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2015年2月18日 (水)

しぶといぞ、ギリシア人!

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デッドエンド・時間切れを目前にしてEU財務相会合は、座礁寸前のようです。

というか、難破しようとする船の甲板で、ギリシア人の三等船客とドイツ人船長が胸ぐらを掴みあってクヌクヌ・コノコノとやっている様子です。 

もはや時間切れです。選択肢はふたつです。 さらなる融資、あるいは棒引きか、ギリシアのユーロ離脱(Grexit/グレグジット)かです。

ひとつは、ヨーロッパ中央銀行(ECB)が、ドバッとユーロ債を発行しECBが買い取り、ギリシアの緊急流動性支援(ELA)に当てることです。 

しかしギリシアの要請に応えて、今まで棒引きに応じてきたメルケルは、「これ以上の債務減免はない」と断言している以上、ありえないでしょう。 

というのは、ここでギリシアの「弱者の恫喝」に負けたら、大変なことになるからです。 

同じような財政危機、失業率の高止まりをするボルトガル・スペインなどへの波及は避けられません。 

この失業率の欧州地図で、クローム・イエローが失業率15.1~20%、オレンジが20.1~25%赤色は25.1~30%という危険水域の経済ですので、スペイン、ポルトガルなどで、連鎖する可能性があります。 

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(図 欧州連合の失業率(2010年,Eurostat.)

特にスペインの失業率は約26%で、4人にひとりが失業している状態です。若年層の失業率は約60%にも達します。

このような状況を背景にして、ギリシアと同じような極左政党が数十万人のデモをおこなって、政権をうかがう勢いです。 

もし、こんなギリシアの瀬戸際政策が成功した場合、間違いなく借金まみれのこれらの国々で、ギリシア急進左派連合(ツィプラス)のような政権ができる可能性があります。

そして、言ってくることはギリシアのツィプラスと一緒で、「借金棒引きにしろ。緊縮はイヤだ」です。 

Photo

 (漫画 ニューズウィーク2月17日) 

「欧州文明の源流」という幻想を目一杯利用して、欧州のフリをして多額の援助を引き出してきたギリシアですが、ギリシア危機からこっち、ガラガラとこの虚像は崩れてしまったようです。 

さて、EUは「領土」を拡げようとして、大変な国を引き受けてしまったものですが、逆にギリシアの立場になって考えてみましょう。 

もらろん、ギリシアだって努力はしているのです(涙)。 

2010年に3年間で総額1100億ユーロ、実に円建てにすると12.5兆円というちょっとした国家予算並の融資を受けとる代わりに緊縮財政を実施しました。 

ひとつは年金受給年齢を65歳にしたこと。なんだうちの国と一緒じゃねぇかと言わない。 

他にも公務員の昇給停止3年間。なんだたった3年間かよと言わない。これでもガンバッテるつもりなんだから。

何といってもこれがスゴイ。消費税の23%への引き上げです。参ったね。23%かよ。日本でやったら、こっちこそ「革命」が起きるね。

とまぁ、日本人には消費税以外たいしたことはない頑張りですが、問題は、ユーロで借りたカネはユーロで返済しなければならない、というEUの鉄の掟があることです。 

ギリシアには日本のような通貨発行権はありません。日本のような独立国は自前の通貨の発行権を有していますから、最悪の場合、円建ての国債の返済は円を刷れば可能です。 

もちろん国債金利は上昇しますが、債務の返済が不能になることはありえません。 

しかしギリシアはユーロに入ったために、「半独立国」になってしまっていますから、国債はユーロ建て、借款返済もまたユーロ建てです。

ユーロを勝手にギリシアの造幣局が刷ったら、ECBにぶち殺されます。 

ですから、23%という消費税をかけても、ギリシア中からユーロをかき集めるしか方法はないわけです。 

これが頓挫した瞬間に、ギリシアは即死なはずですが、そう簡単ではありません。そんなていどでは、「ギリシア人の底力(←と褒めていいのか)が理解できていません。 

思い出していただきたいのですが、ギリシアで一番腐敗した官庁はどこでしょうか。はい、税務署です。 

元々ギリシア国民は、「税金って何それ?食べられるの」というお国柄なのです。

観光に行った人は経験なさっているでしょうが、多くの土産物屋は黙っていればレシートをくれませんでしたよね。タクシーはいちおうメーターがあっても、メーターを倒しません。

そう、「ノーレシート文化」、これがギリシアの輝く(←輝かねぇよ)の伝統なのです。 

「官に政策あれば、民に対策あり」という中国よろしく、税率が上がろうがどうしようが、そもそもレシートがないんですから、払うつもりがないから気楽なもの。 

ギリシアの店で、「レシートはいらないよ」と言えば、たちどころに10%ていどの値引きはあたりまえだからです。 

店は10%の税金をゴマかせるし、客は安く買える、いいことずくめじゃないですか(←わけねぇだろう)。 

そして店主はその儲けた金を、アングラ銀行に預け、アングラ銀行は闇の投資に廻すというわけで、いっそうアングラ経済繁栄しまくり、というわけです。

なんと帳簿に乗らない金がGDPの3割にも達するとのことで、闇市が跋扈した日本の終戦直後の混乱期ですら3%ていどだったということから見ても、モノスゴイものです。

おまけに、ギリシアはEU域内への移民とか、出稼ぎの仕送りが、これまたGDPのかなりの割合を占めています。

彼らの母国への送金もまた、アングラ銀行経由の場合が多く、闇のなかへと静かに消えていきます。

ここまでおおっぴらにアングラ経済が罷り通っている国で、税金からユーロをかき集めることは、絶望的に不可能なのがお分かりいただけたでしょうか。

ですから、こんなしぶといギリシア人が、ユーロ離脱を折り込んでいないはずもなく、ちょっと財産がある者は、離脱した瞬間に値上がりが予想される物資の隠匿に走っていることは間違いないことでしょう。

そしてギリシア最大の圧力団体といわれるギリシア官公労は、ゼネストしてでも、自分たちの利権を守り通す決意でしょう。

なにせ、「働いたら負け」「死んでも税金は払いません」が人生訓のようなギリシア人ですから、転んでもタダ起きないでしょう。

あながら皮肉ではなく、しぶとく海千山千揃いの欧州で生き残っていってほしいものではあります。

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コメント

消費税23%もザル状態、何の実益もなく政権交代だけが残った、なんて対岸からは見世物。当のギリシアにとっても祭でしかなく、養うドイツと若年失業率50%のスペイン他がキレているという構図ですね。

大概、ヤバイと言われているものでも当事者が目一杯引っ張るので、実際の破綻は結構遅れるというのが経験的観測です。といっても、もうそろそろかな?

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