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2015年1月25日 (日)

イスラム原理主義vsデモクラシー原理主義

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実は先週に2度もアップした記事ですが、ISの人質事件が起きてしまったためにボツになった不憫なヤツです(涙)。このままお蔵入りも哀れなので、日曜特別版でアップしておきます。よかったね、陽の目見て、しくしく。

先週の1月20日の「非宗教性国家・フランスの「国教」ライシテ」の後半になります。http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-0051-1.html 

※なお、後藤氏の新たなビデオが公開されていて、状況が動いたようです。これについては明日に書きます。

                 ~~~~~

<ライシテ>la laïcité は一定の和訳はありませんが、「政教分離」と訳すと、ただの公権力への宗教の介入を許さないとなって、我が国と同じになってしまいます。

もちろんライシテは、そんな甘チョロイもんじゃありません。むしろ「非宗教性」あるいは「宗教からの自由」くらいの強い意味なので、ここでは原語のまま記すことにしました。

それはさておき、このフランス革命の贈り物である<ライシテ>について、もう少し見ていきましょう。

<ライシテ>は、一神教を前提とするA宗派も、B宗派も、共に互いの宗派を嫌悪しあっていたとしても認めねばならないとします。

宗教は内面の自由に制限され、他宗派を暴力的排除することは堅く禁止されます。表面的でいいから、市民社会で共存していこうね、ということです。

これが、<寛容>トレランスで、フランス革命の三大原則の<友愛>となっていきます。

そして、そのためには、自分の宗派が有利に運ぶように公権力への介入は絶対にしてはならならず、公権力は特定の宗派に援助してはなりません。

そりゃそうです。公権力が特定宗派に占有された場合、他宗派が圧迫されることになりかねません。

ですから、フランス大統領は就任式典で、間違っても聖書に手を置くという米国流の儀式はしません。したらその瞬間、解任動議が議会から飛んできます。

もし大統領が聖書に手を置くなら、一定宗派が政権を牛耳ることになり、フランス革命前に逆戻りとなって、また宗教戦争が勃発してしまいます。

Photo

逆に言えば、公権力は特定宗派の神・聖職者への言論による圧迫に対して一切介入しないということで、つまりは宗教への冒涜は暴力さえ使わなければ、自由かつ、無制限なのです。

よく間違って報道されていますが、フランスの公立学校のスカーフ(ブルカ)禁止令は、イスラム教だけに対しての「弾圧」とは無関係です。

カソリック教徒の生徒はロザリオ(ネックレス)や、ユダヤ教の帽子も同じく禁止されています。

またフランスは、犯罪に手を染めていて悪質だと思われる活動をする宗派に対してもことのほか敏感で、「反セクト法」という、それを監視する法律さえ作っています。ちなみに、創価学会がこれに指定されているというのは、どうやらデマのようです。

これが「革命国家・フランス共和国」の教義(ドクトリン)である以上、シャルリ・エブドのイスラム冒涜もまた<自由>の名の下に許される、とフランス人は考えるのです。

他のヨーロッパ諸国は、フランスほどラジカルではないと言われていますが、民主主義革命の原点を自負するフランスにおいては、このもっとも過激な原理主義的解釈がいまだ一般的なのです。

私の造語ですが、いわば<デモクラシー原理主義>です。

つまり、このシャルリ襲撃事件の時にさんざん聞かされたコメンテーターのいう「言論の自由」という枠組みの外に<ライシテ>があり、それはいかなることによっても守られるべき「理性神」だとフランス人は考えているのです。

しかしこれが<ライシテ>が成立し時には予想しえなかった事態、すなわち、イスラム社会を国の内部に1000万人のオーダーで抱え込む状況になった時に、大きくきしみ、破綻していきます。

そして起きるべくして起きたのが、このシャルリ襲撃事件という悲劇でした。

イスラム原理主義vsデモクラシー原理主義という、両極の原理主義の衝突があの事件の本質だったように、私には思えます。

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