日韓スワップ終了が示す中華共栄圏への道
やや旧聞になりますが、ご存知のように、2月23日に日韓通貨スワップが終了しました。
お赤飯でも炊きたいような国民的慶事でした。夕飯のおかずを一品増やしたご家庭も多いかと思います(笑)。
韓国も喜びに沸き立っているようで、韓国通貨当局は鼻の穴を膨らませて、「日本のためにやってきたんだ。日本が頼みに来ないから終わっただけだ。フンフン(鼻息)。もちろんなんの問題もない。フンフン」と宣言しています。
スワップ絶縁のケンカ腰もなかなかコリアですが、韓国がすり切れた夏のビーサンのように捨てた日韓スワップは、日韓だけのものではありませんでした。
この最後に残った日韓スワップは、チェンマイ・イニシアティブ(CMI)の枠組みの中の100億ドルです。
CMIは1997年の通貨危機で共に苦渋を舐めたアジア各国がつくったセーフティネットで、アジアの経済協力の象徴なのです。
したがって、ただの二国間スワップではないというのを、韓国は頭に血が登ったと見えて完全に忘れています。
中国を除くアジア全体で作った共同のセーフティネットを勝手に破壊したことは、後々韓国の評価に大きく影を落すでしょう。
こういう日韓関係にだけ目が行って、国際社会をゼンゼン見ないという近視眼ぶりもいかにも、日本人がよく知るコリアです。
まぁこれを興味津々で眺めていたアジア各国にとって、中韓FTAもからんで、これで韓国の中華冊封国への道が一気に加速したなと考えたことでしょう。
(写真 なんか妙に嬉しそうなクネちゃん。習さん、頼りになるわー。よろしくね♡婚約発表会見、かって)
今後は中国との通貨スワップや、アジア諸国とのスワップでやっていくそうです。いや、中国とやっていただければ、日本にとってこんなにいいことはないので、実にメデタイ話です。
さて通貨スワップのタテマエは、スワップ(swap)の言葉どおり交換の意味です。どちらかの国が、デフォールトしそうになった場合、相手国が外貨を用立てるという金融協力の仕組みです。
したがって、わが国がデフォールトしそうになった場合、韓国に外貨を融通していただけるということになりますが、300%ありえません。
とうぜんこの仕組みは、1997年にIMF管理のご厄介になった韓国を、日本が支える仕組みです。韓国の打ち切り後の論調は主に3つらしいですね。
① 「打ち切りの影響は大したことはない。日本ごときに頭を下げられるか」といったいかにも韓国らしい卑日論的強がり
②「まるで我が国が頭を下げてスワップを結んできたかのような物言いが腹立たしい」という、これまたいかにも韓国らしい逆恨み論
③「安倍政権は憎いが政治と経済は別だ」という、これまた韓国らしい妙に正直な後悔先に立たず論
当然、時系列的には①②③と変化しました。だんだん自分がやったことに青ざめていくのが分かって、しみじみとさせられます。
まぁ当初の強気は、ここで少しでも弱気を見せたら、外資のキャピタルフライト(資本逃避)が起きる可能性があるという現実的理由と、お約束の対日見栄っぱりが原因です。
日本政府としては、余裕で韓国の様を見物していたようです。やるなら協力しますが、要請がなければ自動的に打ち切りとなります、チャンチャン。ただこれだけです。
(写真 スワップ打ち切りを祝福し合う政府首脳。もちろんクソコラ。実際には日本側からは拒否しておらず、麻生氏が「要請を待っている」言っただけですが、さんざんにやられてきたお二人の気分はこんなことかと)
中国とも通貨スワップ協定を結んでいますが、金利が異常に高いために、事実上使えません。
第一、通貨スワップは、国際決済通貨であるドル・ユーロ、円以外に持っていてもしょーもないものなのです。
仮に、中国の元なんかをいくら用立ててもらっても、世界との貿易取引にはまったく役にたちません。ただの紙です。
習に泣きついて元をドルに換金した場合、ハンパない額になり、中国の元ドルレートの方ももつられて暴落してしまいますから、中国がそこまでして面倒を見てくれるかは、神のみぞ知るということになります。
他の国のスワップに至っては、なんと資源の現物支給だったりしますので、ないのも一緒です。
あ、そうそう忘れていた。「オレんちの外貨準備は充分にあるゼ」と韓国財務当局は述べているようです。
そうとでも言わないとまずいのは理解できますが、内実はひと頃景気がよかった時に買い込んだ正体不明のジャンク債権が中心で、それも買った時の極楽額面で評価しているという、実に韓国を表すようなスグレものです。
では、今まで韓国がさんざん使ってきた、1日決済の「オーバーナイト」融資はどうなるでしょうか。
韓国のメディアは、日本がダメでもEUがあるさ、と言った論調です。
※朝鮮日報(韓国語版)2月18日付社説「韓日通貨スワップ、恋々とせずに米・EUチャネルを開け」
「日本に恋々とするな」ですか。まるで国家間の経済関係ではなくて、男女間の痴情のもつれみたいですね(笑)。
いつもなぜか韓国の言い分は、ただの経済記事でも妙に濃厚な感情的思い入れがあって、実にねっとりとして官能小説(←古い)的です。
これについて、東京三菱銀行で元の韓国担当だった真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)は、「米・EUが韓国を助けるかは甚だ疑問だ」と述べています。
※人民元圏で生きる決意」を固めた韓国 3月5日 鈴置高史
増田氏によれば、韓国は外貨不足の国ですから、国際金融市場では常にドルの借り手です。
そもそもEU自身が、創設以来最大のピンチです。言うまでもなく、あの超不良債権と化したギリシア問題がに解決のめどが見えずに、いまや時限爆弾化してしまっているからです。
仮に余剰外貨があったとしても、いつまたIMFのお世話になるかもしれない韓国に貸してやる義理はありません。
一方、米国ですが、米国は冷厳に自国の利害損得で動いています。米国のシビアな狙いは韓国の第2のIMF管理です。
真田氏は1997年の韓国通貨危機時に、東京三菱の韓国担当でしたが、その時に日本の金融界は永田町も含めて韓国の救済に動くべきだという暗黙の了解を持っていました。
この時の状況は、欧米のヘッジファンドがウォンを売り浴びせている真っ最中で、もはやデフォールト寸前、息もたえだえといった状況まで韓国は追い詰められていました。
この時、世界で唯一韓国を救済する意志を持っていったのが、日本の金融界と政界でした。
この時、日銀は米国に救済の意志を伝えます。
しかし、ひとつの巨大な圧力が米国からやって来ます。それもアラン・グリーンスパン(連邦準備銀行FRB議長)からの、直接の圧力でした。
「韓国救済は国際的スキーム(枠組み)でやる」
言外に日本はよけいなことをするな、と言っているわけです。
「国際的スキーム」とは、端的にIIMF管理にするということです。これが、米国主導の金融経済グローバリズムの草刈り場にしますよ、という宣言だったわけです。
長くなりましたので、次回に続けます。
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ちょっと親に小言を言われて飛び出して、ヤクザに入った少年の図ですね。
しかも高利貸しとは、完全に型に嵌められましたね。
しかし、「中川昭一」、泣けました。
投稿: プー | 2015年3月17日 (火) 22時29分
プーさん。実は私も泣けました。奥さんのこともあって、また墓が荒らされているようなイヤな気分でした。
私が首相になってくれることを望んだ、数少ない政治家でした。
しかし、財務省官僚の謀略にはまり、あのような恥をかかされ、心ないマスコミのすさまじいバッシングにあって、落選しました。そして自死のような死を遂げます。私はいまでも財務相官僚とマスコミが殺したと思っています。
彼の死んだ一報を聞いたときの、落胆はいまでも忘れられません。ほんとうに惜しい人を亡くしたと思っています。
私は安倍氏にはあまり思い入れがないのですが、あるとすれば、中川氏の盟友であって、遺志を継ぐ人としてです。
そしてまた週刊誌か引き起こしたスキャンダルです。いいかげんにしろと言いたい。中川昭一を二度殺すつもりか、と。
こんな場面に使っては申し訳ないので、このクソコラは削除しました。
投稿: 管理人 | 2015年3月18日 (水) 02時21分
お手間を取らせて恐縮です。
日曜朝の突然の訃報に愕然としたものです。
世界を救った人なのに、マスコミのバッシングは本当に酷かったですね。
投稿: プー | 2015年3月18日 (水) 15時15分