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2015年4月27日 (月)

誰が福島事故の緊急対処を攪乱したのか?

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蒲焼さんから、以下のコメントを頂戴しました。 

「福島原発直後に安倍首相は自身のメルマガで「菅元首相が海水注入中断指示を出した」と書きました。
これは後に東京電力の発表で事実ではないことが明らかになっています。
原発事故の対応に必死になっている当時の首相に対して足を引っ張る様な「デマ」を流す人間が現在の我が国の内閣総理大臣です」
 

正直に言って、まだこんなことを言っているのか、と思いました。 

このテーマは、もう4年前の事故直後からこのブログで詳細に論じてきたもので、古い読者の皆さんには新味がないと思います。

しかし、未だ反原発派の中で、このようなことが言われているとなると、しゃーない、もう一回おさらいするとしますか。

ところで、菅元首相をめぐってはいくつもの論点があります。

①福島第1の「陣頭指揮」事件
②海水注入中止命令事件
③東電本店演説事件
④東電全面撤退を自分が阻止したとする認識
⑤事故後の高岡原発停止要請
⑥事故後の再エネFIT導入

もっとありそうですが、私は、「アベが」、あるいは「カンが」といったレベルの、政治家個人に対する評価ではなく、リスクマネジメントの立場で考えるべきだと思っています。 

おそらく、この人は反アベの立場でしょうが、政治家に対する好悪の感情と、リスクマネジメントとしての判断はまったく別次元なのです。 一緒にしてはダメです。

130127294375016419911                (写真 福島原発の衛星写真 3月14日)

さて福島事故は、従来の原子力安全行政の大きな欠陥を露呈させました。 

ひとつは、原子力安全行政が一元化されていないために、指揮権限が誰にあるのかわからなかったことです。 

原子力安全・保安院なのか、現場指揮を執る東京電力なのか、あるいは政府事故対策本部、つまりは官邸、ひいては本部長の首相個人なのか、ファジーだったのです。 

その結果、当時立ち上がった政府と東電ふたつの対策本部が、相互になんの関連もなく動き、いさかいと反目を続ける結果となり、最後には菅氏がもう一方の東電対策本部に乗り込むという衝突寸前の事態まで引き起こしています。 

1520e6039f5fb185add13a9a6ef00044_2(写真 東電に全面撤退阻止を要請しにいく菅首相。これが彼の最大の武勇伝だが、東電はナニその話だった)

そしてこの「ふたつの司令部」にバインドされた形になった福島第1の現場は、吉田所長の決断で状況を乗り切らざるを得ないところまで、追い詰められていました。 

本来、修羅場を戦う事故現場を、後方の司令部が的確な情報提供と指示を出して支えるのではなく、逆に間違った指示を出して混乱させてしまっているのですから、話になりません。 

もし、吉田昌郎という卓越した指導力と勇気をもった人物が所長にいなければ、私たちは今ここに生活することができなかったことでしょう。

まず、この国家的非常時において、当時の政府対策本部があった官邸の状況を、振り返ってみます。

この時の官邸の空気を、民間事故調(福島原発事故独立検証委員会)は、このように伝えています。

・「官邸が「パニックと極度の情報不足」に陥り、『テンパッた状態』」
・「今回の福島事故直後の官邸の初動対応は、危機の連続であった。制度的な想定を離れた展開の中で、専門知識・経験を欠いた少数の政治家が中心となり、次々と展開する危機に場当たり的な対応を続けた。
・「決して洗練されたものではなく、むしろ、稚拙で泥縄的な危機管理であった。」

・「(菅首相は)言い出したら聞かない」
・「菅首相の)強く自身の意見を主張する傾向が、斑目委員長や閣僚に反論を躊躇させた。」

さて今では、2011年3月12日当日、官邸でなにが起きたのか、詳細に判明しています。再現してみましょう。

果たして、以下の事故後に行った首相の弁明は、正確にこの状況を伝えているのでしょうか。

「(海水)がすでに入っているなら当然入れ続ければいいと思っていた。それを(東電の)武黒フェローが判断して、吉田所長に止めろといった。東電関係者の発言を官邸の意向と表現されるのは間違っている。海水をいれることがいかに重要であるか、そのことが再臨界と関係ないことはプロであればよく分かっているはずだ」(国会事故調)

次回それを検証します。長いので分割しました。

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

管理人様

私のつまらないコメントで、今回の記事が4年前のおさらいになってしまったことは心苦しく思います。

一応、過去記事の方も読ませて頂きました。
安部氏が「デマを流した」とは自分でも言葉が過ぎたと思いましたが、当時の出揃っていない情報から菅氏に辞職まで求めたのは軽挙妄動であるとは言えましょう。

ただ、突発的な現場視察や相手が萎縮するのも構わずに怒鳴り散らした菅氏の振る舞いも非常時におけるリーダーとしては適正を欠くものです。
この点は安部氏の災害時における対応を見習い、宰相らしくドンと構えて赤坂の高級料亭でお座敷天ぷらでもしてた方がまだマシだったのかもしれませんね。

後半の記事も楽しみにしております。

>蒲焼きだか丸焼けだか
安倍嫌いもいいけどさ、せめて首相の名前ぐらい正しく書いておけ。

石和田さん、まぁまぁ、誤字は私もやりますから。

蒲焼さん。経営学では、危機管理はみっつのフェーズがあります。

①結果責任(コンシークエンス・マネジメント)
②破損責任(クラッシュ・マネジメント)
③現場の危機対応(狭い意味でのリスク・マネージメント)

それぞれ対応する責任者は
①は社長
②は工場長
③は現場スタッフ

福島原発事故においてはこうなるでしょう。
①官邸本部
②現場対策本部
③原発所長
※ただし、本来は最上位の事故対応指揮権は、規制委員会が握るべきで、現状はそう変更されました。

ですから、菅氏は結果に対する責任だけを念頭に置いて、広い視野で原発事故を見るべきでした。

同じ無能な指導者だった村山氏は、その無能さを熟知していたのか、①の結果責任でかろうじて止まっています。(自衛隊の出動命令の遅れや、米国からの空母派遣の依頼拒否などくだらないこともしてくれていますが)
あとを丸投げにしてくれたのが、最大の「功績」でした。

菅氏は、ともかく細かい。現場の事故対応に細々と口を出しています。やれ、バッテリーは、やれヘリで水を落とせなどなど。
いわば、戦争で司令官が小隊指揮に口をはさむようなもので、これは最高指揮官としてもっともやってはならないことです。

これが自民党だった場合、彼らは官僚の扱いに馴れていますから、おそらく保安院と経済産業省に丸投げしたと思われます。情けないようですが、実はこれが正解です。政治家なんか、しょせんド素人なんですから。

なまじ民主党は、「政治主導」などというスローガンで政権を取ってしまったために、政治家が出張ることが民主主義だと勘違いしていたという背景もあります。

料亭でテンプラはともかくとして、最高責任者は馬印を立てて「われはここにあり」を示すだけで、後は静かに全体状況を把握し、大局の判断をして、部下を励まし、国民を支えることに徹するべきでした。

こういうとまた人格論になりますが、器が小さい人がトップになると、菅直人氏のようになります。

                   

石和田さん

別に安部でもアベでもABEでも良いでしょう。
公人の発言じゃあるまいし。
あなただって蒲焼きさんのHNを揶揄してるじゃないですか。

当時は原発事故を抜きにしても未曾有の災害のど真ん中、原発は専門家に任せ、地震被害の対応に専念すべきだったのでしょう。
正直当時菅さんはともかく、枝野さんは地震対応に、原発対応、総理への対応にと寝る間もなさそうでしたから


事態進行当時、
「菅は起きろ!枝野は少し寝ろ!!」
なんて、ネット民から連日真面目に流れてましたね。

私もそう思いました。

石和田様

名前の誤字の件、失礼しました。


管理人様

「無能な働き者は害悪である」という言葉がありますが、原発事故の対応に当たった菅さんにもこの言葉は当てはまるのかも知れません。
ただ、管理人様が資料としてあげている「カウントダウン・メルトダウン」の中で著者が

“菅直人という危機時のリーダーシップは「最大の不幸であり、一番の僥倖であった」とでも表現するほかないかもしれない”

と表現している部分もあるように、管さんの事故時における対応が全て悪手だったとは言い切れない所がこの事故が孕む問題の複雑さなのではないかと考えます。

蒲焼さん。船橋さん(民間事故調)の指摘は、たぶん細野さんを巡っての動きですね。
統合対策本部づくりや、最悪シナリオづくりなどを、民間事故調は評価しています。
全体として、いちばん菅氏に対していい評価をしているのが民間事故調です。

まぁ、私の記事を読めばお分かりだと思いますが、あの官邸のみに判断を任せる状況は菅氏が望んだものではありませんし、その中で人格論的にバッシングされ続けるのは間違いだというのが、私の考えです。

しかし、まぁ管氏のキャラが相当に問題であったのは事実ですよ。評価というのは、結局、その功罪を見て、その按配です。
ですから、全否定もないし、全肯定もありません。

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