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« 速報 後藤健二氏、殺害される | トップページ | ISILの目的は日本政府の政策変更ではない »

2015年2月 2日 (月)

後藤氏の死と倒錯した人々

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後藤健二氏が殺害されました。最後までカメラをにらみつけるようにして逝ったあなたの姿を、忘れることのないようにします。合掌。 

そして明治生まれの亡父ならば、おそらくこうつぶやいたことたでしょう。「仇は取ってやる。何年かけても取ってやる」、と。 

結論から言えば、これは米国にとっての<9・11>であり、フランスにとっての<シャルリ>であり、そして私たちにとっては、<後藤健二>だったということです。 

ISIL(もう「イスラム国」と呼ぶのはやめてくれ)の目的は、ただひとつです。 

彼らのジハード革命が戦争によってしか生れない以上、世界中の国々をこの<戦争>に巻き込むことです。 

それはかつての米国の<9.11>であり、フランスの<シャルリ>であり、そして日本にとってそれが<日本人人質事件>だったわけです。 

私たちは望むと望まざるとにかかわらず、グローバル・テロリズムの当事国になったわけです。 

彼らISILのメッセージはこうです。

日本政府へ。あなたは、あなたの愚かな同盟国と同様、まだ私たちのことを理解できていないようだ。アッラーの恵みによって、権威と力を持つイスラムのカリフ国とすべての軍隊は、あなたがたの血に飢えているのだ。
To the Japanese government: You, like your foolish allies in this satanic coalition, have yet to understand that we, by Allah's grace, are the Islamic caliphate with authority and power and an entire army, thirsty for your blood.
安倍は、勝つことができない戦争に参加するという無謀な決定をした。このナイフは健二を殺すだけではない。発見された場所で虐殺する。これから日本の悪夢が始まるのだ。
(Japanese Prime Minister Shinzo) Abe, because of your reckless decision  to take part in an unwinnable war, this knife will not only slaughter  Kenji, but it will also carry on and cause carnage wherever your people  are found. So let the nightmare for Japan begin.

誤解する余地なくこれは、グローバル・テロリストの宣戦布告文です。

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今、私たち日本人は、いわば闇夜でこん棒で殴られたような状況です。私たちは彼らISILが何者なのか理解していないし、彼らとイスラム世界がどうつながっていて、どこで決定的に違っているのか分かっていません。 

分からないままに、したり顔で、朝日新聞WEBRONZAに小林正弥氏などは早速、「文明の衝突」だなどと規定し、「和のこころを忘れた安倍に責任がある」などと言っています。※http://webronza.asahi.com/politics/articles/2015013000001.html 

同じ朝日のWEBRONZAには、川上泰徳氏と言う人物がこうも書いています。 

「イスラム国」による日本人拘束事件は、安倍首相が掲げる『積極的平和主義』によって日本人が中東で敵視される危うさを露呈させた。事件は、安倍首相の中東歴訪のさなかで、それも首相のカイロでの演説を受けて起きた」  

この、「日本が誤解されることをした安倍が悪い」という論調は他には、元外務省情報官僚だった孫崎亨氏などがいて、同様の趣旨で、「今年1月中旬安倍首相の中近東歴訪がイスラム国への敵対姿勢を明確に見せたことが事件の引き金になった」と言っています。 

田嶋陽子氏もそう言っているようです。

あるいは、テレ朝サンデースクランブルは、黒鉄氏が「イスラム国というはおかしい。あれは山賊だ」という発言を遮ってCM。

その後に、「安倍首相がイスラエルの旗をバックに声明を発していたのが、ISILを怒らせたのだ」という言い方をしていて、中東専門家に「ISILは特に反イスラエルじゃありませんよ」と一蹴されるお粗末の一席。

「イスラム国」の呼称はそのままでした。一体、日本のマスコミはどこまでテロリストの「国」扱いを止めないつもりでしょうか。 

つまりは「誤解された日本が悪い」というわけです。これを短絡化すれば、「安倍が後藤さんを殺した」というデモの叫びともなっていきます。 

やれやれ、度し難き人々よ・・・。私は「マスゴミ」などと下品なことを言うつもりはありませんが、「最悪の日本製品」という感想が、今回また強くなったことは否めませんね。

出てくるとは思いましたが、後藤氏殺害直後から、その死を噛みしめるわけてもなく、すぐに口角泡を飛ばして安倍が悪いですか。

ほとんどすべての中東専門家が、安倍氏の中東歴訪や、民生支援は今回のISILのテロと無関係だと口酸っぱくしても、柳に風の報道ぶりです。ホント、重症だねぇ。

ねぇ、マスコミさん、ISILが仮に「そう思った」としても、テロリストが「そう思った」だけで、彼らには「誤解」すれば殺人を行う権利がある、殺された側が「誤解させたから悪い」ということですか。

ならばお聞きしましょう。 

まずは、田嶋陽子氏にお聞きしたいのですが、レイプ犯罪は、「その気かあるように誤解された女性のほうが悪い」ということでしょうか。 

朝日新聞論者の小林さん、川上さん、仮に朝日が右翼テロリストに放火されたり、社員が殺されたりすれば、それは「誤解される記事を書きまくった朝日が悪い」ということなのでしょうか。 

朝日の記者は、喉をかき切られながら、「和の心」を叫ぶのでしょうか。 

孫崎さん、日本外交を決定するのは政府ですか、それともテロリストですか。

もし日本外交がテロリストに配慮してしか行なえないならないなら、もうその段階で日本外交はテロリストの意のままだということですよね。

恥ずかしくないですか、あなた外務省の、しかも高級官僚だったんでしょう。

そもそもこのような論理自体が、テロリストという犯罪集団と、被害者である日本をまったく同格にして並べて、しかも被害者の側に責任があるという倒錯しきった理屈です。 

どうしてこんな簡単なことが分からないのか、かえって不思議なくらいです。 

あるいは、殺害直後に「ヨルダンが悪い」とでもいわんばかりの解説が多く流れました。

特にTBSです。毎日新聞の岸井成格氏はこんなことをサンデーモーニングで言っています。今後このテの論調は大量に出ると思います。岸井氏はこう言います。

「日没までという期限の時に、最後のニュースが、ヨルダン政府の発表で、まだ死刑囚は我が国内にいるっていう、トルコ国境に行ってないんですよね、あれ大丈夫なのかなそういうことでっていうと、そういう約束が守られない時っていうのはあの、イスラーム国っていうのは、必ず、結論出そうとするんですよね」

池内恵東大准教授は、即座にこれはISILとヨルダン政府の「約束」などではなく、「犯罪者の要求」にすぎないと述べています。

ここにも、先ほどの人達と同じ、犯罪集団のテロリストと被害者の側のヨルダンを同格にして、あたかもISILの「約束を破ったから殺された」のだという倒錯をしています。

池内氏も指摘するとおり、これは非常に悪質な印象報道で、ISILの主張そのものです。

「過激組織「イスラム国」が運営するラジオ局アルバヤンは1日、イスラム国が人質の後藤健二さんを殺害したと伝えた。命を奪った理由について「(『捕虜交換』の)期限が過ぎたため」と説明している。
 アルバヤンのキャスターは、イスラム国系のメディア関連組織が、後藤さんを残虐な手法で「処刑」する映像を公開したと指摘。その理由について「イスラム教徒と敵対する(欧米主体の)十字軍に日本が参加した上、イスラム国が日本に提示した期限が過ぎたため」と述べた。
 イスラム国は、後藤さんの解放条件として、ヨルダンで収監中のイラク人女死刑囚の釈放を要求。しかし、ヨルダン政府は、イスラム国が同じく人質に取ったヨルダン軍パイロットの生存確認に応じていないことを理由に、これを拒否していた」(時事12月1日)。 

わが国がヨルダンに行なうべきは、首相のようにヨルダン国王と政府に対する厚い謝意の表明しかないのであって、逆恨みするなど論外です。

そもそも、この悲劇的事件の原因はなんなのでしょうか。

死者に鞭打つことはしたくありませんが、湯川氏の民間軍事会社を作るなどといった妄想から事は始まっているのであって、自動小銃を携帯してシリア領内に入ること自体が信じられないような愚行です。

ISILは自分たち以外の戦闘員は、見つけ次第必ず殺すことで知られており、まさに死にに行くようなものです。

そして自覚していたとしても、後藤氏も湯川氏救助、あるいは取材か不明瞭なままシリア領内に入った軽率さは、職業報道人としてあってはならないことです。

このお二人の悲劇は、言いにくい事ですが、彼らの軽率な判断と行動が招いたもので、結果、ヨルダン政府まで巻き込んだ事件へと発展し、世界を震撼させました。

お二人が、たとえばトルコ領内で拉致されたのならともかく、この原因と結果を取り違えてはなりません。

お二人が自らの命で贖わねばならなかった悲劇の原因を、混同して逆恨みしてはダメです。

後藤氏の仲間だったフォトジャーナリストの豊田直巳氏は「日本政府は本当に助ける気があったのか」と語っていますが、筋違いです。

戦場を仕事の場とする以上、後藤が最後に語った「なにが起きようと責任は自分にあります。シリア人を憎まないでほしい」という言葉を、豊田氏も改めて噛みしめるべきです。

後藤氏は自分で責任をとってシリア領内に入った、そのことの重みを、同業ならしっかりと呑み込むべきです。

余人はともかく、戦場を仕事場とするジャーナリストは、自己責任ナンセンス論に逃げるべきではありません。

それが危険地帯で仕事をする者の、職業倫理なのではないでしょうか。

今、日本人にできることは、政府やヨルダンを逆恨みするのではなく、いまだ解放ささていないヨルダン人パイロット・ムアーズ・カサースベ氏の無事を祈ることだけです。

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コメント

まずは合掌。
あ、後藤さんはクリスチャンでしたが…忘れません。素晴らしいジャーナリストでした。

何故か政府攻撃に走る国内メディア。もうアホかと。
田嶋陽子なんかは9条原理主義者なので論外ですが、他の朝日関係を始めリベラルエリート気取りの連中が、未だにオピニオンリーダーだと思っているような言動の見苦しいこと。

孫先ウケルさんなんか、今や外務省がいかに無能だったかの象徴ですな。

私はブログ主の主張を全面的に支持します。


さて、今日も国会が始まりました。
どんな話になるやら…。

私も管理人さんのご意見に100%賛同します。

勿論、政府並びに関係者が今回の顛末に関して総括されるのは当然でしょう。
しかしそれは事の経緯を熟知している人間がするべき事で、
生半可な情報しか持たない外野が、あーだこーだ言うべきものでは無いでしょう。

今朝もモーニングバードで青木理氏が、懸命に安倍政権批判に
ミスリードを試みていましたが、誰も乗ってきませんでした。(笑)
こういう方々の誘導には一種のパターンがあって、
青木氏の場合も、「今回の安倍首相が行った中東歴訪の是非はともかく・・・」
と譲歩して本来自分が持っていきたい方向をはぐらかすという奴です。
こういう方々は絶対ダイレクトには持っていきません。
それがインテリだと思っているのなら、鼻持ちならないことこの上ない。

一方、昨晩放送されたMr.サンデーでジャーナリストの竹田圭吾さんが、
今回のことを敗北と捉えるのは早計という旨のコメントを語られましたが、
正直びっくりしました。
このタイミングでこれだけの事を言える度胸を持ったジャーナリストが
この日本に果たして何人いるでしょうか。

田嶋陽子氏に関しては、これはもう別格でしょう。(笑)
出演されている「たかじんのそこまで言って委員会」に最近登場した
左翼(ひだりつばさ)君というゆるキャラと殆ど同じ立ち位置だと思います。

後藤さんは残念でした。

日本版NSCは役に立たなかったとか、特定秘密保護法によって真実が隠蔽される、という議論になりますが。

前者はこれから、ですし、後者はそれこそ、継続中のテロとの戦いでカードを晒すわけにはいきません。

この手の問題は、例え民主党政権下であったとしても、政府に任せなければいけないと思っています。

遅ればせながら後藤氏、湯川氏の冥福をお祈りします。

案の定政権批判始まりましたね。
で、やっぱりTBSと朝日が特にひどい。
僕が見たとき「自衛隊派遣やJAPAN版CIA作る前に(改正するな作るな)やるべきこと(話し合い)がある」
という大体いつもの決まり文句でした。
キャメロン、オバマ等、各国首脳がISIL非難声明出す中、我が国の一部勢力は政権批判や政争材料にするという、滑稽にも程があり呆れるばかりです。
殺害された二人が浮かばれません。

報道機関も営利目的が第一ですから、多くの日本人が
アサヒ的価値観を持っているのは間違いありません。
「政府が、みんな悪いんだぁ~」は国民の無意識に対
してウケがいいのです。だから記事・電波が売れます。

愚者は、結局はイタイ目を見るまで解らない。しかし、
そんなの待っていたら取り返しがつかない事になる。

結局2人共殺されてしまい、さらにコッチじゃなくて
アッチから、宣戦布告のような事を言われてしまいま
した。私は、ほとんど管理人さんのお父さんの気持ち
です。

どうするの?ヤクザ中東組のいきなりの殴り込みです
から、信頼できる国内の戦闘の専門家(ヤクザ裏OK)
を集めるのが先決です。平和ボケのセンセイではなく
生死の縁をさまよったようなプロが条件です。

前回の日揮の事件といい、自衛隊を除くヤクニン達は
まったくの役立たずどころか、決断できない馬鹿だと
証明されています。

後は、賢者のリーダーが腹をくくるだけです。

でも実際には、この事件もすぐに忘れられて、又別の
ISILの攻撃を受けては、毎回同じような対応を繰り返
すのでしょう。日本らしいといえば日本らしいですが。

管理人様、皆様、こんばんは。

管理人様のおっしゃるとおりでして、首相を批判する人たちは「どうかしている」と考えます。
一種の「平和ボケ」なのでしょうかね。こうした事件があると因循さを露呈する人って必ずいますね。

2月2日(月)の朝日新聞の3面に黒木英充という東京外大アジア・アフリカ言語文化研究所教授の発言が掲載されていました。
曰く「イスラエルのネタニヤフ首相を並んで発言したのがよくない」だとさ。
既に管理人様が本文中に書かれたとおり、ISILは特に反イスラエルではないです。ちょっと見ていれば世界中を敵に回しまくっていることくらい素人でも分かるだろうに、どういうこじつけなのでしょうか。
ISILにしてみれば安倍首相の言動はただの口実で、理屈は何だってよかったのでしょう。
些細なことで難癖をつけて、店員に土下座させるクレーマーみたいなもんですね。
にもかかわらず訳知り顔に、これが原因だ、と論じることすらバカバカしいと思います。

たとえ、百歩譲って安倍首相の発言に原因があると考えたとしても、だからと言って誘拐した人質を殺してよいはずがなく、それはふだんどのような政治的・宗教的見識を持っていようが問答無用で非難されるべきもののはずです。

それすら理解できないのは、どうかしています。
もしかして、極悪非道だなどと発言したら、今後ISILの標的にされかねないとビビッているとか?


なお、後藤氏ですが、外務省から3回渡航を考え直すように要請されたにも関わらず、現地に行ったそうです。
その事実を知れば、改めて「政府に助ける気があったのか」と疑問を呈することもまた、いかに筋違いかが分かります。

このブログは3年前の記事だったのですね。
私は川上泰徳という人を検索していたらここに行き着きました。
今は安田という人の問題でニューズウィークで批判記事をその川上という人が書いていて、その内容がなんと的外れなと思い、誰だこいつと検索してたら行き着いた次第です。
おかしな面々は変わらないということですね。
それはわかったのですが、このブログを書かれていた記事に深く感銘し、コメントを入れさせていただきました。
川上という人の記事とは一転、本当に良い記事だと思いました。これを読めてよかったと思います。

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