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2015年3月28日 (土)

土曜雑感 矛盾の島 沖縄

063
私が沖縄にいたのは、もう大分前のことになります。私はあるムラ(沖縄ではシマといいます)に入ったのですが、そこが私を受け入れてくれたのは、開拓のムラだったからです。 

今思うと、ツテもない沖縄に飛び込んで、しかも農業(ハルサーといいます)をしようという根性が相当にアホです。 

もし、今の私に相談されたらヤメロと言うでしょう。成功する確率、0.01%以下だからです。 

今振り返ってみると、得難い濃厚な時間だったなとは思います。というのは、おそらく沖縄本島で、これ以上過酷で、しかも魅力的な体験はなかったはずですから。

よく、那覇あたりや、石垣島で溜まっているナイチャー(※)がうじゃうじゃいますが、一回まともに沖縄社会にどっぷりと浸ってみればいいのにと思います。※本土人に対するやや軽蔑的呼称。

私がその過疎のムラで出くわした経験は、今の私の沖縄認識の根っこになっている部分があります。

たとえば、「美ら海を汚すな」と、辺野古に来る人達は気楽に言いますが、失礼ながら私はつい、ウソくさいなと思って見てしまいます。

ましてや本土からデモに来る人が、現地の人を捕まえてあろうことか、「あんたらはジュゴンが可愛くないんですか。オキナワの人々は海と共生して暮らしてきたんですよ」と説教を垂れていたのを聞いた時は、力一杯吹き出しました。

沖縄の人たちは「海を汚す」ことで生きてきたという側面があることを、このジュゴン・オバさんは知らないのでしょうね。

私がいた頃も、赤い石くれまじりのやんばるの土にパインを植えて、土留めが甘いために台風で流されてしまって、海をひどく汚していました。

農業は環境汚染の原因のひとつです。本島の海岸沿いは赤く薄汚く汚れてしまい、サンゴもほぼ死滅していました。

土留めをしっかりとすればいいのですが、しない。手間を惜しむというより、そのコストが合わないからです。

フィリピン産のウソのような値段で輸入されるパインに、島のパインは歯が立たなかったのです。

当時の私のムラの飲み友達だった男は、陽気なポリネシアンといった風情のユンボのオペでしたが、彼の呑んだ時のテーファーグチ(冗談)はなんと、「八重山まで埋め立てようぜ」でした。

リクツとしては、島は狭いのだから、広くするには埋め立てるしかないというわけですな。

本土の人たちが聞いたら眼を剥きそうな理屈ですが、土建業者が海を埋めることに罪悪感を持っていたら商売になりません。

それにあまり知られていていようですが島の「本業」は、表看板は観光業、裏看板は土建業なのです。

方や「美ら海」でマリンスポーツで遊ばせて金を儲け、方や振興予算でその海を埋め立てて生活の糧としているというわけです。

ホテルが乱立する中部に行くと、まぁよくこれだけゴテゴテと作ったもんだとため息がでてきます。美しい海岸線が台無しです。

ひと頃は、ホテルから出る排水を、ろくな処理もしないで海に流していたために、海の汚染が深刻でした。モズク養殖の漁民との深刻なバトルは、年中行事でした。

また、観光業には若い人が定着せずに、すぐに流れていってしまいます。他人様が優雅に遊ぶ姿を見て暮らすというのは、若い者にはつらいんだろうかねぇ、と当時思った記憶があります。

そしてなんといっても島の主力産業は、土建業です。日本でもっとも多くの土建業・建設業者がひしめいているのがこの沖縄です。

さて本島で最大の自然破壊をしているのは、泡瀬干潟です。これを進めたのは、東門美津子市長でした。社民党出身です。

彼女は市選挙公約に干拓反対を唱えて当選した後に、公約をホゴにして賛成に変身しました。

泡瀬干潟の埋め立て工事は、総事業費1020億円で、うち357億円が沖縄振興予算から投じられています。 

計画では、中城湾港新港地区から運んだ土砂で東京ドーム21個分にあたる96ヘクタールの埋め立て地を造成し、スポーツ施設やホテルが建設される予定です。

Photo_2

上のGoogle Earthで海上に白く見える巨大な島状の場所が干拓地です。

泡瀬干潟は、ラムサール条約で保護することが指定された場所なのにもかかわらず、ここに埋め立てだけて500億円かけて、187ヘクタールの人工島を作りホテルリゾートにする計画だそうです。

ちなみに辺野古の埋め立て面積は、泡瀬より少ない160ヘクタールです。

なんでこんなことを進めているのかと言えば、この泡瀬干拓のほんとうの目的が、振興予算の消化にあるからです。

干拓事業は、計画から工事終了まで10年間を越えるものがザラな複数年予算です。

複数年契約くらいおいしい予算の組み方はありません。ほとんどの予算が単年度で、しかも自然保護などに対する予算は、受託者の前払い・後清算方式です。

私も霞ヶ浦の保全運動で受けましたが、100万円を越える資金を自己調達してからでないと、補助が受けられません。

それに対して、干拓は複数年度で、しかも10年ですから、地方自治体が手放すはずがありません。

しかも最大の受益者は現地の建設業です。

建設業は、戦後、基地の建設から始まり、復帰後も潤沢な振興予算の配分に預かって公共施設や道路を作りまくりました。

こうしてできたのが、建設業の広大なすそ野です。建設機械、土木、セメント、砂利、建設資材、運送などが、多くの雇用を確保しています。

その社員や家族、飲食店も含めれば、まさに沖縄の基幹産業そのものでしょう。

これらの雇用を維持せねば、その会社だけではなく地域全体が衰退します。 ですから地元経済界としては、切実な要望でもあったのは確かなのです。

そして、沖縄には自然に「埋め立てよ、増やせよ、公共事業」という、体質が出来てしまいました。

極度の公共事業依存体質、そして振興予算依存体質です。

一回ふれたことがありますが、翁長氏は那覇市長だった頃に、那覇軍港の牧港沖への移設を推進したことがありました。

当人や支援者は都合よく忘れてしまったようですが、これなどまさに、今の翁長氏流に言えば「新基地」そのものですのです。

今回の翁長選挙陣営には、沖縄建築業界の大物がズラリと並んでいます。

また仲井真氏にも土建業の大物がつきました。互いに土建業vs土建業の争いでもあったのです。こういう側面を本土のマスコミはまったく伝えません。

「基地推進と反基地の戦い」という、ステレオタイプの報道に終始しています。

ただし、私はこの翁長氏や東門氏が、埋め立てを推進したこと自体について、頭から批判する気にはなりません。

それにはそれなりの、いわば「地域の都合」があったのは、事実だからです。

ならば、今回の辺野古でだけ突然エコロに目覚めないで下さい、と言いたくなります。私はなにがイヤかと言って、二枚舌とダブルスタンダードくらい嫌いなものはありませんので。

皮肉なことに本島でもっとも美しい海岸線はどこか知っていますか。米軍基地の前のプライベート・ビーチです。

やんばるの手つかずの自然が残っているのは、北部訓練場の内部だけです。

沖縄という島は矛盾だらけの土地だとつくづく思います。

矛盾というのは、長い歴史で自然に作られてきたものです。誰かが意図的に設計したものではありません。

よく安易に「沖縄差別だ」などと言う人が、沖縄にも本土にもいますが、そんな簡単な図式で分かれば苦労しませんって。

こんな沖縄差別ばかり叫んでいると、本土のナショナリズムと真正面からぶつかることになりますよ。

いまや、本土に生れそうなのが、いや既に生れてしまったのが「嫌沖論」です。その空気は、本土ではネット界を中心に爆発寸前です。

私はそれを恐れます。

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コメント

私も「嫌沖」の風潮を恐れています。
というか今の名護市・沖縄県の閉塞感の中で暮らしていると、地元の私でさえもう「嫌沖」になりかけています。

名護市民さん。危惧を共有できて幸いです。もう少し長い記事にして月曜日にアップします。

「泡瀬干潟」とあわせて「大国林道+その他のやんばる林道」もお忘れなく。行ったことがない人は一度行ってみませんか。台風の後がオススメ(冗談です)。

高江ヘリパッド建設に反対してる人たちは、やんばる林道には興味なしかな?これに触れているのを見たことがないんですよね。「やんばるの自然を守ろう」という点で連携してもよさそうに思うのですが・・・私が知らないだけかな。

泡瀬干潟埋立てに反対してる人は辺野古に応援に来てましたね。逆に辺野古から泡瀬にはどうなんだろう。

「うるま市の東門美津子市長」は「うるま市(勝連町)出身の東門美津子沖縄市長(当時)」と書かないと勘違いされそう。

記事、楽しく読ませて頂きました。

ただ一つお聞きしたいのは「嫌沖論」についての部分です。
沖縄が権利を主張することで本土に「嫌沖論」が生まれつつあるとのことでしたが、それを抑える為に沖縄は権利の主張を自粛せよ、ということがブログ主様の主張なのでしょうか?

確かに沖縄以外にも米軍基地の負担で苦しむ県もありますし、基地負担の対価として沖縄が受ける援助も決して少なくはない額です。

しかし、戦時中の過酷な地上戦から米軍統治、そして現在に至までの米軍基地の駐留を考えますと、米国と日本の両国の関係に置いて沖縄が背負わされてきたものはあまりにも過大ではないかと思うのです。

それでも他を鑑みて沖縄には口をつぐめと仰るのであれば私の方から特に言う事はございません。

長々と長文乱文、失礼致しました。

名無し様。「嫌沖論」についても次回かその次あたりに書きます。長くなりそうなので、記事のほうでお読みください。

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