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2015年2月

土曜雑感 ヤレヤレ、オイオイな人達の泣き言

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ちょっと旧聞になりますが、2月9日に、「政権批判を自粛する空気が社会やマスメディアに広がるのを危惧する」 (←長いなぁ)「表現者」の皆さんの声明が発表されました。
翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明 
http://blogos.com/article/105276/

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吉田照美さんやおしどりマコさんという方々が混ざっているのはご愛嬌と言うべきでしょう。 

照美さんは実にのびのびと毎日ラジオで反アベ、反原発などを叫んでいた記憶がありますが、あれでも自粛していたんですね(笑)。本気出したらもう大変。 

室井佑月さんは、この1000人の中にいるのかな。いないと寂しいなぁ。 

しかしまぁ、宮台真司、坂本龍一、孫崎享、香山リカ、内田樹の各氏のメンツを見ると、いかにもいかにもの方々ばかりです。 

特に古賀茂明さんなんかは、自分の「舌禍」を「時代の雰囲気」にしちゃいたいんでしょうなぁ。

Photo

                  (写真 報ステ1月23日) 

この土曜雑感のコーナーでも取り上げたあの「ISILにも一理ある」発言が、強い批判をあびたので、この元エリート官僚殿はビビったようです。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-78bc.html 

いちおう古賀さんが何を言ったのか再録しておきますか。やっちゃったのは報道ステーションの1月23日のことです。

「イスラム国がやってる事は、もうとんでもない事なんですけれども、言ってる事にはけっこう共鳴する人たちが多いんですね。
で、それは何かと言うと、例えば 第一次世界大戦後に、まぁイギリスとかフランスがですね、「勝手に国境線決めちゃって民族が分断された」とか、あるいは最近であれば アメリカのですね、アフガンとかイラクとかですね、ああいうところの戦争でですね、「アメリカに罪の無い女性や子供を含む民間人が沢山殺されてるぞ」と。で、そういう事に報復するんだと いうような、あの主張っていうのは、これはあの~ 一面では嘘じゃなくて、で、イスラムの中にはそれに共鳴する人がいる」

まぁ、こりゃ誰が見てもダメでしょう。 これで報ステ降ろされたって恨んでいるようです。

しかし、報ステも同じトーンの報道をしていましたから、古賀さんはトカゲのシッポ切りされただけです。恨むなら「翼賛体制」とやらじゃなくて、ご都合主義のテレ朝を恨みなされ。

古賀さんは、I am not Abe」ウンヌンなんて箇所に矮小化して自己弁護していますが、違います。 

古賀さんは、「テロリストにも一理ある。イスラム国の膨張戦争は正しい」と擁護して、一方対ISILと戦っている米国に対しては、「民間人を殺している」というISILのプロパガンダをそのまま述べています。 

このISIL擁護、米国、アベ糾弾としか聞こえない発言を、後藤健二さんたちが拘束されて、日本を恫喝していたまさにその真っ最中にやらかしたのですから、局に批判が殺到してもあたりまえです。 

当時、この人たちは安倍首相の中東歴訪と人道支援が、後藤氏らの殺害を招いたと言っていました。 

013  (この人を見ると、つくづく「無知は力なり」なんて思ってしまいます。アサハカを絵に描いたような人)

頭の中が常にショートしているような室井佑月さんなどは、単刀直入に「アベが殺したんだよぉ」などと言ったようです。 あは、こりゃヒドイ。

室井さんはこう書いています。

「『今、政権批判をするのは、イスラム国を利するだけ』などといって非難されてしまう世の中の雰囲気が出来上がっている。
なぜ、そうなるのか。
きっと、一部の声のでかい人がそういいだして、結果、その声に政府は助けられ、そしてそういう政府の立場を慮(おもんばか)ってマスコミが忖度(そんたく)し、巷に変な空気が出来上がってしまった」(週刊朝日2月20日)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150220-00000009-sasahi-pol

この人達はきっと、安倍首相が東南アジア歴訪に出かけて、その隙を狙ったように中国が大武装漁船団を尖閣に送り込んだとしたら、まったく同じことを言うんだろうな。 

ユヅキさんなら嬉しさを隠しきれない様子で、こう叫ぶでしょう。

「アベさんが、東南アジアなんかに行くから、中国を刺激してこんなことになるんだよぉ。侵略したのはアベなんだよぉ」

古賀さんなら、インテリっぽくこう厳かに言うのかしらね。

「中国が侵犯したことには理由があります。彼らの領有権主張は正しいのです。むしろ日本が中国から奪い取った、というのが正しい歴史的事実です。そしてそんな強盗の日本が、今度はフィリピン、ベトナムに協力するという。これはもう中国からすれば宣戦布告に等しいわけです。安倍首相は直ちに辞任して、政府は中国の沖縄に対する領有権も認めるべきです。私はI am not Abeです」

おー、なんかホントに言いそうだなぁ(棒)。

さて、このような人達が大量発生することを予測して、イスラーム学の専門家である池内恵東大准教授は、この事件が起きた直後の1月20日に、このように述べていました。 

『イスラーム学の風姿花伝』「『イスラム国』の人質殺害予告についてメディアの皆様へ」と題して
http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-258.html

「安倍首相が中東歴訪をして政策変更をしたからテロが行われたのではなく、単に首相が訪問して注目を集めたタイミングを狙って、従来から拘束されていた人質の殺害が予告されたという事実関係を、疎かにして議論してはならない」(同)

池内氏は、中東歴訪計画は既に半年以上前から練られていて、関係各国と調整済みで、今突然に決まったわけではないことを指摘します。 

むしろ、これをいいチャンスとして、既に捕らえていた湯川さんや、新たに捕らえた後藤さんの「使い道」をISILが思いついたのであって、利用したのはISILの側だということです。 

そして、人道的支援は、シリアの300万人と言われる難民支援に対して行なわれたことは中東世界で知られていたことをこう説明しています。

「現在日本が行っており、今回の安倍首相の中東訪問で再確認された経済援助は、従来から行われてきた中東諸国の経済開発、安定化、テロ対策、難民支援への資金供与となんら変わりなく、もちろん集団的・個別的自衛権のいずれとも関係がなく、関係があると受け止められる報道は現地にも国際メディアにもない。今回の安倍首相の中東訪問によって日本側には従来からの対中東政策に変更はないし、変更がなされたとも現地で受け止められていない」(同)

また、中東支援がISILに軍事目的だと誤解された、というのも同じく初歩的間違いです。

ISILはこの日本政府の中東支援が非軍事目的だと知っています。

下の写真は、池内氏がサイトで例示したものですが、ISILは自らの脅迫ビデオの中で挿入していたアラブ世界向けBBCの映像ですが、これにははっきりと「Non-Military Aid」(非軍事用支援)という英訳が彼らの手で付けられていています。

ISILが安倍氏の表明した、中東支援の非軍事的性格を知っていたのは明らかです。

20150203010727ebd(写真 ISILの脅迫ビデオ。アラブ世界向けBBCを引用している。池内氏のサイトから引用)

「重要なのは、「イスラーム国」が意識的に付けた英訳で「Non-Military(非軍事的な)」と明記されていることです。「イスラーム国」が情報収集に使うアラビア語や英語のメディアからの情報を正確に受け止め、安倍首相が発表した支援策が「非軍事的な」ものであることを認識していることが明瞭になっています」(同)http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-270.html

ですからこの古賀氏などのようにISILの掌の上で、自分たちのやりたい安倍政権批判をするのは、政治利用でしかなく、当時懸命に救援に当たっていた日本政府の努力に水を差すことになるのは自明のことでした。

池内氏はこのような危惧を述べています。

「イスラーム国」側の宣伝に無意識に乗り、「安倍政権批判」という政治目的のために、あたかも日本が政策変更を行っているかのように論じ、それが故にテロを誘発したと主張して、結果的にテロを正当化する議論が日本側に出てくるならば、少なくともそれがテロの暴力を政治目的に利用した議論だということは周知されなければならない」(同)

このような専門家の分析を古賀氏は、「報ステ舌禍事件」の数日前に知り得ていたはずです。

報道番組で日本人質事件について発言するなら、池内恵氏の『イスラム国の衝撃』(当時はサイトに連載。現在は新書版)を避けて通るわけにはいかない基礎的文献です。

池内氏のみならず、高橋和夫氏などの中東専門家も揃って同趣旨の発言をしており、これらを踏まえて発言することは、「表現者」として当然のことです。

彼らが池内氏の恐れていたことをそのまま声高に叫ぶので、逆に私のほうが驚いてしまいました。ナメとるのか、こいつらは、と思ったほどです。

しょせん古賀氏は、イスラーム世界や中東情勢には素人ではないですか。結果、この人たちは孤立すべくして孤立しました。

しかし、孤立したら今度は、いきなり被害者になってしまうのがスゴイ。「表現者」なら表現者らしく、言論で論争すればいいのです。

そのために、首相の中東訪問や人道支援が、いかにISILの非道のテロと関連があるのか、米国の対ISIL空爆がどのていどの規模の民間被害を出しているのかなど、彼ら自身が提出した論点をさらに精密、かつ具体的に論じるべきです。

それをしないで、彼らはいきなり場外乱闘を開始します。自らが批判されたのは、世間の「自粛の空気」が悪いというに至っては、もう「表現者」としての自殺的行為です。

「表現者」と自己規定するなら、言論で勝負しなさい。言論から逃げて、集団の力に頼って逆襲しようということ自体が、「表現者」として恥ずかしいことではありませんか。

植村元記者の「名誉毀損」訴訟と同じ絵柄です。

Bsgrp1wwaa7q0i                (香山リカさんと古賀さんのツーショット)

上の写真で、香山氏が手にしているのは、賛同者のマッドアマノ氏のパロディ。絵柄は口を塞がれた古賀氏が、右手に立った男にナイフを持って脅されているというものです。

残念ながら、その「思想性」ではなく、致命的につらまらない。「表現者」の本職なのに素人のクソコラよりレベルが低いのはいかがなものでしょうかね。

もうマッドアマノ氏のかつてのシュールな毒気も、若いのに追い抜かれたってことですかね。※関連記事「クソコラ大特集」http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-7449.html

この人たちの哀しさは、自分たちの致命的ズレ具合に気がついていないことです。いつまでも自分たちは選良で、衆愚たる私たちを使命感を持って善導していると思っています。

田原総一郎さんが、朝日の第三者委員会の時に、「ジャーナリズムの使命」うんたらかんたらとくっちゃべっていましたか、私はバッカじゃないかと思って見ていました。

田原さん、今、この私を含めて多くのネチズンはマスコミに「使命感」など期待してはいないのです。

同じ第三者委員会でどなかたが「朝日でよく角度がついた報道という言葉を聞いた」と述べていましたが、その通りです。

私たちが欲しいのはあなた方の手垢のつかない事実とデータです。「使命感」などという古くさい「角度」は要らないのです。

今回も「角度がついた」マスコミ周辺の人達が、「自粛を強要される空気がコワイ」と泣きごとを言っていますが、世間はもうあなた方のイビツなプリズムを通したご託宣など煩わしいだけだということです。

「悪いのはアベとアベに踊らされて言論自粛をする世間だぁ。ファシズム翼賛の軍靴の音が聞こえるぅ」となっちゃう人は、耳鼻科を検診されることをお勧めします。

香山リカさん、精神分析してやれよ。あ、この人も患者のひとりだったっけ(笑)。

まったく、やれやれ、おいおいの人達です。

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ケーススタディ 南シナ海・スカボロー礁強奪紛争

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今回の与那国の住民投票事件で改めて、中国の膨張政策の手法を考えてしまいました。

そのもっとも参考となるのは、南シナ海への中国の進出の方法です。ここには他の大国がけっしてやらない、いかにも共産中国らしい人民戦争的スタイルがみられます。

まず、多数の軍艦で攻めて来るのではなく、国籍を隠した一般人の姿で侵入するのです。

天下の常任理事国が他国領に攻め入るときに、一般人を装うというのですからなかなか出来ることではありません。

もし、本気で自国領だと思っていたら堂々と来るでしょうに、分かりやすい国。(苦笑)

ケーススタディとして、つい一昨年起きたフィリピンのスカボロー礁事件がありますので見てみましょう。

8a3adc8d (図 赤い点線か中国が主張する領有権。なんだ南シナ海、西シナ海の全部じゃないか。図々しい)

スカボロー礁はルソン島の西側約200キロの海域にあるにかかわらず、一方的に約900キロ離れた中国が実効支配してしまった島です。

上図の中国本土から伸びる赤い点線が、中国が管轄権を主張する海域で、青い点線は「海洋法に関する国際連合条約」(UNCLOS)によって定められた国際的に承認された排他的経済水域(EEZ)のラインです。

グレイの点が中国が主張する赤線の領海内に多数ありますが、これがdisputed Island、つまり係争中の島です。

この赤線を中国は「九段線」と呼び、周辺国は「中国の赤い舌」と呼びます。

まるで中国海軍の巨大基地がある海南島からベロ~と意地汚く伸びる「赤い舌」のように見えるからで、今や南・西シナ海を全域を舐め取ろうとしています。

この「赤い舌」が東シナ海に伸びると、わが国領土の尖閣諸島に突き当たり、中国は是が非でもここを取ってまうことを熱望しているというわけです。

また、このスカボロー礁近辺には、日本のシーレーンが通っています。

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もし、ここに中国海軍が基地を設置した場合、常にわが国は生命線を中国のコントロール下に置かれることになります。

すべて紛争当事国の一方は中国。方や相手国はベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシアなどこの海域に領海を持つすべての国です。

その上に、東シナ海にまで目を移せば、日本、韓国とも紛争を起こしていますから、中国は、自分以外の全ての周辺国と海洋紛争を起こしていることになりますから、これもなかなか出来ることではありません(またまた苦笑)。

さて、ひと目でスカボロー礁は、青線内のフィリピンのEEZ内にあることがわかるでしょう。

このEEZは多国間で重複していてかまわないのですが、その重なる海域での開発やましてや軍事施設建設などは御法度です。

08e8ed75s(写真 岩礁の上でブイブイ気勢を上げる中国兵。よほど悪いことをした奴らなんたろうと、深く同情。中国政府の笑えるプロパガンダ写真より。下の写真の2番目です)

中国は2008年に既にスカボロー礁海域に出没し、軍事的触手を伸ばそうとしていました。

マヌエル M ロペス駐日フィリピン大使はインタビューでこう語っています。

スカボロー礁はフィリピンの主島ルソンから230キロだが、中国本土からは874キロの海上にある。中国は領有権を主張し、7月末時点でまだ、周辺海域に軍事的圧力をかけている。
 「われわれは、この問題について(海洋に関する国際紛争を解決する)国際海洋裁判所に判断を仰ぐべきだと考えています。フィリピンも中国も国連加盟国であり、国連海洋法条約の批准国だからです」
 だが、中国が拒否しているため、現在のところ法的解決の見込みはない。さらに中国は最近、同海域に「海南省三沙市」設立を一方的に宣言した。
(産経新聞2012年8月2日)

通常の国際海洋条約締結国間の領有紛争においては、国際海洋裁判所に提訴し、その判決を仰ぐのが常識です。

もちろん中国は、おとなしく国際司法機関への提訴のテーブルにつくようなタマではありませんでした。

2013年4月、まず中国はこの海域に偽装漁船を大量に「出漁」させて、偽装漁船を保護する名目で海監、漁政などの公船を多数出動させました。

そして、弱体のフィリピン海軍をこの海域から排除し、「漁船」が運び込んだ大量のセメントでと鉄でたちまち中国海軍の監視所を作って兵員を置き、実効支配してしまったのです。

この事件が起きた時、驚くべきことにはオバマ-習の米中首脳会談が開かれていました。

米中首脳会談の真っ最中にこのような動きが平然と行われていたという事実です。

米国はフィリピンと相互防衛条約を結んでいる同盟国です。ロペス大使は憤りを隠そうともしません。

「そもそも、基地の存在より、1951年に締結されたUS-フィリピン相互防衛条約が重要です。わが国に攻撃が加えられたら、米国は排除しなければならない義務があります。そして、南シナ海は太平洋地域の一部としてこの条約に含まれています」
(同)

この度のオバマ・アジア歴訪で、フィリピンで改めて相互防衛条約を確認したのは、このフィリピンの怒りをオバマも無視するわけにはいかなかったからです。

このことは、オバマからフィリピンと同じ「約束」をしてもらった私たち日本も、心したほうがよいでしょう。

現在スカボーロー礁は下の写真のように、軍事施設を建設中だとレコード・チャイナ(2013年6月9日)は伝えています。

B623f943f344eaa06e2d5496f9c6073f        (写真 基地化が進むスカボロー礁。上と較べると多少住みやすくなったようだ。)

漁船の侵攻から、兵隊の駐屯、基地設営、航空基地・海軍基地に至るプロセスは以下です。

T02200231_0800083912671875064写真 梅雨のタケノコのように伸びる中国基地の様子。スカボロー礁以外にも多数このようなものを建設中です。これを見て、まだ中国は「平和的発展をしている」などという人の顔がみたいもんです)

ころでこのような漁船に乗った漁民を装う非正規侵入の場合、わが国は軍事対応することが不可能で、海保が対応するうちに尖閣には五星紅旗が翻ることになります。

なぜ自衛隊が出動できないのかといえば、今までの自民党政府の「外部からの武力攻撃」の定義があるからです。

自衛権発動の要件は、国連憲章第51条の「武力攻撃」の概念に依っています。

自衛隊法の武力攻撃と間接侵略
外部からの武力攻撃というのは、(略)他国のわが国に対する計画的、組織的な武力による攻撃をいうものであります。
昭和36年4月21日 衆議院内閣委員会 加藤防衛庁官房長答弁

この答弁をそのまま遵守すると、尖閣諸島への侵攻者が軍服をつけず、軍旗、徽章をつけていない「国籍不明」グループであった場合、「計画的、組織的な武力攻撃」とみなされません。

「外部からの攻撃」と見なされなかった場合は警察(海保)案件となって、自衛隊は出動できず、米軍に至っておやです。

ただし非武力攻撃に対しては、自衛力の行使を認めていますので、この時の政治判断によるのかもしれません。(欄外参照)

このような「武力攻撃」には自衛隊に厳しい制約がかかる反面、「非武力攻撃」では動けるという奇妙なねじれが、わが国法制度にはあるようです。

中国がこの隙間を「国籍不明武装グループ」という形で狙わないという保証はありません。

というか、このような非正規戦争(ゲリラ戦)がいまだに大好きなのが、中国という国のお国柄なのですから困ったものです。

またこの尖閣が他の先島諸島のように住民が居住していれば問題はないのですが、中国に対する外交的配慮のために、住民はおろか灯台や標識ひとつ建設するのを禁止しているために、領有権主張が弱いという難点もあります。

ですから、いったん中国に実効支配されてしまった場合、わが国領土と主張する根拠が消滅してしまったと解釈される可能性があります。

もちろん、そのようなことを日本政府は断じて認めないでしょうが、米国議会がそう判断する材料にはなります。

なにせ米国は、尖閣の領有権を日本にあると認定していないのですから。

実はこの領土中立表明は米国外交の原則なのです。

スカボロー礁もフィリピン側から見れば背信行為ですが、米国は領土紛争に中立的な立場をとることが原則です。

だから尖閣のみならず、竹島についても中立的姿勢を保っています。

ですから、いちおう議会が尖閣を国防権限法に記載したことは、例外的だということを私たちは知っておいたほうがよいでしょう。

しかし、米国に期待できるのはそこまでです。

米国は今のままだと、なんども繰り返し私は書いていますが、「絶海の岩礁防衛に米国の若者の命を使うわけにはいかない」という判断をしてしまうかもしれません。

一方中国の目論見は明白です。

ヴァンダービルト大学・日米研究協力センター所長・ジェームス・E・アワーはこう述べています。(2012年12月)

東シナ海の場合でも、中国の意図は、尖閣諸島に対する日本の主権を否定し、1971年の自らの領有権主張をあたかも古代の中国法で位置づけられているかのごとく提示し、米国が中日「二国間」の問題に「干渉」する筋合いではないと言い、そのうえで、南西諸島地域でほとんど防衛能力のない日本に対し、必要とあらば軍事的にも領有権主張を押し通すことではないのか。

いずれにせよ、米国の意図がどうであれ、このようなグレーゾーンの事態に対してわが国の新たな法的規定が必要です。

ここにおけるグレーゾーン事態とは、概念規定をしておけば以下になります。

①領土や主権、海洋における経済権益等をめぐり、純然たる平時でも有事でもない事態
②警察や海上保安庁の能力を超えているが、武力侵攻でもない事態
③具体的には、中国の公的機関なり武装集団が離島に上陸する、もしくは同国の海軍が領海内に大挙して侵入してくるような事態

この海保が手に負えなくなった事態が起きた場合、継ぎ目なく(シームレス)で自衛隊へと任務が移行することが望ましいわけですが、これは同時に日中全面戦争の危険を帯びる判断となります。 

これは決して望ましい状況ではありません。いかにして起さないか、起きてしまった場合いかに早期に終結させて局地紛争で終わらせるかという「終わり方」も念頭において考えていかねばなりません。

一方、「平和を祈れば平和が来る」「平和運動をしていれば平和になる」「米軍基地がなくなれば平和になる」などといった観念的平和主義は、無力であるばかりか、有害ですらあります。

なせなら、今、直面している中国の海洋膨張政策に対しての批判が完全に欠落していているからで、それに対抗する日米の防衛ばかりを標的としているからです。

これではまるで、中国の利益代表のようだと言われても致し方ないでしょう。

逆に、空母を作れ、日本も負けずに軍拡をしろという勇ましいばかりの軍事オプションだけでは、今日見てきたような事態が起きた場合、いかなる収束をするのかに回答が出ません。

今回、与那国住民投票事件でわかったような、アワー教授も指摘する南西諸島地域の軍事的真空状態は非常に問題ですが、それを充足させるだけではだめなのです。

もっとリアルに、もっとアジア全域の視線で考えていく必要があります。

 

                    ~~~~~~~~~

※「武力1攻撃に対する政府見解
1998年第43回国会衆議院日米安全保障条約特別委員会 における新ガイドライン策定をめぐる国会審議の中で、橋本龍太郎首相(当時)が「国連憲章第51条は武力攻撃以外の侵害に対して自衛権の行使を排除すると いう趣旨であるとは解しておりません」と答弁した。

同じく高村正彦外相(当時)も「政府は従来より、国連憲章第51条は、自衛権の発動が認められる のは武力攻撃が発生した場合である旨、規定しているが、武力攻撃に至らない武力の行使に対し、自衛権の行使として必要最小限の範囲内で武力を行使すること は認められており、このことを国連憲章が排除しているものではない」と答弁している。

フィリピン、中国と領有権争うスカボロー礁を「西部軍区」管轄下に=中国に軍事的警告―中国メディア
Record China 2月27日2014年

2月25日(現地時間)、フィリピン軍報道官は、中国と領有権を争う南シナ海のスカボロー礁(中国名:黄岩島)を、フィリピン軍西部軍区の管轄下に組み入れたとする声明を発表した。環球時報が27日付で伝えた。
フィリピンメディアによると、軍報道官は今回の措置について、「統一の指揮・行動を取りやすくし、対外的な防御能力を高めることが狙いだ」と説明した。

今年1月、中国の海洋監視船がフィリピン漁船に放水して海域から追い出す事件が起きた際、軍は事態に対応する権限を付与されていなかった。

軍報道官は、「今後同様の事態が発生すれば、軍の武装部隊は漁民保護のための行動をためらわずに行うだろう」と警告した。

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植村氏の言論封じのためのスラップ訴訟とは

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植村氏の暴走が止まりません。 

榊原弁護士は、提訴時にこう述べています。 

「その他の被告となりえる人々についても、弁護団の弁護士か力を尽くして、順次訴えていく(略)ネット上の脅迫的書き込みをした人たちを探し出してひとり残らず提訴していく」 

なんともスゴイですな。大手媒体に限定せずに、ネットまで対象を拡げて、草の根をかき分けてでも、植村氏に楯突いた奴を訴えてやるぞ、ということのようです。

私も首洗って待ってます。 早く来ないか、内容証明書つき郵便♪

さて、植村氏のかんじんの訴因はなんでしょうか。 

主任弁護士の西山武敏弁護士はこの訴因について、「原告とその家族に対するいわれのない人権侵害」とし、あるいは「『捏造記者』というレッテルを司法手続きを通して取り除いていく」としています。 

前者ならば、勤務している大学へ脅迫をした人物は既に警察によって特定されていますから、その者を民事訴訟するのは簡単ですし、理にかなっています。 

しかし、植村氏が現実に訴訟を起こしている対象は、西岡力氏、文藝春秋社、そして新たに、2月10日時点にはもうひとり加わって櫻井よし子氏です。

この三者とも植村氏の20年来の論敵ではあっても、脅迫者ではありません。このふたつはまったく別次元のことです。

また植村氏得意の、「混同」をやらかしてしまったのでしょうか(笑)。

あるいは意図的「混同」が、かつての植村記事がそうであったように、なにか別の政治的目的でもあるのでしょうか。

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(写真 外国特派員協会において自分の書いた記事を手にする植村氏。今まで22年間沈黙してきても自己弁護だけは得意)

そもそもこの問題は、1991年8月11日朝日に掲載された植村記事から始まります。

問題はこの2点です。
①慰安婦を勤労挺身隊と混同した。
②金学順さんがキーセン(公娼)学校に親に売られたことを書かなかった。

つまり、植村記事は「勤労挺身隊という名目で慰安婦に連行した」という史実をねじ曲げた報道をしてしまったわけです。

知らなくて取材不足なら三流記者、知っていて意図的にねじ曲げたなら捏造記者です。

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(右から1991年8月植村記事、1992年1月吉見関与資料発見記事、2014年8月検証記事)

そして以後実に22年間に渡って、植村氏は逃げるようにして築地の社屋に潜み、コトリとも音沙汰を見せませんでした。おそらくは、朝日が「匿った」のでしょう。

しかし、朝日は誤報を認める4か月前になった14年4月に、突如彼を早期退社とします。

理由は明らかにされていませんが、もはや現役記者という肩書で、植村氏を社内に置いておくことが不都合と考えたのでしょうね。実にセコい。

そして以後1年間、植村氏は、なんどとなく日本のメディアや、被告とされた西岡、桜井両氏のインタビュー要請にも答えずに沈黙を続けたのでした。

だから、三流記者、捏造記者、おまけに逃亡記者の三拍子ですね。

その一方、植村氏を言論界のヒーローとする海外メディアにはひんぱんに登場し、この訴訟会見も外国特派員協会で行なわれたものです。植村氏のスタンスがよく分かりますね。

もうひとつおまけしちゃおう。拝外記者。

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写真 NYタイムス14年12月2日。見出しには、「日本の右翼勢力新聞を攻撃して戦争責任を書き換えさせている」とあります。ものすごいバイアス記事です。しかしさすが、うまい写真だ。目線が決め手だね

また今回の植村訴訟の特徴は、たったひとりの原告、ついた弁護士が、つきもついたり、なんと170人!

西岡氏を訴えた時には17、8人でしたから、今やその10倍に膨張しています。

過去の公害訴訟などでもだいたい数十人ですから、今回、日弁連が、いかに天下分け目の大いくさと認識しているかわかるというものです。 

日弁連は、この慰安婦問題では部外者ではありません。国連人権委に戸塚悦朗弁護士を派遣してロビー活動させ、「性奴隷」という表現を国連用語に書き込ませるなど、国際世論形成の立役者のひとりでした。 

言い換えれば、これは日弁連が植村氏という原告を得て行なった、日弁連自らのための訴訟でもある、と言っていいでしょう。 植村氏と日弁連の共闘ですな。

このような自分や家族に対しての人権侵害をタテマエにして、実は別の政治的意図をもってなされる訴訟を、秦郁彦氏は「スラップ訴訟」(※)ではないかと見ています。 
※(SLAPP Strategic Lawsuit Aainst Public Participation 直訳すれば「市民参加に対する戦略的訴訟

スラップ訴訟は、このようなことを指します。 

①社会的な優越者が、権力を持たない弱者を、公の場での発言や社会的行動に対して恫喝目的で起こす訴訟のこと。
②米国においては、企業や行政などによる被害に対して抗議行動を起こした市民らに対して、あらかじめ訴訟をすることで言論を封じ込めるために起こされる威圧的訴訟のこと。
③報復を目的とする訴訟のこと。
④判決にかかわりなく、訴訟そのものが目的化している。
スラップ - Wikipediaより要約

このスラップ訴訟が大企業などが乱訴することによって、原告側は圧倒的な弁護士をつけることが出来るのに対して、訴えられた側は非力な個人の立場で、それを受けねばならないことになります。 

そのために、一般人が長期の裁判による時間的制約や、裁判費用、仕事の損害が発生するために泣き寝入りする場合も出ました。 

そりゃそうです。弁護士は金もらっての仕事ですから、いくらでも時間を引き延ばせます。被告は本業じゃありません。

しかも、弁護士は法廷戦術は得意中の得意。しょせん素人にすぎない一般市民を猫がネズミをいたぶるように反証したり、侮辱したりすることはお手の物です。

結果、疲労困憊して抗議行動を止めたり、批判を自粛するようになれば、告訴側は判決のいかんを問わず目的を達成したわけで、「勝利」したことと同じ効果を持ちます。 

つまりは、言論封じのためのいやがらせの目的は、立派に達成されたわけです。

米国(カリフォルニア州)では大企業のスラップ訴訟が相次いだために「反スラップ法」が出来て、被告側が提訴をスラップであると認められれば、公訴は棄却されて、訴訟費用の負担義務は原告側に課されるそうです。

日本ではこの反スラップ訴訟の判例は10件に満ちませんが、代表的な例として1997年の「幸福の科学事件」があります。

これは、この宗教団体から多額の献金を要求されたとして訴えた元信者に対して、団体側が8億円の反訴をおこなったケースです。

これに対して東京地裁・土屋文昭裁判長(東京地裁)は、このような判決を言い渡し宗教団体側に100万円の損害賠償を命じています。

「批判的言論を威嚇する目的をもって(略)請求額が到底認容されないことを認識した上で、あえて本訴を提起したものであって、このような訴え提起の目的及び態様は(略)著しく相当性を欠き、違法」

なお,この東京地裁判決は高裁でも支持され、2002年には最高裁で確定しています。

つまり「批判言論を威嚇する目的の訴訟は相当性を欠き違法」という判決が最高裁判例で出ているのです。

おそらく告訴された三者が法廷でこの最高裁判例を援用すれば、認められる可能性が高いと思われます。

今回、このような植村氏の訴訟は、まさに威圧、恫喝を意図した卑劣極まるスラップ訴訟そのものと言っていいでしょう。

え~い、もうひとつ追加だ。スラップ記者。おお、五冠王だぞ。

そういえば、ネット界でも、このところ心なしか、植村氏を扱う記事が減ってきています。もうすでにスラップ効果は出始めたようです。

もし、訴えられたら、外国特派員協会で、植村氏記事が出た91年8月11日の紙面を握りしめて、泣きながら記者会見するんだぁ(笑)。 

■参考資料スラップ - Wikipedia

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与那国住民投票条例を考える

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西川農水大臣が辞職しました。当然でしょうね。賄賂性が疑われるだけに、そもそも西川氏を任命するべきではありませんでした。 

西川氏が任命されたのは、TPP交渉において農業界の利益代表でありながら、まとめようとした点を買われたのでしょう。安倍さんは「族を以て、族を制す」が、お得意ですから。 

まぁ私としては、JA改革もTPPにも懐疑的ですので、西川氏みたいな泥臭いキャラにうまくまとめられるよりも、まともな議論が可能な分、林氏のほうがありがたいですがね。 

さて、しょせんといっては語弊がありますが、このような国内の業界団体や、あるいは小渕氏のように地元支持者が背景にある「政治とカネ」のケースはある意味、単純です。

金をもらうのも、渡すのも共に日本国民だからです。

むしろ、おとといから見てきたような「第2次日韓密約事件」のように有力政治家が「外国の代理人」となってしまったり、民主党か進めていた外国人地方参政権付与などのように「民意」に外国人を介入させることのほうが、はるかに危険です。 

それは主権の間接的侵害行為を許すことだからです。これを放置すると、気がついてみれば、いつの間にか国会や政府、あるいは地方自治体が外国政府の強い影響下に置かれてしまうことになります。

外国人の「民意」は、日本国の主権者の「民意」にはなり得ません。憲法が定める国民主権原則に抵触してしまうからです。

まず、外国人はわが国と違って、自らが属する国家に忠誠義務を持っています。むしろこれが世界の常識で、特にそれを問わない日本のほうが世界では極少派です。

たとえば韓国憲法には、国防が国民に義務づけられていて、徴兵制度が敷かれていますし、中国憲法にも似た有事における国民の忠誠義務があります。

したがって、日本と韓国の国益が対立する場合、日本に在留する韓国人や中国人はこの忠誠義務に従って行動することが義務づけられているわけです。

日本と韓国、あるいは中国の国益が対立する事態の場合、もし参政権やそれに類する住民投票権を与えた場合、彼らに踏み絵を踏ませることになります。

つまり、「諸君らは住んでいる日本を選ぶのか。あるいは、祖国に従うのか」という難問をつきつけることになります。

これがいかに危険な問いであるかを考えさせられることが、つい先だって与那国島でありました。

与那国において、陸自の監視部隊配備についての住民投票がありました。結果は、ご承知のように過半数が賛成で、良識が示されたというべきですが、問題が山積した事件でした。 

まずは与那国島の場所を確認してください。中国の侵犯行為が盛んな尖閣諸島にも近く、しかも中国が奪還を明言している台湾とはまさに目と鼻の先です。 

条件が揃えば、台湾が見えることもあります。 

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おそらく、台湾有事には、台湾東側を制するために中国軍が軍事的に侵攻してくるだろうと専門家に指摘されている地域です。 

南シナ海などでとった中国の手法は、漁民を偽った軍人が乗る漁船が島を襲うケースでした。 

おそらく、かつての北朝鮮と見られる不審船のように、ロケット弾や自動小銃はもとより、対空ミサイルまで装備していると考えたほうがいいでしょう。 

ところが島には、駐在の警官が2名いるだけですから丸腰同然。住民を守る術すらありません。ピストル2丁で、ミサイルと自動小銃をもった「海賊」と戦えというのが酷です。 

島は港と船を押えてしまえば、島全体が逃げられない牢獄と化しますから、島民達はあっけなく人質に取られてしまうことになります。 

侵攻した偽装漁船の「海賊」たちは、正規軍と名乗らずに正体を隠したまま政府と交渉するでしょう。

たとえば、尖閣諸島を含む宮古・八重山諸島に自衛隊を出動させるな。させれば、ひとりひとり殺して行く、などという脅迫も可能な状況となります。 

ちなみに、マスコミが、今回島の反対派活動家に「中国が攻めて来たらどうするか」と尋ねたところ、「白旗」を上げる」と答えたそうです。はいはい。

沖縄官公労の皆さんは、中国軍が侵攻したら右手に白旗、左手に五星紅旗を手にしてお出迎えするのでしょうか(苦笑)。

私は特に驚きはしませんてした。沖縄で反基地運動をしている人たち固有の、「慕華思想」だからです。

彼らは、米軍と日本政府こそが唯一無二の憎悪の対象で、中国に対してはむしろ早く侵攻してくれて支配してほしいとすら思っている者が少なくないからです。

最近も、いつもの大暴れをやって、興奮した余り米軍基地に入ってしまい、警察に突き出されました。

捕まったのは沖縄平和運動センターの山城博治議長です。ちっとも平和的ではなく、毎日こんなことをしています。

Blwznzucaasjbl(写真 辺野古ケート前で米兵相手にいつものお祭りをしている反対派。Yナンバーは米兵・軍属のナンバーです)

沖縄県警も苦慮しているようですが、揉め事を恐れて、規制しようとしません。器物破損・暴行罪で現行犯逮捕されないのがかえって不思議なくらいで 、エスカレートする一方です。

「叩き殺せ」と蛮声を張り上げて、大音量のトラメガでガナりまくり、ゴミを投げてやりたい放題です。

彼らのヘイトスピーチとヘイトアクションの狂態は、こちらに動画があります。ゾンビーみたいでこわいぞ。https://www.youtube.com/watch?v=GxfnLSEvzlg&feature=youtu.be

なお動画で自家用車の窓にトラメガをつっこもうとしているクバ傘をかぶった怪しげな人物が、今回捕まった山城議長です。

ちなみに,彼らの主力は、退職した教師か公務員たちだそうです。何を教えていたのやら。

私は「平和運動」自体は否定も肯定もしません。そのような運動が必要な時もあるからです。

しかし、今の沖縄のそれは、「平和」とさえ唱えていれば、あるいは、米軍相手なら何をしても許されると思う運動的頽廃があって、とうてい国民に広く支持されるものであるとは思えません。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-ce70.html

さて、この与那国住民投票においても、いつもの沖縄の定番的構図が再現されました。

Img14633_15022202tvsuuji                           (写真 NHKニュースより)

町長が補助金目当てで自衛隊を誘致し、法外な金を吹っ掛け、それに島の官公労が例によって反対、という図式です。

ほとんど漫才の掛け合いで、誘致側は本土政府に「反対派をなだめるためにも気前よくカネ出せ」と言い、「基地はいらない」と叫んでいる反対派は、税金で島一番の高給をもらっている役人労組の皆様方ときています。

地元紙は、「アベ政権の強硬策か招いた島の分断」としたり顔で評論しますが、なんのことはない、沖縄各地にころがっている「地域資産としての基地が必要派」と「反基地は資産派」との間の、いつもの馴れ合いバトルにすぎません。

というわけで外間町長は、借地代 として10億円(!)を要求しましたが、国が提示した額は1億5000 万円だったそうです。この欲深親父め(笑)。

自衛隊駐屯地を「迷惑施設」呼ばわりしたのだから、あきれてものが言えません。

と、ここまではいつもの基地をめぐる馬鹿騒ぎなのですが、今回大きく今までと異なったのは、法的根拠のない「住民投票」にかけて「民意」を問うという手法と、この投票資格に子どもと外国人を入れたことです。

そもそも、外間町長も認めるように、安全保障は国の専管事項ですから、地方自治体が「住民投票」すること自体がナンセンスです。

どのように投票結果がでようと、国としてはスガさんがいつもの冷淡な顔で言うように「粛々と配備を進める」しかありません。

次に、与那国島「投票資格者」の要領に、以下の一項があることです。 

「第6条 4 本町に住所を有する中学生以上の日本国民で、その者が係る本町の住民票が作成された日(略)から引き続き3月以上本町の住民基本台帳に記録されている者」
「第6条 5 中学生以上の永住外国人で引き続き3月以上本町に住所を有する者
 

おいおいです。永住外国人に投票権を与えて、自衛隊の配備にイエスノーを決めさすのか、ということです。 

Img14636_15022205tvgaikoujin                        (写真同上)

もしこのように「外国人が投票権を持つ住民投票条例」が、全国各地で可決された場合、事実上の外国人参政権付与と同じか、あるいは焦眉の課題が選ばれるだけに、むしろこちらの住民投票条例のほうがより危険ですらあります。

とりあえず今回は、島の良識というより常識が勝った形ですが、今後このような地方自治体の住民投票条例をまねないことを望みます。

それは行き過ぎた民主主義で、憲法違反ですから。 

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「日韓第2次慰安婦謝罪密約」がなされた場合のシナリオ

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もし、この「日韓第2次慰安婦謝罪密約」が、野田首相の奮闘努力のかいあって、政権瓦解の前にタッチダウンしたとした場合のシナリオを考えてみましょう。 

さほどの想像力は要しません。これを以て、慰安婦問題における日本のギルティ(有罪)が最終的に確定します。 

以後、いかなる弁解も許されなくなります。そりゃそうでしょう。一国が2度に渡って公式に謝罪して補償をしようという重みは、もはや修正が効きません。

河野・村山談話と同じようなレベルを踏襲しては、韓国が納まらなかったでしょうから、おそらく今回は首相名での謝罪の明示を迫られたはずです。

しかも斉藤副官房長官によれば挺対協も「一定の評価」をしたほど突っ込んだ謝罪の文言になったはずです。

ですから、官房長官談話にすぎない河野談話などとは、重みがまったく違うものが出来上がりかかっていたと見るべきでしょう。 

何一つ証拠があろうとなかろうと、証人と称した吉田清治の証言が嘘八百だとわかったとしても、そんなことはなんの意味もなくなります。

多くの現代史家の20数年に渡る研究も、ごみ箱行きです。 

ひるがえって、今、私たちが吉田証言がデタラメだと言い切れるのは、なぜでしょうか?

それは朝日が14年8月に誤報だと認めたからにほかなりません。ここが決定的です。

しかしこの「密約」があったとされる2012年秋の時点では、朝日新聞は吉田証言が全面的に正しいという立場をいささかも譲っていませんでした。 

実は、朝日が謝罪しようと考えたことは、今までもう一回あったと伝えられています。 

朝日はOBたちの証言によれば、おそらく95年頃には秦郁彦氏の現地調査を受けて、吉田証言のデタラメだということを内部的には認めていたようです。 

しかし、「まだ発掘されていない証拠が残っているかもしれない」という自分に対する言い訳をして、この絶好の機会をスルーしてしまっています。 

この少し前の92年には、国連人権委に持ち出そうとする日弁連・戸塚悦朗夫氏の活動が成功して、「性奴隷」という批判が高まっていました。 

ちなみに「性奴隷」(Sex Slaves またはSexual Slavery)」 という用語は、戸塚氏の独創的創作になるもので、今や国連用語として採用されています。 

そしてこれが国連人権会議における日本政府批判につながり、93年にはクマラスワミ女史か特別報告官に任ぜられ、96年に有名なクマラスワミ報告を公表し、これで「慰安婦」=「性奴隷」が世界の「定説」にまでなっています。

実は、この調査過程でクマラスワミ女史は、日本での現地調査をしていますが、その内容は非常に偏っていました。 

たとえば既に92年3月の時点で、吉田証言の要となる「済州島人狩り事件」の偽証を暴いた秦氏も意見を聞かれていますが、報告書にはまったく反映されていません。 

それどころか、吉田証言とそれをネタ本にしたオーストラリア人ヒックスの本が、重要な証拠として採用されています。 

朝日が95年に吉田証言を誤報として謝罪した場合、当然のこととして、91年8月の慰安婦と挺身隊を意図的に取り違えた植村報道もまた、誤報として撤回せざるをえなくなります。 

したがって、この時点では調査過程にあったクマラスワミ報告にも、強い影響を与えるたことは充分ありえたことであって、この時点で慰安婦問題は一定の終息に向った可能性すらあります。 

しかし「性奴隷」が国際的「定説」となるや、いったん誤報を認めかかった朝日は、一転しては22年間に渡る頬被りに入ります。

それも、穴を掘って隠れていたのではなく、慰安婦問題をことあるごとに持ち出してはしたり顔して糾弾し続けたことは、ご承知の通です。 

話を戻します。仮に12年秋に野田-イ密約が成就して、第2次慰安婦謝罪と補償が行なわれた場合、朝日は「墓の中まで真実を持っていく」覚悟を決めたでしょう。 

この慰安婦問題の発掘者であり、埋もれかかっていた吉田清治の育ての親であり、吉田の保証人であった朝日が、誤報を認めたことによって、慰安婦問題の真実を日本国民は知り得たわけです。 

そしてもうひとつの嘘。いや捏造は、植村隆記者が、慰安婦と勤労挺身隊を混同させることにより、韓国内に20万人もの女性を慰安婦として拉致したという捏造をバラ撒いてしまったことです。

おーい、植村さん。今、私は植村さんを「捏造記者」とはっきり呼びましたよ。

170人の植村大弁護団は、毎日ネットを検索しては「植村」「捏造」と書いた者の狩りだしに熱中していると聞きますから、どうぞ私を訴えて下さい。

早く内容証明つき郵便来ないかな♩

それはさておき、もちろんこの20万人というのは、当時の勤労挺身隊の最大動員時の数字であって、慰安婦とはなんの関係もありません。 

嘘はやがてバレるものです。しかし、その嘘を一国が相手の言い分のままに認めて、謝罪をしたり補償したりすれば、嘘はたちまち錬金術のように「事実」へと変質していきます。

謝罪するということは、とりもなおさず、それが事実であると被告人が認めてしまうことだからです。 

河野談話がもたらした禍はまさにそれでした。あの河野氏の良心めかした謝罪によって、日本がどれほど長い間、苦しめられてきたか。 

これを二度塗りして固定化する馬鹿が、日本国首相という肩書を持つ野田佳彦氏だったのは、わが国にとって悲劇以外何者でもありません。 

野田氏は自らのブログ(「かわら版」14年8月18日)で、2011年12月、日韓首脳会議においてイ・ミョンバク大統領から執拗に慰安婦問題の「解決」を迫られたとして、こう書いています。

「両国関係の悪化は残念ながら既に野田政権の時から始まっていました。その時、日本は右傾化していたのでしょうか。むしろ、ナショナリズムとポピュリズム(大衆迎合主義)を連動させる動きが韓国側から始まったと見るべきでしょう」

野田さん、何を言ってんだか。

野田氏はこう書きながら、実は翌12年の秋には斉藤官房副長官を「密使」にして、彼に外務次官まで随行させて、「第2次慰安婦謝罪」の事務的詰めまでしていたじゃないですか。

その証拠に、11年9月の野田内閣発足と同時に、バリバリの韓国ロビイストの斉藤勁氏を官房副長官に抜擢して、官邸に迎い入れているではないですか。

なんの政治的実績もない当選1回の衆院新人議員の斉藤氏を、官房副長官にする理由はひとつしかないはずです。

一見、「自分は任期後半に反日カードを使わない」と公言していたイ大統領を組み易しと見誤って、自分の任期の間に慰安婦問題でなんらかの落としどころを探るつもりだったのでしょう。

いわゆる政治家の手柄にしたかったわけですよ。

しかし、手駒がどうしようもない力量不足だったのですね。外交交渉などかじったこともない、公務員労組出身の社会党。

おまけに民団にすがって比例で風当選したような斉藤氏に、そんな難しい交渉ができるはずもなく、たちまち韓国ペースに巻き込まれてこのザマです。

というか、斉藤氏には初めから、日本側に有利に交渉を運ぶ能力も気概すらもなかったというのが真実といった所なのではありませんか。

斉藤氏は初めから韓国側言い分を絶対真理だと信じきっている御仁ですから。

かくて、野田首相はもっともやってはならない「謝罪の上塗り」という愚行をするはめになります。

野田さん、よかったですね。もう少し政権を維持していたら、あなたは大変なことをしでかしていたんですよ。

まず、12年冬には日韓第2次謝罪をして社会を凍りつかせ、ついでデフレ対策を打たぬまま、13年春には消費増税を決行していたはずですから。

そして安倍さんにコテンパンに負けたおかげで、(野田さん好みの表現で言えばアルゼンチン・バックブリーカー・ドロップを決められたおかげで)、わが国もこれ以上傷つかすに済んだし、あなたも「民主3代でいちばんマトモ」という評価でのほほんとしていられるというわけです。

めでたし、めでたし。(←違うだろ)

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野田元首相の危ない企み

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相手が怒っていれば、とりあえず人間関係を損なわないように頭を下げて緊張した場を和ませてから話合いに入る、これが日本人のほとんど本能的とも言える習慣です。

「イヤー、申し訳ありませんでした。さて、その件に関しましてはですね・・・」という奴です。

「申し訳ない」、直訳すれば「弁解の余地がない」と言っておきながら、そこから話が始まるのですから、まったくわれらが民族ときたら・・・(苦笑)。

この作法は日本人同士ならまったく問題ないのですが、異民族、ことに夫婦喧嘩は家から飛び出して道路で、「アンタが悪い。ご通行中の皆さん、コレコレで亭主が悪い!」という風習を持つ中韓には通用しません。

日本がそうであるように、韓国人もまた、民族的習俗の虜なのです。 

バククネ大統領は、この「家から飛び出して、路上で自分が正しいと叫ぶ」という朝鮮風作法を、まさにワールドワイドに展開してくれました。

2013年5月に就任後初めて訪米すると、初対面のオバマ大統領に対していきなりかましたのが、「日本は正しい歴史認識を持つべきてある」です。

おいおい、いきなりかい、と日本人はたまげました。

しかしこれはほんのオードブルで、その後の、米議会で演説でも延々と北東アジア地域の「歴史問題」についてレクチャーし、ほとんど眠っている議員を前に意気軒昂たるご様子でした。(←場が読めない人ね)Photo(写真 2013年米国議会でのパク大統領の演説風景。議長以下全員が深い瞑想にふけっている)

その後の欧州歴訪では、行く先々で「告げ口」をしたために、「Tale-bearer Diplomacy」(告げ口外交)という英語名称の外交用語が出来たという噂があるほどです(笑)。

さらには、同年9月末に、日本の集団的自衛権などの合意を要請しに訪韓したヘーゲル米国防長官を相手に、「慰安婦の女性は今も深い傷を負っているのに、日本は謝罪どころか侮辱を続けている。だから集団的自衛権は反対だ」と、訳の分からない論法をかまして、顔をしかめさせました。

そりゃそうです。集団的自衛権の最大の受益者は韓国なのですから、なんでハンタイなのかヘーゲル氏にはさっぱりわからなかったことでしょう。

さて当時、このクネさんの場違いな怒りを向けられた我々は大いに戸惑ったものですが、これには、彼女を失望させた理由があったのが、先日わかりました。

なんと中韓は、クネさんが就任する直前の12年秋に、慰安婦問題で二回目の謝罪と補償をする合意に秘かに達していたのです。 

732205afs           (写真 日韓首脳会議) 

なんだかナニワのお笑いコンビ「次長課長」みたいね(笑)。記事とはナンの関係もありませんが、比較参考のために一枚ペタリ。

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これが公表されたのは、イ・ミョンバク前大統領が自伝を発刊して、その中に野田政権と慰安婦問題で合意直前であったが、政権崩壊のために至らなかったと書いてあったのです。 

実はこれは、野田政権の「密使」として韓国に渡った斉藤勁( つよし)官房副長官が、去年にやや自慢げに朝日新聞に漏らしていたのですが、当の野田氏が否定したので宙に浮いた形になっていことです。 

今回韓国側大統領の証言が飛び出したことで、どうやら事実であったことが確認されました。 

朝日新聞(2013年10月8日)によれば、野田首相はイ・ミョンバク政権と秘かに交渉を行い、以下の3点でほぼ合意に達しました。
朝日新聞ttp://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201310070533.html
※http://ianfukioku.blogspot.jp/2013/10/blog-post_8.html 

「当時の複数の日韓政府高官によると、次官は
(1)政府代表としての駐韓日本大使による元慰安婦へのおわび
(2)野田首相が
李明博(イミョンバク)大統領と会談し、人道的措置を説明
(3)償い金などの人道的措置への100%政府資金による支出
――の3点を提案した」
 

合意に至らなかった理由について斉藤氏は 

「詰めの協議をしているうちに、首相が党首討論で解散を宣言してしまい、一方で韓国も完全に大統領選モードに入っていた。表現は、やる気さえあれば乗り越えられる問題だった。もう少し時間があれば合意できていた」 
「慰安婦問題の支援団体は日本の法的な責任の認定を求めており、納得させられないのでは」との指摘に対して
昨年、解決に向けた努力をする中で、日韓の支援団体の方々とも会った。団体側も実際にはかけ離れた主張をしているわけではないことがわかった。日本側の提案に一定の評価さえも受けたほどだ」   

斉藤氏の口ぶりでは、韓国政府とは微妙な謝罪文言の詰め段階まで進んでおり、挺対協や太平洋戦争遺族会などの慰安婦支援団体とも面談していたようです。

前回の村山政権時のアジア女性基金をぶち壊したのはゴリゴりの反日ロビーの挺対協ですから、ここから「評価を受けていた」となると、そうとうに「踏み込んだ」謝罪文言が野田政権側から提示されていたと思われます。

さて、ここに登場する斉藤官房副長官は、いままで名前を聞いたことすらない地味な政治家でしたので、ウィキで調べると政治的バックがよく透けて見える人物のようです。 

今はこの密約直後の総選挙で落選。官房副長官という要職から一転して「ただの人」になってしまったようですが、地盤でもない山梨で再起を図ろうとしているようです。 

Photo      (政治活動中の斉藤センセのお姿がほとんど見つからないので苦労しました)

正直言って、なんの感慨も湧かない人ですが、いちおうやってきた政治活動としては 

・旧社会党出身
・神奈川県横浜が地盤
・参院当選2回・衆院当選1回
・2009年「政権交替選挙」において比例下位で当選
・国旗国家法反対
戦時性的強制被害者問題解決促進法案の成立を目指す活動
・慰安婦の戦後補償要求活動
・在日韓国人の地方参政権運動
・植民地支配の反省とその子孫たちへの充分な補償を求める政治活動

・あの天木直人センセから「ほんものの護憲政治家」と激賞される

はい、ご苦労さまでした。ま、そういう、なんだかなぁ~というお人です。ひとことで言うなら、韓国の代理人、つまりバリバリのコリアン・ロビイストですね。  

ただ問題は、それまでなんの政治実績もなく、政府や党の要職にも就いたこともなく、政治手腕も調整能力も未知数な斉藤氏を、なぜ官房副長官という要職に据えたかです。 

当初から野田氏は、韓国と慰安婦問題の密約をしたいと思っていて、斉藤氏のコリア・ロビイストとしてのパイプを使いたかったということになります。

この謎を解くには、当時の民主党政権の対コリア外交の基調を知る必要があります。

それにしても、ひとりくらいはフツーな人かいるかと思いましたが、野田氏が首相のくせに自陣の<ゴールポストを動かす>とは!揃いも揃って、はぁ~(ため息)。

これらのことを国会に諮って審議した場合、衆参のねじれも加わって、このうちどれひとつとして通らなかったはずです。党内議論ひとつまとまらなかった政党だったのですから。

そのためか、民主党3代の首相かやった手口は共通して、首相が独断で党内討議も経ずに外で「言ってしまう」ことで、それをもって既成事実化していくという方法でした。

いみじくもカン氏は、政権をこう規定していましたっけ。「選挙で選ばれた時限つき独裁だ」と。

例によって長くなりそうなので、次回に続けます。 

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土曜雑感 ゴールポストを動かしてしまう馬鹿

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ギリシア新政府が、戦時中のドイツ軍の非人道的行為に対しての物的・精神的損害に対して、実に1620億ユーロ(22兆円)もの保障を要求したことは既報です。

もちろん、現在、進行していたギリシア債務危機についてのユーロ財務相会合に、照準を定めていたことはいうまでもありません。

そしてドイツは、即時に拒否したわけですが、それは旧西独時代の1960年、ナチス時代の不法行為に対する補償としてギリシャに1億1500万マルク(当時レートで約97億7500万円)を支払う協定を結んでいたからです。 

これは、ドイツ統一の1990年にも旧連合国の米英仏ソと調印した条約によっても確認されており、「請求権問題は解決済み」との立場です。 

つまり、ドイツからすれば、とんでもない、そんなことは「最終的、かつ、完全に解決している」はずだという言い分です。 

ああ、またもやモーレツな既視感があるぞォ。 さぞかし、メルケルオバさんを姉と慕う、クネさんもガックリなさっているでしょうね(笑)。 

クネさんも、ギリシアの新政権とまったく同一の論理を使っていますから。

歴史カードは「禁断カード゙」です。

禁断とは堅く禁じられたこと。 このようなことを、外交の世界では<ゴールポストを動かす>と呼びます。

サッカーやラグビーの試合中にゴールポストを、いきなり小さくしたり、ズルズル動かしてしまったら勝負になりません。

試合中のルール変更や、勝負がついた後のルールの異議申し立てなど通用するはずがありません。

外交の世界でも一緒です。基軸となる両国間の取り決めがあるとしますね。たとえば日米だったら日米安保とか、日韓関係だったら日韓基本条約のような条約のことです。

一回、しっかりと協議して条約のハンコを押したら、そのやり直しは効かないのです。

どちらかの政府が、勝手にホゴにしてしまうと、その国の信用はおろか、「ホントにあの国の政府の頭は大丈夫なのか?」という眼で見られることになります。

思い出しませんか、この視線。あのハトさんが宇宙的視点で勝手に、<ゴールポストを動かしてしまう>ことをして、「国外、最低でも県外」などとやったために、オバマからなんと言われたのか。

<loopy>、クルクル・パーでのことす。ま、大部分の国民も激しく同意するのでしょうけどね(笑)。

それはともかく、半世紀以上前の二カ国間で取り決めた条約を、改めて考えたらイヤになったからと変更をしてくれと言うような国を、<革命政権>と呼びます。決していい意味じゃありませんよ。

ハトの次の人が喜びそうな表現ですが、完全な侮辱的表現です。お前の政権にはレジティマシィ(正統性)がない、パッチモンだと言っているんですから。

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 国家は、いかに革命や政権交替で生れた新政権だろうと、旧政権が外国と決めたことは遵守せねばならない国際的義務があります。 

これを守らない国は、政権としてのレジティマシー欠落しているからまともに付き合わないと言うことになり、国際社会で相手にされません。 

たとえば明治維新政府は、幕府が押しつけられた関税自主権や治外法権などの不平等条約に泣かされていましたが、艱難辛苦の挙げ句、それを回復したのはなんと42年後の1911年の事でした。

イヤなら、大変な時間をかけてでも、国際社会の信用を重ねていって改正してもらうしかない、これが国際ルールです。それを一気にひっくり返したのがギリシア新政府でした。

このようなことは韓国が、今やろうとしていることです。戦時中の徴用工賠償訴訟に対して、韓国司法は個人請求権を認めました。当然、韓国政府の意志です。

あの国に「司法の独立」などというシャレた概念はありません。それは加藤支局長事件でもわかったでしょう。

次の韓国の一手は、憂鬱なことに、日韓基本条約50周年における、一方的破棄でしょうね。

まぁ、ユーウツだろうがなんだろうが、わが国は受けて立つしかないでしょう。条約が無効になった以上、個人補償が欲しいのならば、支払ってやればいい。

そんなものより、締結時に日本が残置してきた膨大な資産の返還、およびそれ以降の支援、借款の即時一括返還を事務的に、そして冷やかに求めることです。

あるいはドイツの如く、歴史認識を蒸し返してゆするのなら、一喝して黙らせることです。

なんて思っていると、2F(←福島第2原発ではないよ)なんていう、オールド自民党の生き残りの妖怪が出てきて、訪韓団率いて利権漁りしているのですから、やれやれです。 

この人も、与党の要職にありながら、ズルズルと<ゴールポストを動かす>ことをしてしまっています。自分の選挙区に帰って、江沢民の銅像でも磨いていなさい。

さてと、ここでこの馬鹿たちを吹き飛ばすために、今日もまた一丁やりますか。

せーの、ドイツに学べ!

■追記 ギリシア脅し勝ち!もう笑うしかないっすね。
しかしこれではなんの解決にもならないのは自明であって、逆にドイツ国内のギリシア支援拒否の極右勢力を勢いづけるでしょう。北のネオナチ、南の極左・・・、なんという愚かな構図。

■ギリシア支援4か月延長

ロイター 2月21日「ユーロ圏は20日、ブリュッセルで開いた財務相会合(ユーログループ)で、ギリシャへの支援策を4カ月間延長することで合意した。双方の当局者が明らかにした。
当局者の1人は「まとまった。4カ月だと述べた。
合意が得られたことで、ギリシャが財政破綻やユーロ圏離脱へと追い込まれる切迫したリスクは後退した。チプラス新政権にとっては、長期的な債務軽減策について債権団と協議する時間的猶予が生まれた格好となる。
ユーロ圏当局者によると、合意では、ギリシャが支援条件を確実に順守するよう、支援期間中に実施する政策措置の一覧を23日までにユーログループに提出する必要がある。
合意の大枠は、ギリシャ、ドイツの両財務相に加え、国際通貨基金(IMF)専務理事を交えた準備会合で申し合わせ、その後ユーログループ全体の総意を得たという。

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週末写真館 北浦の風車

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私のささやかな夢は、写真機をもって旅をすることです。汽車やレンタカーを気ままに乗り継ぎながら、新しい風景に出会ってみたい。

昔、時間がたっぷりあって、世界の辺境を安宿旅行をした時には写真機がなく、写真機を手にした今は時間がなく、なかなかうまくいかないものです。

ああ、旅したい・・・。

グリックすると大きくなります。縮小してありますから、大きくしてご覧ください。

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ギリシア危機の教訓 不況下で緊縮財政と増税をするな

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ユーロ側が6か月の猶予を提案したそうですが、ギリシア側は拒否していて、結論は20日のユーロ財務相会合で答えをだすそうです。

ギリシア・バルファキス財務相の提案は
①満期がくる国債の70億ユーロを返済するため6カ月間のつなぎ融資
②ギリシャの政府債務を国内総生産(GDP)連動債と交換
③基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字目標を3%から1.49%に引き下げる

ご覧のとおり、強気一本槍です。

下の写真はギリシア新政権の財務相のバルファキス氏ですが、完全にEUの足元を読み切っていて、もはや「弱者の恐喝」も伝統芸の渋さの域に達しつつあるようです。

ちなみに、新政権はいかなる公式の場でもノーネクタイがドレスコードのようで、まるでイラン政府みたいと言われています。

う~ん、EU財務相会合でもジャケットの襟を立てて、ステキ!(どうでもいいか)

8d307a1bs写真 ハゲのダンディでギリシア国内の女性には大人気のギリシア・バルファキス財務相。キレ者で有名)

これで再びギリシア側が、猶予を拒否した場合、完全に決裂ということになり、ユーロ離脱が現実になります。
 

20日というと今日ですから、とうとう山場が来ましたね。お気の毒なのはメルケルさんで、テレビで見るとゲソっとなってヤツれましたね。

Img_946e03024daa6320a287e045b4777cb(写真 アジャパーという表情のアンゲラ・メルケル首相。61歳だが、ふけたなぁ)

今後の主な日程は以下です。
・2月18日夜 ギリシャ回答期限
・2月20日 現行の支援延長の場合、ユーロ圏財務相会合
・2月28日 現行支援の期限
・今年第1四半期 ギリシャは推定43億ユーロが必要
・3月19、20日 EU首脳会議
・7月20日 欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債35億ユーロが満期に
・8月20日 ECBが保有するギリシャ国債32億ユーロが満期に

一方、もうひとつの火種のウクライナでは、ロシア軍(いちおうウクライナ親露派となっていますが、実態は露軍です)が停戦間際に、交通の要衝デバリツェボを制圧してしまいました。

ウクライナは完全に東西が分断されて、停戦を口実に固定化が進むことでしょう。

ギリシアのチプラス新首相は何を考えているのか、挑発的にも、独シュテルン誌とのインタビューで、「ロシアとの経済戦争は誰の利益にもならないとし、ウクライナ危機をめぐる対ロ制裁は偽善的だ」と非難しているようです。

やれやれ。そういうこと、今言うか。「ドイツに学ぶな」派の私も、今やメルケルさんがやや気の毒になっています。

さて、『ギリシア危機の真実』(藤原章生)という本を読んでいます。

この本は副題に、『ルポ「破綻」国家を行く』とあるだけに、ギリシアの汗くさい現実が伝わる好著です。 

この本によると、ギリシア危機のことの起こりは、2009年10月に三世政治家のパパンドレウ首相が、正直に「どうも前の政権はインチキをしていたみたいだ」と言ってしまったことから始まっているようです。 

政権についたパパンドレウさんは、国庫を開けてたまげたんですな。

ギリシアの美しい風習で、前政権が政権交代のドサクサに国の金庫を持ち逃げして空にすることはよくあることなので、そのていどは覚悟していたようですが、それでは済まなかったのです。

ホンモノの財政帳簿をみたら08年と09年の借金が、メチャクチャに偽装されていて、表向きの4%どころか、実際は13.6%にも達していたのです。

そしてそれが、ユーロに報告されていたことがわかったのです。

三世というくらいですから、ハトさんのようにウブで正直な人だったのか、パパンドレウさんはそれをあっさりと公表しました。

政治家は後先を考えて発言せねばなりません。「いい人」ならいいもんじゃないというのが、わかりますね。

日本にも、「沖縄の心を」どうじゃらなどと、キレイゴトをアテもなく言って大混乱させたあげく、日米同盟をガタガタにしたクルクルパーがいました。アテもないのに言うんじゃねぇ(怒)。子どもか、お前は!

ああ、いかん、あの男を思い出すと過呼吸になりそう(笑)。腹たつので、ギリシアとは関係ないが、バカバトのクソコラを一枚ペタリ。

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それはともかく、最初に直撃を受けたのがギリシア国債でした。日本国債は日本人が買っていますが、ギリシア国債は8割が外国金融機関の引き受けてす。

日本はスタンダード&プアーズなどが、いくら格付けを下げようとまったく国債市場は影響を受けませんが、ギリシアは違います。

ユーロには、「スプレッド」というユーロ圏内の格付け番付があります。もちろん優等生ドイツか一番ですが、ギリシアは大暴落して最下位近くに転落しました。

もちろんパパンドレウさんも手をこまねいていたわけではなく、「あと何年で3%にします」と公約して、ドイツの指導(というか強要)どおりに、「無駄の削減」「事業仕分け」「増税」などと、これまた既視感ムンムンの政策を取ったわけです。

わが国でもカン政権は、「ギリシアのようになる」と叫んで消費増税を企んでいましたね。

不況の中でもっともやってはいけない悪手(あくしゅ)は、この<不況下における緊縮財政をしながら増税すること>です。

これで一気にギリシアは、景気がさらに冷え込んだだけではなく自殺者が激増しました。

2011年11月の緊縮財政開始から、ギリシアの自殺者は実に36%の増加を見ました。ちなみに、わが国もまったく同じ現象を体験しています。

橋龍増税があった1997から98年にかけて、自殺者は一気に35%増加しています。

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消費税増税の翌年の98年にご注目ください。自殺者が急増します。97年には年間約2万4千人だったものが、翌年には約3万3千人にと、なんと1万人増加します。

覚えておいて下さい。消費税増税した翌年に日本は世界有数の自殺者を出す国になったのです。この分水嶺とでもいうべき3万人を突破したのがこの98年です。

更に追い打ちをかけるようにこの98年から本格的なデフレが口を開けて国民を待っていました。今に続く長いデフレのトンネルの入り口です。

この不況下において、財政刺激策をとるか緊縮財政をとるかは、国民の生死に大きな影響を与えます。

ギリシアの場合もわが国の場合も、不況下の緊縮財政が国民の健康を直撃しただけではなく、社会や景気に対する絶望感を国民に植えつけて自殺者増加という悲劇を呼びます。

        

結局、ギリシアにおいては、連日のデモと暴動によって、国際的信用を失墜させて、結局、景気回復も遅らせたことによって、税収不調が恒常化します。

また緊縮したにもかかわらず、企業倒産の激増によって失業者や病人が増加したことで、削減したいはずの社会保障費や医療費が高止まりしてしまいます。

結局は、不況下の緊縮財政は、国民に塗炭の苦しみを味合わせただけにとどまらず、国の社会コストを増大させたものにすぎなかったのです。

その意味でギリシア危機は、対岸の火事とはいえない重い教訓を、日本人にも教えています。 

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ギリシアのもっとも簡単な危機脱出法とは

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では、どうやったらギリシアは、この大ピンチから逃れられるのでしょうか。 

答えは、おおかたの日本人がとっくに気がついている通りです。無理は続かないのです,

そもそも初めのボタンをかけ間違っていました。ギリシアはユーロに加盟するべきではなかったし、加盟させてはいけなかったのです。

ユーロは今回のギリシアのような財政破綻を防ぐために、財政収斂(しゅうれん)基準といって財政赤字の幅を3%以下と厳しく定めていました。

ところが、これが粉飾決算だったのです。

「EUの臨時首脳会議が11日、ブリュセルで開かれる。なかでも深刻なのが昨年10月に政権交替後、前政権による財政赤字と債務の『粉飾』が発覚したギリシアだ。GDP比3.7%とされていた昨年の財政赤字は12.7%に膨らみ、政府の信用はがた落ちだ」(産経2010年2月6日)

ギリシアも悪びれることなく、経済財務相が、「99年からしている」と認める始末です。

一国が粉飾決算するというのは、中国も確信犯的にやっていますが(※中国各地のGDPを足すと、中国全体のGDP数値を越えてしまいます。わ、はは)、問題はEUに加えるべきではない国を加盟させてしまい、一国の危機がEU全体に波及してしまったという大失敗です。

本来、共通通貨は独仏、ベネルックス諸国といった、同じような経済指標を持ち、何かあった場合にも同じような挙動をする国々で作られるべきものです。これを最適通貨圏と呼びます。

たとえばリーマンショックが起きた時の対応も、世界経済のトップクラスに位置するドイツと、ヨーロッパ最底辺にあえぐギリシアでは、その対応に差が出てしまいます。

ドイツ経済はショックに耐えて、緊縮財政を強化しましたが、同じことを耐えられずに経済崩壊してしまったギリシアに求めるのは無理があります。しかし、メルケルは支援と引き換えに、強く緊縮財政を求めました。

挙げ句に、年金と給与切り下げをせねばならなかったギリシア国民からは大ブーイングを喰います。

下の下手なクソコラでは(センスないなぁ)けヒトラーにメルケルを擬しています。メルケルさん、可愛いじゃないと初めて思った(笑)。

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ギリシアでは、財政債権と緊縮財政を求めるEUに抗議して24時間の大規模ストが続き、銀行の爆破で3名が死亡するという事件まで起きました。

Photo(写真 ニューズウィーク14年12月23日 デモ隊というより、もうほとんどISILだ。このガスマスクの一団が政権をとったというのもコワイ)

ストとデモ、そして暴動は、今やギリシアの新たな名物となっています。

こんな荒れた国で観光したくはありませんから、観光収入は減り、しかもユーロに引きずられての物価高ですから、ギリシアの窮状は深まるばかりでした。

もう、通貨発行権がないような「みんなの通貨」(共同通貨)であるユーロをかき集めるような無駄な努力は止めて、由緒正しいドラクマに戻ることです。 

そして思う存分、日夜、造幣局の輪転機を回して、市場にドドっと放出することです。 

結果、当然のこととしてドラクマの価値は大幅に下落します。貨幣の価値は、その循環している流通量の過多に比例するものだからです。

ドラクマ安にしたければ、ドラクマを沢山刷る、これが極東の某経済大国もやっている鉄則です。

ウイリアム・ハインケル・フランクフルト大学名誉教授はこう述べています。 

「ギリシアは2001年のユーロ導入以降、経済競争力を犠牲にして巨額の貿易赤字を蓄積させてきており、経済基盤の損失を埋め合わせるには通貨の40%の切り下げが必要だか、ユーロ圏に止まる限り、それは不可能だ」(フィナンシャルタイムズ2010年3月25日) 

ギリシア人にすれば、人もあろうにドイツ野郎に言われたくはないでしょうが、まったく正論なのです。

ユーロを離脱し、というか追い出されて、ドラクマに戻り、4割の切り下げを目指す、これしかギリシアの生き残る術はありません。 

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しぶといぞ、ギリシア人!

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デッドエンド・時間切れを目前にしてEU財務相会合は、座礁寸前のようです。

というか、難破しようとする船の甲板で、ギリシア人の三等船客とドイツ人船長が胸ぐらを掴みあってクヌクヌ・コノコノとやっている様子です。 

もはや時間切れです。選択肢はふたつです。 さらなる融資、あるいは棒引きか、ギリシアのユーロ離脱(Grexit/グレグジット)かです。

ひとつは、ヨーロッパ中央銀行(ECB)が、ドバッとユーロ債を発行しECBが買い取り、ギリシアの緊急流動性支援(ELA)に当てることです。 

しかしギリシアの要請に応えて、今まで棒引きに応じてきたメルケルは、「これ以上の債務減免はない」と断言している以上、ありえないでしょう。 

というのは、ここでギリシアの「弱者の恫喝」に負けたら、大変なことになるからです。 

同じような財政危機、失業率の高止まりをするボルトガル・スペインなどへの波及は避けられません。 

この失業率の欧州地図で、クローム・イエローが失業率15.1~20%、オレンジが20.1~25%赤色は25.1~30%という危険水域の経済ですので、スペイン、ポルトガルなどで、連鎖する可能性があります。 

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(図 欧州連合の失業率(2010年,Eurostat.)

特にスペインの失業率は約26%で、4人にひとりが失業している状態です。若年層の失業率は約60%にも達します。

このような状況を背景にして、ギリシアと同じような極左政党が数十万人のデモをおこなって、政権をうかがう勢いです。 

もし、こんなギリシアの瀬戸際政策が成功した場合、間違いなく借金まみれのこれらの国々で、ギリシア急進左派連合(ツィプラス)のような政権ができる可能性があります。

そして、言ってくることはギリシアのツィプラスと一緒で、「借金棒引きにしろ。緊縮はイヤだ」です。 

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 (漫画 ニューズウィーク2月17日) 

「欧州文明の源流」という幻想を目一杯利用して、欧州のフリをして多額の援助を引き出してきたギリシアですが、ギリシア危機からこっち、ガラガラとこの虚像は崩れてしまったようです。 

さて、EUは「領土」を拡げようとして、大変な国を引き受けてしまったものですが、逆にギリシアの立場になって考えてみましょう。 

もらろん、ギリシアだって努力はしているのです(涙)。 

2010年に3年間で総額1100億ユーロ、実に円建てにすると12.5兆円というちょっとした国家予算並の融資を受けとる代わりに緊縮財政を実施しました。 

ひとつは年金受給年齢を65歳にしたこと。なんだうちの国と一緒じゃねぇかと言わない。 

他にも公務員の昇給停止3年間。なんだたった3年間かよと言わない。これでもガンバッテるつもりなんだから。

何といってもこれがスゴイ。消費税の23%への引き上げです。参ったね。23%かよ。日本でやったら、こっちこそ「革命」が起きるね。

とまぁ、日本人には消費税以外たいしたことはない頑張りですが、問題は、ユーロで借りたカネはユーロで返済しなければならない、というEUの鉄の掟があることです。 

ギリシアには日本のような通貨発行権はありません。日本のような独立国は自前の通貨の発行権を有していますから、最悪の場合、円建ての国債の返済は円を刷れば可能です。 

もちろん国債金利は上昇しますが、債務の返済が不能になることはありえません。 

しかしギリシアはユーロに入ったために、「半独立国」になってしまっていますから、国債はユーロ建て、借款返済もまたユーロ建てです。

ユーロを勝手にギリシアの造幣局が刷ったら、ECBにぶち殺されます。 

ですから、23%という消費税をかけても、ギリシア中からユーロをかき集めるしか方法はないわけです。 

これが頓挫した瞬間に、ギリシアは即死なはずですが、そう簡単ではありません。そんなていどでは、「ギリシア人の底力(←と褒めていいのか)が理解できていません。 

思い出していただきたいのですが、ギリシアで一番腐敗した官庁はどこでしょうか。はい、税務署です。 

元々ギリシア国民は、「税金って何それ?食べられるの」というお国柄なのです。

観光に行った人は経験なさっているでしょうが、多くの土産物屋は黙っていればレシートをくれませんでしたよね。タクシーはいちおうメーターがあっても、メーターを倒しません。

そう、「ノーレシート文化」、これがギリシアの輝く(←輝かねぇよ)の伝統なのです。 

「官に政策あれば、民に対策あり」という中国よろしく、税率が上がろうがどうしようが、そもそもレシートがないんですから、払うつもりがないから気楽なもの。 

ギリシアの店で、「レシートはいらないよ」と言えば、たちどころに10%ていどの値引きはあたりまえだからです。 

店は10%の税金をゴマかせるし、客は安く買える、いいことずくめじゃないですか(←わけねぇだろう)。 

そして店主はその儲けた金を、アングラ銀行に預け、アングラ銀行は闇の投資に廻すというわけで、いっそうアングラ経済繁栄しまくり、というわけです。

なんと帳簿に乗らない金がGDPの3割にも達するとのことで、闇市が跋扈した日本の終戦直後の混乱期ですら3%ていどだったということから見ても、モノスゴイものです。

おまけに、ギリシアはEU域内への移民とか、出稼ぎの仕送りが、これまたGDPのかなりの割合を占めています。

彼らの母国への送金もまた、アングラ銀行経由の場合が多く、闇のなかへと静かに消えていきます。

ここまでおおっぴらにアングラ経済が罷り通っている国で、税金からユーロをかき集めることは、絶望的に不可能なのがお分かりいただけたでしょうか。

ですから、こんなしぶといギリシア人が、ユーロ離脱を折り込んでいないはずもなく、ちょっと財産がある者は、離脱した瞬間に値上がりが予想される物資の隠匿に走っていることは間違いないことでしょう。

そしてギリシア最大の圧力団体といわれるギリシア官公労は、ゼネストしてでも、自分たちの利権を守り通す決意でしょう。

なにせ、「働いたら負け」「死んでも税金は払いません」が人生訓のようなギリシア人ですから、転んでもタダ起きないでしょう。

あながら皮肉ではなく、しぶとく海千山千揃いの欧州で生き残っていってほしいものではあります。

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「エーゲ海の公務員の楽園」にしてしまったユーロ・システム

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昨日、ユーロ圏財務相会合でも結論は先送りなようです。さもありなん。時間がかかればかかかるほど、ギリシアの思うつぼなんですが。

さて、今回のギリシア危機を見ていると、ギリシアという国が、そうとうにヘンな国だというだナ、と気がついた日本人も多いのではないでしょうか。

はい、そうとうにヘンな国であることは間違いないので、私はこれを<ギリシア・ユーロ・パラサイトモデル>と勝手に呼ぶことにしました。

さて、日本人の平均的ギリシアのイメージは真っ青なエーゲ海に浮かぶ、サントリーニ島の真っ白い壁、西欧文明の発祥地、パルテノン・・・、おお、ビューチフルってとこかな。 

記事とは関係ないけど、眼の保養に一枚貼っておきましょう。 

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ギリシアはよく、国家がコケます。小気味いいほど借りたカネを返さない国、それがギリシアなのです。 

まずは下の表をご覧ください。 

ギリシアがオスマン・トルコから解放されて、近代ギリシアが始まったとされますが、それから約200年間にどれだけ債権不履行と債権条件の変更をしたのかのグラフです。 Photo_2(図 1800年以降の各国の債務不履行・債務条件変更の年数割合 高橋洋一氏作成)

 これを見るとギリシアはユーロの平均値の15倍ていどは債権不履行を引き起こしています。同じ債務危機にあるポルトガルの約5倍、スペイン約2倍です。 

なんだ日本もやっているじゃないか、と思われるかもしれませんが、このグラフが200年間というスパンだということをお忘れなく。 

わが国は20世紀に入ってから債務不履行・条件変更はしたことがありません。真面目が取り柄ですんで。 

このグラフを作った高橋洋一氏に言わせると、ギリシアは「いうなれば2年に一度破綻している国」ということになるようです。 

これはこの国が位置して地政学的位置にも関係しています。 

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地図を見るとギリシアは、ペロポネソス半島からバルカン半島南側にまで伸びているのが分かりますね。 

そして黒海の出口に位置しています。かつてのバルカン半島はすべて社会主義圏でした。 

黒海にはウクライナ紛争でも有名になった、クリミア半島に有力なソ連の黒海艦隊の基地があって、隙があれば地中海に出たくてウズウズしていた場所です。 

つまり、旧社会主義圏の柔らかい下腹と、ソ連海軍の出口を、西欧からガードする役割が与えられていたのです。北の熊さんの門番ですね。 

この重要な役割のために、西側諸国は、ギリシアが多少メチャクチャをやっても知らん顔をしていたわけです。 

まぁ、何をやっても許されると勘違いしていたためなのかどうか、ギリシア国内の政治は、相当にシュールで、40年前までは西欧唯一の軍事政権、それがひっくり返ると今度はバリバリの社会主義者のパパンドレウ首相が政権につく、というヒッチャッカメッチャカぶりでした。 

今回のギリシア危機でも、その素質全開で、今度は極左と極右が呉越同舟で与党席に並ぶというわけのわからない状況になっています。 

このパパンドレウ社会主義政権の下で進行したのが、国民の総公務員化という、自由主義経済国家にあるまじき珍しい現象です。

そもそもギリシアは小さな国です。 国土は日本の3分の1。人口1100万人。GDPに至っては日本の30分の1にすぎません。だいたい経済規模は神奈川県くらいだそうです。 

ここに公務員が約100万人ひしめいています。ヒャクマン人ですぜ。人口比率で10%、労働人口のなんと25%です。なんと労働者の4人にひとりが公務員! 

ちなみに人口がほぼ10倍のわが国は地方公務員250万人、国家公務員90万人、労働人口比率で約6%です。 

これでもまだ多いというので削減しろといわれているのですから、いかにギリシアがハチャメチャな公務員大国かお分かりになるだろうと思います。 

ついでに、この統計にはカウントされませんが、政府所有の特殊法人・企業は、ギリシアGDPの18%にも及び、いかに官公庁主導の経済になってしまっているのかがわかります。 

もう調べるのがアホらしくなりそうですが、とうぜんこのお役人の収入はいいのですよ。だいたい民間平均の1.5倍。政府財政がパンクしているにもかかわらず、その支出の4割が公務員給与と年金に当てられています。 

ああ、モーレツに既視感があるなぁ。どこか南のほうにこんな県があったっけな(苦笑)。 

ちなみに『アエラ』(10年5月10日)には、「時間通りに出勤すると支給される特別手当がある」そうです。もう笑うしかない。が、はは・・・(だんだん弱くなる)。 

その上に55歳で年金支給ときたもんだ、ですから、まぁ、まともに働く奴はバカということになります。もう、勝手にしなはれ。 

これが、今やユーロのパラサイトにして、最大の悩みの種になってしまったギリシアです。

長いので、後半は明日に回しました。

 

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ギリシア、弱者の恐喝・瀬戸際外交

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ギリシアが今、EU相手にやっているのは、北朝鮮ばりの瀬戸際外交です。 

「オレは金は借りたが、返したくないゾ。さぁ、取れるなら取ってみやがれ。オレはスッポンポンだぁ!オレが自爆したら、お前らも巻き添えじゃぁ!」(←文太さんの声でね)とばかりに、証文の上でフンドシ一丁、ポリタンとマッチを持ってタンカを切っているのがギリシアです。

なんか昔の極道映画のワンシーンみたい。

怒らせると本気で火をつけそうでコワイ。つまりハード・デフォールト(債権不履行)という最終手段を取る可能性があります。

なんせ借金は積もり積もってもはや天文学的的ですから。

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(図 ギリシアとユーロゾーン平均のGDP対比債務残高。青線がギリシア。緑線がEU平均 出典Wik)

実際に取った場合、ギリシア経済は一時的に壊滅状態になって、国民の生活はどん底になりますが、ユーロ離脱⇒独自通貨ドラクマへの復帰にはもはやこの手しかないかもしれませんね。

ユーロはこのヤケのヤンパチを折り込み済みなのは確かですが、なんとか折り合いをつけようとしています。 

ユーロ圏財務相会合がこの16日に開かれるようです。もちろん議題はこの瀬戸際外交をしている困ったクンです。 

「デイセルブルム議長(オランダ財務相)13日、ギリシャの債務問題をめぐり来週16日のユーロ圏財務省会合で合意が得られるか、「非常に悲観的」な見通しを持っていると述べた」(ロイター2月14日)

やる前から議長のオランダが、無理じゃないっすか、と言っているのが悲しい。

というわけで、ギリシアのEU離脱は折り込み済みと言いながらも、ギリシアに貸し込んでいるユーロ各国の金融機関の連鎖的崩壊が始まったら一大事だ、というのも悩みのようです。 

この悲観的状況を受けてギリシアの国債金利は、10%前後で推移するという危険ラインを動いています。

いや、これで驚くのは早い。2011年の10年ものなどなんと36.5%ですぞ。 

すごい高利ですねぇ。今買っておけば、大変な利子がつきますが、よほどの物好きじゃなければかわないでしょうな。 

長期国債はとうぜんのこととして、単年度の短期国債ですら、パーッになる可能性が高いもんね。 

日本の10年物国債の利回りが今週0.5%を最近下回っていて、1%を切るというだけでも驚きなのに、今は0.5%を下回っているのと対照的です。 

ちなみにドイツは0.3%、フランスは0.64%と軒並み超低利です。同じ財政危機のポルトガルでさえ2.39%ですから、ギリシアのひとり負けです。 

いかに買い手がつかないか分かりますね。 

Photo_2           (アリとキリギリス。イソップはギリシア人だけど)

日本がギリシアみたいになるぞとオオカミ少年していた財務大臣、後に総理のカンさん、反原発もいいけど、国債市場も見ているか~い。

同じことを言っていた財務省の論者の皆さん、元気ですかぁ。 

金融緩和をすると国債の不信任が生じて、金利が上がるとの財務省と一部のエコノミストの強い期待を裏切って、日本国債は目下世界最低水準を驀進中です。 

これは日本の国債が、ほぼすべて国内債権市場で捌けてしまうからです。日本の場合国内銀行が約39%、生保が約21%、社会補償基金が10%と、ほぼ完全に国内で売れてしまいます。

刷るそばから売れるんですから、大変です。しかも100%円建てです。

これは日本製在の安全・安心の財産であると同時に、いかにデフレが長期化していて、国内で設備投資などの資金の借り手がいないということでもあります。

つまり、国内で資金需要が不足しているために、手堅い国債を買い込んでいるわけです。ですから、国債を発行して、日銀が買い込むという芸当も可能です。

この自分で国債を刷って、中央銀行が自分で買うというのは、米国の連邦準備制度理事会(FRB)も大ぴらにやっている、デフレ対策ですが、ギリシアには絶対に不可能です。

なせなら、ユーロ圏にいるためにユーロという通貨は「みんなの通貨」(共通通貨)で、ギリシアの勝手は許されないからです。

かつての独自通貨ドラクマ時代なら、2ツの手が使えました。ひとつは通貨量を増やしてドラクマ安にもっていく為替政策であり、もうひとつが国債の中央銀行買い取りです。

この手段が使えないのが、致命的です。ギリシアは経済政策的に自力でこの経済崩壊・財政崩壊から脱出するのは無理ということになります。

今のような経済破綻と財政破綻が重なると、ギリシアの銀行すらギリシア国債を買いません。

むしろ安全なドイツ国債を買うでしょう。他国にいたっておやです。誰がこんな紙切れになる心配のあるギリシア国債を買うわけがありません。

国債が売れなければ、金が政府に集まりません。それでなくても脱税文化がはびこっているのですから、徴税からも絶望的です。

あとは、公務員の大量解雇や、公共事業の大幅削減、社会保障費の大幅切り下げなどのドイツがやらしたがっている緊縮財政ですが、「国民の生活が一番」という小沢さんみたいなことを掲げて当選した左翼政権には絶望的に不可能です。

となると、気の毒ですが、もうなにも手段が残っていませんね。

そこでゼネストとか、国民投票、あるいは左翼政権による「革命」という「経済外的手段」に頼るしかかないことになります。

国民投票は前のパパンドレウ政権が緊縮要求受け入れの時にチラつかせたのですが、そもそも経済政策を国民投票で決めること自体がバカです。

安全保障や経済政策は、国民投票や住民投票で決定すべきことではありません。行き過ぎた民主主義です。

政府から「あんた方の生活が苦しくなるのに賛成か、反対か」と聞かれて、はい賛成ですなんて答える国民はいません。

そういえば、今、与那国で自衛隊の配備を、外国人や子どもまでに投票権を与えて実施しようとしていますが、ギリシア並にありえません。

それはさておき、かくて、今やっているのか、弱者の恐喝である瀬戸際外交というわけです。

ここまで来ると、単なる経済・財政破綻というより、「国家の信任」という最大の価値が崩壊しかかっていますから、今後はもうイチかバチかのデフォールトしかないということになります。

いつまでもクズ債権の上で、マッチを持って「棒引きにしろ。いやなら歴史問題持ち出すゾォ」とすごんでいるわけにもいかないんですから。

根本的な問題として、もはやユーロという「壮大な実験」は出口が見えてきたといえるのではないでしょうか。

最適通貨圏である独・仏・ベネルックス諸国あたりでストップすべきだったのです。

この範囲なら充分に安定していたのでしょうか、南欧州諸国や、ましてやギリシアなどまで入れたために、収拾不能になりつつあります。

そういえば、私の記憶が確かならば(←料理の鉄人かって)、東アジア共同体なんて言っていたクルクルパーがいましたが、中国と韓国との共通通貨でも考えていたんでしょうかね(大爆笑)。

共通通貨ほどコワイもんはないのにね。

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土曜雑感 ああ、やっちゃった、ギリシア新政権

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うわぁ、ギリシアの新政権が ドイツに吹っ掛けも吹っ掛けたり1620億ユーロ(22兆円)の戦後賠償を要求だそうです(爆笑)。さすが、「左翼革命政権」と、妙に納得。 

その吹っ掛けた理由は、なぜかすごく既視感のある歴史認識だというのも、「ドイツ好き」の日本人にはたまらないところです。 

『コレリ大尉のマンドリン』というニコラス・ケージがイタリア軍大尉、ギリシアの島の美しき女医がペネロペ・クロスという映画がありましたよね。 

あそこで、最後に反乱まで起こされるお約束の憎まれ役が、わがドイツ軍です。 

ま、史実ではイタリアがドイツとの相談もなく、勝手にギリシア侵攻したあげくギリシア軍にコテンパンに破れて、しかたなく応援に来たのがドイツ軍なんですがね。

ドイツは来たくもないギリシアに援軍に来て、大戦中の1941年から44年までの3年間、ギリシャ本土を占領しなければならないはめになりました。 

戦線を東西南北に拡大しすぎて泣いていたドイツ軍にとって、勘弁してくれよ、というのが本音だったでしょう。

当時、ギリシアは、ドイツに強要されて戦時融資をしたりしたので、それを返せということと、占領による物的・精神的損害もあっただろうと、今頃になって急に思い出したわけです。

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(写真ギリシア共産党の党旗って、槌と鎌なのね。ああ、レトロだぁ。70年安保世代の私にはこれまた既視感があるなぁ)

さて現代に眼を転じると、EUとIMFは、2010年5月よりギリシャの破産を防ぐため、2度に分けて2400億ユーロという膨大な援助プランを実行してきました。

既に1度目の救済730億ユーロは支払い済み。現在は、2度目の救済のうち1530億が既に支払われていて、ギリシア政府と交渉中です。

そのうえ、2012年3月には、ギリシャの個人債権者の負債の半分以上を返済免除とし、一気に1000億ユーロの負債を御破算にしました。なんつう太っ腹。

これはギリシアという与太郎のためだけというより、ギリシアに貸し込んでいるドイツなどの銀行の連鎖的貸し倒れというカウンター・リスクを防ぐためてもありました。

当然、緊縮財政フェチのメルケルおばさんが、すんなり貸すわけはなく、血も涙もないテッテイした緊縮財政を要求しました。

お金を出す奴は、口も出すのがこの世の習い。ギリシアの財政を立て直すため、EUとIMFと欧州中央銀行がトロイカ・チームになって、その財政再建の管理に当たりました。

いったいどうしてこんなことになったのかと言えば、ギリシアは破産国家だったからです。
まぁ、福島瑞穂さんが政権を握って、やりたい放題やったら、5年でこうなるという愚者の天国のような国が、ギリシアです。
王政がひっくり返って社会民主主義の政権がやったのが、年金の大盤振る舞い。年金給付条件を、一気に先進国の最高水準までもち上げたんです。
ですから55歳でもう年金がもらえるんで、国民はさっさと会社なんか辞めて悠々自適生活をやったんですな。
しかもこの年金は、当人が死んでも遺族にも同額支給されるというのだからたまらない。われもわれもと50代半ばで引退して年金暮らしに入っちゃったんです。
おまけに、国民の最大の働き口が役所。公務員や、公共事業の労働者ばかり増やしたので、公務員天国になりました。
かてて加えて,脱税天国にワイロ文化が、輝ける現代ギリシア文化なんです。税務署にワイロを渡せば、喜んで眼こぼししてもらえるのですから、徴税システムがが崩壊してしまいました。
例えば自営業者は一定水準の所得以下になると無税となることから、領収書を発行しないという領収書なし文化が当たり前になりました。
だから、当然のこととして、国家財政が大崩壊。というかこれで国が傾かなかったら奇跡です。
そもそもEUに加盟したかったという動機も不純で、EUに入りさえすればお金持ちの国々から財政支援をえられるとにらんだからです。
で、財政帳簿を国家がゴマかすという前代未聞のことをしてまでして、EUにもぐり込んだのです。もう崩壊国家というか、もはや詐欺国家というか、すごいね。

ちろんギリシアにも言い分はあります。

ドイツが押しつける緊縮財政では、ギリシア経済が立ち直るはずがないからです。本来、このような財政破綻に遭遇した国がやることは通貨の切り下げです。

貨幣をバンバン刷ってインフレぎみにしながら、為替レートを安くすれば、国際競争力が回復します。

エーゲ海の5ツ星ホテルジュニア・スイートお一人様2万円より、みたいなことができるわけです。観光で喰っている国ですから、通貨安にするのがいちばん効く景気対策なのです。

しかし、お気の毒にも、ドラクマならギリシア中央銀行の独自に運用できますが、共通通貨のユーロはヨーロッパ中央銀行(ECB)がコントロールしているもんですから、まったく融通が効きません。

個別国家の景気対策が不可能というのが、このユーロシステムの致命的欠陥なのですよね。まぁ、ならハナからユーロになんか加盟しなきゃいいだけだったんですかね。

しかもユーロを仕切っているのが、財政均衡主義の権化のメルケルおばさんですから、お手上げ。逆にギリシアを締めまくったわけですから、デフレ不況と重なって国民生活は悪化しました。

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(写真 2011年3月29日にアテネで行われた、緊縮財政の反対デモ。主催者発表では、10万人が参加したとされる。 ウイキ)

とうとう堪えきれずに逆ぎれして、緊縮財政反対、ユーロ離脱を掲げた「革命」が起きちゃったってわけです。極左と極右が連合を組むというスゴイことになっとります。

こういう極端な状況で伸びるのは、極端な右と左というのが歴史法則みたいなもんで、かつてドイツも第1次大戦の後に経験したことがあります。

あの時代は極左のドイツ共産党と、ナチスが、互いに私兵を作って機関銃ぶっ放していました。共産党はRF、ナチスがSAです。

Bundesarchiv_bild_10200888_berlin_w (写真 ギリシアとは関係ないけど、珍しい一枚。ワイマール時代の共産党赤色戦線戦士同盟のようだ)

その渦中からヒトラーという世紀のモンスターが誕生するんでしたね。まぁ、ギリシアにはその心配はないけど。

さて、ギリシア急進左派連合の新政府は機関銃は撃たないものの、ECBやEU、IMFに対し、借金の棒引きを要求したんですから、ハチャメチャ。なんせ棒引きですぜ。その額たるやは1400億ユーロ(約18兆円)に上ります。

こんな法外な要求を呑めるはずはありませんから当然拒否。、と、今度取り出したのが、歴史カードです。

ま、なりゆきとしては、当然といえば当然。ドイツからしたらたまったもんじゃないでしょうがね。 

コント風に見ると、こんなかんじです。

第1幕
ギ「金庫空っす。大至急、カネ貸して下さい(泣き声)」
ド「あんたさぁ、今までデタラメで経済運営してきて、カネないのにぜいたく三昧。だいたいEUにだってニセ帳簿で加入したんだろうが。(机叩いて、怒鳴る)貸すんだったら、ケジメつけてもらうよ(もう街金)」
ギ「は、はい、仰せのとおりにいたしますぅぅ」

ところが、突如、ギリシア一家の亭主が交替。

第2幕
ギ「借金、ボ、棒引きしてくれぇ(どもってる)。もう切り詰めるの真っ平だから、チャラにしてくれぇ」
ド「お前、言っている意味分かってンのか。切り詰めたくないから、ボウビキしろだと。どこにそんな道理があるんじゃぁ!(もうナニワ金融道)」
ギ「なにいってけつかるねん(ギリシア人なのに河内弁)。おのれらの切り詰め要求で、なんぼのギリシア人が首くくったと思ってるねん(完全逆ギレ)。
ド「お前らのケツ拭くのに、わしらがいくらつぎ込んだと思ってるんじゃい。ドイツ国民、なんでこんなパラサイト養っとるのか、怒り心頭なんやぞ」
ギ「そりゃ、おのれらのリクツじゃい。EU一家は助け合うものなんじゃ。もうキレたぞ!革命が起きたんじゃぁ!70年前のおのれらの悪事のツケ、耳揃えて払ってもらうやないか!(机叩く)」
ド「何言うってけつかるねん。どあほ!とうにそなカネ、ケリついとるわい。イヤなら出て行け、と言いたいが、こっちも事情があるからちょっと待て」
ギ「わ、はは。ほら見たことか。わしらを追い出せんやろ。なら棒引きにするか、歴史を謝罪して賠償せぇや(もう悪人風」

チャンチャン♪

そういえば、ギリシアみたいにナルゾ、消費税上げさせろと言ってた日本の首相がいましたなぁ。なんて名だったか。カンなんじゃらとか言ったような・・・。ああ、思い出したくない名じゃぁ(笑)。

長くなりそうなので、来週に続けることにしました。

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週末写真館 私が好きな風景

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見飽きない風景というものがあります。私の場合、それが霞ヶ浦の湖畔から昇る朝日です。

いったい何回、この風景を見たでしょう。百回?いえいえ、そんなものではききません。たぶん数千回は見ているような気がします。

実際はそんな回数でなくても、私はいつもここに来て、ここから昇る朝日を眺めているのです。

まず、この場所に着くと、私は一枚シャッターを押して、そして標識杭に腰掛けます。

朝露に濡れていなければ、腰を下ろして呆然とします。怖いほど美しいからです。

自分がこの世界に吸いよせられて、その一部であるような奇妙な一体感があります。

そこで、私は、ポットから紅茶を飲んで、そして身体を伸ばしてあくびをするのです。

ああ、今日も一日がいい日でありますように。そして柏手を、お日様にポンっとひとつ。

さぁ、仕事だ。

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ヴァイツゼッカー演説のからくり

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戦後ドイツがこの「人道に対する罪」を、どう贖ったかみてみましょう。 

たぶん、戦後補償について書かれた本のすべてに登場するのが、この余りに有名な1985年5月のドイツ連邦議会におけるヴァイツゼッカー大統領の一説です。 

やや長文ですが、引用します。 

「我々は、戦いと暴力支配とのなかで斃れた人々を悲しみのうちに思い浮かべる。ことに強制収容所で命を奪われた六百万のユダヤ人・・・ソ連・ポーランドの無数の死者・・・命を失った同胞・・・虐殺された・・・シンティ・ロマ(ジプシー)、精神病者・・・銃殺された人質・・・ドイツに占領されたすべての国の抵抗運動の犠牲者を。
罪の有無、老幼いずれを問わず、我々全員が過去を引き受けねばならない。全員が過去からの帰結に関わりあっており、過去に対する責任を負わされているのである。
過去に目を閉ざすものは結局のところ現在にも盲目となる。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険にも陥りやすいのだ。
 若い人たちにかつて起こったことの責任はないが、その後の歴史の中でそうした出来事から生じてきたことに対しては責任がある。若い人たちにお願いしたい。他の人々に対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないように。敵対するのではなく、たがいに手を取り合って生きていくことを学んでほしい」(永井清彦訳)
 

もはや神話的な演説です。その文学的修辞の格調の高さに世界が感動の涙を流しました。 

この有名な部分は、実は長い演説のごく一部なのですが、ここだけかピックアップされて取り上げられています。

この部分は繰り返し各国のメディアによって流されて、「ドイツ人は過去のホロコーストと侵略の歴史を直視し、若き世代もまたそれを背負って生きていく。それがドイツ人が犯した大罪の償いなのだ」と、国際社会は受け取りました。

しかし、この演説の原文テキストを当たれば、そこにはさまざまな「趣向」が凝らしてあることに気づくはずです。ざっと読んだだけでも、この演説は意識的な混同をしています。

たとえば前段のユダヤ人虐殺と、ソ連、ポーランドの侵略に伴う死者を一緒にしていることです。

これは先日から、繰り返し述べたように、一般的戦争犯罪と、ユダヤ絶滅政策をあえて一緒にすることで、本質をボヤかすトリックです。

演説テキストは長文であり、しかもこの部分は前後を読まないと理解できない仕組みになっています。 

ヴァイツゼッカーは、謝罪などしていないのです。
阿部賢一氏よるhttp://www.tulip.sannet.ne.jp/ken-abe/rondan-2014-07.html 

たとえばヴァイツゼッカーは、単純な第2次世界大戦への謝罪を述べたのではなく、巧妙にドイツ民族、あるいは国民一般もまた、ナチスの被害者だったのだと言っています。この部分です。 

「しかし日一日とすぎていくにつれ、5月8日(※ドイツ降伏の日)が解放の日であることがはっきりしてきました。(略)ナチズムの暴力支配という人間蔑視の体制からわれわれ全員が解放されたのであります」

ドイツ国民は負けたのではなく、「解放」されたのだと、言っています。

ヨーロッパ全域に対する侵略行為、そしてユダヤ民族絶滅もまた実行犯はナチスであって、それは極少数派だったのだと言っています。

ホロコーストも、大部分の国民はそれを知らなかったし、ましてやそのとき生れてもいない若者には責任をとりようがないのだ、と言っています。原文はここです。 

「ユダヤ人という人種をことごとく抹殺する、というのは歴史に前例を見ません。この犯罪に手を下したのは少数です」
「一民族に罪がある、もしくは、無実である、というようなことはありません。罪といい無実といい、集団的ではなく個人的なものであります。今日の人口の大部分はあの当時子どもだったか、まったく生れていもしませんでした。この人たちは自らが手を下してはいない行為について自らの罪を告白することはできません」

ヴァイツゼッカーは、あくまでも「集団的罪」ではないと述べています。「集団的」とは聞きなれない表現ですが、一般には民族的、国家的なことを指します。

ここで彼は、ドイツの犯した残虐行為やユダヤ絶滅政策は、あくまで「個人的なもの」だと言っているのです。

うっかり見過ごしてしまうていどに慎重に、「罪がある、もしくは無実である」というように巧妙にボヤかしているからわかりにくいだけで、文脈で読めば、ドイツ民族に「(集団的)罪」はないと言い切っているのです。

つまり、ヒトラーとナチス党の「個人的」犯罪である、とヴァイツゼッカーは言いたいのです。そして、この長文の演説テキストにはただの一カ所も、ドイツが侵略した国々への直接的謝罪の文言はありません。

わが国ならばこう言っている部分です。

「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。」(村山談話1995年8月)

あー、内容ウンヌンの前にダサーっ(苦笑)

ヴァイツゼッカー演説が、謝罪文学なら、村山談話はまるで、どこかの市議会の答弁書。

村山さん、あなたに文学的素養がないのは分かっているんだから、スピーチライターを司馬遼太郎さんあたりに頼みなさいよ。

小役人に書かせるからこういう無味乾燥でクソ面白くないものが出来るんです。まぁ、万年ノーベル文学賞候補の村上春樹氏でもこのていどです。

日本が起こした戦争に中国人も韓国人も怒っているが、日本人には自分たちが加害者でもあったという発想が基本的に希薄だし、その傾向はますます強くなっているように思う」 

このような悪しきナイーブさ、あるいは政治的幼児性は、ヴァイツゼッカー演説が、文学的修辞にまぶしてぼやかしまくって、すべての罪をナスチにすり替えて、ちっとも謝罪していないのと対照的です。

村山さんは床に額を擦りつけんばかたにして謝っているのに、誰の心にも響かないのだから、最悪です。

一方、ヴァイツゼッカー演説は、「過去に眼を閉ざす者は結局のところ、現在に盲目となる」という決めゼリフを言いながら、肝心なドイツの軍事侵略を受けたく国々であるポーランド、チェコ、ソ連、フランスなどの多くの諸国に対してはひと言の言及もありません。

下手に謝ると、その代償を支払わねばならないからです。謝罪と賠償はかならずワンセット、それが世界の常識です。

わかりましたか。そう、ヴァイツゼッカーは何も謝罪していないのです。ただ抽象的に「思い浮かぶ」、「心に刻む」「思いを馳せる」remember, recall, commemorate, mourn, pay homageという表現に止まっています。

止まっている、という言い方は正確ではありません。あえてそこで寸止めして、すべてをヒトラーになすりつけたのです。

あながち皮肉ではなく言いますが、なんというずぶとさ、そして驚くべきしたたかさでしょうか。

まず絶対悪のヒトラーが大前提としてあり、その圧政によって、初めにドイツ国民が支配され狂気に追いやられ、そしてヨーロッパ全域に対する侵略とユダヤ人抹殺にに駆り立てられたという図式です。

そしてわれわれドイツ民族もまた被害者なのだ、ということです。自分たちドイツ人一般は「被害者」なのだから、私たちを責めるな、と言いたいのです。

いつのまにか、加害者と被害者が、同じ席に座って、ヒトラーを糾弾しているような錯覚に襲われます。

ヴァイツゼッカーが、唯一責任を認めているのは、逃げようがないユダヤ人に対するホロコーストだけで、それもまた「一部のナチス」の責任なのだとしています。

つまり、悪いのは極悪なヒトラー一派で、一般国民はノット・ギルティ、そして侵略したドイツ国防軍もまた「普通の戦争を戦っただけだ」(ニュールンベルグ裁判での国防軍の釈明)というのが、 ヴァイツゼッカー演説で、これこそが戦後ドイツの公式の見解なのです。

Photo(写真 ワルシャワのゲットー英雄記念碑の前でひざまずくブラント首相。ユダヤ人ゲットーてあることに注意)

上の写真は1970年12月7日、ヴィリー・ブラント西ドイツ首相(社会民主党=SPD)が、ワルシャワを訪れた際に、ゲットー英雄記念碑に献花し、ひざまずいて黙祷を捧げた時のものです。

このひざまずく黙祷のポーズは、後のヴァイツゼッカー演説と並んで強烈な<反省>プロパガンダを発しました。

日本のリベラル知識人が総なめにされただけではなく、中韓はこれこそが正しい歴史認識だと絶叫したことを覚えています。Photo_3

(写真 2013年7月日韓サッカー試合における垂れ幕)

このハングルの垂れ幕の意味は、「歴史を忘れた者に未来はない」です。

また、わが国では、「日本の戦後補償がされていない」という論説や運動が、「ドイツの戦後補償に見習え」とばかりになされてきています。

安倍首相は、今年終戦70年の談話を出すことになっていますが、ぜひこのヴァイツゼッカー演説を学ばれることをお勧めします。

いかに文学的修辞を巧みに使うか、いかにして本質をズラして謝らないか、いかにして謝っていないのに謝ったようにみせるのか、という政治的パーフォーマンスを学べる宝庫のような演説です。

さぁ、大声で叫びましょう!せーの、ドイツに学ぼう!

では実際に、ドイツはどのような賠償を行なったのでしょうか。長くなりますので、それについては次回に。 

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ドイツのホロコースト政策を知る

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今度は植村隆氏が桜井よしこ氏を訴訟したそうです。雑誌掲載論文が気にくわなかったそうです。http://www.asahi.com/articles/ASH2B53L5H2BIIPE00X.html

たぶんこの調子で、日弁連大弁護軍団を率いて、片っ端からやっていくのでしょうね。

やるだけで宣伝大会、負けても不当判決、勝てば大金持ち、弁護費用は着手金無料、だろうしね。

まったくどうかしてるよ、あの人。ちょっと頭冷やしたほうがいいんじゃない。むしろ植村氏の側の人で、諫める人がいないのかしら。

朝日さん、労組が支援しているみたいだけど、シャルリ襲撃事件でも、さんざん「言論には言論で返せ」って言ってたことを、元社員にも守らせなさいよ。こんなことが慣例になったら、日本の言論界は大変なことになりますよ。

さておかしな人は放っておいて、ドイツと日本の戦争問題を続けます。「歴史修正主義」というレッテルを持ち回る人たちに特徴的なことは、おそらく真面目にドイツの犯したホロコーストを学んだことがないように思えることです。

感覚的に大雑把にナチス犯罪を捉えています。

よく知らないからこそ、安易に混同に基づく濫用をしてしまうのでしょうが、日本とドイツを較べたいのなら、ホロコーストがどのようなものだったのか知った上でなければ゛本来は議論にならないはずてす。

さて、ドイツが行ったホロコーストは、「自国民虐殺」から始まり、やがて東ヨーロッパ、ソ連領内に住むユダヤ民族全てをを根絶やしにする「絶滅政策」に発展していくことになります。 

当初の被害者は、ドイツ領内に住むユダヤ系市民でした。彼らはドイツ国籍を持ち、ドイツ語をしゃべり、職業を持って税金を払い、徴兵にも応じてきた立派なドイツ市民たちでした。ただ、宗教と、習俗が違っただけです。

彼らは、数百年以上も渡ってドイツに住むか、ロシア帝国領内のポグロム(ユダヤ人迫害)を逃れて、比較的迫害が緩やかに見えたドイツ国内に移り住んだ人たちでした。

ひと言お断りしておくほうがいいでしょうが、反セム主義(ユダヤ)主義はドイツ固有の因習ではありません。

むしろヨーロッパ全域に拡がる根深い宗教的対立、民族的対立であって、数度もの大規模なポグロムが起きて、大量のユダヤ人が虐殺されてきました。

Photo_2(上 1819年、へプへプ・ポグロムでドイツ農婦たちに農具で虐殺されるユダヤ人たち)

特にひどかったのは帝政ロシア領内で、組織的、計画的にユダヤ人虐殺が行なわれたといいます。

フランスにおいてすら、ドレュス事件や占領下のユダヤ人狩りに協力した多くのフランス人が発生しました。

この汎ヨーロッパ的な反ユダヤ主義の下地があってこそ、「最終解決」を叫ぶヒトラーというモンスターが生れることになるのです。

ナチス(ドイツ社会主義労働者党)はこの反ユダヤ主義を巧妙に利用し、これを起爆剤として政権に就きました。

当初のナチスのユダヤ人に対する「最終解決」政策は、「追放」でした。

ドイツ国内に在住した56万人のユダヤ人を、様々な難くせをつけた差別規定によって国内に住めなくし、一定の地域に追いやってしまうことを考えていました。 

本気でマダガスカルに隔離することを考えていましたし、一部のユダヤ人はパレスティナに受け入れられています。 

しかし、1938年のオートリア合併、39年チェコ・ズデーテン地方とポーランド西半分と占領地域が拡がるにつれて膨大な数のユダヤ人を「処理」せねばならなくなります。

ここで、彼らの最初の誤算が始まります。

ポーランド占領地域においてだけでも、実にに200万人のユダヤ人が居住していたからです。

ナチスは、このユダヤ人から土を奪い、ドイツ人を入植させるためには単なる「追放」では事足らず、劣悪な居住環境のゲットー(スラム)に追い込んでいきます。 

実はナチスは、このポーランドのゲットーから、さらに西の「東方」に移住させてしまうことを考えていたのですが、その後1941年6月にソ連領内に侵攻すると、さらに300万人というユダヤ人が居住していることが分かりました。 

もう「移住」させる場所がないと分かったナチスは、ここでホロコースト政策に着手します。 

3000人もの「行動部隊」(ディンザッツグルツペン)と呼ばれる、ユダヤ人虐殺専門部隊を組織し、ユダヤ人を捉えて殺害していきます。 

医師のエルヒャナン・エルケスは、荒れ狂うユダヤ人殺戮について英国にいる子供たちに宛てた1943年の手紙の中でこう書いています。

「彼らは大量殺戮という任務を終えると、頭のてっぺんから靴の先まで、泥とわれわれの仲間の血にまみれて戻ってきて、テーブルについて、軽い音楽を聴きながら、料理を食べ、飲み物を飲むのです。彼らはまさに殺戮のプロでした」(杉原幸子『六千人の命のビザ』)

しかし、これも戦争が膠着し先行きが見えなくなると、恒久的虐殺施設をポーランド領内を中心として建設するようになります。 

これがアウシュビッツに代表される、6カ所の大規模絶滅収容所でした。

2(写真 米軍によって餓死寸前で解放されたオーストリアの強制収容所の人々『ヒトラーと第3帝国』)

ホロコーストが、それまで東ヨーロッパではびこっていたユダヤ人に対する集団的迫害行為であるポグロムと決定的に異なるのは、このホロコーストが冷血な合理主義によって運営されたことです。 

ドイツ人はなんの感情も交えず、日常業務としてユダヤ人を駆り集め、男女、老若、労働が出来るか否かで「仕分け」、出来ない子どもや幼児はそのままガス室に送り込みました。 

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(写真ソ連軍が撮影したアウシュビッツ収容所の子どもたち。彼らは労働力にならないとされ、虐殺を待っていた。引用同上) 

まさに近代的食肉工場のように、ユダヤ人を「最終解決」していったのです。ある意味、憎悪に彩られたポグロムより、遥かに恐ろしい人間性の頽廃です。 

これは、まるで虫を殺すように広島・長崎の一般市民の頭上に原爆を投下した、恐ろしさに通じるものです。

ちなみに、私たち日本人は、歴史的に反ユダヤ主義とは無縁でした。

むしろ30年代には、ナチスに追われるユダヤ難民を、ソ連経由で満州に入植させて保護しようという「河豚計画」があったほどです。

しかしこのユダヤ人救出計画も、39年にソ連が独ソ不可侵条約を結んだことで挫折します。 そして同年のポーランド、バルト三国の侵攻により、ユダヤ人の脱出ルートは完全に閉ざされます。

その閉じようとする最後の扉を渾身の力で開いた人物がいました。それがリトアニアのカナウス領事であった杉原千畝です。

彼は、最後の最後まで「命のビザ」をユダヤ難民に渡し続けました。彼が、しびれる手でビザを渡しながら残した言葉かあります。

「ヴァジャ・コン・ディオス!」神と共に行きなさい、という意味だそうです。

2011年の東日本大震災において、イスラエル大使はこう述べています。 

「1940年、リトアニアの総領事だった杉原千畝は、少なくとも6000名のリトアニア在住のユダヤ人に日本への立ち入りを可能にするビザを発行してナチスの魔の手から命を救いました。私たちはその恩に完全にむくいることはできませんが、多くユダヤ人が今こそ杉原千畝への敬意を表すべく、日本を助ける時であると言っています。ユダヤ人が助けを必要とする時に日本の皆さまに手を差しのべていただきました。そして今度は私たちユダヤ人が日本に手を差し伸べる時なのです」(ニシム・ベンシトリット駐日大使)http://www.jinruiaizenkai.jp/NPO/alia/raiensha/taishi/nishim-3.html

このようにホロコーストは、戦争行為とはなんの関係のない次元で始まり、戦争の拡大と共に地域を拡げただけであって、戦争行為とは無縁なユダヤ人絶滅政策であったのです。この本質を忘れてはなりません。 

ですから、第2次大戦時にあった1899年ハーグ陸戦条約、1929年ジュネーヴ条約が定める、非戦闘員虐殺や非人道的兵器の使用、あるいは捕虜に対する虐待などの「戦争犯罪」の概念には入らない異質な存在なのです。 

ある意味、この裁きようがない巨大な犯罪行為を前にして戦勝国側は、ニュールンベルク裁判において一括して「人道に対する罪」「平和に対する罪」というあいまいな名で処罰しました。

それと同時に、ホロコースト政策とはなんの関係もないわが国までも、「平和に対する罪」という類似の罪名で裁いたことが禍根を残しました。 

まったく別次元のドイツと日本の戦争が、同じ罪名で裁かれてしまったからです。 この汚名によって、長くわが国はドイツと同様の罪を背負わされることになります。

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JA全中問題は白黒つけられないんですよ

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南の島さん。おひさしぶりです。 

まぁ、私の仕事も農閑期などというシャレたものはないのですが、TPPはいかんせん分からない。情報が豚肉関税程度しか出ないわけです。

情報が出ないということ自体も、大問題なんですが、これでは噂を根拠に論じるしかないので困っています。

私は、TPPは長期停滞して、第2のWTOとなりそうな気がします。いわゆるTPN(トランスパシィフィック・ネゴシエーション)化すると見ています。

とてもじゃないか、オバマの任期の来年までには間に合わないのではないかな。すると政権が替わってどうなりますか。

仮に日米が決まっても、社会主義的経済が残るベトナムなどがウンと言わないでしょう。

すると、日米2国間で妥結してしまうほうが速いということになります。

そのうち日米FTAに変化するんじゃないでしょうか。そうなると、また論陣張らねばならんでしょうね。

でもTPPよりよほどましです。交渉内容がわかるもん、こりゃ大きい。

さて、農協問題ですか・・・。正直言って私の中で、煮詰まらないんですよ。 

私は農協「改革」について半分正しくて、半分懐疑的です。JA全中の監査権限についてはかねがね批判的でしたし、その他の全中のコントロールなどは、ないほうがましとさえ思っています。

特にやる気のあるJA単協はだんだん、全中支配下から離れていってますしね。 

特にあの上納金としての下部組織から上がる80億円などで「全中貴族」を養っているかと思うと、胸くそが悪い。 

何度か全農の連中とは仕事で付き合っているんですが、ほとんど農業現場を知らないし、エリート意識ばかり強くて、ただのサラリーマンか役人。

実際、連中が天下って関連会社の幹部になるんですが、使えないとたたき上げには不評とも聞きます。

私からすれば、いつの間にか、農協法の影に隠れておかしな巨大組織作っちゃったね、というのが実感です。

金融にいたっては、もうひとつの争点だった準組合員資格と同じ問題です。農民以外に農協法を利用して金融をしていいのか、ということになります。

通常なら日本第2位のメガバンクなんだからフツーの金融機関として競合すべきなんですが、そうはなっていません。そりゃ農業外から言われるわな。

してなによりJA全中全体の収益の大部分が金融と共済事業だということです。一般事業など確か2割程度の収益しか上げていないでしょう。

この金融と共済がJAパワーの根源であって、片足は組合法の保護下にあるというのはやはりおかしいでしょうね。 

同時にこれは、JAの経営の根幹なわけで、そっちで儲けて、あまり儲からない出荷手数料などの本業を助けるというのも、まぁ分からないではありません。

実際、分離されたら潰れる単協が続出するでしょうね。特に山間、離島部は厳しいですね。

これを潰したら、たぶん日本農業はもたないのは確かなんです。だから頭が痛い。地域農業を考えると、「改革派」のように、金融分離しろ、とスッキリ私には言えません。 

といっても、私のような非JA系独立団体をやっていた身からすれば、ずいぶん甘えているいるなぁ、という気分も確かなんですよ。 

組合員農家は、資材もJA任せ、産直していたら交渉から何からみんな職員任せで、自分は交流に顔をだすだけなんて珍しくもありません。

だから、もっと安い所から資材を買おう、いいものを自分の名で出そうというモチベーションがなくなっていってしまっています。

今、直販所が勢いがあるのは、この本来のモチベーションが直販所にあるからです。

60年以上前の農民から米を集めて都市に送るという国家統制時代に出来た農協のあり方が、今、そのまま温存できるとも思いませんしね。曲がり角は確かでしょう。 

いい所を残して、問題点を摘出できればいいのですが、難しいだろうな。いいところと悪い所が、渾然一体になっていますからね、今のJAは。 

しかし、結局あいまいな妥協になると思います。今回も全農は、監査権限で譲って、バーターで準組合員をとって金融を温存したということになりますが、これと似たかんじで進むんじゃないかな。

自民にとって「佐賀の乱」は応えたでしょうからね。

一方、下部の単協は今は戸惑っていますが、せいせいしている気分もあるんじゃありませんか。 

ゼンゼン土も家畜にも触ったことがない全農貴族に気を使わなくてもよくなるし、年間80億の上納もなくなるし、おかしな合併もさせられる宣言もなくなるし、資材も自由になる代わりに、いざという場合の全農頼みが効かなくなるのは、ちょっと怖いでしょうね。 

というように、簡単に白黒がつけられません。今後、このJA改革をどのように着地させるのか、非JA系の私としては注目するところです。 

いずれ、もう少し整理して書くことにはなるでしょうが、正直言って、自分の中で煮詰まらないんです。すいません、そういうことでもうちょっとお待ちを。

■お断り 一回アップしたホロコーストの連載は、明日に掲載します。 

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日本の戦争と、ドイツの戦争を同列に比較してはならない

024
このところ植村氏の支援の運動家やマスコミは、批判者に対して一様に「歴史修正主義」という欧米風のレッテルを貼ることが多いようです。 

たとえばある支援者は、「植村記事に対する批判が長期に渡って続いている。何しろ歴史修正主義者が権力を握っている異常な国だ」と叫んでいます。  

歴史修正主義((Historical revisionism)は、あまり日本ではなじみがない概念ですが、本来は、「歴史の真実を探る営為の中で、新たに発見された史料や新たな解釈によって歴史を見直していく」ていどの意味でした。 

しかし、今や本来の意味から離れて、「第2次大戦後の世界秩序に対するする異議申し立てをする右翼的思想傾向」という「否認主義」(ネガシオニスム)として用いられています。 

この歴史修正主義という概念が生れたきっかけは、「ナチスの600万人ユダヤ人のホロコーストはなかった」という説が、ドイツのネオナチによって唱えられたあたりからです。 

この延長で、戦前の日本の擁護をすることも、ネオナチと同様の歴史修正主義だという論調が生れたのです。 

しかし、この問題点は、ナチスドイツと日本をまったく同一な次元で並べて、裁断していることです。ほんとうにナチスと日本は、同じような「戦争犯罪」をしたのでしょうか? 

いいえ違います。殺されたユダヤ人の大部分は、ドイツ国籍を持つユダヤ系ドイツ人でした。すなわち、ドイツ国民なのです。

後にポーランド、チェコスロバキア、フランスなどに拡大するものの、基本は国家が自分の国民を虐殺した、これがホロコーストなのです。

したがって、一般の「戦争犯罪」を規定する戦時国際法や交戦規定が、国家間の戦争を想定しているいることから大きく逸脱しています。

つまり、ドイツは自国の民をただユダヤ系だからといって絶滅し、やがて他国領土のユダヤ人まで虐殺することを戦争目的にまで高め上げてしまったのです。 

こんなエピソードがあります。 

まだドイツが東西に別れている頃に、ベルリンの集会で、日本人のドイツ文学研究者が、「日本にも捕虜収容所があり、南京大虐殺もありましたから同罪です」と反省の弁を述べたそうです。 

すると、出席していたユダヤ系ドイツ人がこう言ったそうです。 

「米国にも、日本にも収容所はありました。南京や広島・長崎といった虐殺もあったかもしれません。しかしナチス・ドイツのようにユダヤ民族という一民族を根絶やしにするために収容所を作り、それを冷酷かつ合理的に運営したのはドイツの他ありません」 

実に示唆に富んだ話です。日本の犯した戦争犯罪を、安易にユダヤ人絶滅政策と同格に並べて、「ドイツはあんなに反省しているのに、日本人ときたら反省が足りない」という表現が、日本人は好きです。 

日本国内のみならず、中韓もしばしばそのような表現を使用して、日本攻撃をしています。 

私はホロコーストについては、詳細な記事を書きたいとかねがね思っていて、資料を集めてきました。 

とりあえず私が今言えることは、ホロコーストとは人類史上かつてない規模と、冷徹な「合理的運営」によって計画的にひとつの民族を地上から抹殺しようとする所業だったことです。

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 (写真 アウシュビッツ正門。ここに続く線路からは毎日、膨大なユダヤ人が送り込まれて、その多くは戻ってこなかった)

下の地図をご覧ください。白いドットが、ユダヤ人絶滅収容所です。その余りの多さをに驚愕します。 

Photo
(各地に強制収容所はあった(館内掲示の地図の部分地図中の赤丸がアウシュヴィッツ-ビルケナウ収容所。ここだけで150万人が虐殺された)
http://konotabi.com/auschwitz/toppage.htm#photos

これにより亡くなったユダヤ人は、1939年9月から、ドイツが敗北する1945年5月までの間、約600万人といわれています。この中には、100万人を越える子どもが含まれています。 

当時のヨーロッパ全域で947万人のユダヤ人が居住していたとされていますから、実に63%ものユダヤ人が虐殺されたことになります。

お聞きします。これは戦争でしょうか?

違います。戦争は国家間の軍事的紛争ですが、ホロコーストはただの「ユダヤ人殺し」でしかありません。

戦争ですらないただの恐るべき大量殺人、しかも多くは自国民虐殺なのです。 

この犯罪の首謀者であった、ナチス親衛隊帝国指導者ハインリヒ・ヒムラーの言葉が残されています。 

この人間が発したとは思えない台詞に、ホロコーストの恐ろしさが集約されています。

「いわゆる反ユダヤ主義というものは、人道上の問題ではない。それはノミやシラミ退治と同じく衛生上の問題である」

長くなりましたので、次回に続けます。

※参考文献 
・芝健介『ホロコースト』
・「
ホロコースト否認」「ホロコースト否認論の考察
ドイツ戦後補償表 

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歴史探求を「学問外」圧力で決めてはいけない

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植村隆氏は名誉毀損(!)訴訟以来、積極的に身内の講演をこなしています。昨日も札幌で行なったようですが、内容はいつもの「植村定食」で、「私は捏造記者ではない」の一点張りです。 

4月くらいから法廷が開かれるのですから、いいかげん検証に耐えうる新事実を出したらいいと思えるんですがね、まぁ、いいか。たぶん何もないんですよ。 

脅迫状などは実に卑劣で、その点はお気の毒としかいいようがないのですが、いまだ身内の支援者と、海外メディアにしか姿を表さないまま、歴史上の真実を法廷に持ち出すという姿勢が問題なのです。 

歴史上の真実は、政治的圧力を用いて決着させるべきではありません。

ですから、彼を社会的に抹殺させようというような脅迫者の企みは、かえって何が真実だったのかに対して眼を塞ぐことになります。 

逆に植村氏のように、日弁連の180人もの大弁後団を率いて、労組や政党などの左翼勢力を率いて法廷に持ち込むのも、筋違いなのです。

植村氏が、脅迫行為をした者に対して民事訴訟するならまだわかりますし、それはむしろすべきでしょう。あのような行為をのさばらせておいたら、よくありません。

しかしあの卑劣な脅迫者と近代史研究者として追及してきた西岡力氏や、メディアとして植村手記まで掲載した文芸春秋社まで訴えるのは、筋違いの逆上もいいところです。 

本来、歴史上の真実の検証は、法廷で行なうものではなく、公開討論などの場で学問的資料を突き合わして討論すればいいのです。

両陣営の雑音が煩ければ、月刊文藝春秋あたりの紙面を借りて、秦郁彦氏や西岡力氏と誌上討論などすればいいでしょう。 

歴史の専門家でもない裁判官に、歴史上の白黒をつけてもらうという姿勢そのものが、ヘンなんですよ。 

というところで、後半は明日に。

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日曜特設良ボツ回収コーナー  慰安婦問題の構造について

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もうこのままボツかなという可哀相な記事を復活させる日曜特設コーナーです。本来、去年アップしようと思っていたら、まぁご承知のような状況でして、あえなくボツに。

まぁ、関心ある方はお読みください。

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慰安婦問題は膠着しています。あいかわらずマイク・ホンダは韓国とつるんで慰安婦聞多いをホワイトハウスに訴えているようで、マグロウヒルの教科書問題に対して外務省が抗議したようですが、回答はすげないものでした。

つまり世界は、この朝日謝罪事件以後も、なにひとつ変わっていないことになります。

朝日新聞は、人質事件で国民の関心かそれたのをこれ幸いに、「第三者委員会の報告書は重く受け止めている」ていどで、お茶を濁そうとしているようです。

本来、この新聞には、世界中の主要紙に、訂正文を全面広告で打つていどの誠実さがひつようだったはずですが、おそらく逃げきるつもりでしょう。

さて、火元の植村隆元記者は意気軒昂で、訴訟すら起こしています。

いい機会ですから、あらためてこの慰安婦問題がどんな構造でできているのか、その中で植村記事はどこに位置づけられるのかを見ておきましょう。

「慰安婦問題4点セット」とでもいえるパーツで成り立っています。 植村氏が関わったのは②③ですが、この4つすべてに、朝日新聞は深く関わっています

① 1983年の吉田清治による「吉田証言」
② 1991年の金学順さんの証言
③ 1991年の女子挺身隊を慰安婦とした報道
④ 1992年1月の吉見義明氏の「防衛研究所から日本軍関与の証拠見つかる」という「発見」

①の吉田清治という詐話師をまことしやかに、世に送りだして、その嘘八百を広めたのも朝日。

②の金学順さんの証言を植村記事が歪曲したのも朝日。

③の女子挺身隊を慰安婦と結びつけて、「日本軍は12歳からの朝鮮人少女を慰安婦にした」というデマを振りまいたのも植村記事の朝日。

そして、④の政府関与の「新資料」なるものを発見したと騒ぎ立てて、宮沢政権に河野談話を書かせたのも、また朝日でした。

植村手記の中で、彼は「他の北海道新聞や読売もやったろう」などと言っていますが、その発信量のズバ゙抜けた多さと、与えた社会的影響は、他社とはまるで比較になりません。

慰安婦デマの発信源こそ、隠れもなく朝日新聞なのです。 

植村氏はこの中核を成す②③に関わっていて、その責任から逃れることは不可能です。 

①の吉田証言と吉見「発見」については、別の機会に触れるとして、今、私がテーマにしているのが金学順さんの証言です。 

彼女の証言がインパクトがあったのは、初めての実名を名乗り出ての証言だったからです。 

彼女が日本政府を訴えるために話したテープが、植村氏がいう「一本のテープ」で、これが植村記事によって一躍全国に広められて、未解決の「従軍慰安婦問題」が残っていて、その戦後補償をするべきだという世論の流れを作り出したわけです。 

さらに、許しがたい残酷な女性に対する戦争犯罪が日本軍によってなされたという思い込みが、完全に染み渡りました。 

では、この日本国民に衝撃を与えた金学順さんの証言とはいかなるものだったのでしょうか。 

これが、実は驚いたことには、5種類あります。(欄外参照) 

①(図)Aは、慰安婦訴訟団体の挺身隊協議会の91年の聞き取り(93年文書化)のもの
②(図B)は、91年12月の提訴で来日時の聞き取りもの
③(図C)は、92年8月(推定)伊藤孝司氏聞き取りのもの
④1992年8月朝日新聞植村記事「
女子挺身隊」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた」
⑤ 1997年12月 韓国連合通信 記事
 

この4種類の金学順「証言」にはこのような差異があります。 

・「父が独立運動家で日本軍に殺された」と言っているのはBのみ
・「母の再婚を嫌って家出をした」と言っているのはBのみ
・「実母に40円で売られた」と言っているのはAのみ
・「北京の食堂で日本軍に見つかり、レイプ゚されて慰安所に連行された」と言っているのはAのみ
・「キーセンに売られた」を省き、「女子挺身隊として強制連行した」と書いたのは、この時点では朝日記事のみ
・「満州で日本軍に連行され、昼は軍の弾運びをして、昼は10人~15人の相手をした」と言っているのは連合通信記事のみ
 

あまりに毎回違うので、秦氏が、原告代理人の高木健一弁護人に「もっと説得力がある証人はいないのか」と聞くと、「実は私もそう思っているんで韓国に探しに出かけた。追加分はいいものばかりですよ」とのことだったそうです。(秦郁彦『慰安婦と戦場の性』) 

おいおい高木弁護士、あんたは魚屋か、ポンビキか(苦笑)。 

まぁこの人が、そもそも「慰安婦はいないか」とチラシを撒いて、慰安婦訴訟の原告を探しに行ったところから、韓国で火が点いたわけですから、限りなくポンビキ風であっても当然かもしれません。 

どうしてこうも日弁連の弁護士たちは、貧困ビジネスや慰安婦訴訟ビジネスが好きなんでしょう。 

それはともかく、おそらくこのように違った証言を金学順さんがしているように見えるのは、その時の周囲の思惑で、オリジナルからどんどん離れて行ったからです。 

その最終変化モデルが、97年の連合通信の「満州で日本軍に連行され、昼は軍の弾運びをして、昼は10人~15人の相手をした」ということになります。 

問題はどこで、日本政府の責任を問えるのかですが、当人が女衒に連れられて慰安婦になったではしまらない話になってしまいます。 

それゆえに出てきたのは、日本軍のレイプ」という金学順さんのAの証言か、植村記者の「女子挺身隊として組織的に強制連行した」という作り話になるしかなかったのです。

こうして並べてみると、植村氏の「創作」がいかに大きなものだったのか、慰安婦聞問題と称されるものが朝日新聞のフレームアップだったのか、改めてお分かりになると思います。 

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               秦郁彦『慰安婦と戦場の性』より

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土曜雑感 ISILのささやきに手を貸す人々

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ああ、ISILの不快にして、深い沼に沈んで行くぅぅぅ・・・、って言うのが今の私の実感です。 

だんだんブログのタイトルの、「農」とも「島」とも遠ざかって行くよぉぉ。フランスのテロ事件の前に、暇みて書いておいた記事の原稿が、全部ボツになったよぉ(号泣)。 

こういう時には、私の良く言ってあげれば凝り性、ハッキリ言って粘着性がイヤダ。実生活では淡白なんですがね。 

まぁ、色々な切り取り方があっていいんですが、テレビのISIL報道って中身薄いよね。 

だだ薄いのなら我慢しますが、昨日も書いた報ステなんか、まんまISILの主張を、彼らの映像を使ってダラダラ流しています。 米国なら、反テロ法で逮捕だな、こりゃ。 

それに古賀茂明さんなんかが、こんなことをくっちゃべっています。
http://www.at-douga.com/?p=12962 

Photo                (写真 報ステ1月23日)

 「イスラム国がやってる事は、もうとんでもない事なんですけれども、言ってる事にはけっこう共鳴する人たちが多いんですね。
で、それは何かと言うと、例えば 第一次世界大戦後に、まぁイギリスとかフランスがですね、「勝手に国境線決めちゃって民族が分断された」とか、あるいは最近であれば アメリカのですね、アフガンとかイラクとかですね、ああいうところの戦争でですね、「アメリカに罪の無い女性や子供を含む民間人が沢山殺されてるぞ」と。で、そういう事に報復するんだと いうような、あの主張っていうのは、これはあの~ 一面では嘘じゃなくて、で、イスラムの中にはそれに共鳴する人がいる」

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ぜひ、上の薬をおつけ下さいと言いたいところですが、古賀さんみたいなタイプは、オレほど賢い奴はいないくらいに思っているから困るんです。 

古賀さんって経済産業省で審議官、つまり霞が関村のエリート中のエリート。将来は次官候補だった人ですぜ。

スゴイね、うちの国。高級官僚がテロリストを擁護しちゃうんですから。 

彼は、はっきりとISIL支持なんですが、ただ出世したいから官庁にいる時は表立って言わなかっただけ。 きっと居酒屋なんかでは、部下をつかまえて言ってたんだろうな(笑)。

よくいます、こんな手合い、霞が関には。 

彼らが学生時代には揺るぎない常識だったのは、戦後リへラリズムでした。

彼らは子どもの時から勉強ばかりして、センセの言うことを丸呑みするテーチャーズ・ペットでしたから、とうぜんセンセが教えるこのイデオロギーの信奉者になりました。

あ、今「揺るぎない常識」って書いちゃいましたが、そうなんです。当時一貫して知識人とその卵である学生のイデオロギーは、戦後民主主義、別名「薄いサヨク」でした。

当時の大学や論壇で、安保賛成なんて言うのは相当に度胸が必要でした。そんな「空気」が支配していたんですな。

ですから、団塊の世代と私のようなポスト団塊はほぼ例外なく、どこかで一回は「薄いサヨク病」に染まっています。

その血中濃度が高いと、ほんものマルクス・レーニン主義になっちゃって、火炎瓶を投げたり、鉄パイプでチャンバラをすることになるというのが、当時の貧しい精神風土でした。 

サバは頭から腐ると言いますが、困ったことには、この「薄いサヨク病」は偏差値が高い方から罹っていきました。 

マルクス主義が一種の救済思想で、世の中を全否定してみせて、教義を修めた一部のエリートによって橋下さん風に言えば、「グレートリセット」しちゃおうという思想だからです。 

そのために頭のいい人が「党」指導部を作って、世の中を設計し直そうというエリート主義ですから、その牧師の役割は学生がやっていたのです。

ま、「遅れた一般大衆」は、生きていくのに必死でそんな高邁な説教に耳を傾けませんでしたから、大学では多数派でも一般社会では絶対的少数派でした。 

ここで焦ってハネた人かちは、三菱重工の前で爆弾を破裂させてみたり、妙義山に埋められたり、アラブに赤軍しに行ってしまいました。 

しかたがなく、「体制内的改良」を目指したのが、古賀さんみたいな人たちです。

古賀さんは国家公務員上級職で経産省へ、そして上級職並に難しいと言われた朝日新聞にも大勢の似たような人達が入って行きました。 

こういう人は賢いのでデモになど行かず、ちゃんと勉強して国家官僚や大手メディアに潜り込んで、やがて歳相応になると権力中枢に昇進していきます。

そして、エラくなると、政府やメディアという強力な権力装置を使って「改革」をしようと考えるのですね。 

そして運命の1991年12月25日のソ連崩壊の日が来ます。唯一の「成功した」社会主義国であったソ連の崩壊は、マルクス・レーニン主義が実現不可能な偽薬であることを世界中に知らしめてしまいました。

マルクス主義が現実社会では崩壊してしまったために、いまや、こういう人たちの教義の依代は「憲法9条」だけですから、いつもお守りに憲法条文を畳んでいれているそうです(ホント)。

8bbf500e戦後民主主義の本尊である憲法9条は一種のグローバル平和主義なので、今の「アメリカ中心のグローバリズム」に対抗する勢力を求めていました。

この人たちは、欧米が近代にメチャクチャに帝国主義したから、こんな世界になっちまったんだ捉えますから、こんな「近代」は超克せにゃならんと思うのです。

だから、中東の火薬庫が、今のようにドカーンと火を吹けば、これは英仏が勝手に引いた国境線が悪いということになります。

ま、一面事実なのですが、あくまで一面で、既に国境線が確定しているのに、今さらそれを言い出せば、モロに戦争になります。

世界中で、こんな国境線は気に食わないという国は掃いて捨てるほどありますから、グローバル平和主義どころか、グローバル戦争主義になっちゃいます。

この人たちの言い分では、そんな「西洋近代の超克」をした連中の方が、正しいということになります。

だからイラクのフセインがクエート侵攻をして、国際社会が押し返そうと湾岸戦争を始めると、「待て待て、フセインが言うのも一理あるぞ」と言い出すというわけです。

実際、わざわざ「人間の楯」になりに行ったバカがいたよね。

そして今は、そのフセインの残党が作ったISILが勃興すると、「おお、西洋近代がチョーコクされたぞ」と手を打って喜ぶということになります。

困ったことは、こういう古賀さんみたいな人は無責任に自分の教義をくっちゃべっているだけなのですが、思想の根が今の社会、あるいは世界構造の全否定ですから、こういう「ラジカル」な言説に煽られる若い者も出てきかねません。

社会なんてメチャクチャになればいいと思う者、自分が不当に差別されていると思う者、女性を奴隷にしたい者、覆面で顔を隠して動けない人の首を切ってみたい殺人嗜好者たちは、一定の割合でどこの社会にもいます。

わが国にも、先日の長崎や名古屋の事件のように存在しています。こんな連中に対して、ISILのリクルーターはこうささやきます。

「うん、キミの考えは間違っていないよ。それは西洋近代が作った矛盾がキミの感性を押し潰しているからなんだ。アッラーの教えを学び、共に戦えば、真実のキミが誕生するんだ」

てなことを、中田某のような化け物説教師から吹き込まれて行く先が、このワダホーな「イスラム国」というパラダイスなのです。

♩イスラム国いいとこ一度はおいで、酒は飲めんが、ねぇちゃんはキレだ、ときたもんだ。はーそれ、それ。

ああ、古賀さん、罪作りなことをしているね。 

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週末写真館 夕陽はいつも友達

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私は、朝と夕方しか写真を撮りたくないという特異体質で、昼間の写真がごくわずかしかありません。

ですから、朝日と夕陽のグルメになってしまって、ちょっとした日の出、夕暮れでは右手人指し指が動きません。

快晴はダメですね。つまんないもん。ただ明るくなってスルスルと火球が登り、スルスルと太陽の蛸坊主が沈んでいくなんて、面白くありません。

太陽が、厚い雲をかき分けてエンヤコラサと登り、沈む火球が光線の触手を伸ばしながらイヤダァと叫びながら地平線にしがみつくようなのが好きだなぁ。

かくて、私は「朝日批評家」になってしまったようです。あ、もちろん新聞のほうじゃないですよ(笑)。

クリックすると大きくなります。と言っても、全部縦位置なんで、上しか大きくなりませんけど(すいません)。ああ、全部縦アングルってやってみたかったんだぁ(自己満足っす)

おしゃべりは、土曜雑感のほうで。

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もういいかげん真面目にテロリスト対策を考えないか

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日本人人質と、ヨルダン軍中尉捕虜の両虐殺事件の日本のメディアの報道ぶりを見ていると、日本のマスコミはテロリズムを抑える側にいるどころか、むしろ積極的にテロリストに加担してしまっていることに気がつきます。 

よくある自社の論調に合った「識者」を登場させて、今回の事件があたかも「積極的平和外交」や集団的自衛権、あるいは2億ドル支援が引き起こしたものであるかのようにしゃべらせるというのは、まずはいいとしましょう。 

それは間違った分析ですが、テロリズム擁護とは異なるからです。 

問題はむしろ、その一線を越えて積極的にテロリストの側に立って、彼らのプロパガンダ(宣伝)の一翼を担うメディアが堂々と登場したことです。 

福田充『メディアとテロリズム』は、こう書いています。 

「『メディアの存在はテロリストに酸素を供給しているようなもの』(サッチャー英元首相)。いまやテロリストはTVやネットなどのメディアで自らの存在をアピールし、犯行を喧伝する。対するメディアはそれを報じ、部数や視聴率を稼ぐ。これでは“共生”どころか“共犯”ではないのか?」 

たとえばその「画期的」先行事例は、報道ステーションの「イスラム国特集」(1月27日)でした。 

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(写真 報ステ1月27日。ISILの主張を、彼らのプロパガンダ映像と共に報じているのが分かる。欧米社会ではこのように報じることすら不可能だと言われている) 

この番組を見た経済学者高橋洋一氏はこう述べています。(JCASニュース2月6日)
※http://www.j-cast.com/2015/01/29226508.html 

「番組では、ISILが国家としての機能をもち、社会インフラを整え、100年前に欧州諸国が引いた国境線を変えようとしているという説明だった。しかも、彼らの宣伝映像をそのまま流していた」 

この報ステのように、ISILのプロパガンダ映像をそのまま放映するということは、CNNあるいはBBCなどで厳しく禁じられている手法で、海外ならまず絶対にありえないことです。 

あるいは古舘キャスターは、こうも言ったとされています。 

「『彼らはISILと呼ばれるのを嫌がっている。安倍総理はあえてISILと呼ぶことでテロリストとの対決姿勢を明確にしている』と、キャスターの古舘伊知郎氏が述べたあとで、「イスラム国」という名称を使って、番組が続けられた」 

これは自称「イスラム国」が登場した去年6月あたりから、議論されてきたことですが、いまだ平然とカッコもなく、「自称」も「いわゆる」もなく、平気でイスラム国と言い続けていることに、逆に驚きすら感じます。 

「イスラム国」という呼び方は、テロリズムとはまったく無関係の、世界中のムスリムから大きな反発を呼びました。 

宗教法人・名古屋モスクは、2015年1月25日にHPで、このような声明を発しています。 

「日本のメディアにおいて「イスラム国」と称されている過激派組織の行いは、イスラームの教えとはまったく異なるものです。イスラームにおいて、テロ行為や不当な殺人、迫害は禁じられており、また女性や子どもの権利は尊重されなければなりません。
「イスラム国」という名称にイスラムという語が入っているために、本来の平和なイスラームが誤解され、日本に暮らす大勢のムスリム(イスラーム教徒)への偏見は大変深刻です」※
http://nagoyamosque.com/3107.html

 この「イスラム国」という呼称をメディアが濫用することは止めて欲しいという声は、強く世界中のムスリムから上がっています。 

特にISILが「スンニ派イスラム原理主義集団」と説明されることに対して、スンニ派は強く抗議しています。

先の名古屋モスクによれば、エジプトにあるイスラームスンニ派最高権威のアズハルは海外メディアが「イスラム国」の名称を使用しないように呼びかけていて、主要国では例外なく受け入れられています。 

しかし、日本のメディアのみは、いまだに平然と垂れ流し続けている状況です。鈍感を通り越して、メディアのモラルハザードといっていいでしょう。

また、「イスラム国」という表現は、彼らテロリストが望む「国家」扱いをしてしまうことであって、あたかもテロリスト対策が主権国家同士の紛争のように錯覚する事態を招きました。 

日本のマスコミはひょっとして、「イスラム国」を主権国家として認めているのでしょうか。もし、それならそれでもっと大変なことになります。

ISILとの闘いは憲法9条の交戦権否認に引っかかるために、まったく不可能になるからです。

冗談ごとではなく、米国が神経質なまでに「イスラム国」と呼ばないのは、そう呼ぶとISILの空爆に国連決議を必要としてしまう可能性が出るからです。

いずれにせよ、今の日本のマスコミはテロリストの思うつぼですが、今回の報ステに至っては、鈍感を一歩進めて、「安倍がISILと呼んでいる」と、国際呼称を安倍批判と混同して説明する始末です。 

もちろん、ISIL(Islamic State in Iraq and the Levant/アイシル)、あるいは、ISIS(Islamic State of Iraq and Syria)は、ほぼ世界統一された自称「イスラム国」に対する呼称であって、安倍氏が作ったものでもなんでもありません。 

ただしこれすらISILのLがレバントを指し、トルコからシリア、エジプト、パレスチナやヨルダン、レバノンを含む大シリアを指すこともあり不適切だという指摘があります。 

またISISも、英語名称でイスラム国と呼ぶのとほぼ変わらないという意見もあります。 

すると中東地域で用いられていて、決してISILが用いないアラビア語呼称「ダーイシュ」(al-Dawla al-Islamiya fi al-Iraq wa al-Sham)がもっとも適当となるのかもしれません。

先の名古屋モスクもダーイッシュを希望していますし、事実、ヨルダンのアブドラ国王もそう表現していました。フランスも公用ではこのダーイッシュで一本化しています。
※フランス大使館HPhttp://www.ambafrance-jp.org/article8149 ちなみによくできたサイトです。ご覧ください。

当座、このブログではISILでを使用しますが、替わる可能性もあります。 

しかもこの報ステの特集内容は、ISILの主張をそのまま無批判で紹介し、枕詞的に「やっていることは容認できない」と言い訳しつつ、番組本体は彼らのプロパガンダ・フィルムをそのまま放映しながら、「既製の国境線を認めない」という彼らの根本思想までに共感的に描いていました。 

報ステはISILの「既製の国境線を認めない」という意味を分かって報じているのでしょうか。

それは、かつてのクエートに侵攻したイラクのフセインと同じ言い分です。

つまり、中東の国境線は英仏が勝手に引いたものだから、守る必要はない、というものです。

一面は真実ですが、現代においてそれを実行すれば、それは国際法上の「侵略」に該当します。

つまり古舘さんは、戦争をしたいのかということになります。

ましてや、テロ組織が「国」を名乗って、国境線を否認すれば、そこはグローバル・テロリストの出撃拠点になっていきます。

ここに集まった千人を越えるといわれる世界各国のテロリスト志願者の軍事訓練場であり、洗脳のための学習施設であり、今回のフランスの女性テロリストを匿っていたような保護地域なのです。

さてそれ故に、欧米ではこのような現実を踏まえて、テロリストのプロパガンダをそのまま報じることは、テロリストの代弁者とみなされ、社会的に抹殺されます。

米国ではある全国ネットが安易にISILの映像を放映したところ、政府からテロリストに協力するのかという厳しい指導を喰ったケースもあります。

欧米で、こんな報ステの番組などが流れたら、まず間違いなく放送免許取り上げ、キャスター更迭ものでしょう。

身代金を個人で支払おうとした家族に対してすら、合衆国政府は反テロ法をちらつかせてまで阻んでいます。

一方、わが国は事件後に、テロリズムに対して社会が一体となって戦おうとしない現象が一気に露呈してしまいました。 

国会ではテロリストに甘いマスコミ論調に背中を押されるようにして、野党が毎日のように対案も具体分析もないまま、くだらない揚げ足取りを演じています。

こんな国会ならないほうがましですが、そう言えば、「中東訪問をしたから、ISILを刺激したのだ」などと言ったバカ野党もいましたね。

ならば、今後の日本の対テロ政策は、「テロリスト様を刺激しないこと」にしますか(苦笑)。 

一方安易な自己責任論の延長で、後藤・湯川両氏の迂闊さを批判して事終われり、という姿勢もネット界には存在します。 

両者に共通するのは、まともにこの人質事件を分析せずに、政治的に利用する態度です。 

真面目な分析をしようとしないから、その対策が立てられなくなります。 

つまり、「テロは自己責任だ」論と「テロはアベが悪いからだ」論という両極端の見方は、実はつながったヒモの両端のようなもので、曲げればくっついてしまうようなものなのです。 

両者共に見ているのは政治的敵対者だけであって、しょせんドメスティックなものでしかありません。 

今回のテロリスト対応において、日本は苦渋を呑んだことを直視すべきです。語弊を恐れずに言えば、「何もできなかった」という批判を政府は甘受すべきなのです。

たとえば通常の国家なら、必ずやっている対テロ特殊部隊の派遣も、そもそも海外展開できるもユニットがないのですから話になりません。 

似たようなものはあっても、それは国内の対テロ対策の範囲内でしか想定されておらず、そもそも海外で運用すべき根拠法が存在しません。 

また、人質の安否や、テロリスト情報も、ヨルダンの情報機関から細々と得ていたような状況で(※)、独自の情報網も、それを分析すべきインテリジェンス機関も日本にはありません。
※追記 トルコ外相がインタビューに答えて、人質の居場所などの情報を日本政府に提供していたと語りました。
 

こんなに大きな国際社会を震撼させた事件の結果、とりあえずの対策がヨルダンに駐在武官を1名置くというだけというのですから、まるで大山鳴動ネズミ一匹です。

もし、これかドイツならば、ドイツ政府は直ちにGSG-9(第9国境警察群)を、ヨルダンかトルコに進出させたことでしょう。

いつも「ドイツを学べ」と叫んでいる、朝日新聞がなぜこのことを報じないのでしょうか。

フランスも同じく、GIPN(国家警察介入部隊)に対して同様の指令を出したはずです。

なお、ヨーロッパ諸国が警察の対テロ部隊を海外に投入しているのは、軍隊のそれだと、事件終了後も残留させてしまったりした場合に、「武力侵略」の芽となる恐れがあるためです。

政府は、このケースでも自衛隊を使いたいようですが、現実的ではありません。検討するのは結構ですが、憲法上の制約がない警察部隊を投入するべきです。

これらの対テロ部隊を投入するかしないかは、まさに政府の高度の政治判断そのものであって、「2億円出したからだぁ」、とか「中東に行ったからだぁ」、という低レベルの話とは別次元です。

とまれ、世界各国はクソリアリズムで対テロ対策を立てている時に、わが国のみがマスメディアはテロリストの太鼓持ちに成り下がり、野党はテレビの前でイチャモンつけに終始しているわけです。

いいかげん眼を覚まして、真面目に自国民保護のためにISIL対策を、根本から練り直す時期なのではないでしょうか。

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ISILの標的はヨルダン政府だ

B879phkcmaat1cdISILによってヨルダン空軍中尉ムアーズ・カサースベ氏が殺害されました。ご存知のように、考えるだにおぞましい、檻に入れて生きたまま焼き殺すという非道な手段でした。 

おおよそ人間が考えつく方法とは思えません。彼らの性格が改めてはっきりしました。

非業の死を遂げたカサースベ氏に哀悼の意を捧げます。またご家族、ヨルダン国民すべてに対して、哀悼と連帯の気持ちを捧げます。 

ヨルダンの皆様が、今回の日本人人質事件において見せていただいた温かい気持ちは、多くの日本人に感動を与えました。 

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ムアーズ・カサースベ氏は、享年26歳の若さでした。生まれは首都アンマンの南140キロの古都カラクです。空を飛びまわる少年の夢を叶えて、空軍士官学校を卒業して、少数の選ばれた者のみが許されるファイティング・ファルコンの操縦桿を握ることができました。 

愛機の前で微笑む生前の彼の姿を見ると、プライドを持つ者にしかない落ち着きを感じます。

去年花嫁をもらい、人生においても幸福の絶頂でした。

そして2014年12月24日に、ISILの「首都」ラッカで作戦飛行中に墜落し、悪魔の軍団の虜囚となりました。 

殺害されたのは捕らえられて10日後の1月3日だと、ヨルダン政府は発表しています。 

つまり、1月29日にISILの出したサジダ・リシャウィ死刑囚を日没までに国境線まで連れてこないと、後藤氏とカサースベ氏の両名を殺害するという要求は、既に中尉が殺害されていた以上、まったくデタラメだったわけです。 

後藤氏との「人質交換」と、既に殺していたカサースベ氏を関連づけて、ヨルダン政府と日本政府を共にペテンにかけようとしたのです。 

日本の一部のマスコミが主張していたように、日本政府がヨルダン政府に圧力をかけて後藤氏と死刑囚の「人質交換」に応じさせてしまった場合、どうだったでしょうか。 

おそらく、ISILは死刑囚を奪還したことを大々的に「戦果」として報じた後に、中尉の殺害を得意気に公表したことでしょう。 

ISILの罠に落ちたヨルダン政府と国王の威信は泥にまみれ、そのような圧力をかけて恥辱を与えた日本に対する怒りの声で満ちたと思われます。 

ヨルダンと日本の反目、ヨルダン王室の弱体化、ヨルダンの内紛、対テロ有志連合からの脱落、これこそが、ISILが狙った政治的目的です。 

現在ヨルダン国境周辺に迫るISIL軍がこの内紛に呼応すれば、中東で数少ない安定した国家であるヨルダンもまた、「統治されない空間」の混沌にころがり落ちる危険がありました。 

まことに残虐にして、卑劣な手段ですが、おそらくヨルダン政府は、その優秀な情報機関(GID)から、高い確率で中尉は殺されている情報を掴んでいたように思えます。 

一方、ヨルダン政府は公式声明で安否を確認しています。これはヨルダンが公式、非公式を問わず、ISILと交渉パイプを持たないことを意味しています。 

そのような交渉パイプが存在すれば、当然非公式に中尉の安否情報は再三確認しているはずで、わざわざ公式声明で安否情報を問うのは、それがない証拠です。 

先日の国会で辻本清美氏が首相に、「20日以前の交渉が大事だったのに政府は怠ったのではないか」というような質問していました。 

ビデオ脅迫がある前から日本政府は、後藤氏と湯川氏が捕らえられたことを知っていました。当然11月に後藤氏に来た20億円の身代金要求のことも知っていました。

この状況でありえるオプションとして、フランス型の秘かに身代金を支払うという手段があります。

当然、政府はこれも考慮していたはずです。実際、今までの99年キルギス、07年イランのケースでは、外交機密費から数億の金が支出されたという未確認情報もあります。

あったとしても不思議ではないし、それはそれで秘密裏に行なわれるならば、それもひとつの現実的解決の手段なことは確かです。

しかし、それが不可能になる事態が起きました。それが11月の最初の身代金要求からわずか1か月後に起きた、12月24日のカサースベ中尉の捕虜事件です。

ヨルダン政府は、ISILの要求である人質交換を頑としてはねのけます。

こんな要求を一回呑んでしまえば、ヨルダン政府の威信が地に落ちるだけではなく、ひんぱんにヨルダン軍兵士を拉致して人質要求を繰り返されることが目に見えていたからです。

ヨルダン政府のISILに対する回答は、1月の米軍特殊部隊との協同での実力奪還でした。

このような切迫した状況下で、わが国のみが身代金を秘密裏にでも支払うことが可能でしょうか。

ヨルダンとの信義を全部ぶち壊す気なら可能でしょう。しかし、それはヨルダンの「今、そこにある脅威」であるISILに巨額の資金提供をすることも同じです。できるはずもありません。

こうした中、ISILは事態が膠着したとして、戦術転換を図ります。1月3日にカサースベ中尉を処刑し、20日には日本に対して改めて脅迫ビデオを公表します。

20億円を払うことを拒否している相手が、240億円を払うわけがありません。これは単なるバザール商人もどきの吹っ掛け、ないしは、世界に法外な要求をしてみせることによる力の誇示にすぎません。

ISILのターゲットは当初からヨルダン、正確に言えば、ヨルダン王室でした。このことはしっかりと押えておく必要があります。

ISILは、後藤氏と人質交換を求めることで、ヨルダン国内で、「死刑囚を日本人と交換するより、ヨルダン軍パイロットと交換せよ」という世論を作り出そうとしました。

現にカサースベ氏の父親はそのような主張をして、国王批判を繰り返していました。

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もし、日本がヨルダンに圧力をかけて人質交換を迫った場合、ヨルダン政府批判から王室打倒のデモにまで発展する可能性がありました。

この最悪シナリオは、ヨルダン政府と安倍氏の原則的な対応でからくも回避されました。

さて、20日の脅迫ビデオを見て、すぐに「2億ドル払え。命が大事」と叫んだ皆さん、そして人質交換を拒否したヨルダン政府に対して、「ヨルダン政府が約束を違えたから後藤さんが殺されたのだ」と言ったマスコミ、あなた方が言うとおりにしていたら、一体どんなことになっていたでしょうか。

この日本人人質事件は、ヨルダンのカサースベ中尉捕虜事件とシンクロしており、日本だけの利害では動けなかったことを理解すべきです。

これが決定的に、今まであった日本人人質事件とは本質を異にする点で、国内しか見えない人には理解できないようです。

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「統治されない空間」から生れたISIL

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待ってましたとばかりに首相責任論が飛び出しました。似たりよったりで、ほとんどが池内恵(さとし)東大准教授のが前もって警告していたとおりをなぞっているので失笑させられます。 

そのひとつに、首相の「積極的平和外交」で対テロ支援で2億ドルを表明したために、ISILに身代金を要求させてしまったというものがあります。

昨日も参院予算委員会で、共産党・小池晃政策委員長がこんなことを言っていました。

「最近も殺戮(さつりく)を行い批判を浴びているイスラエルと軍事協力をし、そのイスラエルの首相と肩を並べ『テロと戦う』と述べることが、中東諸国の人々にどう受け止められるのかを考慮したのか。拘束された日本人を危機にさらす危険性を考慮しなかったのか」

先日も紹介しましたが、朝日のWEBRONZAには、川上泰徳氏と言う人物もこう書いていましたね。  

「イスラム国」による日本人拘束事件は、安倍首相が掲げる『積極的平和主義』によって日本人が中東で敵視される危うさを露呈させた。事件は、安倍首相の中東歴訪のさなかで、それも首相のカイロでの演説を受けて起きた」 

またハトさんの「友愛」外交のブレーンだった元外務省情報官僚の孫崎亨氏も、同様の趣旨でこう言っています。 

「今年1月中旬安倍首相の中近東歴訪がイスラム国への敵対姿勢を明確に見せたことが事件の引き金になった」  

はいはい、みんな「口実を与えた」論ですね。「アベが対テロ支援と誤解されるようなことを言ったから後藤さんが殺されたのだ」、と言いたいようです。

あの~、あえて「殺した」日本側の責任者を探すとすれば、フリージャーナリストの後藤さんに資金提供して、危ない映像を撮ってこいと教唆したTBSとテレ朝なんですが(棒)。

マジな話、このことは追々解明されるでしょうが、もし真実ならば、この2局は重大な社会的責任を負わねばなりません。

さて、この「口実を与えた」論は、中東地域に関わればすべてがISILの恣意的「口実」になりえるわけで、なんのことはない、テロリストに「お前の目つき面付きが気に喰わないから殺してやる」と言われれば、ハイありがとうございます、ということになってしまいます。 

実際にISILは、西洋的服装すらも、イスラーム法に背くものとしていますから、「シリア領内に入った朝日の記者を捕まえた。アベがスーツ着ているのは十字軍に参加した証明だ。殺されたくなかったら、2億ドル寄こせ」と言ってくるかもしれませんね(笑)。

その時もまた朝日は、「アベが口実を与えた」と言んでしょうかね。やれやれ。 

それともアベは、トンカツ喰って、ビール飲んでたろうとか、ああ、「反イスラーム」なんかキリがないや(笑)。

ただ真面目な話、イスラム教そのものは、他宗派の存在を認めて共生していますが、原理主義過激派は認めませんから、おおコワ。

とまれ、この連中はテロリストの言いがかりを丸ごと肯定するから、こんなことになるのです。

意識してかどうか知りませんが、この人たちはテロリストの代弁者をやってしまっているのです。

あ、ホンモノのISILからも同盟軍として高い評価を頂戴しているようで(爆)ちなみに、ツィートの英文左側の黒いアラビア文字が、ISILのシンボルマークです。

それにしてもISILにマーダー(殺人者」とはいわれたかねぇや。

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今回の民生支援の中身は、イスラエルに封鎖されてひどい状況になっているパレスティナのガザ地区支援だったり、ヨルダンに大量に逃げてきているシリア内戦の避難民の支援であって、これをテロリストに脅かされたからといって止めねばならない理由はまったくありません。 

まさにハトも喜ぶ「友愛」支援そのもので、この一体どこが反イスラムなのでしょう。 

確かにあえて言えば、テロリストどもには大変に不都合でしょうね。 

2014年9月の国連総会で、ISILの伸長を受けて、このような暴力的なイスラーム過激原理主義がどうして生れてくるのか、という討議がされています。 

色々な分析が示されて、どうやら共通の原因は「統治されない空間」が、彼らの悪だくみの温床ではないかという結論になりました。 

出席したケリー国務長官はこう言っています。 

「アル・カーイダから学んだことは、この過激なカルト主義を統治されない空間に放置して好き勝手に悪だくみさせてはならないということだ」 

イスラーム原理主義自体はかなり前からあるもので、エジプトのムスリム同胞団のように穏健な存在でした。 

彼らは決して暴力に訴えて体制転覆をすることを目指さず、日常の生活の仕方や社会の仕組みをもっとイスラームの教えに沿ったものに復元していこうと訴えていました。 

このムリスム同胞団のような原理主義勢力は、「アラブの春」によってエジプトを先頭として続々と政権の座につきます。 

しかしこの政権交替の過程で多くの国は内戦状態になり、原理主義過激派の武装集団が台頭しました。 

というのは、中央政府が弱体化して行政機構が完全に消滅してしまったり、複数の政権が乱立したりして、互いに戦争をしたりするようになったのです。

そのような崩壊国家においては、軍隊は賃金を貰えないので、銃を持った山賊と化したり、テロリストに武器を密売したりするようになります。

このような「統治されない空間」が、中東世界のあらゆる場所で見られるようになってしまったのです。これが、イスラム原理主義過激派の苗床でした。 

世界最凶ISILの誕生の秘密を覗いてみましょう。これを見れば、典型的崩壊国家であるイラクとシリアの瓦礫の中からモンスターが登場したことが分かります。

シリアのアサド政権は、大統領一家の宗派であるアラウィー派ばかりで政府を固めており、それ以外の宗派や反体制派を残虐な方法で弾圧していました。

これと似たことは、イラク暫定政権のマリキ首相もやっており、彼はシーア派のみを大事にし、スンニ派をいじめ抜きました。これが、スンニ派過激派であるISILの台頭の遠因になっています。

それはさておき、アサドは反体制派が奪った都市の自国民の頭上に、空軍を使って爆弾の雨を降らせるのですから、もうムチャクチャです。

ここに戦火から逃れて300万とも言われる史上最大規模のシリア難民が生れました。

そしていっそう激化する内戦から、これは単なる政権奪取の戦いではなくて「不正義の支配者に対するシバード(聖戦)だとする原理主義過激派のISILが勃興してしまいました。

下の写真は崩壊国家の14歳の少女民兵です。まだ学校に行って教科書を持つべき手がカラシニコフを握っています。実に痛ましい写真です。

このような子どもたちを救わねばなりません。それが後藤健二氏の遺志だったはずです。

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ISILは、「イラクの聖戦アルカーイダ」(AQI)から分離した過激分派です。9.11を引き起こしたアルカーイダすら手ぬるいというのですから、もうハンパではありません。

元々がイラク西部と北部に拠点を持っていたISILは、このシリア東部・北東部とくっついて一大勢力圏を築くことになったのです。

つまり、イラクで追われれば、シリア領内に逃げ込み、逆にシリアで討伐されそうになればイラクに逃げて、そこで休養や補給・訓練をした後に再び侵攻することが可能になったというわけです。

こうして、イラク都市モースルが2014年6月にISILによって陥落したことは、世界に衝撃を与え、ISILは絶頂期を迎えることになります。

なみに、どうでもいいですが、「イスラム国」の「建国記念日」は2014年6月29日です。もちろん世界の一カ国も承認していません。

また、前後してエジプトで政権に着いた原理主義穏健派政権が,クーデターで倒されてしまったたために、その失望からいっそう過激派が隆盛を極めることになっていきました。

そして、過激派の代表格であったアルカーイダすら米国によって衰退化すると、それに替わってISILが原理主義過激派の王座に就くことになります。

いまや、これに「憧れる」バカの大群を世界各地に生み出すことになります。

たとえば、先日ISILを名乗る武装集団に襲われたリビアは、いまだに選挙で選ばれた国民議会は機能しておらず、統治組織が丸ごとふっ飛んだ状況です。 

つまりここもご多分に洩れず崩壊国家であって、国家の態を成していないわけで、部族や都市ごとに民兵組織を抱えて武力闘争に明け暮れています。 

このような「統治されない空間」から、2014年10月に、「イスラームの若者諮問会議」という名前だけはまともな武装組織が誕生し、これがISILとバクダーディーへの忠誠を表明しました。 

つまり、このような崩壊国家からは、「イスラーム国勝手連」が続々生れているというわけです。 

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それがエジプトの「聖地エルサレムの守護者たち」((ABM)や、イエメンの「アラビア半島のアル・カーイダ」(AQAP)などです。 

このような「統治されない空間」をていねいに復旧していくことが、時間はかかりますが、ISIL対策としても有効です。

つまり、難民のケアをして、その中にテロリストかはびこらないような健全な状況にしていったり、食料や医薬品を援助することで崩壊した社会の犠牲者を助けることで、「統治されない空間」を少しでも減らしていこうということです。

これが日本が地道にやってきた民生支援であって、非軍事支援としては世界最大規模の支援を行なっています。

これは日本人として誇りに思うべきであって、これを「口実を与えた」として批判する人達は、どうかしているとしかいいようがありません。

■追記 拘束されていたカサースベ中尉を殺害したとISILが発表しました。焼き殺すという残虐非道な殺し方でしたでした。哀悼の意を捧げます。合掌。

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ISILの目的は日本政府の政策変更ではない

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今せねばならないことは、まず後藤健二氏の死を悼むこと、そして彼の目指したことを知ることです。

そしてその後に慎重な分析です。彼の仕事は、まずこの彼のサイトで知ることができます。※インディペンデント・プレスttp://ipgoto.com/

後藤氏に対する侮辱的な情報が、ネットで流されてれています。強い憤りを感じます。あのような行為を墓を暴くといいます。

死者を汚すのは止めるべきです。また逆にその責任を政府になすりつけることもやめるべきです。両者とも、怒りをぶつける相手を間違えています。真の敵はISILなのです。

首相が「罪を償わさせる」と言ったことについて、例によって、「このような暴力が暴力の連鎖を呼ぶ」などというようなことを言う人がいます。

しかし法治国家として、二人の誘拐・監禁・殺害に関わった者共を逮捕し、裁きの場に連れ出し、裁判を受けさせるのは、余りに当然すぎるほど当然のことです。

私は安倍氏のこの怒りの表現を、しごく妥当なものとして受け取りました。

ISILは、この中東地域における大産業である誘拐ビジネスをしたのです。そして、二人を無惨に殺害しました。

いや、ISILは日本の中東政策の転換を要求しているのだということを言う人がいますが、違うと思います。ならば簡単にヨルダン人パイロットに要求転換するはずがありません。

よくある誤解ですが、イスラム原理主義過激派でも、9.11を起こしたアルカーイダと、ISILは基本性格を異にしています。

ISILは現実に「領土」と自称する支配地域を持ち、まがいなりとも行政・司法体制を持っています。

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これが「国家ゴッコ」といわれるゆえんです。ここを根拠地として、「ジハード戦争」を拡大することで、「領土」を拡大して「イスラム国」から「イスラム帝国」になるのが彼らの野望です。

その財源を、原油の密輸と人質ビジネスによって支えているというわけです。

アルカーイダは、それに対してシンプルな過激派運動体です。常に政治的アピールをしながら、敵と名指した相手をテロることが彼らのやり方で、このふたつの組織はまったく別な性格なのです。

したがって、ISILは日本政府の中東政策には何の関心もありません。自衛隊機が爆撃しているならともかく、どうでもいいのです。

日本政府は、「日本は人道支援を行っているだけだ」と主張しましたが、そんなことは言われなくてもよく知っています。

首相の「情報戦だ」という言い方は、国内・国際社会向けであって、ISIL相手ではありませんから念のため。

明日、池内恵東大准教授のISILビデオの詳細な分析を見ようと思いますが、彼らは初めから人道支援だということなど熟知した上で、今回のテロをしています。

たまたま2億ドルという額が出たので、アラブのバザール商人の流儀で吹っ掛けただけのことです。

それを真に受けて、「早く2億ドル出せ」というナイーブ極まりない人がいるほうが驚きました。この人たちは、海外安宿旅行したことないんだろうな(笑)。

それはともかく、ISILは、シリア・イラク領内で、捕まえた外国人は全員例外なく人質にして、身代金を要求します。

それはその人の宗教、ISILに対するシンパシーの度合いなど一切関係なく、まずスパイとして拷問し、身代金が出るまで監禁されます。

ですから、後藤氏の母親のように、「息子はイスラム国の敵ではありません」などと言っても聞く耳は初めからついていません。

身代金が支払われなければ、例外なく全員殺害します。支払われた場合は、釈放するようです。

フランスは表向きは支払いを否定していますが、どうやら支払ったようで、釈放されていますが、その代償として上顧客に認定されてしまい、以後延々とフランス人は捕まり続けています。

身代金を支払うということはそういうことですから、日本政府は支払いを拒否したのです。単に米国への忠義立てではないのですよ。

米国の場合、ご承知のように交渉も含めて全面拒否ですから、家族にメールで身代金要求が行くことになります。

今回の後藤氏の家族にもそうしましたね。あれがISILの典型的やり方です。

人質の相場は、現地住民なら800ドル、外国人なら数億円だそうで、個人的に支払いは相当に困難ですが、かき集めて支払ったケースもあったようです。

つまり、今回の事件の目的は、人質ビジネスが主体で、2番目に政治宣伝、3番目に対テロ有志国の分断です。

この区別はキッチリあるわけではなく、渾然一体となっているのだと思います。その時の状況次第で簡単に切り替わるもので、いかにも「山賊」らしいやり方をとっているようです。

それは、わが国が拒否すると一転して、ヨルダン政府が収監中のサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放・引渡しを要求したことでわかります。

もし、日本のメディアが言うように、日本の2億ドルの民生資金提供が原因ならば、政策転換も確認せぬうちから、早々とヨルダン政府に交渉相手を乗り換えるなどということをすることはありえません。

それを拒否したことによって時間切れとなったわけですが、それが結果的にヨルダンとわが国の関係を難しくする可能性が出ただけで、あくまで結果論です。

むしろ、このことによって共通の邪悪な敵を得たことで、安倍首相とアブドゥッラー2世陛下との人間的絆は深まったと見るべきでしょう。

いずれにしても、日本とヨルダンを含む対テロ有志連合国との関係はいっそう強化されたのであって、分断の楔を打ちこまれることはありませんでした。

現時点で、情報は限られていて、私たちができることは、既に公にされている諸情報を憶測を交えずに、綿密に見ることです。

※お断り 冒頭部分に後藤氏を悼む記事を入れて書き換えました。

 

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後藤氏の死と倒錯した人々

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後藤健二氏が殺害されました。最後までカメラをにらみつけるようにして逝ったあなたの姿を、忘れることのないようにします。合掌。 

そして明治生まれの亡父ならば、おそらくこうつぶやいたことたでしょう。「仇は取ってやる。何年かけても取ってやる」、と。 

結論から言えば、これは米国にとっての<9・11>であり、フランスにとっての<シャルリ>であり、そして私たちにとっては、<後藤健二>だったということです。 

ISIL(もう「イスラム国」と呼ぶのはやめてくれ)の目的は、ただひとつです。 

彼らのジハード革命が戦争によってしか生れない以上、世界中の国々をこの<戦争>に巻き込むことです。 

それはかつての米国の<9.11>であり、フランスの<シャルリ>であり、そして日本にとってそれが<日本人人質事件>だったわけです。 

私たちは望むと望まざるとにかかわらず、グローバル・テロリズムの当事国になったわけです。 

彼らISILのメッセージはこうです。

日本政府へ。あなたは、あなたの愚かな同盟国と同様、まだ私たちのことを理解できていないようだ。アッラーの恵みによって、権威と力を持つイスラムのカリフ国とすべての軍隊は、あなたがたの血に飢えているのだ。
To the Japanese government: You, like your foolish allies in this satanic coalition, have yet to understand that we, by Allah's grace, are the Islamic caliphate with authority and power and an entire army, thirsty for your blood.
安倍は、勝つことができない戦争に参加するという無謀な決定をした。このナイフは健二を殺すだけではない。発見された場所で虐殺する。これから日本の悪夢が始まるのだ。
(Japanese Prime Minister Shinzo) Abe, because of your reckless decision  to take part in an unwinnable war, this knife will not only slaughter  Kenji, but it will also carry on and cause carnage wherever your people  are found. So let the nightmare for Japan begin.

誤解する余地なくこれは、グローバル・テロリストの宣戦布告文です。

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今、私たち日本人は、いわば闇夜でこん棒で殴られたような状況です。私たちは彼らISILが何者なのか理解していないし、彼らとイスラム世界がどうつながっていて、どこで決定的に違っているのか分かっていません。 

分からないままに、したり顔で、朝日新聞WEBRONZAに小林正弥氏などは早速、「文明の衝突」だなどと規定し、「和のこころを忘れた安倍に責任がある」などと言っています。※http://webronza.asahi.com/politics/articles/2015013000001.html 

同じ朝日のWEBRONZAには、川上泰徳氏と言う人物がこうも書いています。 

「イスラム国」による日本人拘束事件は、安倍首相が掲げる『積極的平和主義』によって日本人が中東で敵視される危うさを露呈させた。事件は、安倍首相の中東歴訪のさなかで、それも首相のカイロでの演説を受けて起きた」  

この、「日本が誤解されることをした安倍が悪い」という論調は他には、元外務省情報官僚だった孫崎亨氏などがいて、同様の趣旨で、「今年1月中旬安倍首相の中近東歴訪がイスラム国への敵対姿勢を明確に見せたことが事件の引き金になった」と言っています。 

田嶋陽子氏もそう言っているようです。

あるいは、テレ朝サンデースクランブルは、黒鉄氏が「イスラム国というはおかしい。あれは山賊だ」という発言を遮ってCM。

その後に、「安倍首相がイスラエルの旗をバックに声明を発していたのが、ISILを怒らせたのだ」という言い方をしていて、中東専門家に「ISILは特に反イスラエルじゃありませんよ」と一蹴されるお粗末の一席。

「イスラム国」の呼称はそのままでした。一体、日本のマスコミはどこまでテロリストの「国」扱いを止めないつもりでしょうか。 

つまりは「誤解された日本が悪い」というわけです。これを短絡化すれば、「安倍が後藤さんを殺した」というデモの叫びともなっていきます。 

やれやれ、度し難き人々よ・・・。私は「マスゴミ」などと下品なことを言うつもりはありませんが、「最悪の日本製品」という感想が、今回また強くなったことは否めませんね。

出てくるとは思いましたが、後藤氏殺害直後から、その死を噛みしめるわけてもなく、すぐに口角泡を飛ばして安倍が悪いですか。

ほとんどすべての中東専門家が、安倍氏の中東歴訪や、民生支援は今回のISILのテロと無関係だと口酸っぱくしても、柳に風の報道ぶりです。ホント、重症だねぇ。

ねぇ、マスコミさん、ISILが仮に「そう思った」としても、テロリストが「そう思った」だけで、彼らには「誤解」すれば殺人を行う権利がある、殺された側が「誤解させたから悪い」ということですか。

ならばお聞きしましょう。 

まずは、田嶋陽子氏にお聞きしたいのですが、レイプ犯罪は、「その気かあるように誤解された女性のほうが悪い」ということでしょうか。 

朝日新聞論者の小林さん、川上さん、仮に朝日が右翼テロリストに放火されたり、社員が殺されたりすれば、それは「誤解される記事を書きまくった朝日が悪い」ということなのでしょうか。 

朝日の記者は、喉をかき切られながら、「和の心」を叫ぶのでしょうか。 

孫崎さん、日本外交を決定するのは政府ですか、それともテロリストですか。

もし日本外交がテロリストに配慮してしか行なえないならないなら、もうその段階で日本外交はテロリストの意のままだということですよね。

恥ずかしくないですか、あなた外務省の、しかも高級官僚だったんでしょう。

そもそもこのような論理自体が、テロリストという犯罪集団と、被害者である日本をまったく同格にして並べて、しかも被害者の側に責任があるという倒錯しきった理屈です。 

どうしてこんな簡単なことが分からないのか、かえって不思議なくらいです。 

あるいは、殺害直後に「ヨルダンが悪い」とでもいわんばかりの解説が多く流れました。

特にTBSです。毎日新聞の岸井成格氏はこんなことをサンデーモーニングで言っています。今後このテの論調は大量に出ると思います。岸井氏はこう言います。

「日没までという期限の時に、最後のニュースが、ヨルダン政府の発表で、まだ死刑囚は我が国内にいるっていう、トルコ国境に行ってないんですよね、あれ大丈夫なのかなそういうことでっていうと、そういう約束が守られない時っていうのはあの、イスラーム国っていうのは、必ず、結論出そうとするんですよね」

池内恵東大准教授は、即座にこれはISILとヨルダン政府の「約束」などではなく、「犯罪者の要求」にすぎないと述べています。

ここにも、先ほどの人達と同じ、犯罪集団のテロリストと被害者の側のヨルダンを同格にして、あたかもISILの「約束を破ったから殺された」のだという倒錯をしています。

池内氏も指摘するとおり、これは非常に悪質な印象報道で、ISILの主張そのものです。

「過激組織「イスラム国」が運営するラジオ局アルバヤンは1日、イスラム国が人質の後藤健二さんを殺害したと伝えた。命を奪った理由について「(『捕虜交換』の)期限が過ぎたため」と説明している。
 アルバヤンのキャスターは、イスラム国系のメディア関連組織が、後藤さんを残虐な手法で「処刑」する映像を公開したと指摘。その理由について「イスラム教徒と敵対する(欧米主体の)十字軍に日本が参加した上、イスラム国が日本に提示した期限が過ぎたため」と述べた。
 イスラム国は、後藤さんの解放条件として、ヨルダンで収監中のイラク人女死刑囚の釈放を要求。しかし、ヨルダン政府は、イスラム国が同じく人質に取ったヨルダン軍パイロットの生存確認に応じていないことを理由に、これを拒否していた」(時事12月1日)。 

わが国がヨルダンに行なうべきは、首相のようにヨルダン国王と政府に対する厚い謝意の表明しかないのであって、逆恨みするなど論外です。

そもそも、この悲劇的事件の原因はなんなのでしょうか。

死者に鞭打つことはしたくありませんが、湯川氏の民間軍事会社を作るなどといった妄想から事は始まっているのであって、自動小銃を携帯してシリア領内に入ること自体が信じられないような愚行です。

ISILは自分たち以外の戦闘員は、見つけ次第必ず殺すことで知られており、まさに死にに行くようなものです。

そして自覚していたとしても、後藤氏も湯川氏救助、あるいは取材か不明瞭なままシリア領内に入った軽率さは、職業報道人としてあってはならないことです。

このお二人の悲劇は、言いにくい事ですが、彼らの軽率な判断と行動が招いたもので、結果、ヨルダン政府まで巻き込んだ事件へと発展し、世界を震撼させました。

お二人が、たとえばトルコ領内で拉致されたのならともかく、この原因と結果を取り違えてはなりません。

お二人が自らの命で贖わねばならなかった悲劇の原因を、混同して逆恨みしてはダメです。

後藤氏の仲間だったフォトジャーナリストの豊田直巳氏は「日本政府は本当に助ける気があったのか」と語っていますが、筋違いです。

戦場を仕事の場とする以上、後藤が最後に語った「なにが起きようと責任は自分にあります。シリア人を憎まないでほしい」という言葉を、豊田氏も改めて噛みしめるべきです。

後藤氏は自分で責任をとってシリア領内に入った、そのことの重みを、同業ならしっかりと呑み込むべきです。

余人はともかく、戦場を仕事場とするジャーナリストは、自己責任ナンセンス論に逃げるべきではありません。

それが危険地帯で仕事をする者の、職業倫理なのではないでしょうか。

今、日本人にできることは、政府やヨルダンを逆恨みするのではなく、いまだ解放ささていないヨルダン人パイロット・ムアーズ・カサースベ氏の無事を祈ることだけです。

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速報 後藤健二氏、殺害される

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残念ですが、後藤健二氏が、殺害されたようです。ご冥福をお祈りします。

今日も追加で情報をアップしますが、詳報は明日とします。

下の池内准教授のご意見を読むと、オレンジ服を着せて公然と金銭要求した段階で、彼らには交渉の意志はなかったと見るべきだったようです。

彼らには初めから人質を返す意図はなく、交渉によって彼らが狙ったのは、ヨルダンと日本、日本と米国といった対テロ戦争を戦う諸国と日本の間を分断するための策略だったようです。

ならば、はっきりとわが国は、彼らの意図を打ち砕かねばなりません。

本日、わが国には、ひとつの権利が発生しました。

日本は可能な限りISILに報復すべきです。現在の日本は手足を縛られていますが、可能な手段を使って、彼らに自分たちが何をしでかしたのか、誰を敵にまわしたのか、しっかりと教えてやるべきです。

                  :;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

■NHK 2月1日 6時55分
「イスラム過激派組織「イスラム国」とみられる組織が日本時間の1日午前5時すぎ、拘束され後藤健二さんを殺害したとする動画をインターネット上に投稿しました。
日本政府はこの動画の信ぴょう性などについて確認を急いでいます。
動画の長さは1分余りでまず、「日本政府へのメッセージ」という英語とアラビア語の文章が表示されます。
続いてオレンジ色の服を着た後藤さんとみられる男性が砂漠のような場所でひざまずきその後ろにナイフを持った黒い服を着た覆面姿の戦闘員とみられる男が立っています。
男は英語で、「日本政府は邪悪な有志連合に参加した愚かな同盟国と同じように『イスラム国』の力と権威を理解できなかった。われわれの軍はお前たちの血に飢えている。安倍総理大臣よ、勝てない戦争に参加した向こう見ずな決断によってこのナイフは後藤健二を殺すだけでなく今後もあなたの国民はどこにいても殺されることになる。日本の悪夢が始まる」と話しています。
そして最後に後藤さんが殺害されたとみられる画像が映し出されています。
覆面姿の男はイギリス英語のアクセントで話し、先月20日に「イスラム国」とみられる組織が後藤さんを殺害すると脅迫した動画に出てくる男と共通点があります。
また、動画の左上には、「イスラム国」の広報部門が声明などを発表する際に利用するロゴが表示されています。
日本政府は、この動画の信ぴょう性などについて確認を急いでいます」

■朝日新聞1月1日6時17分

「菅義偉官房長官は1日午前6時すぎに臨時の記者会見を開き、「さきほど後藤健二氏が殺害されたとみられる動画がインターネット上で配信された。このような非道かつ卑劣きわまりないテロ行為が再び行われたことに、一層激しい憤りを禁じ得ない。改めて断固として非難する」と述べた。

 また、菅氏は「内閣危機管理監、国家安全保障局長に対し、関係省庁と連携して情報収集をはじめ、しっかり対応にあたるよう指示した」と語り、関係閣僚会議を速やかに開催する考えを示した」

内閣総理大臣声明
1.湯川遥菜さんに続いて、後藤健二さんが殺害されたと見られる動画が公開されました。
御親族の御心痛を思えば、言葉もありません。政府として、全力を挙げて対応してまいりました。誠に無念、痛恨の極みであります。
2.非道、卑劣極まりないテロ行為に、強い怒りを覚えます。許しがたい暴挙を、断固、非難します。
テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わさせるために、国際社会と連携してまいります。
3.日本が、テロに屈することは、決してありません。
中東への食糧、医療などの人道支援を、更に拡充してまいります。
テロと闘う国際社会において、日本としての責任を、毅然として、果たしてまいります。
4.このテロ行為に対して、強い連帯を示し、解放に向けて協力してくれた、世界の指導者、日本の友人たちに、心から感謝の意を表します。
5.今後とも、国内外における国民の安全に万全を期してまいります。

■池内恵東大准教授(イスラーム学)は、この事件で優れた知見を表明されていますが、今回の殺害直後のコメントです。

「人質がオレンジ色の囚人服を着せられて映像に出させられた後には、交渉・身代金・捕虜交換によって解放されることはないというこれまでの通例と同じ結果になりました。
 イラク・シリアで「イスラーム国」に取られた人質が身代金・捕虜交換で解放された事例は、「イスラーム国」側が政治的要求を出すことなく、最初から最後まで水面下だった。活動資金目当てに末端組織がやった場合と、中枢が最初から公に政治化しない(水面下での利益を取る)判断をした場合とがあるだろう。
 日本の場合はヨルダンやトルコのように、人質と引き換えにするための囚人・捕虜を持っていないため、2億ドルを払って数年分の活動資金を提供するか、殺害されるかという極端な選択肢を突きつけられた。実際には身代金よりも、非軍事的な資金供与をしたものも敵と名指し処断し、敵側陣営を分断することが目的だろう。そのことは声明文に明瞭に現れている」

「早速、あってはならないコメントの例。先日はTBSの夜のニュース番組の大誤報を「紛らわしい」情報のせいにした岸井成格氏ですが、本日の朝のTBSサンデーモーニングでは、冒頭からこんな発言をしていました。
「日没までという期限の時に、最後のニュースが、ヨルダン政府の発表で、まだ死刑囚は我が国内にいるっていう、トルコ国境に行ってないんですよね、あれ大丈夫なのかなそういうことでっていうと、そういう約束が守られない時っていうのはあの、イスラーム国っていうのは、必ず、結論出そうとするんですよね」
 これだと、ヨルダン政府が死刑囚を釈放しなかったのが原因、という主張をしているように聞こえますね。
「トルコ国境に連れて来い」というのは「約束」でもなんでもありません。すでにこの事件においても一人の殺害を行ったと主張していた犯罪者の「要求」です。
 ヨルダン政府が「約束を破った」から人質が殺されたかのような印象操作を自然に行っているのでしょうか。あるいは岸井氏の頭がそのような発想で充満しているのか。
 批判されたからといって「自由な発言を封じた」などと反応しないように。間違ったことを言えば批判されるのは当然です。それが自由な言論空間です。
 民放テレビというものは私は普段ほとんど見ないのですが、こんなことばかり流しているのでしょうか。これではまともな報道も分析も成り立ちません」

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

なお、後藤氏とその奥さんについて聞くに堪えない誹謗中傷をする者がネット界でいます。後藤氏やその妻がいかなる政治的スタンスであろうと、仮に出生かどうであったとしても、何の意味もありません。

重要なことは、後藤氏と湯川氏が我々と同じ<日本>という国の国民だったいう事実です。

攻撃されたのは<日本>という国であり、そこに住む人々なのだということをしっかりと肝に命じるべきです。

それは時と場所を違えれば、あなただったかもしれないし、私だったかもしれないのです。

もうひとつ。この怒りを自国政府に向けないで下さい。それは筋違いです。政策変更を求めることも筋違いです。

憎むべきは、公開処刑という卑劣かつ残虐な方法で、無辜の後藤氏と湯川氏を殺害したISILです。

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