おまけ 爆笑・放射脳デマ拾遺集3 「美味しんぼ」に見るデマの自滅風景
反原発運動の中には、国や東京電力を批判するためなら、ありとあらゆる嘘は正当化され、目的が正しいのだから多少の(←多少ではないが)行き過ぎも許容されるべきだという風潮が根強くあります。
それが、この人たちのカルト化につながっているのですが、まだ気がついていないようです。
(ホントに放射線による急性被曝なら、山岡、キミはもう死んでいる。まぁ、脳味噌はとっくに死んでいるがな)
さて、放射脳デマの最後を飾るトリといえば、やはり雁屋哲氏の「美味しんぼ」の鼻血デマにトドメを刺します。
今まで岩上、上杉などの雑魚たちでも、いくらナンでもそこまで言わなかった、「福島エクソダス」を堂々と宣言してしまう、という場外ホームランをかっ飛ばしました。
雁屋氏はいち早くオージーに逃亡しましたが、それを掲載した小学館は、福島県や双葉町などからの強い批判を浴びました。
小学館編集部はこう返しています。「事故直後盛んになされた残留放射性物質や低線量被曝の影響についての議論や報道が激減しているなか、あらためて問題提起をしたいという思いもありました」(スピリッツ村山弘編集長)
福島民報(2014年5月15日)は、福島県民の怒りを代弁して、こう述べています。
「5月12日発売号では元町長が鼻血の原因を「被ばくしたからですよ」とし、福島大准教授は「除染をしても汚染は取れない」と話している。
個人的見解を取り上げたことで、本県の実情が誤って伝わる恐れが生じている。復興への努力を台無しにしかねない。風評という暗黒の海に投げ出され、光の見える海面近くまで懸命に浮き上がってきたところを金づちでたたかれたようなものだ。12日に県が科学的な根拠を示して反証し、偏らない客観的な事実を基にした表現とするよう強く申し入れたのは当然だ。
そもそも作品の意図が分からない。編集部は議論を深めるためと説明する。県民と支援者の心を傷つけ、復興に使うべき貴重な時間と労力を抗議や反論のために浪費させて何が議論か」(太字引用者)
「検証記事」の内容たるや、今のマスメディアの愚劣さを典型的に象徴しています。
本来、朝日並に第三者検証委員会を作らねばならないものを、抗議文はお印ていどで済ませ、小出裕章京都大学助教、崎山比早子氏、津田敏秀岡山大学教授、野呂美加氏、肥田舜太郎氏、矢ケ崎克馬琉球大学教授、青木理氏などといった、札付きの反原発論者の発言を大々的に載せています。
津田敏秀氏などには、「チェルノブイリでも福島でも鼻血の訴えは多いことが知られています」と語らせてしまっています。
そもそもこの「美味しんぼ」が強く批判されたのは、チェルノブイリと福島を同一視したからです。
チェルノブイリで起きた「鼻血と耐えがたい倦怠感」が福島でも起きた、という井戸川氏の妄想を、松井医師のトンデモ理論で「証明」してみせ、ついで「大阪瓦礫焼却でも出た」と「市民グループ」に言わせるデマの上塗りをすることで、強い批判を浴びました。
(左か松井氏、右が井戸川氏。井戸川氏は、町長時代、町民を連れて放浪したたあげく、町議会によって罷免されて失職した。今では福島県に住んでいないが、なおも鼻血を出ているそうだ。この漫画についても、自分が町長をしていた双葉町から猛烈な抗議を浴びた)
福島民報が怒るように、どうして「美味しんぼ」のような全巻100冊を越える影響力の大きい漫画に、福島差別を煽るデマが出てしまったのか、そして編集部はどうしてそれを掣肘できなかったのか、といった編集責任を検証するべきなのに、「検証」と称してそのデマに同調する論者をわざわざ何人も引っ張り出すことで、居直ってしまっています。
そして、この時も小学館編集部は、かつての朝日の慰安婦問題と同じ、「解明されていない」「可能性は否定されたわけではない」という、言い方で逃げを打っています。
皆さん、ヘンな情報の発信源が、こんな台詞を使いだしたら、もう9割9分、自分でも反論できなくなっている証拠だと思って下さい。
津田氏に至っては、「『低線量放射線と鼻血に因果関係はない』と言って批判をされる方には、『因果関係がない』という証明を出せと求めればいい」と、ないことをを論証しろという悪魔の証明までもちだす有り様でした。
「オレの言ったウソを証明しろ」というのですから、厚顔無恥もいいところで、そんな義理はないのですが、いったん拡散してしまったデマに対しては、別の人間たちがその不毛な作業をやらざるを得なくなるのです。
(取材から帰京して鼻血が出たというのが雁屋氏の言い分だが、ならば事故直後からそこに住んでいる福島県民は鼻血地獄だな。残念ながら、そのような話はない)
さて、この「美味しんぼ」が、今までのデマッターたちと一線を画したのは、従来の反原発派が奥歯にもののはさまったような、あいまいな印象操作に終始していた「福島は住めない。福島から逃げろ」という決定的ひとことを、とうとう言ったことです。
偉大なるかな、雁屋哲!
この功績で、雁屋氏は武田邦彦に次いでデマッター元帥の称号を奉られ、風評元帥府に列せられることになりました。
(しかも言わせたのが、海原雄山だ。よく噛みつく山岡ならともかく、雄山御大に言わしたら、もう言い訳は効かない)
たとえば、小出裕章氏なども、低線量被曝と健康被害は、「現在までの科学的な知見では立証できないことであっても、可能性がないとは言えません」というレベルに止まっていました。
あの武田邦彦ですら、「郡山に住むのは法令違反です」とまで言っていながら、「福島は人間が住めない」という決定的ひとことが言えないでいました。
これを、雁屋氏はオージーに逃げ場があるという気安さからか、、はたまた出版界の超大物として自分だけは許されると思ったためか、この一線を軽々と越えてみせてしまいました。
(右が荒木田氏。地元国立大学の准教授でありながら、このような発言を続けている)
そしてこの「美味しんぼ」デマによって、放射脳デマは新次元に突入したと言えます。
デマは、バイアスが強いほど、発信した当座は衝撃力を持ちます。
しかし、それがウソだと分かった瞬間に、逆噴射となって発した当人の社会的信頼を失墜させ、運動全体を貶めます。
それが幾度となく繰り返されれば、その流れ全体がやがて社会で相手にされなくなっていきます。
まさにこの道を歩んでしまったのが、日本の反原発運動のようです。
※来週から日曜おまけはなしです。1日くらい休みたいので。(←誰も頼んじゃいないって)
●謝辞 先週と同様に、「山本弘のSF秘密基地BLOG」デマがいっぱい から転載させていただきました。ありがとうございます。
:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+ 。
゛ここでは、過去1年間に主にツイッターで流れた原発・放射線関連のデマの中から、あまりにもひどいものや、笑えるものを選んでみた。これでもデマのすべてではない。
【2011年7月】
●アングルの違いじゃないすかね
http://togetter.com/li/159437
「JNN福島第一原発情報カメラ」に映っている大型クレーンが、東電の「ふくいちライブカメラ」には映っていなかったことから、「ライブカメラの映像は合成」というデマが広がる。原子炉から水蒸気が発生しているのをごまかすため、CGを使っているというのだ。単にアングルが違っていて、クレーンがカメラの視界に入っていなかっただけだった。
だいたい、JNNのカメラでも写されてる以上、そんな細工したって意味ないんじゃない? 働いてる作業員も大勢いるから、目撃されちゃうよね?
●セブンイレブンのお弁当の食材について衝撃のツイート→ソースは今から探します #genpatsu
http://togetter.com/li/156887
「セブンイレブンのお弁当は放射能汚染地域の食品つかっています」 というデマを発信しておいてから、「情報ソースお持ちの方いらっしゃいますか?」と呼びかける。何なの、この人……。
●急性被曝?この場合は(ヾノ・∀・`)ナイナイ
http://togetter.com/li/165513
福島第一原発に近い大熊町で発見された遺体から高い放射線量が検出されたことから、大熊町と双葉町で発見された数百体の遺体が「溺死でなく放射能急性被曝死だった」というデマが拡散。
大熊町の死亡者・行方不明者は47人。双葉町の死亡者・行方不明者は56人。
http://n-switch.upper.jp/eq20110311.html
つまり見つかった遺体の多くは、この町の人ではなく、津波に呑まれて他から流されてきたものと推測される。そしてもちろん、原発事故が起きるのは津波よりもずっと後だ。
ちなみに、11日の午後8時50分の時点で福島県対策本部により2km圏内に避難指示が、12日の午前5時44分に総理指示により10km圏内に避難指示が出されているので、1号機で水素爆発が起きた12日午後3時36分の時点では、10km圏内にほとんど住民はいなかったはずである。
だいたい原発内部にいた職員でさえ死んでいないのに、どうして何kmも離れたところにいる人が何百人も死ぬのか。そんなに早く死ぬのなら、被曝量は何百シーベルトとかいう単位のはずなんだけど。
【2011年8月】
●「被曝について診断書を書くと,文科省が医師免許を剥奪すると脅迫している」というデマについて。
http://togetter.com/li/171916
ある人が主治医に「放射能については診断書は書けない。医師免許を剥奪されたくない」と言われたという話から、「文科省が医師を脅している!」というデマに発展、たちまち拡散する。そもそも医師免許を出すのは厚労省だということも知らない人が多いのにはびっくり。
おそらく元々の医師の発言(本当にあったとすれば)は、「放射能のせいでもないのに放射能が原因だなんて書けない。診断書に嘘を書いたら医師免許を剥奪される」というニュアンスだったのだろうと思われる。
●アンパンマンカレー
http://togetter.com/li/176831
永谷園のアンパンマンカレーにガイガーカウンターを当てた人が、放射線が検出されたと言い、「今後一切買いません」と宣言した。その情報が爆発的に拡散。
おそらくカレーの中に含まれる天然のカリウム40の出すベータ線を拾ったものと思われる。しかも製造年月日は震災前だったらしい。
しかし流した本人は反省の色なく、「風評被害を生まない為に、企業は努力して、放射能検査を徹底するべきだと思います」などと、のうのうと言っている。風評被害生んでるのはあんただってば(笑)。
●放射線蛍光プラスチック「シンチレックス」の誤解が広まっている
http://togetter.com/li/178218
放射線が当たると光るプラスチックなのだが、なぜかメガネにしてかけると放射性物質が光って見えると誤解した人続出。
じゃあ、光に当たると色が変わるサングラスをかけたら、太陽だけが黒く見えるわけ? 理屈で考えればおかしいってすぐ分かるだろうに。
【2011年9月】
●8000Bq/Kg以下の汚泥焼却灰をセメントに使用すること、という厚生省通達が各セメント会社に出たようです(セメント会社の友人から聞きました)
http://togetter.com/li/184641
>夫の会社に厚生省通達で、8000Bq/Kg以下の焼却灰をセメントに使えと言ってきたそうです。通達は絶対で、これからはセメントは全部セシウム入りになるそうです。。。肥料、瓦礫焼却、セメント、、どこにいても放射線から逃れさせないぞ!という国の強い意思を感じます…友人Yさんから。
そもそも「厚生省」は厚労省の間違いだろうし、厚労省がセメント会社に通達というのは根本的におかしい。無論、9ヶ月以上経った今も、こんな「通達」があったという証拠はどこからも出てこない。
●拡散中の「岐阜の何千メートル級の穴」の件
http://togetter.com/li/188907
>これは言っていいのか。重大なことを知ってしまった。今、岐阜県の山中に巨大な何千メートル級の穴を掘っている。福一の燃料を埋める穴だ。
おそらく瑞浪超深地層研究所のことが誤って伝えられたものと思われる。この記事にもあるが、放射性廃棄物貯蔵施設などに転用してはいけないことになっている。
http://www.asahi-net.or.jp/~zq9j-hys/040415TONO.htm
真相が指摘された後の展開も頭が痛い。デマを拡散した人は反省もせず、「原発&放射線の情報収集でしてるだけ」「私がどれほど慎重にしているからかさえ、推して頂けない?」と猛烈に開き直るわ、デマ発信源の人はあくまで事実を認めようとしないわ……。
●スリーマイル奇形情報まとめ
http://togetter.com/li/182827
2009年にコロラド州で生まれた奇形の牛が、なぜか1979年のスリーマイル原発(ペンシルベニア州)事故の影響にされていたり、バラの貫生花、金魚葉椿、イチョウの葉の切れ目、シロバナマンジュシャゲなど、福島第一原発の事故以前から普通にあるものが、ことごとく放射能の影響にされている。
●産地偽装のために、福島県で他県産の米袋が売られている?
http://togetter.com/li/184915
他県産の使用済みの米袋をリサイクル利用することは、以前から日本各地で行なわれていたのだが、福島のホームセンターで米袋が売られていたことから「産地偽装のために売られている」というデマに発展。
●八王子市の土壌からアメリシウム241検出の報、でもどうしてα線でなくγ線で検出?
http://togetter.com/li/188790
「プルトニウムより毒性の強いアメリシウム241が、八王子の土壌から1kgあたり74ベクレル検出された」という情報がネットで流れる。
実際の検査結果はこう。
「Am-241 : < 3.7」
検出限界値である3.7Bq以下だった。つまり不検出という結果だったのだが、不等号の意味を理解できない誰かがそれを抜いて発表。それを見た別の誰かが、50gのサンプルから3.7Bqのアメリシウムが検出されたと解釈し、その数字を20倍して「1kgあたり74ベクレル」にしたらしい。
この誤報、すぐに打ち消されたものの、その後も何度か復活している。
【2011年10月】
●【放射性物質汚染】モスバーガーの受難【誤報】
http://togetter.com/li/201023
>モスバーガー、問い合わせに対して「原材料については一切公表する気はない、不安があるなら利用しなくて結構」被災地の野菜をこれからも使い続けると断言。
ある人がツイッターでこうつぶやいたら、そのソースが確認されないまま拡散。流した人は間違いに気づいてツィートを削除したが、時すでに遅く、拡散しまくっていた。
モスバーガーは以前から食材の産地をちゃんと公開している。
モスバーガーHP/今月の産地情報
http://www.mos.co.jp/quality/vegetables/farm_info/
●ある若者の死が“原発事故の犠牲者”としてネットで広がり、否定されるまで
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1111/29/news100.html
9月に急性リンパ白血病で亡くなった釣り師の男性が、「福島原発30km圏内で野宿し池や川で釣った魚を食べていた」というデマが流れた。実際には男性は福島を通過しただけで、野宿したことも魚を食べたこともなかった。
そうした事実を指摘されてもなお、嘘をついてまで故人を貶めようとする者もいる。これはもう「人間のクズ」と言っていいレベル。↓
http://togetter.com/li/222071
【2011年11月】
●福島第一原発全滅!死者は4300人だった!
http://togetter.com/li/210282
「原発作業員の死者は既に4300人いるが、各遺族3億円で口止めされてるから、その事実はまだ世間に漏れてないそうです」という途方もないデマが拡散! 何でこんなの信じられるの? 4300家族に3億円ずつ払ったら1兆円オーバーしちゃうんですが。
こういうデマを信じる人は、「現代日本で4300人の人間が死んでも隠蔽できる」とか「1兆円以上の金がどこからともなく魔法のように湧いて出てこっそり使える」と思っているらしい。そんな思考能力の欠如した人間が大勢いる事実の方が怖い。
●白血病患者数が前年7倍と急増 このデマはなぜ広がったのか
http://www.j-cast.com/2011/11/30114796.html
新聞記事からの引用を装い、「各都道府県の国公立医師会病院の統計によると、今年の4月から10月にかけて、「白血病」と診断された患者数が、昨年の約7倍にのぼったことが21日に判明した」とするデマが2ちゃんねるに書きこまれ、確認されないまま拡散。実際にはそんな発表はなかった。
記事へのリンクが貼られていない時点で、怪しいと気づけ。
【2011年12月】
●『スリーマイル化する奇形作物』は完璧なデマ!!桜島大根に失礼です!!
http://togetter.com/li/226976
●野菜が大きいのは気候の影響!!巨大ゴボウは「大浦ごぼう」、もともと大きなゴボウです!!
http://togetter.com/li/222002
放射能の影響で野菜が巨大化しているというデマが流れる。しかし、そこに貼られていた写真は、ごく普通の桜島大根や大浦ごぼうだった(笑)。しかも、写真はいずれも2011年より前のもの。
また、2011年の秋は好天だったため、白菜がとてもよく育ち、規格外の大きさになるものが多かったという。
こういう話を信じてしまう人間は、50年代B級SF映画の見すぎである。
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