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2015年4月16日 (木)

地震破壊説の元凶・国会事故調

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この樋口第2次判決の肝は、やはり「福島第1原発が地震で壊れた」ということを、いまだに妄信していることにあるようです。 

樋口裁判官は、福島第1が、地震で破壊されたから、700ガル以上でも以下でも冷却機能が失われ、再び炉心融解が起きるという恐怖を述べています。 

だから、破砕帯だらけの日本では、どこにも原発を作らせないという考えにつながっていくわけです。(欄外参照) 

この津波が押し寄せる前に、地震で壊れていたという説を唱えるのは公式には、国会事故調のみです。 
96958a9c93819481e2e6e2e1e08de2e7e2e(写真 横路衆院議長(右)に福島原発事故の調査報告書を手渡す国会事故調の黒川清委員長(2012年7月5日 国会内日経新聞より)

一方、もうひとつの公式事故報告書を作った
政府事故調は、地震破壊説を否定し、「津波によって破壊された」と述べています。 

まず、「地震破壊説」を取る国会事故調査は、こう述べています。(太字は引用者)
福島第一原発事故と 4 つの事故調査委員会 - 国立国会図書館デジタル

① 平成18(2006)年の耐震設計審査指針に照らした耐震バックチェックと耐震補強が未了であったことから、発電所設備が今般の地震動に耐え得ない可能性があること
② 地震直後に大規模な「冷却材喪失事故」(LOCA)は確認されていないが、小さな配管破断とそれによる炉心損傷や炉心溶融の可能性があること(独立行政法人原子力安全基盤機構の解析結果)
1 号機A 系の非常用交流電源喪失が津波到着前に生じていること
④ 地震発生当時、1 号機の建屋4 階の作業員数人が原因は特定できないものの出水を目撃していること
⑤ 1 号機の運転員は、地震直後の非常用復水器(IC)操作にあたって、配管からの冷却材の漏れを気にしていたこと
⑥ 主蒸気逃がし安全弁(SR 弁)が、2 号機・3 号機には開閉記録があるものの、1 号機にはないため、作動しなかった可能性を否定できないこと

これに対して、「津波水没原因説」を取る政府事故調は、こう述べています。

① 地震によってすべての外部電源(送電線等からの電力供給)が失われたが、非常用ディーゼル発電機が起動し、原子炉の安全維持に必要な電源が確保されたこと
② プラントパラメータによれば、地震直後には高圧注水設備(非常用復水器、原子炉隔離時冷却系)が、問題なく動作していると判断され、主蒸気流量、格納容器圧力・温度、格納容器床サンプ(廃液を貯める貯水槽)水位のチャートから、配管の健全性についても、異常はないこと
③ 観測記録を用いた地震応答解析によれば、安全上重要な機能を有する主要な設備の耐震性評価の計算値は、すべて評価基準値以下であること(地震の影響はないと考えられること)
④ 発電所設備の損傷状況に関する、可能な範囲の目視確認結果
 

国会事故調の「地震破壊説」の論拠はおおむねふたつです。 

ひとつは「1号機の非常用発電機が、津波到達以前壊れた」ということ。 

そして第2に、同じく1号機のSR弁(逃がし安全弁)が作動していなかった」ということです。 

ただし、結論だけ聞くと自信たっぷりのようですが、記述を読むと、必ずしもそうでないことか透けてみえます。 

Ac572087s(写真 委員のひとりの田中三彦氏。サイエンスライター。この地震原因説の部分の執筆者は田中氏だと言われている)

ひとつ目については、「全電源喪失が津波によるといえるのか疑問が残る」として腰が引けており、ふたつめは「発電所設備が今般の地震動に耐え得ない可能性がある」、と可能性の問題にまで後退しています。 

つまり、全部「可能性」があって、「疑問が残る」だけでの地震破壊説が、いつしか一人歩きして、反原発運動の中での定説にまで育っていってしまったわけてす。 

では、主要事故原因だった非常用電源の喪失について、検討してみてみましょう。 

国会事故調は電源喪失の時刻と、津波到来の時刻が整合しているということを理由に挙げています。

①津波の到達時刻            ・・・15時35分
非常用電源喪失時刻(運転員記録)・・・15時36分~37分
 

津波到着時刻は、沖合の波高計の測定時刻ですので、そこからさらに2分30秒で非常用電源のある原発施設に到達したとみられています。 

これを根拠にして、津波による水没前に地震によって非常用電源を破壊した「可能性」を指摘しているわけです。

しかし、ちょっと考えてみれば、このような大津波が眼前に押しかぶさるように接近してくる状況で、運転員が正確な時刻をまったりと記録できたでしょうか。

ありえません。国会事故調の推測は、人間心理を無視したものです。おそらくは、事故の後に、波高計の記録から類推して、運転日誌に書き込んだのではないでしょうか。

実は、この推測を裏付けるもうひとつ記録があります。非常用電源を記録するコンピュータ記録にはこうありました。

非常用電源喪失時刻(コンピュータ記録)・・・15時37分40秒~40分38秒

37分40秒~40分38秒ならば、津波計の示す地震が発電所沖で発生した時刻である35分から、ちょうど2分30秒経過しています。

すなわち、津波が到達してから非常用電源が水没して破壊されたことになります。

明らかに、非常用電源は、地震には耐えたが、その後の津波による水没によって破壊されたのです。

しかも失笑してしまうことには、このコンピュータ記録も、同じ国会事故調の参考資料の中にあるのです。

東電は後にこの運転員の記録を、コンピュータ計測時刻で統一していますが、それもまた国会事故調には証拠の偽造と写ったようです。

なんのことはない、国会事故調は、このコンピュータ記録も知っていて、自説である地震破壊説に有利な運転員記録を採用してしまったことになります。

恣意的なのは一体とちらでしょうか。

ちなみに、国会事故調は、別名「川内事故調」と呼ばれるように、反原発議員である民主党・川内博史(かわうち)氏が強い影響力を行使したと言われています。

川内議員、思い出しませんか。

あの民主党華やかなりし日に、ガソリン値下げ隊や、ハトさんの子分となって、徳之島などを駆けずり回った人です。

最後は、苦し紛れにあのグアム移転まで言い出していましたっけねぇ(遠い眼)。

典型的左派議員で、北朝鮮との対話促進、外国人参政権などで活躍しましたが、哀れ、民主への国民的憎悪によって吹き飛ばされて、現在は落選中。

国会事故調は、彼のトンデモ置き土産だったというわけです。

D054eff2a913d894406aa854c23f6e4b4(写真 大飯再稼働で、仲間の反原発活動家たちから「帰れ」コールをされる川内議員。後に落選)

そのためにか、人選段階から反原発的傾向の強い田中三彦志氏を筆頭にして、石橋克彦氏、崎山比早子氏、児玉達也氏、谷津田達夫氏など多くの反原発派や東電解体派を入れて発足していました。

田中氏などは、工学系の専門委員が、かならずしも自説の地震破壊説に同意してくれないことを、後に雑誌でこぼしています。

まぁだから、「可能性がある」とか「疑問が残る」という、どうとでもとれる表現に落ち着いたのでしょうが。

田中氏のような地震破壊説があってもかまいませんが、それは自分の著書でしてください。

オフィシャル・レポートは国を代表するものです。偏った自分の見解を押しつけるのはいかがなものでしょうか。

このような公平性性を欠く結論が、「国会」の冠を被って世間に流布し、やがて運動の定説と化し、そして樋口判決のような奇怪な大木に成長していくわけです。 

:            ;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+ 

■読売新聞4月14日)

「決定はまず原発の耐震設計の基本になる基準地震動(想定される最大規模の地震の揺れ)の数値の信頼性を検討。関電は700ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)とし、規制委も安全審査の合格証にあたる「審査書」でこれを認めた。
 決定は、2005年以降の地震のうち全国4原発で5回、想定の地震動を超えたことを重視し、「高浜の想定だけが信頼に値する根拠はない」と指摘。基
準地震動は発生しうる一番大きな揺れの値ではないとする専門家の意見も挙げ、「理論面でも信頼性を失っている」とした。 また、700ガル未満の地震でも、外部電源が断たれたり、給水ポンプが壊れたりして冷却機能が失われ、炉心損傷の危険があるとした」
 

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

過半数に満たない勢力のくせにオール国会を冠するのですね。
どこかで見た景色ですね。

「仲間の反原発活動家たちから「帰れ」コールをされる川内議員」というのがすごいですね。
「結果は伴わなかったけどよく頑張ってくれた」とかいうことはなくて、「結果が出せなかったならお前はもう用済み」ってことですか。
そりゃあ先鋭化もするってもんですね。

改めて「国会事故調」関連の1年前の記事をみると、なんじやこりゃ!って言うほど反原発派のトンデモ記事ばかりがヒットしますな。
曰く「やっと民意が反映された」「」「」

すいません、途中で送信しちゃいました。

「これこそ、われわれが求めてた報告書」「民間事故調なんて、あの高橋洋一だから論外」などと歓喜してるのばかり。
根拠も検証も何も無し(笑)。自分達に都合がいいから、無条件に踊ってるのばかり。

そんなんだから愛想つかされるわけです。
そして、その川内にまで帰れコール。
沖縄の鳩山と似たようなもんですな。
活動は純化して内ゲバに明け暮れる。それこそ民主主義の否定だと、なぜ分からないんだか。

再びすいません(汗)
高橋ではなく、船橋でした。

サーセン。8年ぶりに新調したケータイが使い慣れてなくて苦戦中です。ご容赦を。

皆さんご存知と思いますが,福島事故については,5つの事故調報告書が発表されています。
政府,国会,民間,東電,原子力学会の5つですね。
このうち,国会事故調だけが地震原因説を唱えていますが,昨年,原子力規制委員会は,国会事故調の地震原因説の根拠を一つ一つ検証し,地震原因説を否定する報告書を出しています。
ttps://www.nsr.go.jp/data/000069286.pdf

これに対し,田中三彦氏は「規制委員会の集めた有識者は原子力ムラだ」「規制委員会の検証はけしからん,新潟県からもクレームを入れてくれ」と言っていたようです。
こういう,反対派にレッテルを貼って,政治の力で科学的検証を潰そうとする,まるでルイセンコのような人が委員になっていたというのでは,国会の名が泣きます。

これはひどい捏造記事ですね。
国会事故調の創設は、塩崎恭久厚生労働相の功績ですが?
その証拠に、長文のインタビューがありますが。
http://getnews.jp/archives/163573
この記事にあるとおり、塩崎先生は『「国会原発事故調査委員会」立法府からの挑戦状』という本まで出していらっしゃる。
このブログの管理人は塩崎先生と自民党に対して余りにも失礼としか言いようがない。

別名「川内事故調」?誰がそんなことを??

塩崎さんのシンパ?
何も捏造してなくない?事故調設立の経緯は記事の通りだとしても、その報告内容がブログ主様の記事通りである事には間違いない訳だし。単に自分のお気に入り政治家が関連した事項が批判されてると歪曲しただけでしょ?

とおりすがり さん

元々,衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会委員長だった川内氏が田中氏らと共に事故調査を始め,その後,国会事故調立ち上げを進めていた塩崎氏が田中氏に声をかけたという経緯だったかと思います(田中氏がこの辺の経過を詳しく答えたインタビュー記事がどこかにあったと思うのですが,すぐに見つかりません。すみません。)。

おっしゃる通り,塩崎氏は国会事故調の立ち上げを推進した中心人物ですが,川内氏も深く関わっているので,「捏造」は言い過ぎではないかな,と。

echuuさん、勉強になりました。

One of themのくせに唯一無二の聖典気取りですね。

レッテル貼りで言えば、彼等はさしずめ「太陽族」ですね。

政府事故調の
”② プラントパラメータによれば・・・・”
っていうのが気になったんで,ぐぐったら
http://www.aesj.or.jp/~safety/H240626seminorsiryou5-1.pdf
にプラントパラメータ自体への信憑性を問題にしている部分があったんですけど,
この点は政府事故調はクリアしているんでしょうか.

どっちかというと津波より,地震,火山,テロが怖いので心配です.

連投すみません

津波が怖くないって意味じゃなく,原発がやられちゃような大津波がまた来たら,もう日本は終わりだから,ってことでより現実的に地震,火山,テロの順に心配ってことです.

しつもんさん。アレも怖い、コレも怖いじゃ解決しませんよ。

ひとつひとつその蓋然性と、リスクを考えて、リスクとリスクがぶつかった場合どう選択をしていくのかというパラメータを出していかないと、訳がわからなくなります。

東日本規模の津波は来るかもしれないし、来ないかもしれないか、来ることを予想して対策を立てるべきでしょうね。
テロ対策も、厳重にすべきです。私はSATの分遣隊を常駐させ、セキュリティレベルも最高度にすべきだとおもっています。

今まで日本は何度かそのような地震や津波に遭遇しています。それであなたがいうような、日本が滅びることはありませんでした。
私は悲観しつつも楽観する、というふうにしています。

しつもんさんは、一般論じゃなくて、もっと具体的に問題を提起してくれるとありがたいですね。

管理人さん

一般論には興味がないので,
地震直後からのプラントパラメータの信頼性について管理人さんがどう考えているのかを知りたかっただけなんですが・・・


逆に,どうでもよかった
>どっちかというと津波より,地震,火山,テロが怖いので心配です
という一般的な感情論(ということで一般論?)のほうに反応していただいてびっくりしています.
補足の投稿をしてしまったのがいけなかったのかと反省しています.すみません.

しつもんさん。申し訳ないが、私は専門家ではないのでわかりません。
今の段階では水掛け論ではないでしょうか。
たぶんあなたは、地震損傷説を取りたいのだろうが、まだなんともいえません。地震説ならば、配管にクラックがあるはずです。

いずれすべての原子炉に、直接立ち入り調査があります。

直接の立ち入り調査をすれば、メルトダウンの状況や規模、配管などの損傷具合が分かるはずです。

それまで私も、政府事故調はこう言っていたという言い方をします。

そうすれば、政府から最終報告書が出るでしょう。

しつもん 様

国会事故調のいわゆる地震原因説については,前にコメントで述べたとおり,規制委員会が現地調査を含む検証を行い,その根拠をいずれも否定しています。
ttps://www.nsr.go.jp/data/000069286.pdf
確かに,水位計や圧力計といったプラントパラメータの信頼性の問題は一般論としてはありますが,政府事故調や規制委員会も当然そのことは念頭に置いて検討しているはずです。
素人考えですが,プラントパラメータの信頼性が問題になるのは,ある程度炉心損傷が進行して,温度や圧力等が異常な状態になって以降ではないでしょうか? 記事にあるプラントパラメータは「地震直後」のもの,つまり,まだ津波が来る前で電源が生きていて冷却も順調に進行していた時のものですから,異常な高温,高圧等のようなプラントパラメータの信頼性を揺るがす要因は考え難いのではないかな,と。

管理人さん

管理人さんのおかげで,初めて 政府事故調,国会事故調の報告書をのぞいて見ました.
関心のある地震から津波までの部分がメインですが
率直な印象は,政府事故調は東電と仲良し,国会事故調はその逆というものでした.
(政府・東電は,前科者・加害者という色分けをしているんで,管理人さんよりは厳しい目で見てしまうというのはいかんともいがたいですが.)

震度5でも過去4回(か6回か)すべての原発が程度の差こそあれ損傷を受けたという,かの武田邦彦の記事を読んでいたので,福島も地震で少しはやられてんじゃないの程度の思い込みだったのですが,やっぱりやられているかの確信に変わりました.
この確信(妄想?)を他人にも信じてもらえるようにするには,また別次元の努力,才能が必要の上,ここはその場でもないので,自分の考えがかちっとできたというだけでとても満足しています.
これも管理人さんとのやりとりのおかげと感謝しています.ありがとうございました.


ecchu様

>が現地調査を含む検証を行い,その根拠をいずれも否定しています。
>ttps://www.nsr.go.jp/data/000069286.pdf

資料ありがとうございます.
https://www.nsr.go.jp/data/000069286.pdf

小生は専門家どころではなく原子炉の素人ですが,事故報告書のくせに,
多義的に解釈できる官僚文学というか突っ込みどころ満載でした.
キーワードはやはりプラントパラメータと”解析”(解析のためのパラメータが必要)なんだなって感じです.(読んだのは冒頭から飛ばし飛ばしら小規模漏えいまでの部分だけですが,なんかもう自分にとっては十分という感じです.)

まあ,とにかく個人的にはとてもすっきりしたのでよかったです.

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