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2015年2月 6日 (金)

もういいかげん真面目にテロリスト対策を考えないか

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日本人人質と、ヨルダン軍中尉捕虜の両虐殺事件の日本のメディアの報道ぶりを見ていると、日本のマスコミはテロリズムを抑える側にいるどころか、むしろ積極的にテロリストに加担してしまっていることに気がつきます。 

よくある自社の論調に合った「識者」を登場させて、今回の事件があたかも「積極的平和外交」や集団的自衛権、あるいは2億ドル支援が引き起こしたものであるかのようにしゃべらせるというのは、まずはいいとしましょう。 

それは間違った分析ですが、テロリズム擁護とは異なるからです。 

問題はむしろ、その一線を越えて積極的にテロリストの側に立って、彼らのプロパガンダ(宣伝)の一翼を担うメディアが堂々と登場したことです。 

福田充『メディアとテロリズム』は、こう書いています。 

「『メディアの存在はテロリストに酸素を供給しているようなもの』(サッチャー英元首相)。いまやテロリストはTVやネットなどのメディアで自らの存在をアピールし、犯行を喧伝する。対するメディアはそれを報じ、部数や視聴率を稼ぐ。これでは“共生”どころか“共犯”ではないのか?」 

たとえばその「画期的」先行事例は、報道ステーションの「イスラム国特集」(1月27日)でした。 

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(写真 報ステ1月27日。ISILの主張を、彼らのプロパガンダ映像と共に報じているのが分かる。欧米社会ではこのように報じることすら不可能だと言われている) 

この番組を見た経済学者高橋洋一氏はこう述べています。(JCASニュース2月6日)
※http://www.j-cast.com/2015/01/29226508.html 

「番組では、ISILが国家としての機能をもち、社会インフラを整え、100年前に欧州諸国が引いた国境線を変えようとしているという説明だった。しかも、彼らの宣伝映像をそのまま流していた」 

この報ステのように、ISILのプロパガンダ映像をそのまま放映するということは、CNNあるいはBBCなどで厳しく禁じられている手法で、海外ならまず絶対にありえないことです。 

あるいは古舘キャスターは、こうも言ったとされています。 

「『彼らはISILと呼ばれるのを嫌がっている。安倍総理はあえてISILと呼ぶことでテロリストとの対決姿勢を明確にしている』と、キャスターの古舘伊知郎氏が述べたあとで、「イスラム国」という名称を使って、番組が続けられた」 

これは自称「イスラム国」が登場した去年6月あたりから、議論されてきたことですが、いまだ平然とカッコもなく、「自称」も「いわゆる」もなく、平気でイスラム国と言い続けていることに、逆に驚きすら感じます。 

「イスラム国」という呼び方は、テロリズムとはまったく無関係の、世界中のムスリムから大きな反発を呼びました。 

宗教法人・名古屋モスクは、2015年1月25日にHPで、このような声明を発しています。 

「日本のメディアにおいて「イスラム国」と称されている過激派組織の行いは、イスラームの教えとはまったく異なるものです。イスラームにおいて、テロ行為や不当な殺人、迫害は禁じられており、また女性や子どもの権利は尊重されなければなりません。
「イスラム国」という名称にイスラムという語が入っているために、本来の平和なイスラームが誤解され、日本に暮らす大勢のムスリム(イスラーム教徒)への偏見は大変深刻です」※
http://nagoyamosque.com/3107.html

 この「イスラム国」という呼称をメディアが濫用することは止めて欲しいという声は、強く世界中のムスリムから上がっています。 

特にISILが「スンニ派イスラム原理主義集団」と説明されることに対して、スンニ派は強く抗議しています。

先の名古屋モスクによれば、エジプトにあるイスラームスンニ派最高権威のアズハルは海外メディアが「イスラム国」の名称を使用しないように呼びかけていて、主要国では例外なく受け入れられています。 

しかし、日本のメディアのみは、いまだに平然と垂れ流し続けている状況です。鈍感を通り越して、メディアのモラルハザードといっていいでしょう。

また、「イスラム国」という表現は、彼らテロリストが望む「国家」扱いをしてしまうことであって、あたかもテロリスト対策が主権国家同士の紛争のように錯覚する事態を招きました。 

日本のマスコミはひょっとして、「イスラム国」を主権国家として認めているのでしょうか。もし、それならそれでもっと大変なことになります。

ISILとの闘いは憲法9条の交戦権否認に引っかかるために、まったく不可能になるからです。

冗談ごとではなく、米国が神経質なまでに「イスラム国」と呼ばないのは、そう呼ぶとISILの空爆に国連決議を必要としてしまう可能性が出るからです。

いずれにせよ、今の日本のマスコミはテロリストの思うつぼですが、今回の報ステに至っては、鈍感を一歩進めて、「安倍がISILと呼んでいる」と、国際呼称を安倍批判と混同して説明する始末です。 

もちろん、ISIL(Islamic State in Iraq and the Levant/アイシル)、あるいは、ISIS(Islamic State of Iraq and Syria)は、ほぼ世界統一された自称「イスラム国」に対する呼称であって、安倍氏が作ったものでもなんでもありません。 

ただしこれすらISILのLがレバントを指し、トルコからシリア、エジプト、パレスチナやヨルダン、レバノンを含む大シリアを指すこともあり不適切だという指摘があります。 

またISISも、英語名称でイスラム国と呼ぶのとほぼ変わらないという意見もあります。 

すると中東地域で用いられていて、決してISILが用いないアラビア語呼称「ダーイシュ」(al-Dawla al-Islamiya fi al-Iraq wa al-Sham)がもっとも適当となるのかもしれません。

先の名古屋モスクもダーイッシュを希望していますし、事実、ヨルダンのアブドラ国王もそう表現していました。フランスも公用ではこのダーイッシュで一本化しています。
※フランス大使館HPhttp://www.ambafrance-jp.org/article8149 ちなみによくできたサイトです。ご覧ください。

当座、このブログではISILでを使用しますが、替わる可能性もあります。 

しかもこの報ステの特集内容は、ISILの主張をそのまま無批判で紹介し、枕詞的に「やっていることは容認できない」と言い訳しつつ、番組本体は彼らのプロパガンダ・フィルムをそのまま放映しながら、「既製の国境線を認めない」という彼らの根本思想までに共感的に描いていました。 

報ステはISILの「既製の国境線を認めない」という意味を分かって報じているのでしょうか。

それは、かつてのクエートに侵攻したイラクのフセインと同じ言い分です。

つまり、中東の国境線は英仏が勝手に引いたものだから、守る必要はない、というものです。

一面は真実ですが、現代においてそれを実行すれば、それは国際法上の「侵略」に該当します。

つまり古舘さんは、戦争をしたいのかということになります。

ましてや、テロ組織が「国」を名乗って、国境線を否認すれば、そこはグローバル・テロリストの出撃拠点になっていきます。

ここに集まった千人を越えるといわれる世界各国のテロリスト志願者の軍事訓練場であり、洗脳のための学習施設であり、今回のフランスの女性テロリストを匿っていたような保護地域なのです。

さてそれ故に、欧米ではこのような現実を踏まえて、テロリストのプロパガンダをそのまま報じることは、テロリストの代弁者とみなされ、社会的に抹殺されます。

米国ではある全国ネットが安易にISILの映像を放映したところ、政府からテロリストに協力するのかという厳しい指導を喰ったケースもあります。

欧米で、こんな報ステの番組などが流れたら、まず間違いなく放送免許取り上げ、キャスター更迭ものでしょう。

身代金を個人で支払おうとした家族に対してすら、合衆国政府は反テロ法をちらつかせてまで阻んでいます。

一方、わが国は事件後に、テロリズムに対して社会が一体となって戦おうとしない現象が一気に露呈してしまいました。 

国会ではテロリストに甘いマスコミ論調に背中を押されるようにして、野党が毎日のように対案も具体分析もないまま、くだらない揚げ足取りを演じています。

こんな国会ならないほうがましですが、そう言えば、「中東訪問をしたから、ISILを刺激したのだ」などと言ったバカ野党もいましたね。

ならば、今後の日本の対テロ政策は、「テロリスト様を刺激しないこと」にしますか(苦笑)。 

一方安易な自己責任論の延長で、後藤・湯川両氏の迂闊さを批判して事終われり、という姿勢もネット界には存在します。 

両者に共通するのは、まともにこの人質事件を分析せずに、政治的に利用する態度です。 

真面目な分析をしようとしないから、その対策が立てられなくなります。 

つまり、「テロは自己責任だ」論と「テロはアベが悪いからだ」論という両極端の見方は、実はつながったヒモの両端のようなもので、曲げればくっついてしまうようなものなのです。 

両者共に見ているのは政治的敵対者だけであって、しょせんドメスティックなものでしかありません。 

今回のテロリスト対応において、日本は苦渋を呑んだことを直視すべきです。語弊を恐れずに言えば、「何もできなかった」という批判を政府は甘受すべきなのです。

たとえば通常の国家なら、必ずやっている対テロ特殊部隊の派遣も、そもそも海外展開できるもユニットがないのですから話になりません。 

似たようなものはあっても、それは国内の対テロ対策の範囲内でしか想定されておらず、そもそも海外で運用すべき根拠法が存在しません。 

また、人質の安否や、テロリスト情報も、ヨルダンの情報機関から細々と得ていたような状況で(※)、独自の情報網も、それを分析すべきインテリジェンス機関も日本にはありません。
※追記 トルコ外相がインタビューに答えて、人質の居場所などの情報を日本政府に提供していたと語りました。
 

こんなに大きな国際社会を震撼させた事件の結果、とりあえずの対策がヨルダンに駐在武官を1名置くというだけというのですから、まるで大山鳴動ネズミ一匹です。

もし、これかドイツならば、ドイツ政府は直ちにGSG-9(第9国境警察群)を、ヨルダンかトルコに進出させたことでしょう。

いつも「ドイツを学べ」と叫んでいる、朝日新聞がなぜこのことを報じないのでしょうか。

フランスも同じく、GIPN(国家警察介入部隊)に対して同様の指令を出したはずです。

なお、ヨーロッパ諸国が警察の対テロ部隊を海外に投入しているのは、軍隊のそれだと、事件終了後も残留させてしまったりした場合に、「武力侵略」の芽となる恐れがあるためです。

政府は、このケースでも自衛隊を使いたいようですが、現実的ではありません。検討するのは結構ですが、憲法上の制約がない警察部隊を投入するべきです。

これらの対テロ部隊を投入するかしないかは、まさに政府の高度の政治判断そのものであって、「2億円出したからだぁ」、とか「中東に行ったからだぁ」、という低レベルの話とは別次元です。

とまれ、世界各国はクソリアリズムで対テロ対策を立てている時に、わが国のみがマスメディアはテロリストの太鼓持ちに成り下がり、野党はテレビの前でイチャモンつけに終始しているわけです。

いいかげん眼を覚まして、真面目に自国民保護のためにISIL対策を、根本から練り直す時期なのではないでしょうか。

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コメント

>「既製の国境線を認めない」
どこかの国と一緒ですね。
どれくらい繋がっているかは分かりませんが、
少なくともこの点で利害は一致しているようです。

米FOXニュースが、WEB版限定でISILの動画をそのまま使ったというだけで外信ネタになるくらいのようですね(AFP時事)。
日本のテレ朝やTBSの異常っぷりがよく分かります。
いまだにNHKやフジテレビでも「過激的勢力イスラム国」という表現をしてますね…。

さて、今日の参院決算委員会では共産党の超デムパ議員の吉良よし子さんが質問なさるそうで…、見るのやめようか(笑)

ISILがなければここはJA改革の話だったでしょうに。
メディアのテロ擁護なんてオウムの時からなんら変わらずですね。

いまだに自衛権で集団個別の線引きに忙しい国会で真面目にテロ対策なんていつまでかかることやら。
破防法適用に慎重に時間かけて、果てには適用破棄なんてやらかすし我が国は。

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