土曜雑感 ゴールポストを動かしてしまう馬鹿
ギリシア新政府が、戦時中のドイツ軍の非人道的行為に対しての物的・精神的損害に対して、実に1620億ユーロ(22兆円)もの保障を要求したことは既報です。
もちろん、現在、進行していたギリシア債務危機についてのユーロ財務相会合に、照準を定めていたことはいうまでもありません。
そしてドイツは、即時に拒否したわけですが、それは旧西独時代の1960年、ナチス時代の不法行為に対する補償としてギリシャに1億1500万マルク(当時レートで約97億7500万円)を支払う協定を結んでいたからです。
これは、ドイツ統一の1990年にも旧連合国の米英仏ソと調印した条約によっても確認されており、「請求権問題は解決済み」との立場です。
つまり、ドイツからすれば、とんでもない、そんなことは「最終的、かつ、完全に解決している」はずだという言い分です。
ああ、またもやモーレツな既視感があるぞォ。 さぞかし、メルケルオバさんを姉と慕う、クネさんもガックリなさっているでしょうね(笑)。
クネさんも、ギリシアの新政権とまったく同一の論理を使っていますから。
歴史カードは「禁断カード゙」です。
禁断とは堅く禁じられたこと。 このようなことを、外交の世界では<ゴールポストを動かす>と呼びます。
サッカーやラグビーの試合中にゴールポストを、いきなり小さくしたり、ズルズル動かしてしまったら勝負になりません。
試合中のルール変更や、勝負がついた後のルールの異議申し立てなど通用するはずがありません。
外交の世界でも一緒です。基軸となる両国間の取り決めがあるとしますね。たとえば日米だったら日米安保とか、日韓関係だったら日韓基本条約のような条約のことです。
一回、しっかりと協議して条約のハンコを押したら、そのやり直しは効かないのです。
どちらかの政府が、勝手にホゴにしてしまうと、その国の信用はおろか、「ホントにあの国の政府の頭は大丈夫なのか?」という眼で見られることになります。
思い出しませんか、この視線。あのハトさんが宇宙的視点で勝手に、<ゴールポストを動かしてしまう>ことをして、「国外、最低でも県外」などとやったために、オバマからなんと言われたのか。
<loopy>、クルクル・パーでのことす。ま、大部分の国民も激しく同意するのでしょうけどね(笑)。
それはともかく、半世紀以上前の二カ国間で取り決めた条約を、改めて考えたらイヤになったからと変更をしてくれと言うような国を、<革命政権>と呼びます。決していい意味じゃありませんよ。
ハトの次の人が喜びそうな表現ですが、完全な侮辱的表現です。お前の政権にはレジティマシィ(正統性)がない、パッチモンだと言っているんですから。
国家は、いかに革命や政権交替で生れた新政権だろうと、旧政権が外国と決めたことは遵守せねばならない国際的義務があります。
これを守らない国は、政権としてのレジティマシー欠落しているからまともに付き合わないと言うことになり、国際社会で相手にされません。
たとえば明治維新政府は、幕府が押しつけられた関税自主権や治外法権などの不平等条約に泣かされていましたが、艱難辛苦の挙げ句、それを回復したのはなんと42年後の1911年の事でした。
イヤなら、大変な時間をかけてでも、国際社会の信用を重ねていって改正してもらうしかない、これが国際ルールです。それを一気にひっくり返したのがギリシア新政府でした。
このようなことは韓国が、今やろうとしていることです。戦時中の徴用工賠償訴訟に対して、韓国司法は個人請求権を認めました。当然、韓国政府の意志です。
あの国に「司法の独立」などというシャレた概念はありません。それは加藤支局長事件でもわかったでしょう。
次の韓国の一手は、憂鬱なことに、日韓基本条約50周年における、一方的破棄でしょうね。
まぁ、ユーウツだろうがなんだろうが、わが国は受けて立つしかないでしょう。条約が無効になった以上、個人補償が欲しいのならば、支払ってやればいい。
そんなものより、締結時に日本が残置してきた膨大な資産の返還、およびそれ以降の支援、借款の即時一括返還を事務的に、そして冷やかに求めることです。
あるいはドイツの如く、歴史認識を蒸し返してゆするのなら、一喝して黙らせることです。
なんて思っていると、2F(←福島第2原発ではないよ)なんていう、オールド自民党の生き残りの妖怪が出てきて、訪韓団率いて利権漁りしているのですから、やれやれです。
この人も、与党の要職にありながら、ズルズルと<ゴールポストを動かす>ことをしてしまっています。自分の選挙区に帰って、江沢民の銅像でも磨いていなさい。
さてと、ここでこの馬鹿たちを吹き飛ばすために、今日もまた一丁やりますか。
せーの、ドイツに学べ!
■追記 ギリシア脅し勝ち!もう笑うしかないっすね。
しかしこれではなんの解決にもならないのは自明であって、逆にドイツ国内のギリシア支援拒否の極右勢力を勢いづけるでしょう。北のネオナチ、南の極左・・・、なんという愚かな構図。
■ギリシア支援4か月延長
ロイター 2月21日「ユーロ圏は20日、ブリュッセルで開いた財務相会合(ユーログループ)で、ギリシャへの支援策を4カ月間延長することで合意した。双方の当局者が明らかにした。
当局者の1人は「まとまった。4カ月だと述べた。
合意が得られたことで、ギリシャが財政破綻やユーロ圏離脱へと追い込まれる切迫したリスクは後退した。チプラス新政権にとっては、長期的な債務軽減策について債権団と協議する時間的猶予が生まれた格好となる。
ユーロ圏当局者によると、合意では、ギリシャが支援条件を確実に順守するよう、支援期間中に実施する政策措置の一覧を23日までにユーログループに提出する必要がある。
合意の大枠は、ギリシャ、ドイツの両財務相に加え、国際通貨基金(IMF)専務理事を交えた準備会合で申し合わせ、その後ユーログループ全体の総意を得たという。
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ゴールポスト、本当に動いてしまいましたね。4メートルくらいでしょうが。トライしたと思ったら反則と言われたような。
またメルケルさんの皺が増えますね。
一方で日韓通貨スワップ協定は円満終了。
こちらは清々しいです。
泣き付かれたら「条件は?」と問い返せば良いです。
投稿: プー | 2015年2月21日 (土) 10時34分
>半世紀以上前の二カ国間で取り決めた条約を、改めて考えたらイヤになったからと変更をしてくれと言うような国を、<革命政権>と呼びます。
戦前の中国人もまさに「ゴールポストを動かす」ことばかりやっていたそうですが、何とこれに彼らは独自の名前をつけています。「革命外交」というのだそうです。石平さんと黄文雄さんの対談本の中に出てきました。
いちおうこの「革命外交」には勝手な理屈があるのですが、余りにぶっとんでいて記憶できませんでした。それにしても、日本は42年かけてでも正規の外交交渉を続けて撤廃せしめたのに比べると、明白な違いです。日本と中国ってずいぶん違う文化をもった国ですね。
投稿: ayumi61 | 2015年2月22日 (日) 22時10分