはなぜか忘れてしまう」・・・、桑田クン、きみ、私とそんなに歳違わないよね。高校の日本史で止まったきりなんだぁ。

    その後、40年間ちっとも勉強しなかっんだね。無知は自慢にならないよ。

    なんで「隣の国が怒っている」のかなぁ?慰安婦問題だったら、わが国国内では9割9分決着済みですが、それでもずっと「怒って」いたいんですから、勝手に「怒って」いたら、というのが今の国民の多数意見でしょうね。

    あげくにヒットラーをアベシンゾーに擬して、馬鹿の上塗り。ヒトラー出現当時のドイツと、今の日本は似ても似つかないんですが。

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    そもそも桑田クンは、ヒトラーについて多少は勉強してから、歌っているのかな。

    ヒトラーとナチス党が登場した当時のドイツは、今の日本とは逆の、敗戦による青年労働者層の大量死亡と、生産施設の崩壊による供給過少。
    生産力の壊滅の上に、戦時賠償返済のために紙幣の増刷をしたもんで、1万%以上のハイパーインフレが大驀進中。
    戦時の武器が各所に隠匿されていて、それを手にした左右の暴力的衝突が日常茶飯事。

    進んだワイマール憲法はあっても形骸化。
    経済崩壊と政治混乱をまともに受けた、労働者階級の没落。
    その怒りを背景に、ドイツ伝統思想の中に眠っていたアーリア人優越主義と反セム(ユダヤ)主義、さらにはオカルト的超人思想までもが鎌首をもたげる。
    これを吸収して肥大化したのが、ヒトラー率いるナチ党。

    そしてヒトラーが、大統領のヒンデンブルク死去の後を襲って、法を超越したナチ党が授権法によってトリッキーに全権掌握を完了。

    合法の仮面をかぶった力によるクーデターで、ここに前世紀最大の政治的モンスターである<ヒトラー>の登場と相なったのです。

    <ヒトラー>とは、このように、ドイツの第1次大戦直後の特殊な経済・政治的環境の中で生まれた、一種の風土病か、化け物のようなものです。

    桑田クン、これらのうち、ひとつでも今の日本と同じ要素はありますか。今の日本でのヒトラーの再現性は限りなくゼロです。

    キミのコンサートに夫婦で行ったり、正月に映画観に行くような人のどこが「超人」なんかなぁ(笑)。

    ま、いちおう、大戦に突入した当時の日本の指導者の中に、ヒトラーに似たタイプの政治家がいるか覗いてみましょう。

    東條英機は、ヒトラーと真逆な小心な軍事官僚でしかありませんでした。
    あえて言えば、反原発の細川護熙翁のおジイさんの近衛文麿が唱えた「新体制」は、ナチス流のパロディを目指したみたいですが、指導力欠如でなにかよーわからんシロモノで終わっています。
    伝統的右翼政治家では、次世代の党の平沼赳夫さんの養父・平沼騏一郎がいますが、日中戦争から一貫して戦争に反対していました。
    よもや昭和天皇がヒトラーだった、なんて言いだすんじゃないよね(笑)。
    念のために言っておきますが、陛下は日中戦争の拡大するきっかけとなった1933年の熱河作戦に徹底的に反対されているご様子が、去年公表された『昭和天皇実録』に描かれています。

    「ファシズム」というとすぐに引き合いに出される「大政翼賛会」など、なにをしたいのかよく分からない名前倒れのものです。

    ちなみにこれを作ったのは細川氏の祖父の(←しつこい)近衛で、彼はナチスに似た一党独裁を構想していましたが、天皇とバッティングしてしまい、結局、政治的活動を禁じられた単なる行政機関の下請けにしかなりませんでした。

    「大政翼賛会」なんて、ネーミングがご大層なので、その実態を知らない後世の者が聞くとすごいファシズム組織のようですが、内実は新進党か民主党並のベタな寄り合い所帯でした。しょせん、細川さんのジイ様が作ったものですから(笑)。

    この程度のものは、総力戦を戦った近代戦争においては、世界各国がほぼすべて似た動員組織を持っています。

    とまぁ、ざっと見ただけでも、日本にヒトラーなんていなかったし、今後出てくる可能性はゼロですな。日本の精神風土に合わないのですよ、あのヒトラーみたいなタイプの男は。

    ただし現代日本にも、「マイクロ・ヒトラー」ならいます。菅直人氏です。
    彼は、自らの権力を「選挙で選ばれた期限付き独裁」と呼んでいました。
    どうせこれはレーニンの、政権奪取後、共産党は民主主義を一時的に凍結できるとするプ「ロレタリア独裁論」の焼き直しでしょうが、国民にとっては迷惑な話です。

    そして東日本大震災による政治休戦をいいことに、権限を超越した事故指揮をとった挙げ句、議会と法を超越した「お願い」を乱発しまくって、日本を混乱に陥れました。
    わが国はいまだあの男の残した後遺症から回復していません。

    気に喰わない奴を、みんなヒトラーに模して批判した気になっていると、本ものの「ヒトラー」が出てきたらどうするんでしょうか。

    あまり気軽に「ファシズムが来る、ファシズムが来る」と叫んでいると、そのうち狼少年になっちゃいますよ。
    朝日新聞はこんなことを半世紀やってきて、とうとう自分で壊れてしまいましたしね。

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    今年こそ、民の竈が賑わう年でありますように

    018
    明けましておめでとうございます。
    昨年中は、皆様のご支援をたまわりまして、感謝の言葉もありません。本年も宜しくお願いたします。

    さて私は干支にはあまり関心がなかったのですが、徒然に調べてみれば、本年は「乙未(きのと・ひつじ)」の年とのこと。

    ものの本にはこうあります。

    「今年の甲に一陽来復して冬の間陽気を待っていた芽が、来年の乙の年になって殻を破って伸び出したものの、まだ陰気が強く残っているために冷気もあり春寒が残っており、伸びた芽も歪曲し曲がってしまいがちなため、その伸び方が”乙々”としてしまう傾向にある」

    思わず微苦笑。まるで日本経済の動きそのままです。デフレの殻を破って伸びだした民力が、去年4月の消費増税で折れ曲がり、急激に失速しつつあったのが、去年の12月の状況でした。

    去年の暮れの増税回避は遅すぎましたが、政治の決断とそれを支持する国民によって最悪の状況は回避されました。

    また干支の解説にはこうもありました。

    「乙は、いかに抵抗力が強くとも、それに屈せず弾力的に、雄々しくやっていくことを意味する。
    乙という文字は草木の芽が曲がりくねっている象形であるため、新しい改革創造の歩は進めるけれど、まだまだ外の抵抗力が強いという意味です。
    それがゆえに、いかなる抵抗や紆余曲折を経ても、それを進めていく気概を持っていかねばならない。
    今年の甲が、冬の寒さを凌いだ草木の芽が春を迎えてその殻を破り、外に尖端を出した象形ですので、“無遠慮”“緊張感を失う”ことに通じていることから、むなしく因循姑息に堕しやすいということも表しています」

    財務省が民の懐から8兆円を吸い上げた傷は大きく、景気回復は2012年12月の時点に巻き戻されました。

    今後政府が、間違っても財務省が推す緊縮財政とプライマリーバランスの罠にはまらずに、経済再建の道を歩まれることを願うばかりです。

    今年は、一に経済、二に経済、三、四がなくて五に経済の年です。憲法改正などといったことはしばらく後にして、ともかく民力を奪っている暗雲を勇気をもって払うことが最優先課題です。

    今年こそ、民の竈が賑わう一年でありますように。そして皆様のご健康とご多幸をお祈りしております。 

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