土曜雑感 ヤレヤレ、オイオイな人達の泣き言
ちょっと旧聞になりますが、2月9日に、「政権批判を自粛する空気が社会やマスメディアに広がるのを危惧する」 (←長いなぁ)「表現者」の皆さんの声明が発表されました。
※翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明
※ http://blogos.com/article/105276/
吉田照美さんやおしどりマコさんという方々が混ざっているのはご愛嬌と言うべきでしょう。
照美さんは実にのびのびと毎日ラジオで反アベ、反原発などを叫んでいた記憶がありますが、あれでも自粛していたんですね(笑)。本気出したらもう大変。
室井佑月さんは、この1000人の中にいるのかな。いないと寂しいなぁ。
しかしまぁ、宮台真司、坂本龍一、孫崎享、香山リカ、内田樹の各氏のメンツを見ると、いかにもいかにもの方々ばかりです。
特に古賀茂明さんなんかは、自分の「舌禍」を「時代の雰囲気」にしちゃいたいんでしょうなぁ。
(写真 報ステ1月23日)
この土曜雑感のコーナーでも取り上げたあの「ISILにも一理ある」発言が、強い批判をあびたので、この元エリート官僚殿はビビったようです。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-78bc.html
いちおう古賀さんが何を言ったのか再録しておきますか。やっちゃったのは報道ステーションの1月23日のことです。
「イスラム国がやってる事は、もうとんでもない事なんですけれども、言ってる事にはけっこう共鳴する人たちが多いんですね。
で、それは何かと言うと、例えば 第一次世界大戦後に、まぁイギリスとかフランスがですね、「勝手に国境線決めちゃって民族が分断された」とか、あるいは最近であれば アメリカのですね、アフガンとかイラクとかですね、ああいうところの戦争でですね、「アメリカに罪の無い女性や子供を含む民間人が沢山殺されてるぞ」と。で、そういう事に報復するんだと いうような、あの主張っていうのは、これはあの~ 一面では嘘じゃなくて、で、イスラムの中にはそれに共鳴する人がいる」
まぁ、こりゃ誰が見てもダメでしょう。 これで報ステ降ろされたって恨んでいるようです。
しかし、報ステも同じトーンの報道をしていましたから、古賀さんはトカゲのシッポ切りされただけです。恨むなら「翼賛体制」とやらじゃなくて、ご都合主義のテレ朝を恨みなされ。
古賀さんは、I am not Abe」ウンヌンなんて箇所に矮小化して自己弁護していますが、違います。
古賀さんは、「テロリストにも一理ある。イスラム国の膨張戦争は正しい」と擁護して、一方対ISILと戦っている米国に対しては、「民間人を殺している」というISILのプロパガンダをそのまま述べています。
このISIL擁護、米国、アベ糾弾としか聞こえない発言を、後藤健二さんたちが拘束されて、日本を恫喝していたまさにその真っ最中にやらかしたのですから、局に批判が殺到してもあたりまえです。
当時、この人たちは安倍首相の中東歴訪と人道支援が、後藤氏らの殺害を招いたと言っていました。
(この人を見ると、つくづく「無知は力なり」なんて思ってしまいます。アサハカを絵に描いたような人)
頭の中が常にショートしているような室井佑月さんなどは、単刀直入に「アベが殺したんだよぉ」などと言ったようです。 あは、こりゃヒドイ。
室井さんはこう書いています。
「『今、政権批判をするのは、イスラム国を利するだけ』などといって非難されてしまう世の中の雰囲気が出来上がっている。
なぜ、そうなるのか。
きっと、一部の声のでかい人がそういいだして、結果、その声に政府は助けられ、そしてそういう政府の立場を慮(おもんばか)ってマスコミが忖度(そんたく)し、巷に変な空気が出来上がってしまった」(週刊朝日2月20日)
※http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150220-00000009-sasahi-pol
この人達はきっと、安倍首相が東南アジア歴訪に出かけて、その隙を狙ったように中国が大武装漁船団を尖閣に送り込んだとしたら、まったく同じことを言うんだろうな。
ユヅキさんなら嬉しさを隠しきれない様子で、こう叫ぶでしょう。
「アベさんが、東南アジアなんかに行くから、中国を刺激してこんなことになるんだよぉ。侵略したのはアベなんだよぉ」
古賀さんなら、インテリっぽくこう厳かに言うのかしらね。
「中国が侵犯したことには理由があります。彼らの領有権主張は正しいのです。むしろ日本が中国から奪い取った、というのが正しい歴史的事実です。そしてそんな強盗の日本が、今度はフィリピン、ベトナムに協力するという。これはもう中国からすれば宣戦布告に等しいわけです。安倍首相は直ちに辞任して、政府は中国の沖縄に対する領有権も認めるべきです。私はI am not Abeです」
おー、なんかホントに言いそうだなぁ(棒)。
さて、このような人達が大量発生することを予測して、イスラーム学の専門家である池内恵東大准教授は、この事件が起きた直後の1月20日に、このように述べていました。
『イスラーム学の風姿花伝』「『イスラム国』の人質殺害予告についてメディアの皆様へ」と題して
※http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-258.html
「安倍首相が中東歴訪をして政策変更をしたからテロが行われたのではなく、単に首相が訪問して注目を集めたタイミングを狙って、従来から拘束されていた人質の殺害が予告されたという事実関係を、疎かにして議論してはならない」(同)
池内氏は、中東歴訪計画は既に半年以上前から練られていて、関係各国と調整済みで、今突然に決まったわけではないことを指摘します。
むしろ、これをいいチャンスとして、既に捕らえていた湯川さんや、新たに捕らえた後藤さんの「使い道」をISILが思いついたのであって、利用したのはISILの側だということです。
そして、人道的支援は、シリアの300万人と言われる難民支援に対して行なわれたことは中東世界で知られていたことをこう説明しています。
「現在日本が行っており、今回の安倍首相の中東訪問で再確認された経済援助は、従来から行われてきた中東諸国の経済開発、安定化、テロ対策、難民支援への資金供与となんら変わりなく、もちろん集団的・個別的自衛権のいずれとも関係がなく、関係があると受け止められる報道は現地にも国際メディアにもない。今回の安倍首相の中東訪問によって日本側には従来からの対中東政策に変更はないし、変更がなされたとも現地で受け止められていない」(同)
また、中東支援がISILに軍事目的だと誤解された、というのも同じく初歩的間違いです。
ISILはこの日本政府の中東支援が非軍事目的だと知っています。
下の写真は、池内氏がサイトで例示したものですが、ISILは自らの脅迫ビデオの中で挿入していたアラブ世界向けBBCの映像ですが、これにははっきりと「Non-Military Aid」(非軍事用支援)という英訳が彼らの手で付けられていています。
ISILが安倍氏の表明した、中東支援の非軍事的性格を知っていたのは明らかです。
(写真 ISILの脅迫ビデオ。アラブ世界向けBBCを引用している。池内氏のサイトから引用)
「重要なのは、「イスラーム国」が意識的に付けた英訳で「Non-Military(非軍事的な)」と明記されていることです。「イスラーム国」が情報収集に使うアラビア語や英語のメディアからの情報を正確に受け止め、安倍首相が発表した支援策が「非軍事的な」ものであることを認識していることが明瞭になっています」(同)http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-270.html
ですからこの古賀氏などのようにISILの掌の上で、自分たちのやりたい安倍政権批判をするのは、政治利用でしかなく、当時懸命に救援に当たっていた日本政府の努力に水を差すことになるのは自明のことでした。
池内氏はこのような危惧を述べています。
「イスラーム国」側の宣伝に無意識に乗り、「安倍政権批判」という政治目的のために、あたかも日本が政策変更を行っているかのように論じ、それが故にテロを誘発したと主張して、結果的にテロを正当化する議論が日本側に出てくるならば、少なくともそれがテロの暴力を政治目的に利用した議論だということは周知されなければならない」(同)
このような専門家の分析を古賀氏は、「報ステ舌禍事件」の数日前に知り得ていたはずです。
報道番組で日本人質事件について発言するなら、池内恵氏の『イスラム国の衝撃』(当時はサイトに連載。現在は新書版)を避けて通るわけにはいかない基礎的文献です。
池内氏のみならず、高橋和夫氏などの中東専門家も揃って同趣旨の発言をしており、これらを踏まえて発言することは、「表現者」として当然のことです。
彼らが池内氏の恐れていたことをそのまま声高に叫ぶので、逆に私のほうが驚いてしまいました。ナメとるのか、こいつらは、と思ったほどです。
しょせん古賀氏は、イスラーム世界や中東情勢には素人ではないですか。結果、この人たちは孤立すべくして孤立しました。
しかし、孤立したら今度は、いきなり被害者になってしまうのがスゴイ。「表現者」なら表現者らしく、言論で論争すればいいのです。
そのために、首相の中東訪問や人道支援が、いかにISILの非道のテロと関連があるのか、米国の対ISIL空爆がどのていどの規模の民間被害を出しているのかなど、彼ら自身が提出した論点をさらに精密、かつ具体的に論じるべきです。
それをしないで、彼らはいきなり場外乱闘を開始します。自らが批判されたのは、世間の「自粛の空気」が悪いというに至っては、もう「表現者」としての自殺的行為です。
「表現者」と自己規定するなら、言論で勝負しなさい。言論から逃げて、集団の力に頼って逆襲しようということ自体が、「表現者」として恥ずかしいことではありませんか。
植村元記者の「名誉毀損」訴訟と同じ絵柄です。
上の写真で、香山氏が手にしているのは、賛同者のマッドアマノ氏のパロディ。絵柄は口を塞がれた古賀氏が、右手に立った男にナイフを持って脅されているというものです。
残念ながら、その「思想性」ではなく、致命的につらまらない。「表現者」の本職なのに素人のクソコラよりレベルが低いのはいかがなものでしょうかね。
もうマッドアマノ氏のかつてのシュールな毒気も、若いのに追い抜かれたってことですかね。※関連記事「クソコラ大特集」http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-7449.html
この人たちの哀しさは、自分たちの致命的ズレ具合に気がついていないことです。いつまでも自分たちは選良で、衆愚たる私たちを使命感を持って善導していると思っています。
田原総一郎さんが、朝日の第三者委員会の時に、「ジャーナリズムの使命」うんたらかんたらとくっちゃべっていましたか、私はバッカじゃないかと思って見ていました。
田原さん、今、この私を含めて多くのネチズンはマスコミに「使命感」など期待してはいないのです。
同じ第三者委員会でどなかたが「朝日でよく角度がついた報道という言葉を聞いた」と述べていましたが、その通りです。
私たちが欲しいのはあなた方の手垢のつかない事実とデータです。「使命感」などという古くさい「角度」は要らないのです。
今回も「角度がついた」マスコミ周辺の人達が、「自粛を強要される空気がコワイ」と泣きごとを言っていますが、世間はもうあなた方のイビツなプリズムを通したご託宣など煩わしいだけだということです。
「悪いのはアベとアベに踊らされて言論自粛をする世間だぁ。ファシズム翼賛の軍靴の音が聞こえるぅ」となっちゃう人は、耳鼻科を検診されることをお勧めします。
香山リカさん、精神分析してやれよ。あ、この人も患者のひとりだったっけ(笑)。
まったく、やれやれ、おいおいの人達です。
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